映画『阿修羅城の瞳』の概要:2005年公開の日本映画。人気劇団、新幹線の舞台を映画化した作品で、鬼と人間の戦い、悲しい恋物語を叙情的かホラー要素たっぷりに描いたダークファンタジー。
映画『阿修羅城の瞳』の作品情報
上映時間:119分
ジャンル:ファンタジー、ホラー
監督:滝田洋二郎
キャスト:市川染五郎、宮沢りえ、大倉孝二、皆川猿時 etc
映画『阿修羅城の瞳』の登場人物(キャスト)
- 病葉出門(市川染五郎)
- 元鬼御門で現在は役者。意思が強く腕っ節も強い。あまり深く考えない激情型の男。
- つばき(宮沢りえ)
- 闇の女椿で阿修羅。普段はか弱く温厚だが、阿修羅に変わっていく。
- 美惨(樋口可南子)
- 鬼のリーダー格。普段は尼の格好をしていて阿修羅の復活を願っている。
映画『阿修羅城の瞳』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『阿修羅城の瞳』のあらすじ【起】
時は江戸時代、文化文政。
世の中には鬼がはびこり、人の姿をして紛れ込んでは人間を喰い生きていた。
それを制するため、お上は鬼御門という鬼を退治する専門の奉行を設置する。
5年前、病葉出門は鬼御門としての腕を持ち、あちこちの鬼の住処を襲撃しては鬼達を撃退していた。
しかしある日、小さな少女が「殺せ」と言い、出門の前に立ちはだかる。
出門は少女を斬ってしまうが、この一件で鬼御門を辞めた。
その後出門は役者に転身。
現在は街の舞台で活躍している。
最近、民衆は盗賊集団「闇のつばき」の噂でもちきりだ。
ある夜、出門が船遊びをしていると闇のつばきと思われる女が船着き場に隠れているのを見つける。
役人に追われているようだった。
出門は彼女が闇のつばきだとすぐにわかった、しかし彼女の美しさに目を引かれる。
彼女は出門に気がつき逃げようとしたが、頭につけていた椿のかんざしを落としていってしまう。
映画『阿修羅城の瞳』のあらすじ【承】
別の日、芝居小屋にこっそり入った闇のつばきが必死で何かを探し引き出しをあけていると奥から出門の声がした。
彼はきっとつばきが来るとふんで、待っていたのだ。
2人は暫く見つめ合った。
出門はどこかで会ったような気がするが思い出せない。
つばきもまた、5年より前の記憶が無く出門のことなど覚えていないと言うのであった。
その頃、鬼のリーダーでもある美惨尼は、阿修羅の復活が近いことを知る。
そして鬼の子供を使い、阿修羅の化身である者が人間界に紛れていないかを探していた。
それに便乗してきたのが鬼御門の邪空である。
彼は鬼御門でありながら阿修羅を自分のものにしようとし、陰陽師で主である国成を殺してしまった。
そしてあろうことか敵の美惨の仲間となり、阿修羅を探そうと考えたのだった。
しかし阿修羅は強い男としか出会えず、また真実の恋に落ちないと阿修羅として復活できないと言う。
鬼の子はつばきが化身であることを発見したことで、邪空はつばきを追いかけた。
危険を察知し逃げるつばきは、芝居小屋に紛れ込み出門に助けを乞う。
映画『阿修羅城の瞳』のあらすじ【転】
邪空は出門の鬼御門時代の仲間だった。
しかしその彼がつばきを追っているのに疑問を感じ、彼女を信じ守ってやることにする。
5年前の記憶が無いつばきと、5年前からの記憶を消したい出門。
2人はさかしたの運命だと愛し合うようになる。
しかし愛し合えばあうほど、つばきの肩にある痣は大きくなっていく。
出門に出会ってから出来たとい痣だった。
その肩のあざに出門が触れると、火が出るほど熱い痣を隠しつばきは去って行った。
つばきは自分が何者なのか。
