映画『就職戦線異状なし』の概要:「デスノート」シリーズで今なお活躍中の金子修介による青春映画。バブル時代の若者の就職活動をコミカルに描いています。主演は織田裕二、原作は杉元伶一の同名デビュー作です。
映画『就職戦線異状なし』 作品情報
- 製作年:1991年
- 上映時間:103分
- ジャンル:コメディ、ラブストーリー、青春
- 監督:金子修介
- キャスト:織田裕二、仙道敦子、的場浩司、和久井映見 etc
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映画『就職戦線異状なし』 評価
- 点数:50点/100点
- オススメ度:★★☆☆☆
- ストーリー:★★☆☆☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★☆☆☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★☆☆☆
[miho21]
映画『就職戦線異状なし』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『就職戦線異状なし』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『就職戦線異状なし』 あらすじ【起・承】
タクシーもろくに止まらないバブル後半、超売り手市場と言われた1990年の就職活動戦線において、学生たちは企業からの過剰ともいえる接待を受けていました。海外旅行や高価なプレゼント、高級料理など、バブル経済下の新卒は、まさに王様ともいえる立場でした。
とくに名門・早稲田ともなれば、学生たちは日々派手な装いで人生の春を謳歌しています。
そんな中、就職活動にさして興味のない大原は、ひょんなことからマスコミ業界を志望することになります。人気業界のマスコミは、売り手市場と言われる中でも唯一、高い倍率を誇るため、学生たちは皆真剣でした。
マスコミ業界を志望する学生たちを馬に見立て、「就職杯」なるレースまで開かれる始末。大原は大穴として、トリッキーな働きが期待されていました。
スーツの種類、挨拶の角度、セミナーと呼ばれる青田買い目的の一次試験など、水面下の常識に翻弄される大原は、しかし持ち前の負けん気の強さで果敢な挑戦を繰り返します。同級生の立川もまたマスコミ志望であり、切磋琢磨する仲。同じく同級生で、大原に密かに思いを寄せる鞠子は小説家志望で、大原を主人公に小説を書くため、そんな就職活動の日記を書くよう依頼します。
親のコネで大手代理店に内定をもらった北町の奢りで、ある夜、同級生たちは高級クラブに繰り出します。しかし、ひょんなことから店の客と揉め、大原はある男を殴りつけてしまいます。
翌日、大原は面接に向かった会社でその男と再会してしまいます。なんと大手「エフテレビ」の人事担当者だったのです。
映画『就職戦線異状なし』 結末・ラスト(ネタバレ)
怯える大原でしたが、男は昨晩のことを覚えていない様子。しかも大原を気に入り、一次試験を通してくれたのでした。
一方、人事部で「男の青田買い」をもくろむOL秋山は、大原に目をつけ、就職活動のアドバイスと称して大原とデートを繰り返すようになります。年上でおしゃれで物知りな彼女に夢中になる大原でしたが、秋山は本当に良い男か見極めるため、なかなか部屋にあげてくれません。
そんな中、順調に後半の面接まで勝ち進む大原でしたが、ある日、これがあの日殴った人事担当者の策略であったと発覚してしまいます。その策略に、傷心の大原は逃げ出してしまいます。
恋に就活に忙しい大原でしたが、一方の立川は、連敗続きでついには中小企業の内定を受けてしまいます。立川を鼓舞する仲間たちでしたが、彼の意志は固く、ついには「囲い込み」と呼ばれる旅行に同行してしまいます。これは当時横行した、他企業の面接へ行けないようにするための企業側の作戦のうちのひとつでした。傷心の大原はこの旅行に同行してしまいます。中小企業は、「マスコミの最終面接に残る優秀な」大原をもろ手で歓迎します。
それを知った鞠子は、大原を迎えに旅先まで車を飛ばします。「逃げないで」。そう言う彼女の言葉で奮い立った大原は一路、最終面接の現場へ急ぐのでした。
ついにエフテレビの内定を得た大原でしたが、面接中、自分が本当にやりたいことはマスコミなのかと迷ってしまいます。そして迷った挙句、内定を辞退し、別起床への就職を決めてしまいます。怒った秋山は大原に別れを告げます。
そんな大原を、鞠子は待っていてくれたのでした。
出版社への就職を決めた鞠子は、同時に、大原の書き溜めた日記から「就職戦線異状なし」という小説を書き上げ出版します。社会人になった二人は、売れるはずだと笑い合うのでした。
映画『就職戦線異状なし』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『就職戦線異状なし』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
バブル!バブル!バブル!
まったくバブル世代ではないので、もはや都市伝説だと思っていた事実がたくさん登場する青春映画です。たとえば、タクシーが全然止まらない、だとか、起業からの贈り物や接待、だとか、逆三角形のジャケット・スタイル、だとか。
これらが、ファンタジーとして面白いのですが、おそらく世代の人にとっては懐かしいのだろうなあと思います。きらびやかな照明のディスコ・クラブや、大学生とは思えない派手な身なりに、ソバージュ・ヘアや太眉に濃い色の口紅など、映像としても面白かったです。
こんな時代、本当にあったんですね。
テレビ映画
とは言っても製作はテレビ会社、まったくのテレビ映画です。当時流行った、誰もがうらやむ経歴の持ち主の美男美女の大学生たちの青春映画であり、トレンディ・ドラマの域を出ない浅くて寒いストーリー展開に、リアリティなんてまるで無視した設定、過剰なBGMが鼻につきます。
すべての大学生が早稲田生なわけではないですから、気になるのはバブル時代の、偏差値の低い大学生の行く末。
現代の就職活動
現代の就職活動と言えばカラスの群れ、右へならえで同じ「リクルートスーツ」に身を包み、黒髪で、優等生の経歴を自己PR書に書き込むのが鉄則です。上向いてきたとはいえ、いまだ就職氷河期と呼ばれる時代から抜け出せません。個性は、社員として適格な範囲のみでしか許されません。
そんな時代と、見比べてみると凄まじい変化が見て取れ、それはそれで面白かったです。
派手なスーツに身を包んだ彼らは、現代のリクルートスーツのような黒いスーツを「喪服」と揶揄します。
社員たちも、派手なメイクでアフターファイブを楽しむ狂瀾の時代。
バブルと現代、一体どちらが異常なのでしょうか?
今の時代には全く合わない作品ですが、バブルの頃はこんなことが起きていたのかもしれないと夢物語のような気持ちで見ると、とても興味深くて面白い作品でした。
そもそも、今の時代の若者は彼らのように「仕事」に対する熱意や情熱が高くないというか、持ち合わせていない人が多いように感じます。就職出来なければフリーターでいいや、と考えている人も少なくないでしょう。
だからこそ、この作品の世界観やストーリーがファンタジーな「夢物語」に見えてしまうのだと感じました。(女性 30代)
映画『就職戦線異状なし』 まとめ
織田裕二、的場浩司、和久井映見、坂上忍と、現代でもおなじみの顔ぶれが並ぶ画面は、テレビドラマを見ているようで安心感がありました。しかし、物語は書き起こしてみるとさらに、中身がありません。
これは持論なのですが、景気の良い時代の映画は大抵つまらないんです。邦画で見てみれば、たとえばクロサワが活躍したのは戦後の大変な時代です。バブル崩壊後、宮崎駿という大天才は頭角を現しました。
そして現代、特に今年、邦画はとにかく面白い。時代がきな臭くなってきた何よりの証拠かもしれません。
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