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映画『マイ・プライベート・アイダホ』あらすじネタバレ結末と感想

映画『マイ・プライベート・アイダホ』の概要:ポートランドのストリートで男娼をしながら退廃的な日々を送る若者たちの苦悩や葛藤を描いた青春映画。ガス・ヴァン・サント監督作品。リヴァー・フェニックスがゲイの主人公を好演している。1991年公開のアメリカ映画。

映画『マイ・プライベート・アイダホ』 作品情報

マイ・プライベート・アイダホ

  • 製作年:1991年
  • 上映時間:105分
  • ジャンル:青春、ヒューマンドラマ、ラブストーリー
  • 監督:ガス・ヴァン・サント
  • キャスト:リヴァー・フェニックス、キアヌ・リーヴス、ジェームズ・ルッソ、ウィリアム・リチャート etc

映画『マイ・プライベート・アイダホ』 評価

  • 点数:75点/100点
  • オススメ度:★★★☆☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★★
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★☆☆☆
  • 設定:★★☆☆☆

[miho21]

映画『マイ・プライベート・アイダホ』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『マイ・プライベート・アイダホ』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『マイ・プライベート・アイダホ』 あらすじ【起・承】

アイダホ州で生まれたマイク(リヴァー・フェニックス)は幼い頃に親から捨てられ、現在はポートランドで男娼をして日銭を稼いでいる。マイクには発作的に深い眠りに襲われるナルコレプシーの持病があり、ストレスを感じると所構わず眠り込んでしまう。

親友のスコット(キアヌ・リーブス)は父親が市長をしている裕福な家庭の息子だったが、親に反抗して家を出て、マイクたちと男娼をしていた。スコットをこの道に引き込んだのはボブというホームレスで、ボブはストリートで暮らす若者たちに慕われていた。

留守をしていたボブがポートランドに戻り、仲間たちは喜んで集まる。しかしスコットはこの暮らしに見切りをつけようと考えており、以前のようにボブに従おうとはしなかった。マイクもそんなスコットと行動を共にする。

マイクはずっと母親に会いたいと思っており、マイクとスコットはアイダホに暮らすマイクの兄を訪ねることにする。盗品のバイクが途中で動かなくなり、2人は野宿をする。そこでマイクはスコットへの恋心を告白するが、スコットは親友以上の気持ちでマイクを見てはくれなかった。

マイクは兄と会い胸に秘めてきた真実を口にする。それは自分の父親が兄だということだった。兄は母親とマイクを会わせたくないと考えていたが、マイクの話を聞いて母親の居場所がわかる絵葉書を見せてくれる。

マイクとスコットは母親が働いているというホテルに向かう。しかし母親は1年前にここを辞め、イタリアのローマへ行ったことがわかる。たまたまホテルで会ったゲイのハンスから金をせしめ、2人はローマへ向かう。

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映画『マイ・プライベート・アイダホ』 結末・ラスト(ネタバレ)

教えられた住所はローマの片田舎にある農場だった。しかし母親はすでにアメリカへ帰っており、マイクを失望させる。さらにスコットが農場で出会ったカルミラという女の子と恋に落ちてしまい、カルミラと2人でアメリカへ帰ってしまう。

残されたマイクはしばらくローマで男娼をするが、言葉のわからないストレスと孤独で発作がひどくなり、結局ポートランドに帰ってくる。以前と同じ男娼をしながらのストリート生活の中で、マイクはスコットのいない寂しさと退廃的な日々に疲れ果てていく。スコットは完全に別世界の人間になっていた。

高級スーツに身を包んだスコットを見かけたボブは、スコットが入った店へ入っていく。スコットは声をかけてきたボブに“知らない男だ、出て行ってくれ”と言い放ち、ボブは店から追い出される。その晩、ボブはショックのあまり死んでしまう。

ちょうどスコットの父親も死んでおり、墓地では立派な葬儀が行われていた。マイクと仲間たちはそのすぐそばでボブの弔いを始め、大騒ぎをする。その様子をじっと見つめるスコットとマイクの目が合うが、2人が言葉をかわすことはなかった。

マイクは1人でアイダホへ行き、道路の真ん中で発作を起こして眠り込む。眠り込んだままのマイクを誰かが車に乗せ、長い一本道を走り去っていく。

映画『マイ・プライベート・アイダホ』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『マイ・プライベート・アイダホ』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

マイク

主人公のマイクは主にゲイの男性に体を売って生活をしている。マイク自身もゲイであり、親友のスコットに恋心を抱いている。家はなく、手に入ればドラッグもするし盗みもする。ストレスを感じると突然眠り込んでしまう持病があるので、道路の真ん中でも寝てしまう。

さらにマイクの父親は実の兄だ。しかし時々挟まれる回想シーンを見る限り、母親と近親相姦の関係になった当時の兄は15歳前後に見えるのだが…。とにかくマイクは出生の時からすでに大きな枷を背負っており、まともな環境で生きたことがない。

つまり“普通”という固定観念を捨てないと、この作品とは向き合えない。まずはそのままのマイクを受け入れる気持ちが大切だ。

スコット

そんなマイクの親友スコット。スコットは市長の息子で大金持ちであり、ルックスもいい。マイクはスコットを本気で愛しており、恋人同士になりたいと思っている。野宿をした夜、スコットに告白するマイクは切ない。マイクがどんな気持ちでスコットと過ごしてきたのか…それを考えると、胸が痛む。

しかしスコットは完全にマイクを見捨てる。スコットが態度を急変させ、かつての仲間を相手にしなくなるという展開は非情だが現実的だ。スコットとマイクは違う。道で寝るのも男娼をするのもスコットにとっては青春時代の遊びだ。スコットには“やめられる”という選択肢がある。“ここで生きるしかない”マイクとは決定的に違う。