5年前より以前の記憶が無いことを疑問に思っていると、美惨が近づいてくる。
そこでつばきが阿修羅の化身であることを告げてしまう。
出門が5年前殺した少女がつばきであり、阿修羅の化身であったのだ。
そのことを知っても出門の気持ちは変わらず、愛し合う。
皮肉なことに愛すれば愛するほど、相手の男が強ければ強いほど阿修羅化してしまうのだった。
阿修羅になるのには感情の高ぶりが必要で、まず少女の姿になった阿修羅はそこで自分を殺害してくれる人間を探しその高ぶりを覚えたら、次は女性に乗り移ると言うのが大筋の説明だ。
そして遂に真実の愛に目覚めてしまったつばき。
出門の目の前で阿修羅へと転生した。
力を持ったつばきは鬼の世界に阿修羅城を築く。
そして江戸に火を焼き払おうとしている。
映画『阿修羅城の瞳』の結末・ラスト(ネタバレ)
つばきは阿修羅になった自分が出門のせいであると恨み、邪空に出門殺害命令を下す。
しかし阿修羅を思う出門は、自らの死を覚悟して阿修羅城に入った。
邪空は出門と闘う。
同じ鬼御門の2人の力は相当なもの。
五分五分で戦い続けるが、邪空がリードし出門は深手を負った。
最後のひとつきをしようとしたその時、阿修羅は止めた。
出門は「いまだ」と邪空と美惨を殺害。
「鬼は滅びないと救われない」という悟りの元、阿修羅は鬼を殺すことにしたのだった。
そして出門と闘うことを選んだつばき。
白い衣装を身にまとい、愛した男と最後の戦いを繰り広げる。
出門もまた手を抜かなかった。
そして相打ち。
愛しあった2人は共に死んだのだ。
その後阿修羅城は崩れ落ち、江戸の街に平穏が戻る。
その一部始終を見ていた出門の芝居の脚本家、鶴屋南北は「鬼殺逆屍魔浮城」という名前の本を書く。
こうして長かった2人の悲恋は終わり、目撃者によって残されることとなったのだった。
映画『阿修羅城の瞳』の感想・評価・レビュー
設定やストーリーは面白いなと思ったが、基になっているのが舞台だからなのか、映画でも舞台をそのまま映像化しましたという感じの演出なので、やはり舞台は舞台として観て、映画は映画としての演出をするほうがいいのだなと思った。映画としてストーリーなどを考えながら観るのではなく、単純に演技のぶつかり合いとして観ると、とても楽しめる作品になっている。
音楽の使い方がすごく素敵で、世界観をより感じられてとてもよかった。(女性 20代)
劇団☆新感線による演劇を基に2005年、滝田洋二郎を監督に迎え映画化した作品。現在、10代目松本幸四郎となった市川染五郎と宮沢りえが悲恋の恋人役を演じている。音楽は菅野よう子が担当しているだけあって、刺激的で非常にかっこいい。演劇での雰囲気を守りつつ、よりスケールが大きくなっている。実際に演劇を観たことがなく今作が初見だった自分としては、この雰囲気は嫌いじゃない。ただ、演劇が基であるためか演者の演技がとても演劇的な面は気になった。阿修羅として覚醒した宮沢りえの美しさは必見。(女性 40代)
鬼と人間が同じ地に存在する世界がこの作品の舞台です。今話題の「鬼滅の刃」のような世界観とは全く違い、昔の日本を感じさせる伝統芸能的な雰囲気が素晴らしいです。鬼殺しの男と、恋をすると鬼になる女。惹かれあってはいけない男女が恋に落ちるという設定。殺し合う運命になるとわかっていながら、抑えきれない感情がとても芸術的に描かれています。
芝居臭いセリフに感じるかもしれませんが、その演技っぽさこそこの作品の見所です。豪華な出演者に、どのシーンも美しく、見所満載でした。(女性 30代)
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