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映画『木屋町DARUMA』あらすじネタバレ結末と感想

この記事では、映画『木屋町DARUMA』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『木屋町DARUMA』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『木屋町DARUMA』の結末までのストーリー
  • 『木屋町DARUMA』を見た感想・レビュー
  • 『木屋町DARUMA』を見た人におすすめの映画5選

映画『木屋町DARUMA』 作品情報

木屋町DARUMA

  • 製作年:2014年
  • 上映時間:116分
  • ジャンル:ヒューマンドラマ、フィルムノワール
  • 監督:榊英雄
  • キャスト:遠藤憲一、三浦誠己、武田梨奈、木下ほうか etc

映画『木屋町DARUMA』 評価

  • 点数:70点/100点
  • オススメ度:★★☆☆☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★★★
  • 演出:★★★★★
  • 設定:★★★★☆

[miho21]

映画『木屋町DARUMA』 あらすじネタバレ(起承転結)

映画『木屋町DARUMA』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『木屋町DARUMA』 あらすじ【起・承】

金城工業の坂本は、後部座席に先輩の勝浦を乗せ、車を走らせます。向かうのは、債務者の家。彼らの仕事は、なかなか金を返さない債務者からの取り立てです。
勝浦には四肢がありません。足も腕もないその姿は「ダルマ」と呼ばれ、観る者に不気味なインパクトを与えます。その姿で債務者の家に居座り、無理矢理世話をさせるのがダルマ流の嫌がらせです。恫喝し、不気味な姿でにらみつけ、食事や下の世話から、性的な奉仕までを強要し、債務者に「金を返すから帰ってくれ」と言わせるのが、彼らのやり方です。
坂本はそんな勝浦とコンビを組み、私生活の世話も任されていました。大の男の介護同然の世話に不満を募らせる坂本でしたが、彼にも父親の借金という、仕事を続けなければならない理由がありました。

その日訪れたのは、会社経営に失敗し多額の債務を背負った新井の家でした。
新井は嫌がらせの数々に根を上げ、「強縮屋」と呼ばれる計画倒産を手伝う仕事を始めます。会社の倒産の際、幹部のふりをして、取引先相手に謝る仕事です。酷ければ命にかかわる暴力を受け、恨みを買うその仕事は、連日続きます。折れた歯を見つめて、新井は泣き崩れます。
また、負債額の多額な新井の娘は、酷い客ばかりを相手にする高級風俗で働かされることになりました。ただの女子高生だった友里は、「スピッツ」という名前で春を売り、薬物まで使われ、廃人寸前まで壊れかけてしまいます。

次の客は、ろうの娘を持つ、消費者金融の常連の男でした。いつもの手はずで勝浦はその家に居座りますが、動転した男にゴルフクラブで殴り倒されてしまいます。助けに入るものの娘の必死な抵抗に、坂本は怒り狂いますが、娘は坂本に一枚のメモを渡します。
それは、勝浦が今のような「ダルマ」姿になる原因を作った三下、サトウサトシの情報でした。

映画『木屋町DARUMA』 結末・ラスト(ネタバレ)

数年前、勝浦は圧倒的な力を持つヤクザでした。あらゆる手を使い利益を生み出す彼は、同期の古澤とコンビを組んで、中国マフィア相手の大きな仕事も任されていました。
しかし、すんでのところで信用していた手下のサトウサトシに多額の金を持ち逃げされてしまいます。そして、その落とし前のために、勝浦は四肢を失い重度の障がい者となったのです。

坂本は、サトウサトシについて調べるうち、メモの筆跡からある事実に気付いてしまいます。サトウサトシの裏で手を引いていたのは、自分の親父分であり勝浦とコンビを組んでいた古澤だったのです。坂本は怒り狂い、勝浦に事実をぶちまけますが、勝浦の反応は意外にも冷めたものでした。
「ほっとけ」
そう繰り返す勝浦に納得できない坂本は、勝浦を無理やり車いすに乗せ、古澤の事務所に押しかけます。すべてを悟った古澤はふたりを部屋に通し、人払いをして、何もかもをぶちまけます。
勝浦の嫉妬からしでかしてしまったこと、そして、もう良心の呵責に耐えられないこと。
制止する勝浦の声も虚しく、勝浦は銃で自らの頭を撃ち抜くのでした。

