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映画『パコと魔法の絵本』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『パコと魔法の絵本』の概要:舞台「Midsummer Carol ガマ王子vsザリガニ魔人」を映画化。3DのCGと実写を融合しており、日本アカデミー賞で最優秀美術賞を獲得している。監督は「嫌われ松子の一生」などで有名な中島哲也。

映画『パコと魔法の絵本』の作品情報

パコと魔法の絵本

製作年:2008年
上映時間:105分
ジャンル:ファンタジー、ヒューマンドラマ
監督:中島哲也
キャスト:役所広司、アヤカ・ウィルソン、妻夫木聡、土屋アンナ etc

映画『パコと魔法の絵本』の登場人物(キャスト)

大貫 / ガマ王子(役所広司)
入院患者の1人。大企業の社長で、常に威張りちらしている為他の患者から嫌われている。劇ではとある事故から主役、ガマ王子を演じる事となる。
パコ(アヤカ・ウィルソン)
唯一大貫に近づいてくる少女。過去の事故でおった傷の為、1日しか記憶がもたない。

映画『パコと魔法の絵本』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『パコと魔法の絵本』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『パコと魔法の絵本』のあらすじ【起】

とある場所に、一風変わった人物ばかりが入院している病院がありました。個性が強いメンバーばかり集まったその病院でしたが、その中でも大貫という人物は浮いており、皆から嫌われていました。その要因は彼の傲慢さにありました。幼少期、貧乏だった大貫は自分の力だけで会社を設立、大企業にまでのし上がった矢先、会議の途中で心臓発作で倒れてしまったのです。

自分は他の患者達とは格が違うと威張り倒す大貫でしたが、そんな彼の前にパコという不思議な少女が現れます。「お前が私を知っているだけで腹が立つ」と邪険に扱う大貫でしたが、それでもパコはニコニコ笑っています。翌日もパコは大貫の座るベンチの横にやってきます。しかし、彼女は大貫を知らないというのです。また、彼女は先日大貫が落とした金色のライターを偶然拾っていました。しかしその事を知らないパコは、このライターは自分のものだと言います。怒った大貫は、パコの頰を叩いてしまいます。

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映画『パコと魔法の絵本』のあらすじ【承】

実はパコは、かつて両親を奪った程大きな交通事故に巻き込まれた後遺症で、記憶が1日しか残らなくなっていたのでした。その事を知った大貫は、初めて自分のした事を悔やみました。しかしその翌日、再び自分の前に現れたパコの頬にそっと触った大貫に対して、パコは「おじさん昨日もパコのほっぺに触った?」と言います。記憶が無いはずの彼女の心内に残っていた事に、大貫は涙を流します。そして、彼女の記憶に残るような何かをパコの為にしてあげたいと願うのでした。

パコには大事にしている絵本がありました。それは生前彼女の母親から贈られたもので、パコの宝物です。それから大貫は毎日彼女の為に絵本を読んでやり、そして少しでも彼女の記憶に残ろうと彼女の頬に触るのでした。一方その頃季節は夏、病院ではサマークリスマスというイベントを行う習わしとなっていました。そしてそのサマークリスマスでは、患者やスタッフ達によって劇を行う事となっていました。

映画『パコと魔法の絵本』のあらすじ【転】

パコの為に、彼女の絵本「ガマ王子対ザリガニ魔人」を劇にしようと考えた大貫は、今まで馬鹿にしていた入院患者達に頭を下げ、その劇に出演してくれるよう頼みます。大貫を嫌っている患者達は最初は断ろうとしますが、自分たちにとって可愛い妹のような存在のパコの為ならばと渋々承諾します。

劇の参加者は以下の通りです。主人公のガマ王子には滝田、ガマ姫はオカマの木之元、ミズスマシは龍門寺、メダカちゃんには看護師のタマ子、タニシ役には医師である浅野、アメンボは浩一、沼エビの魔女が雅美、ヤゴが堀米、そしてボスであるザリガニ魔人には室町がそれぞれ起用されました。

こうして患者スタッフが協力しての大規模な劇が開かれようとしていました。しかし、主人公であるガマ王子役の滝田が、自殺しようとした室町を庇い大怪我を負ってしまいます。室町はかつては名の知れた子役でしたが、その後芽が出ず、苦しみのあまり自殺未遂を繰り返していたのです。急遽ガマ王子の代わりは、この劇を立案した大貫が演じる事になりました。

映画『パコと魔法の絵本』の結末・ラスト(ネタバレ)

ガマ王子は大貫のようにわがままな性格をしていました。家来であるアメンボやタニシ、ミズスマシやヤゴに対して威張り散らし、みんなをいじめていました。勢い余ったガマ王子は、家来の家を壊してしまいます。そんな時、ザリガニ魔人がやってきて無防備になった家来達を食べてしまいます。家来を失って初めて、ガマ王子は自分のした事の重大さを知ります。

