この記事では、映画『柘榴坂の仇討』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『柘榴坂の仇討』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『柘榴坂の仇討』 作品情報
- 製作年:2014年
- 上映時間:119分
- ジャンル:ラブストーリー、コメディ
- 監督:若松節朗
- キャスト:中井貴一、阿部寛、広末涼子、高嶋政宏 etc
映画『柘榴坂の仇討』 評価
- 点数:85点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『柘榴坂の仇討』 あらすじネタバレ(起承転結)
映画『柘榴坂の仇討』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『柘榴坂の仇討』 あらすじ【起・承】
13年前。
志村金吾(中井貴一)は持ち前の剣の才能を買われ、大老・井伊直弼の籠番に抜擢された。
このことは名誉であり、挨拶に行った先で井伊大老の人柄に惚れ込み、彼に忠誠を誓っていた。
世間では恐れられている大老の館での姿は魅力的だったのである。
そして彼は嫁をもらい、家庭を築き幸せな日常を送っていた。
ある雪の日、金吾は門の間に挟まれている手紙を見つける。
中には「本日大老を暗殺しにいく」と書かれていた。
念のため外出の予定を変更するよう忠告するも、大老は予定通り籠に乗り出発する。
暫く進んだところで、手紙の内容通り井伊大老の命を狙う浪人達に囲まれてしまった。
「注進!」と叫びながら直訴状を出す浪人に、大老は命がけの注進だからと手紙を受け取るよう命令する。
しかし渡したら門へ向へと言う大老の言葉に反し、浪人は斬りかかってきた。
金吾も戦おうと刀を抜こうとするが、雨よけカバーのせいで中々抜けない。
それどころか、槍を1人の長身の浪人に盗まれ持っていかれてしまう。
後を追い、浪人と一騎打ちになり肩に一撃を与えた。
無事に槍を取り戻し、籠まで戻ると既に大老は暗殺されていた。
これが歴史上有名な「桜田門外の変」である。
金吾は自らの命を絶ち、責任を取ろうとする。
しかし両親がその責任をかぶってくれたおかげで、金吾は生きて良いこととなる。
桜田門外の変の犯人は5人捕まっていない。
この5人の逮捕を命じられた。
この日から金吾夫婦の長い戦いが始まった。
ぼろ屋に身を隠すように暮らし、妻は食堂に働きに出た。
金吾達は襲撃犯を探し出し、遂に残りの1人となった。
映画『柘榴坂の仇討』 結末・ラスト(ネタバレ)
大政奉還。
江戸幕府が終わり、明治時代の幕開けだ。
今までのやり方を変え、日本を新しくしていこうという風潮に変わった。
武士の時代が終わり、髷をしているものも居なくなっていく。
金吾に殺害を命じていた役人もいなくなり、時代は明らかに変わっていた。
しかし金吾は侍のままの格好で街を歩き、桜田門外の変について相変わらず情報を求めていた。
金吾は大老の命日には必ず墓を訪れる。
今日も寺に行った。
しかし今日は金吾の後に車引きが訪れ手を合わせている。
この車引きの男は直蔵と言い、近所でも有名な寡黙な色男だった。
特に未亡人の子供のミチには父のように好かれていた。
街で友人に会う金吾。
彼はかつて侍として話が出来る友人だった。
今は憲兵に入り、制服を来ている。
未だに仇討ちを考えている金吾の助けをしたく、上司に情報を求めてくれた。
しかし時代は仇討ちを禁止する法律を出した。
襲撃犯の最後の1人。
金吾は雪の中車引きを止めた。
「どこへ行きますか?」という車引きに「桜田門」と答えた金吾。
顔を見せてくれと頼んだ金吾に、車引きは傘をとって振り向いた。
間違い無かった。
あの時の槍を持って自分が肩を怪我させた男だった。
金吾は彼の素性を聞いた。
現在の名前は直蔵。
殺した人間の名前の1文字をもらい忘れないようにしているのだと言う。
ある坂で「この坂はなんという坂だ?」と尋ねる金吾に直蔵は「石榴坂だ」と答える。
自分はここで死ねなかったと。
あのとき怪我したため、刀を持って切腹出来なかったのだと言う。
直蔵は金吾の主人への忠誠を褒め、自分を殺せと言う。
しかし金吾は最後の最後で殺さなかった。
「今日から仇討ちは禁止になった、そして時代が変わったから石榴坂からやり直せ」と言う。
夜分に自宅に戻った直蔵。
みちとその未亡人の母の家へ立ち寄り、金平糖をあげたのだった。
そして今度どこかに行こうと誘った。
金吾もまた妻の働く店に迎えに行き、たまには田舎に帰ろうと言うのだった。
映画『柘榴坂の仇討』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『柘榴坂の仇討』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
男の忠誠心凄まじい
見るべき映画、絶対見て欲しい映画である。
特に男性には見て欲しい。
惚れ込んだ君主のために仇討ちを考え、その思いだけで生きていく男らしさは今の日本に必要である。
自分の責任、家族の温かさ、後悔、そんな複雑でネガティブな思いが渦巻いてはいるが、決して後ろ向きでは無く前向きに生きているのだ。
その1つ1つをきちんと現実として受け入れ、消化していく。
今の日本の若者には無い思考だ。
もはや意地であるとも思うが、自分の考えをぶれずに貫けるというのは本当に尊敬してしまう。
ラストシーンの美学
ラストでいよいよ襲撃犯の最後の1人と出会う金吾。
しかしこの彼もまた自分の親をこの一件で自殺させ、人の死を背負っていた。
ただ彼もまた井伊大老の暗殺自体に後悔は無く、そのことは納得しているのだ。
ここに同じ時代に生きた2人の人生が重なる。
時代が明治に移り、どこか金吾はついていけていない。
しかしその表現が直蔵との出会いをより良いシーンにしている。
同じ時代に、同じようなこだわりを持ち、同じように散る。
まさに男の美学を映像化しているような美しいラストであった。
見やすいストーリー構成
時代劇と言うと見にくくて飽きる、などと考えている人も多いのでは?
実際に本当にあった出来事がテーマのため、歴史がわからないと面白く無いかもしれない。
桜田門外の変で一体どちらが正しかったのか?という疑問くらいもてるような知識が欲しいところ。
しかし全くわからない人でも、最後に向けてヒューマンドラマに変わっていくため見やすくなる。
時代に翻弄される、時代遅れの男達の物語として上手く締めくくっている。
登場する全ての男たちがとにかくかっこいいです。外見のかっこよさではなく、忠誠心のような内面のかっこよさが目立つ作品でした。
「桜田門外の変」と歴史の授業で聞いた記憶はありますが、詳しいことは全く覚えていませんでした。しかし、そんな無知な私にもこの作品の描き方はとても分かりやすく、こういう事件があったから金吾は全てを犠牲にするような生き方をしているのだと理解できるでしょう。
時代劇や歴史上の事件をテーマにした作品は少し難しくて苦手でしたが、今作はとても分かりやすく、見ていて飽きないので最後まで楽しめました。(女性 30代)
武士の誇りと時代の流れの中で生きる男たちの物語に心打たれました。仇討ちという一見古臭いテーマが、明治の世でどう変化していくかを繊細に描いていて、特に中井貴一さんの苦悩の演技が圧巻。最後の対峙では、もはや恨みではなく、互いの人生を認め合うような静かな感動がありました。(30代 男性)
静かな語り口ながら、心にずっしり響く作品でした。江戸から明治への移り変わりに翻弄される武士たちの姿がとてもリアル。かつての主君を殺された無念と、それを果たさねばならない使命感に押し潰されそうになる志村の苦しみが切なかったです。人間ドラマとして深い余韻を残す一本です。(40代 女性)
時代劇というより、人生劇場を見た気分でした。仇討ちを遂げるべきか否か、答えのない問いに苦しむ志村の姿に共感。斬り合いを求めていたわけではない、という結末がまた胸に沁みました。アクションは控えめだけど、登場人物たちの心の戦いは見ごたえ抜群です。(20代 男性)
中井貴一さんと阿部寛さんの静かな対峙シーン、涙が止まりませんでした。忠義と友情の間で揺れる二人、それぞれの選択が尊くて、時代に取り残された男たちの悲哀をこれ以上なく美しく描いています。ラストシーンの余韻が素晴らしく、何度も思い返しています。(50代 女性)
ストイックなまでに丁寧に作られた時代劇でした。仇討ちというテーマを単なる復讐劇ではなく、個人と時代の葛藤として描いている点が秀逸。特に志村が自分自身を問い続ける姿勢が印象的でした。静かだけれど熱い、そんな映画を求めている人におすすめです。(30代 女性)
思っていたよりもずっと感動的な作品でした。幕末・明治という激動の時代背景がありながら、焦点はあくまで「一人の男の生き様」に絞られているのがよかったです。志村が最後に仇討ちを選ばなかったシーン、時代の変化を受け入れる潔さに涙しました。(20代 女性)
かつての敵と、時を経て人間として向き合うラストに心震えました。派手さは一切ないけれど、武士道とは何だったのかを問い直す素晴らしい作品です。特に中井貴一と阿部寛の演技合戦は圧巻で、静かな緊張感に息を呑みました。大人向けの上質な時代劇だと思います。(60代 男性)
重厚なテーマを静かに描き切った傑作です。仇討ちという宿命を背負いながらも、時代の移り変わりの中で「許し」を選んだ志村の姿に深い感銘を受けました。復讐よりも、人としての尊厳を選ぶラストには、胸がじんわりと温かくなりました。何度でも観返したいです。(20代 女性)
ラストの静かな佇まいに、ただただ圧倒されました。仇討ちを果たすことよりも、「どう生きるか」を選ぶ志村の覚悟がすごくかっこよかったです。武士としての矜持を守りつつ、人としての道を選ぶ姿勢に、時代劇の新しい形を見た気がします。(40代 男性)
映画『柘榴坂の仇討』を見た人におすすめの映画5選
たそがれ清兵衛
この映画を一言で表すと?
時代の終わりを静かに生き抜く侍の、哀しみと温もりの物語。
どんな話?
幕末の長岡藩、貧しいながらも娘と老母を養いながら生きる侍・井口清兵衛。剣の達人でありながら戦いを避けて生きる彼に、運命の剣試合が迫ります。時代に翻弄されながらも、家族とささやかな幸福を守ろうとする男の生き様を描きます。
ここがおすすめ!
華やかな時代劇とは対極にある、日常に根差したリアルな侍像が魅力。藤沢周平の世界観を見事に映像化し、真田広之の繊細な演技が心に響きます。静かで深い余韻を求める方に、必ず刺さる作品です。
武士の一分
この映画を一言で表すと?
名誉と愛に生きた、盲目の侍の静かな闘い。
どんな話?
毒見役を務める侍・三村新之丞は、事故で視力を失ってしまう。絶望の中、愛する妻と共に生きる決意をするが、裏切りを知った彼は名誉を取り戻すため一人剣を取ります。小さな誇りと大きな愛を描いた感動の時代劇です。
ここがおすすめ!
木村拓哉主演による、静かながら強烈な存在感を放つ一作。豪華絢爛な時代劇とは違い、等身大の人間ドラマに心が震えます。『柘榴坂の仇討』のような「誇り」をテーマにした作品を求める方には間違いなくおすすめ!
隠し剣 鬼の爪
この映画を一言で表すと?
封じられた剣と、秘めた想いが交錯する、哀しき侍の物語。
どんな話?
藩命により脱藩した旧友を討つことになった下級武士・片桐宗蔵。心ならずも剣を抜く運命に翻弄されながらも、かつての想い人への想いを胸に秘め続けます。人間味あふれる侍像と、抑制された情熱が胸に迫る作品です。
ここがおすすめ!
藤沢周平原作による哀愁漂う時代劇。堤真一の静かで力強い演技、そして抑えた感情表現がリアリティを生み出します。仇討ちではない新しい「武士道」の形を感じたい人におすすめです。
果し合い
この映画を一言で表すと?
忠義と友情の狭間で苦悩する、武士たちの静かな戦い。
どんな話?
藩内の権力闘争の中で、幼馴染を討つ命を受けた侍・福原市之進の苦悩と葛藤を描いた物語。任務か友情か、選び取る道に彼の武士として、人間としての誇りが試されます。静かに、しかし激しく心を揺さぶる一作。
ここがおすすめ!
日本映画ならではの抑制された演出と、胸に刺さる葛藤描写が見事。地味ながらも人間ドラマの濃度が非常に高く、『柘榴坂の仇討』を好む方には間違いなく響く一作です。
十三人の刺客(2010年版)
この映画を一言で表すと?
圧倒的不利な状況に挑む男たちの、命を懸けた死闘!
どんな話?
極悪非道な藩主を暗殺するため、十三人の侍たちが命を懸けた戦いに挑む壮絶な物語。奇策と命を賭けた捨て身の戦い、そしてそれぞれの覚悟が描かれる、極上のサムライアクション映画です。
ここがおすすめ!
三池崇史監督による重厚で緊張感あふれる演出が光ります。終盤の大乱戦シーンは圧巻の一言。時代背景に忠実でありながら、熱い男たちのドラマに心が震える一作。忠義や正義を貫く姿に感動したい方におすすめ!
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