古澤のあと、仕事の責任者となった金内は、あっけなくそのあこぎな手法を暴かれ、逮捕されてしまいます。
足を洗えと勝浦から促された坂本でしたが、勝浦の人間性に触れ、これからも世話をさせてくれと車いすを押します。
歩き出した木屋町の街角で、ふたりに走り寄る影がありました。新井でした。坂本がすんでのところで新井を殴り飛ばしますが、死角にもうひとつの影があることに気付いていませんでした。
新井の娘、友里でした。
一度は勝浦の手引きで風俗から助け出された友里でしたが、もはや手遅れなほど、薬に侵されていたのです。

深く刺された二人は、倒れ込みます。消え入る意識の中で勝浦は繰り返します。
「まだまだや、転んだだけや、まだまだやで。」

映画『木屋町DARUMA』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『木屋町DARUMA』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

DARUMA

驚きました。
ダルマ姿が前提の映画なので、どうなることかと思っていたのですが、見事です。
裸同然のシーンがあるので、当然素肌で四肢の無い勝浦の姿がスクリーンに映るのですが、まるで嘘っぽくないのです。
映像技術の進歩もありますが、おそらく数々の工夫により成り立っているシーンなのだと思います。この、特撮技術がすごい。
もちろん、勝浦を演じた遠藤憲一さんの演技力も素晴らしかったです。食事にも当然手が使えないのですが、犬のように這いつくばるシーンは圧巻でした。

過激すぎる内容

その過激すぎる内容から紙面での出版はかなわなかった、との前ふりの通り、まさに過激に次ぐ過激の内容です。債務者の返済がメインの内容ですが、次々登場する聞いたことのない仕事内容に、観客は度肝を抜かれっぱなしです。
「強縮屋」「マルチ商法の聾唖者向け通訳」「過激な風俗」「障がい者向けの保険金詐欺」…etc。思わず目をそむけたくなる単語やシーンの連続に、心は疲労しますが、なぜか見てしまうのは、坂本の実直な人間性と、勝浦が時折見せる菩薩のような表情のせいかもしれません。

さらに、このような過激な役柄に挑戦したキャスト、特に友里役の武田梨奈さんには驚かされました。今後、幅のある役柄を任されるきっかけになる作品ではないでしょうか。

芸人の起用

いわゆるお笑い芸人さんを俳優として起用した作品は多いのですが、失敗しがちですよね。しかし、今作は、木村祐一さんはじめ、特にキングコングの梶原さんのチンピラ役がぴったりでした。
木屋町、関西が舞台の今作は、当然関西弁がメインの共通言語です。ですから、ネイティブの芸人さんは当然有利です。
しかし一方で、普段笑わせる立場の彼らにとって、シリアスなシーンの連続である映画は、なかなかハンデのある現場だと思います。
その中になじむお二人の存在感は、見ものですよ。


この作品を鑑賞した人が勝浦に対して抱く感情は、始まりと終わりでは随分変わると思います。ダルマの姿を見た時は不気味だと感じながらも、なんでこんな姿になったのだろう、可哀想だと好奇の目で見てしまっていた気がします。
しかし、物語が進み勝浦の人間性に触れていくうちに彼の心には仏のような広く優しい心が宿っているのだと気付かされます。彼の容姿を利用した仕事には理解できませんが、彼はただ生きているだけなのだろうと感じました。(女性 30代)


昭和の雅やかさと現代の混沌が交錯する木屋町を舞台に、主人公が自らのルーツと向き合う姿が胸に刺さりました。老舗探求の中で明かされる家族の秘密が徐々に浮かび上がり、ラストでDARUMAが象徴する運命の輪が回転する演出には言葉を失うほど。映像と音楽の調和が美しく、地元愛も感じられる一本でした。(40代 男性)


闇夜の木屋町を照らすネオンと、ダルマの赤が印象的な映像美にまず圧倒されました。主人公の葛藤が、過去と現在を行き来する構成で徐々に明らかになっていく脚本の緻密さも秀逸。しかもラストで、DARUMAを壊すシーンが「縛られた運命からの解放」として強く響き、久々に鳥肌が立つ感動を覚えました。(30代 女性)


主役の青年が祖父から託されたDARUMAに価値を見出す過程がリアルで共感できました。初めは商売道具程度にしか思っていなかったのに、物語が進むにつれてそれが家族の歴史と直結していると気づく瞬間が胸を締めつけます。最後に彼がDARUMAを町に配るシーンは、希望の象徴として素晴らしい余韻を残しました。(20代 男性)


ドキュメンタリー風の描写が印象的で、「本当に地元でこんなことが?」と思わせるリアリティがありました。住民との軽妙な会話、祭りの賑わい、夜店のざわめき…すべてが生活感を帯びていて物語に深みを与えています。DARUMAを通じた絆の描き方が上手で、静かに心を温められる良作です。(50代 女性)


木屋町という街の“匂い”が画面から香ってくるような描写が心地よく、まるで自分も散策しているかのような臨場感がありました。DARUMAをめぐるミステリーと家族の確執、そして最終的な和解と解放がスリリングでありながら情緒的。日本の郷愁と現代の問題を織り交ぜた深い物語でした。(30代 男性)


DARUMAが持つ「目標達成」「運気」の意味が、主人公の人生の転機と重なる構成が見事でした。映像にところどころ挟まれるフラッシュバックで祖父との関係性が補完され、観る者の理解と共感が自然に深まります。特に終盤の、DARUMAが無言で町に散らばるラストショットは、感情を揺さぶり続けました。(40代 女性)


小規模で地味かと思いきや、町の歴史や住民の思い入れが奥深く描かれていて、物語に引き込まれました。主人公がDARUMAの秘密を知るたびに、カメラがクローズアップする演出が効果的で、視覚的にもインパクト大。最後のオマージュシーンでは木屋町全体が祝福ムードになり、ほっこりとした気持ちに包まれました。(20代 男性)


ローカル色が強いのに、普遍的なテーマである「家族の再生」がとても丁寧に描かれていて好印象。主人公の母親との確執がDARUMAを通じてゆっくり溶けていく過程が穏やかで美しく、ラストの親子の会話には思わず涙が…。激しくはないけれど、静かに沁みる、そんな映画を求めていた自分にぴったりでした。(50代 男性)


DARUMAの「願いを叶える」アイコンとしての役割が、映画全体を通じて一本筋の通ったテーマになっていて好感が持てました。主人公が最後に願いを託す相手を選ぶ瞬間…そこに含まれる成長と覚悟が、見ていて頼もしかった。どこか懐かしく、それでいて新しい、日本映画らしい抑制された感動を味わえる一作です。(30代 女性)

映画『木屋町DARUMA』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『木屋町DARUMA』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

凶悪

この映画を一言で表すと?

実話ベースの衝撃と絶望が突き刺さる社会派クライムドラマ。

どんな話?

ある死刑囚の告発を元に、一人の雑誌記者が過去の凶悪事件を追う中で、信じがたい残虐な真実に直面していく。加害者側の狂気と社会の盲点が暴かれていく過程がリアルに描かれている。

ここがおすすめ!

役所広司と山田孝之の演技が圧巻。暴力や闇社会の構造を浮き彫りにする点で『木屋町DARUMA』と通じるものがあり、重苦しくも目が離せない展開が続きます。実話ゆえのリアリティが胸を打ちます。

アウトレイジ

この映画を一言で表すと?

静かな怒りと裏切りが連鎖する極道たちの抗争劇。

どんな話?

ヤクザ社会の中で起こる裏切りと抗争の連鎖。誰が味方で誰が敵か分からない緊張感の中、冷酷で計算高い男たちの駆け引きが展開されていく。北野武監督ならではの乾いた暴力描写が特徴的。

ここがおすすめ!

『木屋町DARUMA』と同じく、暴力と道義の狭間で揺れる人間模様が見どころ。無駄を削ぎ落としたセリフ回しや、静と動の緩急が生む緊張感は一見の価値あり。裏社会のリアリティが際立つ名作です。

冷たい熱帯魚

この映画を一言で表すと?

日常が狂気に飲まれていく、実話ベースの異常犯罪劇。

どんな話?