今まで自分が馬鹿であった事を認め、その上でザリガニ魔人を倒すべき存在としたのでした。しかしザリガニ魔人は強く、一筋縄ではいきません。そのストーリーと並行して劇が進められていきますが、クライマックスになった時大貫が再度心臓発作で倒れてしまいます。しかし大貫はパコの為に力を振り絞りザリガニ魔人を倒します。

劇は無事成功、しかし程なくしてパコが息を引き取ります。彼女の命は元から長く無いとされており、とうとうその寿命が尽きたのでした。大貫は怒り、絵本をバラバラに引きちぎってしまいます。そして時は流れ、大貫の命もとうとう尽きました。しかしあの場にいた人間全員が、バラバラになった絵本ページを一枚ずつ持っていました。大貫の行動は、患者達全員の心に残っていたのでした。

映画『パコと魔法の絵本』の感想・評価・レビュー

舞台が原作だけあって、登場するキャラクターたちの癖が強く、セリフ回しも舞台感が強くて始めは慣れなかったが、それらを耐えた後に待ち受けるラストの展開がとても感動的で思わず泣いてしまった。日本映画でファンタジー的側面を持つ映画はなかなか多くはないと思うが、今作は映像表現も巧みで数少ない邦画ファンタジーの成功例だと思う。演技派の中に囲まれながらも存在感を放つアヤカ・ウィルソンのピュアな演技も素晴らしい。(男性 20代)


悲しい結末でしたけど、テンポもよく話が進み、心が温かくなる作品でした。1日しか記憶が残らないパコ本人は、それほど不幸だと感じていなかったのではないかと思いますが、大好きな絵本を劇にして記憶に残そうと頑張る大人たちも素敵でした。
原作が舞台だったことは後で知ったのですが、映画でも舞台を見ているような感じでとても良かったです。水の中や幻想的な場面を舞台でどのように表現したのか、舞台も一度見てみたかったです。(女性 40代)


大貫がパコと出会い、今までの振る舞いや傲慢な態度をやめて、パコのためにずっと大切にしてきた絵本の物語を、病院のみんなに声をかけ演劇をやろうと考え、行動したシーンが感動した。また大貫が亡くなった後、バラバラに破かれた絵本のかけらを、病院のみんなが持っていたシーンも思わず涙がこぼれた。パコの優しく純粋な心に癒され、また病院のみんなのキャラが濃く、舞台の演劇をみているような感覚にさせられた。最後が悲しく寂しい気持ちになるが、最初の楽しく可愛らしいシーンも見所である。(女性 20代)


「ガマ王子対ザリガニ魔人」という絵本を巡る孤独な少女パコと大貫の不思議なストーリー。色彩豊かな表現で、次々と様々な登場人物たちが現れてわちゃわちゃとしたファンタジックな印象を受けた。
態度の大きい偏屈親父だった大貫が、パコのために大勢の仲間たちと協力して劇を成功させる姿に感動した。やがて二人に死が訪れるも、その場にいた皆の心の中に劇のことがあるという終わり方も、大貫が大切にしてきた物語の温かみに寄り添っているようで心に沁みた。(女性 20代)


エンタメ性が非常に高く、観る者を楽しませる力が強い作品だった。細かく見ると一流の作品には及ばないが、総合的な能力が非常に高いと感じた。
ストーリーはわかりやすく、悪く言えば無難である。号泣というほどでもないが最後に感動するシーンを持ってきている。起承転結が綺麗で、展開にはケチをつける人はあまりいないのではないだろうか。
さらにCGを駆使することで、目で観て純粋に楽しませるという製作者の気概を感じる。そして全体の雰囲気に合った音楽を使っている。
総合力の高い作品であり、観るものを選ばないという魅力のある映画だった。(男性 20代)


奇抜な世界観と特徴的なキャラクターたちが物語を展開していく。意地の悪い、嫌われ者の大貫が、天真爛漫のパコの影響で周囲のキャラクターたちと関わるようになるという、わりと無難なストーリーだ。しかし、観ていると楽しくなるようなエンタメ感の強い作品だった。
最後には二人とも亡くなってしまうが、残されたキャラクターたちの心の中では生き続けるのだろうとあたたかくなるラストだったと思う。
癖は強いが、映像として楽しむには十分な作品だろう。(女性 20代)


衣装とか舞台とか個性的で、世界観がとても好きな作品。改めて見ると、出演しているキャストがとても豪華だなと思った。
見始めるまではギャグテイストな物語なのかなと思っていたが、登場人物達のやり取りが温かくてとても感動する作品だった。パコのために一生懸命頑張る意地悪な大貫の姿が胸を打つ。ラストは本当に悲しくて、パコが生きる結末でも良かったのではないかと思ってしまった。心に深く残る物語で、大人から子供まで幅広い年代の人におすすめしたい。(女性 30代)

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