映画『ラン・ローラ・ラン』の概要:20分で大金を用意して恋人に届けないと、愛する男の未来はない…。そんな状況に追い込まれたローラは、このミッションを成功させるため、ひたすら走り続ける。失敗すると物語がリセットされるという構成で、3パターンのドラマを楽しめる。
映画『ラン・ローラ・ラン』の作品情報
上映時間:81分
ジャンル:ヒューマンドラマ、ラブストーリー、コメディ
監督:トム・ティクヴァ
キャスト:フランカ・ポテンテ、モーリッツ・ブライブトロイ、ハイノ・フェルヒ、ヨアヒム・クロール etc
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映画『ラン・ローラ・ラン』の登場人物(キャスト)
- ローラ(フランカ・ポテンテ)
- ショッキングピンクの髪をしているが、性格は一途でまじめ。1年前から付き合っている彼氏がピンチに陥り、彼を救うために奔走する。父親はドイツ為替銀行の重役。母親はアル中気味のだらしない女性。超能力があり、彼女が絶叫するとガラス類が粉々に割れる。
- マニ(モーリッツ・ブライプトロイ)
- ローラの彼氏。違法薬物の売買に関わっているようなチンピラ風情の男だが、根っからの悪人ではない。組織に渡す予定の大金を紛失してしまい、ローラに助けを求める。
映画『ラン・ローラ・ラン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ラン・ローラ・ラン』のあらすじ【起】
ショッキングピンクの個性的な髪をしたローラは、恋人のマニに電話で責められていた。今日、ローラはある場所までマニを迎えにいくことになっていたが、買い物中にバイクを盗まれ、待ち合わせに間に合わなかったのだ。ローラも悪いと思っていたので素直に謝ったのだが、マニはパニック状態で「俺は殺される」と喚いていた。
今日、マニは違法薬物の運び屋の仕事をした。仲間の車で所定の場所まで行き、違法薬物を受け取ったマニは、警察の検問も無事にクリアーして、鑑定人のところまで送ってもらう。鑑定人は約束通り10万マルクで薬物を買ってくれ、あとはその金を依頼人に持っていけばいい。依頼人とは、12時に給水塔で落ち合うことになっていた。
ところが、迎えに来るはずのローラがいつまで経っても来ない。周囲には電話ボックスもないし、タクシーも全く通らないので、マニは仕方なく地下鉄の駅まで歩き、電車に乗る。
その時、マニの乗った車両でホームレスが倒れるという騒ぎが起こり、警備員がやってくる。マニは反射的に電車を降りてしまった直後、金の入った袋を車内に置き忘れたことに気づく。慌てて引き返そうとしたが駅員に止められ、電車は発車してしまう。そして、倒れたホームレスと10万マルクは、忽然と消えてしまったのだった。
依頼人は暴力的な男で、金がなければマニの未来がないことは明らかだった。しかし、約束の12時までにはあと20分しかない。中心街の電話ボックスにいたマニは、目の前にあるスーパーを襲うことを本気で考え始める。ローラは、「なんとかお金を用意して、20分以内にそこへ持っていくから、絶対に早まらないで」と訴える。マニは、「12時までにローラが来なければ強盗に入る」と宣言する。追いつめられたローラは、思わず絶叫する。すると、室内のガラス製品が木っ端微塵に割れ、電話も切れてしまう。
映画『ラン・ローラ・ラン』のあらすじ【承】
ローラは気持ちを落ち着かせ、誰に金の工面を頼めばいいか考える。すぐに大金を用意できそうな人は、ドイツ為替銀行の重役をしている父親しかいない。父親を頼ることに決めたローラは、すごい勢いで自宅マンションを飛び出していく。
ローラが必死で走っている頃、銀行の父親は愛人とオフィスで揉めていた。電話ボックスから出たマニは、盲目の女性に借りていたテレフォンカードを返す。
ローラは銀行へ急ぐ。途中で、ベビーカーを押す女性とぶつかりそうになり、自転車に乗った若者からは「自転車を買わないか」と声をかけられる。しかしローラは走り続ける。車で通りへ出ようとしていた男性は、目の前を走り抜けていったローラに気を取られ、衝突事故を起こす。ぶつかった車からは、タチの悪そうな男たちが出てくる。ローラは全く気づいていなかったが、金を持ち逃げしたホームレスともすれ違っていた。