スコットは確かにひどい裏切り者に見える。しかし平凡な家庭を持ち、まともな社会人をしている人が、未だに道で寝ているかつての仲間に声をかけるだろうか。多くの人は関わりを避けるだろう。そう考えるとスコットは“普通の大人”になったに過ぎない。

残酷な青春映画

青春というのが美化されがちなのは終わりがあるからだ。“みんなでムチャをしたあの頃が懐かしい”と思える人は、きちんと次のステップへ進んでいるからそう思える。

しかしマイクの人生に次のステップは存在するのだろうか。彼はいつ、どうやってあのストリート生活から抜け出すのだろう。抜け出せない限り、マイクの時は止まっているようなものだ。マイクの絶望的で残酷な青春に終わりは見えない。あの仲間たちも然り。

本作は世界中から見捨てられたような若者たちを描いた残酷な青春映画だ。そんな彼らを刹那的で美しいと感じる人もいるかもしれないが、自分にはそうは思えなかった。彼らがかわいそうでしょうがない。あまりにも希望がなさすぎる。


やっぱり生まれながらの境遇は簡単には変わらないし変えられないのかと、映画を観てもどかしく感じた。マイクが全然報われなくて、スコットは順調に人生を築いていくという、二人の真逆の関係性がなんとも切なくなった。

描かれているアメリカの広大な風景が美しくて、二人の切なさと重なって余計に痛かった。同性愛的な要素もあり、幅広いジャンルとして楽しめる映画でもある。リバー・フェニックスの消え入るような演技は忘れられない。(女性 20代)

映画『マイ・プライベート・アイダホ』 まとめ

設定が強烈なだけで話は別に面白くない。特に前半は“これは単に美青年を愛でる映画なのでは?”と疑いたくなるほど退屈だ。

ただ、リヴァー・フェニックスの繊細で壊れそうな役作りは素晴らしく、後半になってその本領がどんどん発揮され始める。そうして見終わってみると、いろんな余韻が残っており、マイクについて考えてしまう。同性愛や近親相姦よりも、マイクには何もないというのがきつかった。頼れる人も教養もお金もなく、あるのは端正なルックスぐらい。しかしそれも若い時だけの武器だ。どうしてもマイクの人生が23歳で急逝したリヴァー・フェニックスの人生と被ってしまうので、余計に痛ましい。どんよりと重たい気持ちになる。

あえてオススメしようとは思わないが、本作のリヴァー・フェニックスは一見の価値あり。

みんなの感想・レビュー

  1. 影山 美穂 より:

    オススメ映画のご紹介ありがとうございます^^
    是非見させていただければと思います。
    他の記事への感想コメントも是非是非お待ちしています!

  2. Sad mom より:

    失礼いたしました。さっきの感想だと何だかいやらしい映画のように思われますね。やはり、マルコとベニグノの短くも深い友情、そしてバレエが、好きな方にも観てもらえれば嬉しい作品かな…?

  3. Sad mom より:

    お返事ありがとうございます。スペイン映画もリーガエスパニョーラファンなので、ハビエルバルデムやペネロペクロスの出演しているハリウッド映画好きですが、一番好きなのは、Habla con Ella (talk to her)です。ストーリーはなんかストーカーの行く末みたいで、悲しすぎるのですが、いたる所に脳をくすぐるようなベニグノの指使いがあり、女性はうっとりしてしまいますよね。女の方には是非観てほしいですね〜。

  4. 影山 美穂 より:

    Sad mon様

    コメントいただきありがとうございます。
    当サイトの趣旨でございますが、運営者情報に書いておりますので、そちらをご覧いただければと思います。
    チェックすべき映画についてですが、オススメの映画などはランキングにまとめてあります。
    ご存知の作品が多いと思いますが、新たに観たい映画が見つかると幸いでございます。

    コメント大変嬉しかったです。
    これからも映画の感想などをコメントとして投稿していただけると嬉しく思います。

  5. Sad mom より:

    今影山さんの見て来た映画の数々に驚いてしまったので、謝罪と尊敬を込めて書かしていただいています。私はその3分の1程度見てるかどうか… 知りたいのはどういう意図で感想、ネタバレをshowingしているのですか?お仕事なんでしょうか?世間に疎いので陳腐な質問すみませんです。何かこれは絶対チェックすべきという映画はありますか?ここに載せる意見ではないのですが、直接的に繋がりを持つ方法も理由もないから、申し訳ないです。

  6. sad mom より:

    これは、ガスヴァンサントの父子物語だと思います。昔はスコットが最後に助けに来てくれたのなら、どんなにマイクは救われただろうと、祈らずにいられなかった。この歳にしてようやくわかったのは、マイクを親の心で包み、必ずどんな時も迎えに来てくれる父が居る事。スコットは失くしてしまった。ただマイクだけの哀しみを伝えたかった映画ではないという事。

  7. sad mom より:

    取り上げて下さってありがとうございます!アイダホの話ではないのですが、I love you to deathを観ましたか?River and Keanuの 親友ぶりと、彼らのコメディ才能も楽しめて、とても好きな映画です。

  8. Sad mom より:

    何十回も見ました。もう還暦前の私はその頃をリアルタイムで寂しい人間のサガを感じた次第です。BGMが少しブロークバックマウンテンと、似ている部分があるのと、焚き火シーンが何ともいえないアトモスフィアを、醸し出していますね。時代も背景も異なりますが、本当の意味で愛を見つけることは難しい。異性であろうと、同性であろうと。