映画『雲を抜けた月のように』の概要:2010年製作の韓国映画。16世紀の李氏朝鮮時代、大同の世の中を目指して君臨した組織の男達と彼らに恨みのある人間が思い思いの理想や野心を持ち、闘って行く時代劇アクションドラマ。
映画『雲を抜けた月のように』の作品情報
上映時間:109分
ジャンル:歴史、ヒューマンドラマ、アクション
監督:イ・ジュニク
キャスト:チャ・スンウォン、ファン・ジョンミン、ハン・ジヘ、ペク・ソンヒョン etc
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映画『雲を抜けた月のように』の登場人物(キャスト)
- ファン・ジョンハク(ファン・ジョンミン)
- 盲目の剣士で、ふだんは鍼師として働くが一度剣を抜くとその強さは凄まじい。優しく穏やかな話し方だが、人にも自分にも厳しい。親友を殺されモンハクを探している。
- ハン・ギョンジャ(ペク・ソンヒョン)
- 芸子との間に出来た庶子で父をモンハクに殺され、彼を恨んでいる。父の敵を討つためジョンハクについてモンハクを探している。
- イ・モンハク(チャ・スンウォン)
- 倭軍に備えて組織された大同に所属する剣士。段々と野心にかられ、自分が王に成り代わりたいと思うようになっていく男。
- ペクチ(ハン・ジヘ)
- 芸子でモンハクの女。彼を探しにギョンジャと共に最後まで旅をする。
映画『雲を抜けた月のように』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『雲を抜けた月のように』のあらすじ【起】
16世紀李氏朝鮮時代。
豊臣秀吉率いる倭軍は、いまにも朝鮮に押し寄せようとしていた。
しかし打って出ようとしない朝廷に、民間人は不満を募らせていく。
そこでチョン・ヨリプと盲目の剣士ファン・ジョンハクは大同の世の中を目指し、自分たちが倭軍と闘おうと「大同契」を立ち上げた。
この志に賛同する民間人は大同契に入ったが、その勢力拡大を恐れた朝廷はこの組織を反乱軍とし解散させる御触れを出す。
その一方で組織内部でも初心を忘れ始めているものが出始める。
その人物がモンハクである。
ヨリプとジョンハクにより保っていた正義だったが、モンハクがヨリプを殺害し自分が大同契のトップに立とうと思い始めたのだった。
表向きには自殺ということになっていたヨリプの死だったが、ファンはモンハクが殺害したのではないかと疑っている。
モンハクの野心はとどまることを知らず、やがて自分が腐った朝廷にとって代わろうと考えるようになっていく。
そこでターゲットになったのが官僚のハンだった。
夜間にハンの家を襲撃したモンハクは、その場にいる親族を皆殺しにする。
たまたま納屋にいた庶子のギョンジャは助かるが、父を目の前で殺害されたことで我を忘れたギョンジャはモンハクに襲いかかる。
しかし勝てるはずも無く、返り討ちにあい酷い怪我をした。
映画『雲を抜けた月のように』のあらすじ【承】
ヨリプの死因について明らかにしたいファンは、モンハクを追ってハンの殺害現場にたどり着いた。
するとそこでギョンジャを見つけたファンは彼を連れて帰り、介抱する。
ファンは針や灸をして食いつないでいたため、技術があった。
ギョンジャもファンの針の治療により何とか一命を取り留めた。
父の敵を討ちたいギョンジュは、モンハクを追っているファンと共に旅をするようになる。
その途中、芸子小屋に入ったファンの後に続くギョンジュ。
ファンは遊びに来たのでは無く、針治療をしながら情報をここで得ていたのだった。
特にペクチという芸子はモンハクの女だった。
彼女は最近訪れないモンハクを恨んでいるようで、打倒モンハクを叫ぶ若造のギョンジュにモンハクを殺してくれるかと尋ねた。
ギョンジュはペクチのことが気になり始めてしまう。
旅の中で、凄腕の剣士だと知ったギョンジュはファンに弟子にして欲しいと頼み込む。
ファンはそれを断るが、諦めず密かに練習するギョンジュを見て次第に技を教え始めた。
