この記事では、映画『リトル・チルドレン』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『リトル・チルドレン』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『リトル・チルドレン』 作品情報
- 製作年:2006年
- 上映時間:137分
- ジャンル:ヒューマンドラマ、ラブストーリー、サスペンス
- 監督:トッド・フィールド
- キャスト:ケイト・ウィンスレット、パトリック・ウィルソン、ジェニファー・コネリー、ジャッキー・アール・ヘイリー etc
映画『リトル・チルドレン』 評価
- 点数:75点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★☆☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『リトル・チルドレン』 あらすじネタバレ(起承転結)
映画『リトル・チルドレン』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『リトル・チルドレン』 あらすじ【起・承】
アメリカのボストン郊外のウッドワード・コートでの物語。
サラは引っ越してきたばかりだが、3歳の娘のルーシーのため近所の公園に遊ばせに通っている。
そこには噂話が好きで、子供の話をしたがるママ友グループがいる。
サラもその場に馴染むため何とか会話をするが、中々しっくりいかない。
そんな中、春の間限定で公園に通っていた親子が再び公園に戻ってきた。
親子と言っても父親と息子。
平日の昼間に子守をしている父親に、主婦達は話題が尽きない。
そんな時、ルーシーと彼の息子が同じ遊具で遊び始めた。
主婦達はサラに彼の電話番号を聞けたら5ドルあげると掛ける。
サラは子供を通し男性と会話をする。
名はブラッド、息子はアーロンと言った。
彼は司法試験の勉強のため主夫をしていて、ドキュメンタリー番組の製作をしている妻が家計を支えているという。
平日は毎日のように子供を連れて市民プールに通っている。
話が盛り上がったところでブラッド達が帰ろうとしたため、サラは衝動的に「あそこにいる主婦達はあなたの話題をしている。私が電話番号を聞けたら五ドルくれると掛けている」と話した。
ブラッドも苦笑いだったが、サラは悪ふざけを提案。
ハグをしてキスをしないかと言った。
ブラッドも提案にのりキスをした、するとそれを見ていた主婦達は嫌悪感を示しすぐに帰宅した。
サラの夫は広告代理店で働き、金にも不自由していなかった。
しかし生活のストレスから夫はアダルトサイトにはまってしまい、そのことを知ったサラは幻滅し夫との関係に溝が出来はじめる。
ブラッドもまた、試験についてのことをうるさく言う妻・キャシーに劣等感を感じていた。
家計を支えてくれる妻に変わり息子の世話をするが、どんなに世話をしても所詮母が帰ってくると母親には叶わないのだ。
そんなある夜、ブラッドが勉強をしに図書館に行った時のこと。
勉強をする気になれず若者がスケボーを楽しんでいるのをぼーっと眺めていると、通りかかった友人のラリーに声をかけられた。
ラリーに誘われ車に乗ったブラッドがつれて行かれた場所は、警官のメンバーが集うアメフトチームの練習。
この日、試験勉強をすっぽかして仲間に入ったアメフトチームが面白すぎて、週一回通うことにしたブラッドだった。
その帰り道、ラリーはある一軒の家の前で車を停めた。
そこは幼児性犯罪者として服役し、仮出所したロニーの自宅前だった。
彼は現在年老いた母親と二人暮らしである。
そんなロニーを許すことが出来ないラリーは、「子供を守る親の会」を発足し病的なほどの執念でロニーに嫌がらせをしていた。
ブラッドはその事実を知って驚きを隠せなかった。
ラリーにも心に傷がある。
警官時代、誤報の銃撃騒動に巻き込まれおもちゃの銃を持っていた少年を撃ち殺してしまったのだ。
その後任務に就けなくなったラリーは精神を病み、刑事を辞めていた。
しかし自分の転職は刑事だけだと言い、他の仕事に就く気は無くロニーを追うことが自分の任務だと思い込んでいたのだ。
サラはブラッドとのキスが忘れられない。
そこで水着を購入し、市民プールに偶然を装って通うことにする。
顔を合わせ、日焼け止めを塗ってもらうだけの関係。
そんなプラトニックな恋を楽しんでいた。
