映画『ぼくらの七日間戦争』の概要:遅刻厳禁、パーマに長髪禁止。無断手荷物検査で勝手に持ち物を没収するなど、抑圧された教育制度に反抗した青葉中学の1年A組の生徒たちが廃工場に立てこもり、大人たちと徹底抗戦をする。
映画『ぼくらの七日間戦争』 作品情報
- 製作年:1988年
- 上映時間:94分
- ジャンル:青春
- 監督:菅原比呂志
- キャスト:宮沢りえ、五十嵐美穂、安孫子里香、工藤正貴 etc
映画『ぼくらの七日間戦争』 評価
- 点数:75点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『ぼくらの七日間戦争』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『ぼくらの七日間戦争』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『ぼくらの七日間戦争』 あらすじ【起・承】
青葉中学校では教師たちが徹底した管理教育で生徒たちを縛っていた。遅刻したら正座。勝手な持ち物検査をされたり、太っているだけで厳しくしごかれたり。そんな中1年A組の8人の男の子たちが行動を起こす。夜、廃工場に立てこもったのだ。
翌日、男の子たちが無断欠席。無断外泊を心配した保護者が学校に押し寄せる。
廃工場では男の子たちが各々自由に時間を過ごす。身体を鍛えたり、優等生は勉強したり。そこに暮らす怪しい男に出くわしたり。喧嘩したり。女の子たちが遊びに来たり。
しかし平穏な日々はずっと続かず、先生に居場所がバレて保護者と先生が廃工場にやってきた。生徒達は砂を撒いたり放水したりタバスコの銃で戦い大人たちを追い払うのだった。
大人たちとの戦争に備えセメント弾を作ろうとしていると、機械の誤作動で地下を発見する。そこで戦車を発見。夜には人気の英語教師の西脇が差し入れにやってくる。
西脇は男の子たちを責めず、「学校に来なかった分宿題沢山出すからね」と言い残して颯爽と去って行く。
一方1年A組ではクラスメイト8人が立てこもっていることが話題に。学級委員の主人公ひとみはクラスメイト達に勉強に身が入らないから立てこもる男の子たちに説得に行けと言われる。
ひとみは二人の友人と食材をもって差し入れに行く。みんなでハンバーグを作って食べる。終始和やかな雰囲気だったが、誰が女の子にこの場所を教えたかで喧嘩になる。
仲間の一人が荷物をまとめて雨の中帰宅しようとするが、説得しみんなは再び戦う為に結託する。
映画『ぼくらの七日間戦争』 結末・ラスト(ネタバレ)
女の子たちも立てこもりに加わった翌日、先生たちがやってきてチェーンソーで廃工場の扉をこじ開ける。混乱のまま先生たちと戦うことに。
無理やり力でねじ伏せられ、皆が劣勢と思ったとき戦車が現れる。メカオタクの生徒が地下にあった戦車を動かしていたのだ。それは起死回生のチャンス。大人たちは脅えて逃げていく。
戦車の名はひとみの提案で「エレーナ」と名付けられた。戦車が出てきたことで警察が出動する事態に発展する。
大掛かりなことになってしまったが、子供たちは頑張ろうと戦う準備を始める。学校は全てを警察に委ねることにし、明朝8時に機動隊が強行突破することとなった。
翌朝廃工場は機動隊に包囲される。機動隊が突入すると子供たちは様々な仕掛けで機動隊たちと真っ向勝負。機動隊は予想外の事態に苦戦を強いられる。
ラスボス的な先生たち3名が現れて応戦。野沢は鉄パイプで囲われた檻に閉じ込められ、かたつむりを顔面に投げつけられる。
酒井の強さに皆がやられてしまうかと思ったが、横からひとみがロープで酒井を蹴りとばし縄に捕らえる。最後に堅物の担任教師八代はやかんをぶつけてられ気絶。更に紙で作った巨大人形におしつぶされる。
そして子供たちは地下通路から逃げ出す。最後に廃工場から花火が打ち上がり、子供たちが作り出した仕掛けに聴衆達も感動。物語は子供たちの完全勝利で幕を閉じた。
映画『ぼくらの七日間戦争』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ぼくらの七日間戦争』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
爽快なジュブナイル映画
学校教育に抑圧された中学生たちが大人たちに向けて戦争をするという物語。管理された中等教育の印象があまりにもキツイ。
ルールと暴力でしか縛ることができない大人たちのやり方を観ていれば中学生たちが行動を起こしてしまう理由がよくわかるので中学生たちの味方になってこの映画を観てしまう。最後に、厄介な先生たちを、力を合わせて倒すのは痛快であった。
ただ、子供たちそれぞれに感情移入できるほどの尺はなかった。個人個人が抱えている問題まで映画では描いていない。これが「ごくせん」や「3年B組金八先生」等の学園ドラマだったらそういう細かいところまで描けるんだろうと感じた。
特にかわいくて映画初主演という宮沢りえの役柄はもったいない。宮沢りえが演じたひとみは、両親が家に居ないことが多いくらいで大人社会に反旗を翻すほどの理由がないように思える。
役柄としては中心人物なのに、どこか周りに流されて、遊びで戦争をしている感じが否めなかったのが残念だ。
中学生にしてはやりすぎ
先生を倒しただけで痛快だったので、最後の花火はやりすぎだと感じる。あんなナイアガラのような花火はきっと花火師じゃないと出来ないと思った。
メカオタクとか優等生など個性的な生徒たちが立てこもっているのだが、そこに花火師の息子がいるとか、立てこもっている生徒たちのキャラクターを、もっと全面に押し出していかないと、見ている側が納得いかないだろう。
機動隊についても中学生たちが簡単に倒してしまっている。それも日本の警察は大丈夫か?と思ってしまう一つの要素。
そういった当たり前に考えられない部分をうまく調整してほしかった。
難しいことは一切考えず、青春の一時の輝きを懐かしく思いながら流し見する1本。
ただこれは誰かの幻想かなにかと思った方がいいのかもしれない。そうでないと、戦車の存在の説明がつかないし、そもそも花火上げたら学校生活改善されるのか、と思ってしまう。結局先生たちとどう折り合いをつけたのか、そこを観たかった気がする。
また、小室みつ子氏によるテーマ曲の歌詞が素晴らしい。詞を読めば映画1本観た気になれるのでそちらもおすすめ。(男性 40代)
映画『ぼくらの七日間戦争』 まとめ
この映画を観て中学生の頃を思い出してしまった。スカートの丈や髪の長さを決められ、先生たちは細かいことまでうるさかったと思い出す。
この映画に登場する中学生たちのような行動をする度胸はなかったけれど。あの頃この映画を見ていたら、今よりも爽快な気分を感じられたと思う。
抑圧することで思春期の子供達は大人では想像がつかない行動をするかもしれない。子供達が団結したらある意味怖い。何が起きるかわからない大胆な想像力があるから。
この映画を見ていてスピルバーグの「グーニーズ」という映画を思い出した。地下の排水管を探検したり、家に帰らなかったりするところの雰囲気が似ている。
子供たちにはそれぞれ帰らなければならない場所があるから、そういう現実から抜け出したとき、冒険や戦いが始まる。そういう映画には大人もわくわくしてしまう。
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