映画『雲を抜けた月のように』のあらすじ【転】
2人は旅の中で、お互いの存在を大事だと考えるようになっていった。
芸子小屋から頼まれた品物を届けに、真鍮屋を訪れた2人。
だがこの店の店主もまたかつてファンと同じく大同にいた人間であり、今もまだモンハク側にいる男だった。
ファンは店主にモンハクの居所を尋ねるが、知らないと言い張る。
その夜、真鍮屋の工場付近で寝ていたファンは、真鍮では無く鉄を打つ音を聞き工場を覗いた。
するとそこで作られていたのは大量の武器。
真鍮屋はモンハクに頼まれ、武器を用意していたのだった。
モンハクの野心は、今や王になること以外無い。
大同と朝廷の闘いは激しさを増し、朝廷はペクチに目を付けた。
彼女を囮にモンハクを呼び寄せようという腹だったのだ。
たまたま商品を渡しに芸子小屋に戻ったギョンジュは、朝廷に囚われそうになるペクチを助けるため剣で役人を殺してしまう。
ギョンジュとペクチは殺人罪を問われることになるため、急いでその場から立ち去りファンと合流した。
しかし女は足手まといになると、ペクチを連れて行くことにファンは反対する。
朝廷と闘うモンハクの噂を耳に入れたファンは、ついにモンハクを追い詰めた。
そこでモンハクと闘ったファンは死闘の末、刀で刺され瀕死の重傷を負う。
そこに駆けつけたギョンジュとペクチ。
彼は父のように慕っていたファンを抱きかかえ泣いている。
するとファンは、「雲を抜けた月のようであれ」と言い残し、逝ってしまう。
映画『雲を抜けた月のように』の結末・ラスト(ネタバレ)
ギョンジュは父とファンの敵を討つため、王のいる都・漢陽にモンハクが現れると考え先回りする。
しかし到着した都は既に王は逃げた後で、もぬけの殻だった。
王は家臣や民を捨て、宮殿から逃げ出したのである。
ギョンジュは静かに王座に座って、物思いにふける。
一方で倭軍がそこまで迫っていた。
大同の幹部は国民を助けるのが先だと意見するが、もはや倭軍と戦うことに興味が無いモンハクは都に行くと主張し反対する幹部を殺してしまう。
首都漢陽にやって来たモンハクは、すでに王がいないその宮殿を見て愕然とする。
何のためにここまで来たのか。
モンハクはその場に立ち尽くし、涙を流した。
モンハクに気がついたギョンジュとペクチは、モンハクの前に現れる。
そこで2人は剣を交えることになり、ついにギョンジュはモンハクを殺害した。
しかし闘いは終わらなかった。
倭軍が宮殿に到着したのである。
軍隊に囲まれたギョンジュは、1人剣士らしく倭軍に向かっていく。
しかし1人で叶うはずも無く、彼は倭軍の中に消えていった。
ギョンジュとファンは2人で川辺を歩いている。
流れる河に浮いている小舟には、モンハクとペクチが穏やかに寄り添う。
ギョンジュは空に煌々と光る月に向かい、剣をかざした。
映画『雲を抜けた月のように』の感想・評価・レビュー
韓国映画の時代劇はどうも苦手でなかなか気が進まなかった今作。日本人の私としては韓国の歴史を全く知らないため理解するのが難しいのです。しかし、今作は歴史をテーマにした時代劇はと言うよりも、ファン・ジョンミン演じる盲目の剣士の物語をテーマしていて、とにかく迫力が凄かったです。敬遠していた自分が嘘のようにのめり込んでしまい、最後まで飽きることがありませんでした。
キャストもアクションも衣装も、何においても物足りない部分が無く、大満足の作品です。(女性 30代)
ファン・ジョンミンの愛嬌ある演技と迫力満点のアクションが、この映画の全てといっても過言ではありません。平常時の飄々とした態度と殺陣の際の迫力、このギャップに魅了され続けました。彼が倒されてしまってからは、面白さが半減したように感じます。しかしながら、韓国の時代劇というものは慣れてくると味わい深い風趣を感じられ、歴史の勉強になりますね。劇中、何度も月が出ては雲に隠れていくシーンが未だ脳裏に焼き付いています。(女性 30代)
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