銀行に駆け込んできたローラを見て、顔見知りの警備員は彼女に声をかけ、オフィス内への入れてくれる。オフィスでは、父親が愛人から妊娠を告げられていた。そこへローラが飛び込んでくる。父親は驚いて娘をたしなめ、愛人は気まずそうにオフィスから出ていく。
ローラは、「10万マルク用意できないと彼氏が死んでしまう」と訴える。しかし、父親はまともに話を聞いてくれない。パニックになったローラが絶叫すると、オフィス内の鏡が粉々に割れてしまう。父親は完全にキレてしまい、家族を捨てて別の女性と結婚すると言い出す。さらに、実はローラとは血が繋がっていないことまで告白する。ローラはボロボロの状態で、銀行から追い出される。
彼女は再び走り始める。とにかくマニと会って、彼が強盗に入るのを阻止しなければならない。しかしローラは12時に間に合わず、マニは銃を持ってスーパーへ押し入ってしまう。あとから駆けつけたローラは、もうどうしようもないと悟り、強盗を手助けする。2人は協力してレジから金を奪い、逃亡を図る。しかしすでに周辺道路は警察に封鎖されており、逃げ場を失ったマニは、金の入った袋を投げる。それに驚いた警官が発砲し、その銃弾がローラの腹部を撃ち抜く。薄れゆく意識の中、ローラはマニとベッドで交わした会話を思い出していた。「マニと別れたくない!」と強く思った瞬間、ローラの意識が途切れる。
映画『ラン・ローラ・ラン』のあらすじ【転】
時間がリセットされ、ローラが自宅マンションを飛び出していくところから物語が再スタートする。走っている途中で出会った人々は同じだが、ほんの少しローラの動きに変化が見られ、その先の展開も変わっていく。
銀行では、先ほどと同じように、父親が愛人から妊娠を告げられていた。しかし、子供の父親は別の男性だと打ち明けられ、2人は口論となる。そこへローラが飛び込んでくる。今回は愛人がオフィスから出ようとせず、ローラの訴えに口を挟んでくる。腹を立てたローラは、愛人に向かって暴言を吐く。そのことで父親から殴られ、ローラは泣きながらオフィスを出ていく。
ローラはそのまま帰るつもりだったが、警備員に声をかけられ、考えを変える。彼女は警備員の銃を奪い、父親を人質にして、銀行に10万マルクを要求する。銀行から10万マルクを受け取ったローラは、銃を捨てて銀行の外へ出る。ところが、すでに銀行は警察に包囲されていた。ローラは逮捕を覚悟するが、警察は彼女が犯人だとは思わず、彼女を逃がしてしまう。
ピンチを切り抜けたローラは、再び走り出す。残り時間はあと3分だ。ローラは途中で出会った救急車に乗せて欲しいと頼むが、あっさり断られる。走り去った救急車は、職人たちが運んでいた巨大なガラス板に激突するという事故を起こす。
ローラは、強盗に入る直前のマニを大声で呼び止め、金が用意できたことを告げる。マニは安堵し、通りを渡ってローラのもとへ行こうとする。そこへ、先ほどの救急車が猛スピードで走ってきて、マニを跳ね飛ばしてしまう。薄れゆく意識の中、マニはローラとベッドで交わした会話を思い出していた。「死んだら俺はローラに忘れ去られるのか?」と思った瞬間、マニの意識が途切れる。
映画『ラン・ローラ・ラン』の結末・ラスト(ネタバレ)
再び時間がリセットされ、物語はまたローラが自宅マンションを飛び出していくところから始まる。今回のローラは、障害物をうまく避け、今までよりスムーズに走る。自転車の男もローラに声をかけず、露店で飲んでいたホームレスに自転車を売る。
ローラの出現で衝突事故を起こしていた男は、マイヤーという父親の知人で、ローラのこともよく知っていた。ローラの動きが変わったので、マイヤーは事故をまぬがれ、目的地の銀行へ到着する。そしてローラの父親は、マイヤーの車でどこかへ行ってしまう。
ローラが銀行に到着した時には、すでに父親の乗った車は走り出していた。彼女は必死で父親を呼ぶが、気づいてもらえない。
