映画『或る夜の出来事』の概要:わがまま育ちの令嬢と曲がった事が嫌いな新聞記者が遠距離バスで出会い、恋に落ちていく。フランク・キャプラ監督の明るい演出が心地いいロマンティック・コメディ。1934年公開のアメリカ映画。同年アカデミー賞では主要5部門を独占した。
映画『或る夜の出来事』の作品情報
上映時間:105分
ジャンル:コメディ、ラブストーリー
監督:フランク・キャプラ
キャスト:クラーク・ゲイブル、クローデット・コルベール、ウォルター・コノリー、ロスコー・カーンズ etc
映画『或る夜の出来事』の登場人物(キャスト)
- ピーター・ウォーン(クラーク・ゲーブル)
- ニューヨーク・メールの新聞記者だが編集長に逆らってばかりいるのでクビにされてしまう。行動力があり、人間に裏表がない。その分きついこともズバズバ言う。
- エリー(クローデット・コルベール)
- 銀行家アンドリュースの令嬢。甘やかされて育ったためわがままで世間知らず。過保護な父親に反発してパイロットのウェストリーと勝手に結婚するが、反対されたので逃亡する。
- アンドリュース(ウォルター・コノリー)
- エリーの父。大富豪の銀行家。エリーを溺愛している。
映画『或る夜の出来事』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『或る夜の出来事』のあらすじ【起】
銀行家のアンドリュースはマイアミで一人娘のエリーを自家用ヨットに監禁していた。世間知らずのエリーはたまたま知り合った女たらしのウェストリーと勝手に結婚してしまい、アンドリュースは彼と結婚の解消を交渉中だった。しかしエリーは父親に反発して、海に飛び込んで逃げてしまう。
アンドリュースはすぐに探偵を雇ってエリーの包囲網をはる。誰もがお嬢様育ちのエリーは飛行機か列車で移動すると考えていたが、エリーはその裏をかいて遠距離バスでウェストリーのいるニューヨークへ向かう。そのバスの車内で隣の座席に座ってきたのが新聞記者のピーターだった。
最初の休憩中、エリーは泥棒にカバンを盗まれてしまう。所持金が4ドルしかないと言うエリーに、ピーターはバス会社へ連絡して保証してもらえとアドバイスする。しかしエリーはそれを頑なに拒み、自分のことは放っておいてくれと彼の親切を突っぱねる。
次の休憩地でエリーはバスに乗り遅れてしまう。ピーターはエリーが失踪中の令嬢だと気づいており、エリーを待っていてくれた。ウェストリーは最低の男だから家に帰れと言うピーターに、エリーは後でお金を払うから黙っていて欲しいと頼む。ピーターは金で全て解決できると思っているエリーに腹を立て、素直に助けを乞えと一喝する。
映画『或る夜の出来事』のあらすじ【承】
夜の便に乗ったエリーは、わざとピーターから離れて座る。しかし隣の席のシュプリーという男にしつこく付きまとわれて困ってしまう。ピーターは夫のふりをして、シュプリーを追い払ってくれる。
その夜は大雨でバスが走れなくなり、乗客は安モーテルへ宿泊することになる。ピーターは節約のために相部屋を用意してくれるが、エリーはピーターを信用しない。ピーターは自分に下心はなく、ウェストリーに会うまでの独占記事を書かせて欲しいのだと説明する。実はピーターは自分をクビにした編集長を見返してやりたくて、令嬢の逃避行を独占取材するという大スクープを狙っていた。ピーターはベッドの間に毛布をかけて「ジェリコの壁」を作り、エリーを安心させてやる。
エリーも口は悪いが親切なピーターに心を開くようになり、2人は徐々に打ち解けていく。いつも護衛付きでしか行動できなかったエリーにとって、この旅は全てが新鮮だった。
一方、アンドリュースはエリーの消息がつかめないことに苛立ち、発見者への懸賞金を1万ドルに引き上げ、そのことをラジオや新聞で大体的に報道させる。新聞を読んだシュプリーがエリーの正体に気づき、ピーターに懸賞金を山分けしようと持ちかける。ピーターはギャングのふりをしてシュプリーを脅し、何とかこの窮地を脱する。しかしこれ以上バスでの移動は危険だと感じたピーターは、エリーを連れて徒歩で逃亡する。
映画『或る夜の出来事』のあらすじ【転】
エリーのせいでピーターも一文無しになったのに、彼女はお腹が空いたとか野宿は嫌だとか文句ばかり言う。ピーターはエリーのわがままぶりに呆れながらも、彼女の世話を焼いてやる。エリーはそんなピーターを頼り切るようになっていた。
