映画『ロード・オブ・ドッグタウン』の概要:2005年にキャサリン・ハードウィック監督によって製作された今作。アメリカ西海岸はカリフォルニアのとある田舎町、通称「ドッグタウン」を舞台に巻き起こった1970年代の一大スケートボードブームを描いた青春映画です。
映画『ロード・オブ・ドッグタウン』 作品情報
- 製作年:2005年
- 上映時間:107分
- ジャンル:青春、ヒューマンドラマ
- 監督:キャサリン・ハードウィック
- キャスト:ジョン・ロビンソン、エミール・ハーシュ、ヴィクター・ラサック、マイケル・アンガラノ etc
映画『ロード・オブ・ドッグタウン』 評価
- 点数:90点/100点
- オススメ度:★★★★★
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★★★
[miho21]
映画『ロード・オブ・ドッグタウン』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『ロード・オブ・ドッグタウン』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『ロード・オブ・ドッグタウン』 あらすじ【起・承】
西海岸のとある田舎町、通称「ドッグタウン(掃き溜め)」。治安も悪く、所得も低いこの町で、悪ガキたちは日々サーフィンとスケートボードに明け暮れていました。
悪ガキの兄貴分的存在のスキップのサーフショップ「ゼファー」に溜まり、技を競い合う彼らを見て、スキップはスケートボードの販売PRのために彼らにチームを組ませることを思いつきます。その頃のアメリカでは、小規模ながらスケートボードの大会が各地で熱を持ち始めていたのです。
トリッキーな新技で観客を沸かせるジェイ、派手な大技と豪快な性格で女性人気の高いトニー、正確で危なげのないプレイのステイシーはたちまち各地の大会で名前を上げます。そんな彼らを見守る気弱で心優しい御曹司シドとともに、4人の悪ガキたちはスケートボードに青春を燃やします。
その夏はひどい暑さで、ドッグタウンはどこも水不足でした。町の金持ちたちは皆バカンスに出かけ、空き家になった豪邸のプールには水がありません。そんなプールの傾斜に目を付けたジェイは仲間たちを誘い、スケートボードの練習場として各家に忍び込んで回り始めます。そんな彼らの自由で縦横無尽なプレイスタイルに、多くの若者たちが熱狂し始めるのです。
映画『ロード・オブ・ドッグタウン』 結末・ラスト(ネタバレ)
大会で次々と賞金を稼ぐ彼らを、メディアは見過ごしませんでした。雑誌で大きく取り上げられたのを皮切りに、様々な人間が彼らのもとに押し寄せます。
「スキップがどれだけ儲けているか知っているのか?俺なら君をスターにしてやれる。」
そんな甘言に誘われ、トニーは別のチームに移ります。また、ステイシーもトニーやスキップとの折り合いの悪さから別チームへの移籍を決めます。
心の離れていく弟分たちを止めることも出来ず、スキップは次第にアルコールに溺れ始めます。
時は経ち、トニーは高級外車に美女を侍らせ、ロックスターのような人気を博しています。ステイシーはその甘いマスクからアイドルさながらの人気者で、「チャーリーズ・エンジェル」に出演するまでになっていました。ジェイだけは、ストリートに生き、新しい技を磨き続けています。アルコールにおぼれたスキップは孤独でした。
そんな折、トニーは大会で大怪我を負います。スケートボードのできなくなった彼から、それまで群がっていた人々が次々と姿を消していきます。孤独になり、かつての仲間に想いを馳せるトニーのもと、シドが重病だと連絡が入ります。
久々にかつての仲間たちは、変わらぬ態度でトニーを迎えます。病気でやせ衰えたシドの意向で空になった彼の家の広いプールで、彼らは再びスケートボードを競わせます。かつてのように、自由なその姿にシドは顔をほころばせます。
その後、シドの父親はシドが死ぬその日までプールには水を入れず、仲間たちに好きにスケートボードを走らせたのでした。
映画『ロード・オブ・ドッグタウン』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ロード・オブ・ドッグタウン』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
青春を彩るキラーチューン
Green Day、Deep Purple、Jimi Hendrix、David Bowie、T-Rex…エトセトラ。これらのビッグネームのサウンドが随所にちりばめられ、映画全体がまさにキラーチューンともいうべき今作。この映画のサウンドトラックを購入すれば、一時代の流行はすべて聞けるというくらい、詰め込まれた内容です。
また、そのちりばめられるシーンがいちいちとにかくかっこいい。空のプールや町並み、大会のスケートボード場を縦横無尽に滑走するスケートボード姿を、これらの音楽がさらに魅力的に見せてくれます。
リアルなスケートボード姿
キャスト全員が華麗な滑走姿を見せる姿も魅力の今作ですが、実はキャスト全員、出演が決まるまでは全くの素人。この映画のモデルとなったスケートボードチームのZ-BOYSのメンバーが練習に立ち会い、猛特訓を重ねた末の華麗なプレイシーンだったというから驚きです。
ちなみに、今作の脚本はステイシー本人が担当しているため、よりリアルな彼らの青春そのものが映画に反映されていることは言うまでもありません。
ヒース・レジャーの確かな哀愁
今作での準主役、兄貴分のスキップを演じたのは、「バットマン」シリーズのジョーカー役でもおなじみの、2008年に急逝した俳優、ヒース・レジャー。フレッシュな演技が光る四人の主役に加え、確かな実力者の彼が今作の暗部を演じ切ることで、キラキラした青春の側面だけではなくダークサイドもきちんと描いています、それこそ、今作がただの青春映画で終わっていない大きなポイントのひとつといえます。
女性監督
男臭い内容の青春映画でありながら、ここまで徹底してクールな映画に仕上がっているのは、美術に傾倒した経歴を持つ女性監督、キャサリン・ハードウィックの力によるところが大きいように見えます。男性キャストをきちんと「かっこよくチャーミングに」描くことで、女性ファンからの支持も熱い映画といえます。
映画『ロード・オブ・ドッグタウン』 まとめ
こんなにも充実した青春映画を今まで見逃していたことが悔しくなるくらい、満足感のある映画でした。疾走感のあるクールなスケートボードシーンには思わず魅入ってしまいますが、それだけではない心理描写が見事。四人がそれぞれの青春で悩み苦しみ駆け抜ける姿には、思わず声援を送りたくなってしまいます。
これから暑くなる季節、この映画のサウンドトラックを流しながらドライブして、海に行きたくなるような、爽やかで熱い、王道の物語です。
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