ある日、その平凡な夏の市民プールが騒然とする。
あのロニーがプールに現れ泳ぎ始めたのだ。
子供達は全員急いでプールサイドにあがり、警察がロニーを連れていくという事態が起こる。
サラもまた子供を持つ親として恐怖心を持った。

映画『リトル・チルドレン』 結末・ラスト(ネタバレ)
いつものようにプールで楽しんでいると、突然の激しいスコールに見舞われる。
慌てて帰宅したサラとブラッド親子だったが、ブラッドは自分のバギーにルーシーを乗せサラの自宅まで送って帰ることにした。
ずぶぬれの親子を家に入るように促したサラ、子供達は疲れ果てて昼寝をしている。
ブラッドは気持ちに負けて、サラを後ろから抱きしめた。
そして関係を持ってしまう。
この日以来、二人の関係は始まった。
本当の愛情を持ち始めてしまった二人は、誰も止めることが出来ないほどこの恋にのめり込んでいく。
そんな夫の異変に気がついたブラッドの妻のキャシー。
息子のアーロンがルーシーの話をよくしているため、おかしいとおもったことがきっかけだった。
キャシーはサラ家族を夕飯に招待したいと提案する。
疑われたくないブラッドは言われるがまま、サラ家族を招待した。
夕食会の日。
ふとした会話の内容がきっかけでキャシーはサラと夫の関係に確信めいたものを感じてしまう。
その後、自分の母に来てもらいどこにいくにも夫に同行してもらうことにした。
しかし夜のアメフトの試合の日、さすがに疲れた義母は遠慮すると着いてこなかった。
ふと観客席を見ると、サラが応援している姿が見える。
終わった後、サラと一緒の時を過ごしたブラッドはサラが今の関係に満足していないという本当の気持ちを聞かされた。
サラへの気持ちが真剣であるブラッドは、一緒にどこかに逃げようと提案する。
サラと駆け落ちの約束の日。
キャシーへ別れの手紙を書き、サラと待ち合わせのあの公園に急ぐブラッドだったがいつもの図書館の前でスケボーを楽しむ若者と遭遇。
「やってみないか?」と誘われる。
興味があったブラッドはスケボーで滑り降りてみることにした。
しかし次の瞬間、彼は血を出し倒れた。
救急隊が駆けつけたとき、搬送途中に近くにいた人から「落とし物だよ」と声をかけられたブラッド。
それはキャシーに書いた手紙だった。
置いてこなかったのだ。
「もう必要ない」と言い、捨ててもらう。
そして「妻に連絡してくれ」と頼んだ。
一方でサラは公園でブラッドを待っている。
するとそこにロニーが現れた。
母親は心臓病で死んでしまったのだと言う。
話を聞き哀れにおもったサラだったが、ふと目を離した隙にルーシーがいなくなっていることに気がつく。
急いで探し回るサラ。
ルーシーは公園の外で街灯にたかる虫を見ていた。
安心するサラは遅いブラッドをいらつきながら待っている。
ブラッドが来ないことを知らずに。
公園では母を亡くし嘆いているロニーに近づく人物がいた。
ラリーである。
ラリーの痛がらせでロニーの母は心臓発作を起こしたようなものだった。
ラリーはロニーに謝罪すると、ロニーが突然倒れた。
自分で去勢をしたようだった。
急いで救急搬送するラリーは、ロニーを助けることしか頭には無かった。
映画『リトル・チルドレン』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『リトル・チルドレン』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
タイトルより面白い
作品タイトルから想像するに、あまり面白そうな映画では無いとおもって鑑賞したが意外にも楽しめる作品だった。
男女の恋愛を激しく取り入れながら、どこか現実的では無い子供の妄想のようなものが描かれており無邪気にも見える不思議な作品。
結局最期は嘘のように物語は閉じてしまい、サラとは会うこと無く妻の元に戻ってしまうのだ。
しかしここでブラッドの行動に疑問が残る。
キャシーに書いた別れを思わせる置き手紙を自分でもっていたことだ。
つまり別れる気が無かったのか、それともサラとあった後ポストに投函しようとしたのか。
最期のスケボーで転んで救急搬送されるとき、妻を呼んで欲しいといったのはどういう気持ちなのだろう。
結局は最初に主婦達の前で見せた悪ふざけの延長という感じにも見える。
そんなに本気でしたわけではなく、少しだけ遊んでみたのだ。
大体本当に急いでサラの元に向かっていたのならスケボーなどするだろうか?