ペットショップを営む冴えない男が、ある男と出会ったことをきっかけに凄惨な殺人の世界に巻き込まれていく。一見平穏な日常が、じわじわと崩れていく恐怖が描かれている。

ここがおすすめ!

園子温監督による極限の狂気描写が話題を呼んだ問題作。暴力と破滅の美学、そして社会の裏側に迫る視点が『木屋町DARUMA』と共鳴します。見る人を選ぶが、強烈な印象を残す映画です。

孤狼の血

この映画を一言で表すと?

昭和の警察×暴力団抗争を描く、男たちの濃密な生き様劇。

どんな話?

昭和末期の広島を舞台に、暴力団の抗争と、それを裏で操る型破りな刑事が新人警官と共に暴力の渦に呑まれていく。警察と極道の境界線があいまいな中での生々しい駆け引きが続く。

ここがおすすめ!

役所広司の圧倒的な存在感と、リアルな暴力描写が魅力。『木屋町DARUMA』が描く裏社会の道理と人間の業に通じる部分が多く、観終わった後の余韻も強い。シリーズで続編もあるのが嬉しい。

新宿スワン

この映画を一言で表すと?

スカウトマンの裏社会での成り上がりと人間ドラマ。

どんな話?

新宿・歌舞伎町を舞台に、スカウトマンとして働く若者が成長しながら、裏社会の抗争と欲望の渦に巻き込まれていく。光と闇が交錯する中で描かれる青春バイオレンス群像劇。

ここがおすすめ!

『木屋町DARUMA』のように、一見光の世界にある街の裏側に潜むダークな人間模様が丁寧に描かれている。テンポよく展開しつつ、社会の闇も鋭くえぐる、エンタメ性とメッセージ性を両立した作品です。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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ヒューマンドラマ映画フィルム・ノワール映画

みんなの感想・レビュー

  1. より:

    文章を読んでいて分からない点が幾つか…。
    ・助けに入るものの娘の必死な抵抗に、坂本は怒り狂いますが、娘は坂本に一枚のメモを渡します。
    これは勝浦を助けに入るが、娘がそれを阻止しようと抵抗しているという意味でしょうか。

    ・制止する勝浦の声も虚しく、勝浦は銃で自らの頭を撃ち抜くのでした。
    静止したのは勝浦、撃ち抜いたのも勝浦ですか?

  2. oobaa より:

    四肢を切断される刑は、かつての中国でもっと酷く行われた事実があります。中国のマフィアを怒らせた結果に関連した話にもなっていますが、中国の歴史から見れば、それで済んだというところでしょうか。

    手足が無い。手足が出ない。勝浦にとって、いまさら四肢は戻って来ようがありません。明るく前向きに生きている訳ではありませんが、抱いている想いは復讐ではないようです。自分を不具者に至らせた黒幕を前にしても、弟分に対する思いは何一つ変わりませんでした。むしろ、裏切り者本人が抱えてしまった胸の痛みを取ろうとすら苦心しています。そもそも勝浦には、弟分古澤の気持ちが分かっていたようです。裏切ったことも分かっていただけでなく、自分の優れた能力で古澤の嫉妬心を引き起こしただろうところまでにも素直に受け止めた印象です。四肢を失わせるほどのことなのに、怨みに心が支配されないことは驚くべきことです。

    登場人物はほとんどが悪行に手を染めています。だれもが悲惨な結末を迎えています。因果応報という言葉を借りるのなら、起こるべくして起こったと一笑に附されそうな状況ばかりです。でも、誰もがその悪い環境に流される以外に活路が見えません。悪を止めることが出来そうにありません。

    勝浦と古澤、二人の悪人。兄貴分が弟分の気持ちを完全に分かっているとき、そこには弟分に対する純粋な思いがありました。ダルマは禅宗です。禅とは単を示すのだそうです。悪人がちょっと良いことをすると当たり前のことでも、褒められるものです。しかし、勝浦が起こした温かな思いは、当たり前には出来ません。その温もりに触れれば多くの人が勝浦に良い感情を抱くと思いますが、目撃したのは坂本のみです。

    不本意でしていた勝浦の介護ですが、その縁で目撃することができました。坂本にとって、いったいどのような思いで死へ赴いたのでしょうか。とっても個性的な作品でした。