映画『ア・フュー・グッドメン』の概要:アメリカ軍の基地内で起きた殺人事件の真相をめぐり、主人公の新米法務官が被告人の誇りを守るため巨大な権力に立ち向かう法廷サスペンス映画。1992年に公開され大ヒットし、数々の賞を受賞した。
映画『ア・フュー・グッドメン』 作品情報
- 製作年:1992年
- 上映時間:137分
- ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス
- 監督:ロブ・ライナー
- キャスト:トム・クルーズ、ジャック・ニコルソン、デミ・ムーア、ケヴィン・ベーコン etc
映画『ア・フュー・グッドメン』 評価
- 点数:85点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★★
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『ア・フュー・グッドメン』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『ア・フュー・グッドメン』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『ア・フュー・グッドメン』 あらすじ【起・承】
キューバにある海兵隊の米軍基地でドーソン上等兵とダウニー1等兵がサンティアゴ1等兵に暴行を加え、サンティアゴは1時間後に死亡するという殺人事件が起きた。
ワシントン法務監査本部の内務課に勤務する法務官のジョアン・ギャロウェイ少佐(デミ・ムーア)は上司にこの事件の弁護をさせて欲しいと申し出る。ジョアン(以下ジョー)は、この事件は「コードR(レッド)」によるものだと主張する。「コードR」とは基地内で使われる通用語で、規則違反やミスをした兵士に暴力的制裁を加えることを意味する。
上司はジョーの希望を受け入れず、この事件の早期解決を目指し海軍法務総監部の法務官ダニエル・キャフィ中尉(トム・クルーズ)にオーナー弁護士を依頼する。キャフィは新米だったが司法取引に長けた法務官で、9か月で44件の示談を成功させていた。
キャフィと補佐をするサム中尉(ケヴィン・ポラック)はジョーと会い話を聞くが、法廷で彼らの無実を証明するべきだと考えるジョーと取引で傷害致死にして軽い罪で済ませるべきだと考えるキャフィはことごとく対立する。
ドーソンは自分たちが暴行したことは認めるが、殺してはいないと主張していた。しかし軍医の判断は口に押し込んだ布に毒が染み込ませてあり、被害者はその毒の中毒で死亡したというものだった。しかもドーソンたちは海兵隊の規律を守り上司であるケンドリック中尉の命令(コードR)に従ったのだから無実であると訴えていた。
実は被害者のサンティアゴは落伍兵であり、転属を望んでいた。それを知ったこの基地の最高責任者であるジョセップ大佐(ジャック・ニコルソン)は被害者に対する「コードR」を命令していた。マーキンソン中佐はこの決定に反対するが、国家安全保障会議のメンバーでもあるジョセップの決定には誰も歯向かえなかった。
キャフィたちはキューバまで行きジョセップたちから事情を聞く。ジョセップは“サンティアゴの転属を許可し、彼は朝一番の便でキューバを離れる予定だった。自分はコードRの命令など出していない”と言う。
裁判をしても勝ち目はないとキャフィは判断していたが、ジョーの熱意とドーソンの“誇りは失いたくない”という主張を聞き入れ法廷で戦うことを決意する。
映画『ア・フュー・グッドメン』 結末・ラスト(ネタバレ)
検察側の検事であるロス大尉は被告2名を殺人、殺人共謀、軍規倫理違反の罪で起訴する。弁護側は被告人の無罪を主張し「軍法会議」と呼ばれる軍の裁判が開始される。
検察側は被害者が海軍捜査局にドーソンが違法発砲をしていたのを目撃したという内容の手紙を書いたことで被害者を恨み、口封じのため毒殺したと主張していた。また被害者の死因は毒による中毒だったと証明するために軍医を証人として呼び、罪を立証する。
弁護側はキューバの基地内には国から禁止されている暴力の制裁が「コードR」と呼ばれ今も存在すること。そしてその命令が当日出されたことをなんとか立証しようとするが、決定打は見つからなかった。
検察側の証人として出廷した小隊長たちは会議で“サンティアゴには手を出すな”という命令がケンドリック中尉から出たのにドーソンは命令に背いて暴行したと証言する。しかしドーソンはその5分後にケンドリック中尉が自分のところへ来て「コードR」を命令したと主張していた。それを証明するためには現場にいたマーキンソン中佐の証言が必要だったが、マーキンソンは行方不明になっていた。
ところが、マーキンソンが密かにキャフィのところへ来て“転属願いはジェセップによって却下され、証明書は後から偽装したもの。ジェセップは自らコードRを発令した”と密告してくれる。これで勝てると喜んだのもつかの間、マーキンソンは自殺してしまう。
残る方法は法廷にジェセップを証人として呼び出し、彼の口から“自分が命令した”と言わせることのみだった。しかし大物のジェセップを呼び出し、そこで彼の証言が得られなければキャフィが軍事会議にかけられる。それでもキャフィは戦うことを選ぶ。
法廷で向き合ったキャフィとジェセップは激しくやり合う。キャフィは翌日転属するはずだったサンティアゴが何の荷造りもせず、家族にも連絡していないことは不自然だと主張。さらに“命令は絶対だ”と言うジェセップに“サンティアゴに手を出すなと命令したなら転属させる必要はなかったはずだ”と反論。キャフィはプライドの高いジェセップの感情を揺さぶり、怒り狂ったジェセップはついに「コードR」の命令を“そうだ!俺が出した!”と叫ぶ。これはジェセップが自らの犯罪行為を認める重大発言だった。
陪審員の評決は殺人と殺人共謀に関しては無罪、しかし軍規倫理違反に関しては有罪とし、被告人2名は除隊処分となってしまう。それでもドーソンは間違った命令に従った自分の非を認め、この判決を受け入れる。キャフィはドーソンを“君は誇りのある人間だ”と讃える。
映画『ア・フュー・グッドメン』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ア・フュー・グッドメン』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
異色の法廷サスペンス
法廷サスペンス映画というのは数多く存在するが、軍事法廷ものというのは独特のルールや縛りがあってそこが非常に面白い。
弁護を務める主人公キャフィと補佐を務めるジョーとサム、検事を務めるロスも海軍法務総監部に属しており、立ち向かう相手は同じ海軍のジェセップ大佐だ。一般の企業でいうと新米平社員が幹部クラスの役員の不正を暴くような捨て身の挑戦である。3人がキューバの基地へ行ってジェセップ大佐と対峙するだけでもちょっとドキドキする。
事件の真相も海軍独特のルールの中にあり、一般人にはそこまで命令に服従する感覚はわかりにくい。どの立場の人間もそれぞれの誇りを持っており、そこがこの物語の個性と説得力になっていたし、とても熱い。
トム・クルーズとジャック・ニコルソンの対決
クライマックスで満を持して法廷に登場してくるのがジェセップ大佐を演じるジャック・ニコルソンだ。入場シーンからすでに威圧感が半端ではない。トム・クルーズの演じるキャフィが少し震えていたが、その気持ちはわかる。
最初は余裕をかましていたジェセップ大佐がどんどん激昂してくる迫力満点の演技は圧巻。トム・クルーズもそれに飲まれまいと必死で食いついていく。2人の熱のこもった法廷内でのやり取りは、間違いなく本作一番の見どころだろう。
ジェセップ大佐の演説のようなセリフも良かった。確かに暴力はいけないことだ。しかし戦場で“暴力はいけません!”という道徳は通用しない。前線で過酷な経験を積み、軍人としてのし上がってきた大佐がキャフィに怒りを感じる気持ちも理解できる。大佐の“お前に真実は分からん!”というセリフは非常に印象的だった。と思ったら、名ゼリフとして有名だったようだ。やはり観客がしびれるツボというのはある。
トム・クルーズも短い期間にグッと成長する主人公をよく演じていたが、少ない出番で強烈なインパクトを観客に与えたジャック・ニコルソンはやっぱりすごい。よって、2人の演技対決はジャック・ニコルソンの勝ちとしたい。
法廷を舞台にした作品はアニメの『逆転裁判』くらいしか見たことがありませんでしたが、法廷の独特の張り詰めた雰囲気と双方の対立し合う眼差しが痛いほど刺さってきて、見ていてものすごく疲れましたが、とても面白かったです。
ジャック・ニコルソン演じるジェセップ大佐の貫禄と言うか圧がとにかく凄いです。自分の上司がこの人だったら命令に逆らうことなんてできるはず無く、どんな理不尽な命令でも従ってしまうだろうなと感じてしまいました。
法廷でのバトルがこんなにも面白いと思った作品は初めてです。(女性 30代)
言葉を巧みに使い真実を暴く法定シーンは、手に汗握ります。さらに言葉数が多く、圧倒されました。英語の教材としても適しています。アメリカ海軍内部の話ですから、特殊な環境や人物を理解するのに少々手間取りました。しかし、一旦把握できれば濃厚なストーリーが病み付きになります。デミ・ムーアとトム・クルーズの共演に、只々胸が高鳴りました。しかも、恋愛は一切無しですからストーリーがきりっと引き締まっていて、素晴らしいの一語に尽きます。(女性 30代)
本作は、キューバの米海兵隊基地で起こった隊員のサンディアゴ殺害事件と軍法会議を題材にした同名舞台劇を映画化した法廷サスペンス作品。
当時30歳のトム・クルーズの若々しいオーナー弁護士と、ジャック・ニコルソンの威圧的な大佐が繰り広げる会話劇の臨場感に高揚し、ラストの2人のバトルがとにかくかっこよかった。
軍特有の規則や絶対服従は観ていて居心地の良いものではないが、被告の青年兵が本当に大切なことに気づくシーンは心打たれた。(女性 20代)
映画『ア・フュー・グッドメン』 まとめ
後半はほとんど法廷シーンだったが、むしろ後半の方が俄然面白い。デミ・ムーアとトム・クルーズが蟹を食べるシーンなんてどうでもいいから、裁判シーンがもっと見たい!と感じるのだから法廷ものとしては大成功だろう。
父親のエピソードはあんなに必要だったのかなとか、デミ・ムーアの演じたジョーはキャフィを煽るばかりで仕事面での活躍はほとんどなかったなとか、細かい点で気になることはいくつかあったが(前半は少し退屈だし)クライマックスの盛り上がりが素晴らしかったので、そういう小さな不満は吹き飛ばされる。ラストシーンも素直に胸熱だ。
軍隊は描かれているが戦闘シーンなどは全くなく、わずかでも基地内での内部事情を知ることができるのは興味深いことだった。“終わり良ければすべて良し“と感じてしまう後味のいい映画である。
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