興味があったのは認めるが、そんなにやりたかったの!?という感じである。
それぞれの人生での孤独
この作品に出てくる登場人物は全員孤独である。
性犯罪者、少年を誤って殺害した元警官、家族とうまくいかない者達。
それぞれ事情は違えど、心の中に孤独を抱えもがいている。
その悩みはリアルに描けているし、孤独をそれぞれが上手く演じている。
人間なら誰もが感じる心の空虚感を映画にした作品だ。
その空虚感を上手く映像として残すことが出来ている。
ハートフルなポスターからは想像もつかないほどの、ドロドロとしたドラマです。ダメ人間が沢山出てきます。不倫相手のパートナーを覗き観て、勝手に傷ついて泣くシーンといった、行動の一つ一つが人間臭いので、共感できなくもなく他人事として観れません。作中でしっかりとしたママさんも登場しますが、何故か異質に感じられてしまうのも不思議です。まともな人柄なのは明らかなんですけどね。ロニー(性犯罪者)は、申し訳ないけど救えません。可哀そうとさえ思えてきます。(男性 20代)
映像のトーンも語り口も静かだけど、内容はかなり攻めている作品。不倫、育児放棄、性的逸脱などセンシティブなテーマを正面から描いていて、登場人物の誰一人として「正しさ」で裁けない。考えさせられる大人の映画です。(20代 女性)
サラとブラッド、それぞれが満たされない日常から逃れようとする姿がリアル。結局、彼らはどこにも行けなかったけれど、そこに生きていく意味があるのかもしれない。特にラスト、ブラッドが家の前で泣くシーンが印象的でした。(30代 男性)
ナレーションを多用した演出が独特で、絵本を読んでいるような雰囲気の中で、不安定な大人たちの心理が語られるという構造が面白い。リトル・チルドレン=登場人物すべて、というタイトルの意味を観終わってから実感しました。(40代 女性)
“成長しきれない大人たち”の群像劇として非常に完成度が高い映画。誰もが「子どもっぽい衝動」を抱えたまま生きていて、理性よりも感情が先に出てしまう。そんなリアルな人物像に共感できた反面、自分も気をつけねばと思いました。(50代 男性)
恋愛や家庭の“きれいごと”を一切描かない勇気ある脚本に拍手。サラの孤独や空虚感に自分も重なるところがあり、思わず感情移入してしまいました。不倫のその先が“何も変わらない日常”というのも皮肉でリアル。(20代 女性)
不倫ドラマというより、むしろ“現代社会における閉塞感と孤独”を描いた心理劇として観るべき作品。人とつながることの難しさ、それでも誰かを求めずにはいられない弱さ、すべてが詰まっていました。自分にも刺さる部分が多かったです。(30代 男性)
リトル・チルドレンというタイトルが深い。大人なのに、大人としての自覚を持てない人間たちの悲しさが淡々と描かれていて、観ていて苦しくなる瞬間も。けれど、それでも日常は続いていくという余韻が素晴らしい。静かに胸を打つ作品です。(40代 男性)
映画『リトル・チルドレン』を見た人におすすめの映画5選
アメリカン・ビューティー
この映画を一言で表すと?
理想的な郊外生活の裏にある“本当の顔”を暴く、衝撃の人間ドラマ。
どんな話?
完璧に見える家庭を持つ中年男性が、人生に行き詰まりを感じ、若い女性への欲望をきっかけに次第に崩壊していく姿を描く。郊外の平穏の裏に潜む不満や孤独、欲望がじわじわと明かされていく秀作です。
ここがおすすめ!
“普通”の生活に潜む不穏な空気や人間の弱さを丁寧に描写。『リトル・チルドレン』と同様に、見た目とは裏腹な心の奥底が暴かれていくプロセスが秀逸で、観る者に深い余韻を残します。
ブルーバレンタイン
この映画を一言で表すと?
愛し合っていたはずのふたりの“終わり”を描く、リアルなラブストーリー。
どんな話?
現在と過去を交錯させながら、愛し合った男女がどのようにして惹かれ、そして壊れていったのかを追体験していく物語。美しかったはずの関係が徐々に崩れていく過程に胸が締め付けられます。
ここがおすすめ!
ライアン・ゴズリングとミシェル・ウィリアムズの自然体な演技が感情をむき出しにし、観る人をその関係に引きずり込みます。『リトル・チルドレン』同様、理想と現実のギャップに悩む大人たちの物語が胸に響きます。
レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで
この映画を一言で表すと?
夢を追う夫婦の“失われた青春”と“現実”が交差する切ないドラマ。
どんな話?
1950年代のアメリカ郊外。理想的な家庭を築いたはずの夫婦が、次第に日常の虚しさと人生の迷いに押し潰されていく様を描く。愛と自由を求めながらも、時代と自分に押し流されていく姿が胸を打つ作品です。
ここがおすすめ!
『タイタニック』以来の再共演となったディカプリオとケイト・ウィンスレットの迫真の演技が話題。『リトル・チルドレン』が描いた“大人たちの迷い”をさらに深化させたような、痛烈な現実が突き刺さります。
ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語
この映画を一言で表すと?
自由と家族のはざまで揺れる女性たちの選択と成長の物語。
どんな話?
南北戦争時代のアメリカを舞台に、マーチ家の四姉妹が、それぞれの夢や愛に向かって歩む姿を描く。伝統や期待にとらわれながらも、自分らしい人生を模索する主人公たちの生き様が魅力です。
ここがおすすめ!
フェミニズム的要素と繊細な感情描写が共鳴し、大人の女性たちが自分自身を見つめ直すきっかけにもなる一作。『リトル・チルドレン』のように、家庭や社会の“理想像”に疑問を投げかけたい人におすすめ。
マッチポイント
この映画を一言で表すと?
運命と欲望が交錯する、美しくも背徳的な心理スリラー。
どんな話?
テニス選手から成り上がった青年が、上流階級の女性との結婚によって得た地位と、情熱的な愛との間で揺れ動く姿を描く。選択が運命を分けるというテーマが静かに、しかし確実に心に残る一作。
ここがおすすめ!
ウディ・アレン監督が描く、運命とモラルの危ういバランス。表面上の“成功”と裏側に潜む罪の意識という構図は、『リトル・チルドレン』と共鳴する部分が多く、考えさせられるテーマが印象的です。
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