映画『チェリーについて』の概要:劣悪な家庭環境から抜け出すため、サンフランシスコへ行きポルノ女優となった18歳のアンジェリーナは、多くのことに傷つきながらも自分らしい生き方を見つけていく。2012年公開のアメリカ映画。
映画『チェリーについて』の作品情報
上映時間:102分
ジャンル:青春、ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:スティーヴン・エリオット
キャスト:アシュリー・ヒンショウ、ジェームズ・フランコ、デヴ・パテル、ヘザー・グレアム etc
映画『チェリーについて』の登場人物(キャスト)
- アンジェリーナ(アシュレイ・ヒンショウ)
- 酒にだらしない母親とまだ幼い妹と3人で実の父親ではない男の家で暮らしている18歳。家出資金のためにヌードモデルをし、サンフランシスコで新しい生活を始める。そこでポルノ業界に足を踏み入れ、様々な経験を重ねて大人の女性へと成長していく。
- フランシス(ジェームズ・フランコ)
- ストリップクラブでアンジェリーナと知り合い、彼女と付き合い始める。セレブな母親の希望で画家を目指していたが挫折し、現在は弁護士をしている。コカイン中毒者。
- マーガレット(ヘザー・グラハム)
- アンジェリーナの初めてのポルノ撮影で監督を務め、彼女の魅力に惹かれていく。レズビアンでパートナーの敏腕女性弁護士と同棲中。自分の仕事にプライドを持っている。
- アンドリュー(デブ・パテル)
- アンジェリーナと似たような環境で育った幼馴染。アンジェリーナは彼を男女の垣根を超えた親友だと思っていたが、彼は彼女に恋心を抱いている。優しくてまじめな性格。
映画『チェリーについて』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『チェリーについて』のあらすじ【起】
アンジェリーナの家庭環境は最悪だった。父親はおらず、母親はアンジェリーナと妹を連れてポーという男の家に転がり込んでいた。娘たちは乱暴なポーの存在にいつも怯えながら暮らしていた。アンジェリーナは酒浸りの母親に代わって洗濯店で働きながら、献身的に妹の面倒を見ていた。
ある日、アンジェリーナは彼氏のボビーからネットの有料画像のヌードモデルをしてみないかと誘われる。アンジェリーナはお金のために脱げというボビーの言葉にショックを受ける。しかし高額なギャラ貰えば家を出られると考え直す。彼女は最近ポーに襲われるのではないかという危険を感じていた。
覚悟を決めたアンジェリーナはカメラマンの誘導で服を脱いでいく。撮影の様子を見ていたボビーは彼女にこの仕事を勧めたことを後悔するが、彼女は既にボビーを見限っていた。ギャラを手にした彼女は男友達のアンドリューを誘って家出をし、サンフランシスコへと向かう。ただ、妹をあの環境に残していくことだけは心残りだった。
映画『チェリーについて』のあらすじ【承】
アンジェリーナとアンドリューは、サンフランシスコでゲイのパコとルームシェアをして新しい生活を始める。2人は同じベッドで寝ることになるが、アンドリューを男として見ていないアンジェリーナは平気だった。アンドリューは複雑な心境だったが、彼女の望む親友でいようとじっと我慢の日々を送る。
ストリップクラブでウェイトレスのバイトを始めたアンジェリーナは、同僚からポルノ動画専門の会社を紹介される。お金を稼ぎたかったアンジェリーナは“チェリー”と名乗って、その会社の面接を受ける。ルックスのいい彼女はすぐに採用され、初めての撮影に挑む。監督はマーガレットというレズビアンの女性で、とても優しくアンジェリーナを誘導してくれる。
マーガレットはアンジェリーナのみずみずしい若さと美しさに魅了される。8年も連れ添った同棲中のパートナーはすぐにマーガレットの心変わりに気づき、2人の仲は険悪になっていく。アンジェリーナはストリップクラブで知り合った弁護士のフランシスに口説かれ、彼に夢中になっていく。しかしフランシスはコカイン中毒者だった。
アンジェリーナはポルノ女優の仕事にやりがいを感じ、次々と撮影をこなしていく。アンドリューは地道に書店で働きながら、いつも彼女の帰りを待っていた。
映画『チェリーについて』のあらすじ【転】
そんな時、母親と妹がアンジェリーナを訪ねてくる。アンジェリーナは2人を歓迎し、フランシスにも会わせようとする。しかしフランシスは仕事を理由に姿を見せない。ずっと気がかりだった妹が病気だと聞き、彼女は母親に金を渡す。しかし妹の病気は嘘で、金を手にした母親は態度を急変させ、アンジェリーナを罵ってさっさと帰ってしまう。
マーガレットはついにパートナーと別れる。今までアンジェリーナは女性同士でのポルノ動画しか撮影したことがなかったが、さらに高額なギャラをもらえる男性とのポルノにも挑戦してみようと考えていた。その話を聞いたアンドリューはさすがに彼女を止める。アンドリューの我慢も限界に達していた。
アンジェリーナはアンドリューの忠告を無視して男性相手の動画を撮影する。フランシスはアンジェリーナと付き合い始めてコカインの使用量が増えていた。ずっと理解のある心の広い男を演じてきたが、心の底では彼女の仕事を軽蔑していた。
撮影を終えたアンジェリーナを迎えに来たフランシスは、ついに“君の仕事は最低で汚らわしい”と本音をぶちまける。さらにコカインでハイになっていたフランシスは彼女を助手席に乗せたまま事故を起こし、彼女は身も心もボロボロになって1人で家へ帰る。
映画『チェリーについて』の結末・ラスト(ネタバレ)
帰宅したアンジェリーナは、アンドリューがネットで彼女のポルノ動画を見ながらオナニーをしているのを見てしまう。怒り出したアンジェリーナに対してアンドリューは“なぜ俺だけ君の裸を見ちゃいけないんだ!”と言い返す。しかし“私を愛しているの?”という問いには言葉を詰まらせる。アンジェリーナはもうアンドリューとは一緒に暮らせないと悟り、荷物をまとめて家を飛び出す。
宿無しになってしまったアンジェリーナは行きつけのバーで時間を潰す。そこへマーガレットが姿を見せ、2人は一緒に飲み始める。“今夜の行き場所がない”というアンジェリーナにマーガレットは濃厚なキスをする。アンジェリーナも彼女に身を任せ、2人はついに結ばれる。
後日。アンジェリーナとマーガレットはパートナーとなり、一緒に暮らしていた。アンジェリーナはポルノ女優を卒業してマーガレットと同じポルノ動画専門の監督になっていた。自分らしい生き方を見つけたアンジェリーナは、自信に満ちた大人の眼差しで新人女優を優しく誘導していく。
映画『チェリーについて』の感想・評価・レビュー
アンジェリーナにとっては紆余曲折ありながらも、ハッピーエンドと呼べる結末になったのだと思いますが、賛否別れそうなかなり複雑な作品でした。
ポルノ作品に出演する俳優さんに対する偏見はありません。需要のある立派な仕事だから。しかし、それが自分の家族や恋人だとなると考え方は変わってくると思います。ポルノ作品の俳優である前に自分の大切な人だから、仕事だと割りきれずにモヤモヤした気持ちが残ってしまうのは仕方の無いことでしょう。
アンジェリーナのような生き方もあるのだと考えると、人生って本当に面白いなと生きることにワクワクできる作品です。(女性 30代)
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