一方、電話ボックスから出たマニは、盲目の女性に呼び止められ、しばらくそこに止まる。すると、目の前を自転車に乗ったあのホームレスが通り過ぎていくではないか。マニは猛ダッシュでホームレスを追い始める。ホームレスもマニに気づき、必死で逃げる。マイヤーは、飛び出してきたマニを避けようとして衝突事故を起こし、ローラの父親とともに、車内で意識を失う。
ローラは、「助けて」と祈りながら走り続けていた。途中、トラックに轢かれそうになって立ち止まり、目の前のカジノに気づく。ローラは、有り金を叩いて100マルクのチップを買い、生まれて初めてルーレットに挑戦する。それが見事に的中し、100マルクが3500マルクになる。そして、彼女は再び全額を賭ける。ルーレットが回り出すと、ローラはこの世のものとは思えない奇声を発し、念力を送る。カジノ内にあったガラス製品が次々と割れ、人々は不快な音に耐えきれず耳を塞ぐ。そしてルーレットは、ローラが賭けた黒の20でピタリと止まる。ローラはすぐにチップを換金し、マニのもとへ走り出す。
ホームレスを追いつめたマニは、彼に銃を向け、金を返すよう迫る。これにはホームレスも降参し、マニに金を返して代わりに銃をもらう。
今回のローラは自分から救急車に乗り込む。救急車は、心臓マッサージを受けている瀕死の男性を乗せていた。ローラは、苦しそうな男性の手を握り、彼を励ます。すると男性の心拍数は安定し、危険な状態を脱する。ローラはマニとの待ち合わせ場所で、救急車から降ろしてもらう。しかし、そこにマニはいなかった。
マニは依頼人に金を渡し、ローラのもとへやってくる。「もうオッケーだ」とキスされ、ローラは呆然としたまま彼についていく。ついに2人はこの難しいミッションをやり遂げたのだ。しかもローラは、思いがけない大金まで手にしていた。「その袋は何?」とマニに聞かれ、ローラはニヤリと笑う。
みんなの感想・レビュー
①冒頭のシーンが巧妙
冒頭シーンが非常にリズミカルでテンポが良い。最初はアニメや人間が行きかう特徴的なシーンから始まる。哲学じみたセリフがナレーションされて、この映画でどんなことが起きるのだろうか、という好奇心を沸き立たせてくれる。
そのあと登場したローラとマニの置かれている状況を理解するまで(ローラが走り出すまで)そんなに長い時間はかからない。ロニーがどんな人でローラがマニを助けなければならない状況を説明じみた雰囲気を微塵も出さずに映像で表現していたのが印象的だった。
②脇役の演出が面白い
ロニーはじめ、ローラが途中ですれ違う人間たちは、セリフがないキャストもいる。しかし、その人間たちがその後どんな人生を送るかが端的なカットでつながれており、短時間で脇役達がどんな人間なのか理解できる。正直言えば脇役は居なくてもストーリーには影響してこないのだが、3回状況が繰り返されるストーリーのため、脇役のカットに変化がみられる部分を楽しむのもこの映画の醍醐味と感じた。
③ストーリーはもう一歩
ストーリーが3パターンの構成となっている。バッドエンドで終わったところをタイムリープする話なのだが、とりわけタイムリープといったむつかしい内容にはあまり重きを置いていないシンプルな映画だ。ローラ自身も同じ状況を繰り返しているが記憶を引き継いではいない。
演出や編集は面白いのだが、タイムリープという設定の醍醐味であるうまくいかないもどかしさや救いたくても救えない葛藤といったものはあまり感じられない映画だ。最後はハッピーエンドで終わるし、いい意味で気楽に見られる映画である。
アニメがあったり、編集がコラージュのように遊び心満載でテンポもよく見ていて非常に楽しい映画だった。
唯一勿体ないところと言えば、ローラとマニの恋愛関係がもっと密に描かれていたらいいのにと思ってしまう部分。私だったら冒頭でマニが地下鉄に10万マルク入った袋を忘れたことをローラがバイクで迎えに来ないことが全ての元凶みたいに言われたら、あまり共感できない。マニがちゃんと袋を肌身離さず持っていなかったからでしょう。と言いたくなってしまう…。
3パターンの合間にローラとマニが添い寝しながら話をするシーンがあったが両者を見比べたときに、マニのローラへ独占欲の強さからマニの愛情はなかなか強いなと感じた。しかし一方でローラの愛情は薄めでは…?と感じてしまった。ローラがなぜマニのためにここまで走るのかもっと理由が欲しいと思った。