2人はヒッチハイクをして胡散臭い男の車に乗せてもらう。しかしこの男は泥棒で、2人の荷物を奪って走り去る。ピーターは車を追いかけ男を撃退し、逆に車を奪って帰ってくる。車を手に入れた2人はニューヨークを目指してひた走る。
アンドリュースは娘の身を案じ、結婚を許すからすぐに帰るよう新聞でエリーに呼びかける。これを読んだエリーは、ニューヨークを目前にして一晩泊まってから出発したいと言い出す。
その夜、ピーターは律儀に「ジェリコの壁」を作るが、エリーがそれを越えてくる。“愛する女と美しい島で暮らすのが夢だ”と言うピーターに、エリーは“私をその島へ連れて行って”と愛の告白をする。ピーターもエリーを愛していたが無責任なことはできないと考え、エリーを壁の向こうへ戻す。
映画『或る夜の出来事』の結末・ラスト(ネタバレ)
ピーターは眠ってしまったエリーを残してニューヨークへ向かう。大急ぎで自分とエリーが結ばれるという記事を書き、編集長にこのスクープ記事を1000ドルで買って欲しいと頼む。ピーターは一文無しでエリーに結婚を申し込むわけにはいかないと考えていた。編集長は記事を買ってくれ、金を手にしたピーターはエリーのもとへ急ぐ。
しかしエリーはピーターに見捨てられたのだと思い込み、父親へ連絡していた。エリーが父親の車に乗っているのを見たピーターは、必死で後を追うが間に合わなかった。その後、新聞はエリーとウェストリーの結婚を大体的に報じる。
アンドリュースは娘の様子がおかしいことに気づいており、エリーからピーターのことを聞き出す。ピーターはアンドリュースに“お嬢さんについて金銭上の話し合いがしたい”という手紙を出していた。それを見たエリーはピーターも金目当てだったのかとさらに絶望する。しかしピーターは旅にかかったわずかな経費以外を請求するつもりはなかった。
アンドリュースは金持ちの自分に全く媚びないピーターの態度に感心し、娘とピーターの結婚を望み始める。しかしエリーは素直になれず、そのまま結婚式の日を迎えてしまう。
アンドリュースはエリーとバージンロードを歩きながら、この結婚は金で解消できるから心配せずにピーターのところへ行けと言ってくれる。エリーは式場から逃げ出し、父の用意してくれた車でピーターのもとへ走る。
その後、ウェストリーが結婚の解消に応じたことを確認して、ピーターはついに「ジェリコの壁」を壊す。
映画『或る夜の出来事』の感想・評価・レビュー
古典的ラブコメディーの名作。
記者と世間知らずのお嬢様との恋物語というと、『ローマの休日』を彷彿とさせる。
ピーターとエリーの2人の会話のテンポや掛け合いが笑いを誘う。
ピーターがエリーに車を止める方法を伝授するヒッチハイクの名シーンは、まるでコントを観ているようで、特に印象深い。
徐々に二人が惹かれ合っていく展開もロマンチックで、行く末を見守りたくなる。
80年以上も前の作品とは思わせない面白さで、何度見ても楽しめる作品。(女性 20代)
これぞ「ラブコメ」。ラブコメのセオリーと言うべき作品です。おてんばでわがまま放題のお嬢様エリーと正義感が強く、男らしい新聞記者ピーターが偶然出会い、心を惹かれ、愛し合っていくストーリー。
出会いは夜行バスの中。2人の第一印象は最悪で、いきなり険悪ムード。今のラブコメでもあるあるですよね。しかし段々と2人がお互いを知り、心を通わせていく様子が不器用で、本当に可愛いんです。
男らしくもあり、紳士な一面もあるピーターに女性はキュンキュンしてしまうこと間違いなしです。(女性 30代)
85年以上も前のモノクロ映画ですが古臭くなく、寧ろ全てが新鮮に感じました。まず、エリーとピーターの会話が軽快で心弾みます。ピーターの人物像は大変魅力的で、エリーを背負い川を渡ったり、ヒッチハイクを面白おかしく指南するシーンが忘れられません。エリーの高飛車なキャラクターも憎めなくて可愛いです。キャストの個性とか、ストーリーの運び等全てが傑作です。バス車内で乗客全員で合唱するなど、古き良き時代の温かいストーリーにほっこり癒されました。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー