映画『ふきげんな過去』の概要:2015年製作の日本映画。18年前に死んだ叔母として知らされていた女性が突然帰って来る。実は母だと知るいつも不機嫌な少女と母のやり取りを人間らしく描いた、シニカ的ヒューマンストーリー。
映画『ふきげんな過去』の作品情報
上映時間:120分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:前田司郎
キャスト:小泉今日子、二階堂ふみ、高良健吾、山田望叶 etc
映画『ふきげんな過去』の登場人物(キャスト)
- 果子(二階堂ふみ)
- いつも不機嫌でつまらなさそうにしている女の子。突然帰って来た実の母親にも驚かないハートの持ち主。
- 未来子(小泉今日子)
- 昔から変わり者で有名だった果子の母親。死亡届が出ている中、実は生きていて戻って来て家族を驚かせる。警察に追われている謎の女性。
映画『ふきげんな過去』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ふきげんな過去』のあらすじ【起】
いつも不機嫌な果子。
彼女は、いるわけも無いワニを探すため、いつも街の運河にかかる橋からワニを探している。
「いるわけないだろ」といくら人に言われても止めない。
当然ワニがいるなどと思っていないが、止めること無くじっと見ている日々。
彼女の性格はサッパリしていると言えば聞こえは良いが、何に関しても無関心で若いのに溌剌さが全く感じられない。
果子は両親と祖母が営んでいる食堂の娘だ。
元々蕎麦屋だったが謎の外国人風の人が突然やって来て豆料理を出したことで、現在は豆屋である。
当たり前で穏やかだが、窮屈で退屈な日常は果子にとってはつまらなかった。
そのため暇が出来ると近所の喫茶店に行き、カウンターでいつも珈琲を飲んでいる謎めいた男性を観察している。
果子には生まれたばかりの赤ん坊の兄弟がいて、夜の仕事をしている叔母の娘も良く出入りする。
いつも人が出入りするくせに賑やかでは無く、何となく陰鬱な空気を漂わせている一家だった。
映画『ふきげんな過去』のあらすじ【承】
夏休みに入ったある日のこと。
突然「ただいま」と女性が入ってくる。
その姿に家族は息をのんだ。
18年前に死んだ未来子だったからだった。
果子にとっては叔母だが、一度もあった事が無いため何の愛着も無い。
遠目でその人を眺めているだけだった。
未来子は昔手作り爆弾を作るような問題児で、有名だった。
突然失踪してから家族は全員死んだものとし、それは公的な手続きにもおよび戸籍も既に無い。
そんな問題の人が突然ふらっと帰って来ても、何かを疑問に思うでも無く、過去を起こるでも無く、ただ淡々と未来子の話しを聞き受け入れる家族達。
未来子は警察にも他の誰かにも追われているようで、匿ってくれと言い出す。
急に知らない叔母が現れて憂鬱な生活を送り始める果子は、いつもの喫茶店でストレス発散をしに行く。
そこでカウンターに座る男性をまたしても観察した果子は、彼が出て行った後尾行することにした。
彼を追い、マンションまでつけたその時。
その男は突然果子に近寄り「お前果子だろ?」と声をかけてきたのだ。
映画『ふきげんな過去』のあらすじ【転】
男の部屋にあがり対峙する二人だったが、男はどうやら未来子を知っているようだった。
そして彼女がどこかの組織から逃げ出し、追われている身であるのだと言う。
さらに自分も彼女をさらうのを待っていると、訳のわからないことを言った。
果子は気味の悪さを露わにし、帰り道ワニを探す。
家での叔母の態度に理解出来ない果子は、突然つっかかりもみ合いになる。
やりあい疲れ果てた二人は畳に寝転がったまま。
未来子は今から出かけないかと果子を誘った。
暗がりの中、未来子、果子、果子の従姉妹のカナを交えて、ボートに乗って運河を進んで行く。
未来子が連れて行った場所には爆弾に利用できる材料の石が豊富にあるという。
その石で爆弾を作り始めた果子は、未来子に教わり完成度の高い物を作る。
爆弾の威力を試すため河原にやっていきた三人だったが、そこで未来子はとんでもない告白をした。
自分が本当の母親なのだと果子に言ったのだ。
元々未来子の元旦那は、現在は未来子の妹と再婚し果子を子供として育てている。
ただでさえ複雑な家なのに、また新事実で揉めるのかと思いきや果子の返事は「やっぱりね」というあっさりした物だった。
映画『ふきげんな過去』の結末・ラスト(ネタバレ)
その会話のやりとりの後のこと。
果子の爆弾が突然爆発し、カナの目に当たり怪我をしてしまう。
目には眼帯、腕には包帯、どう見ても重傷だったが果子は全く動じない。
それどころか、あの男の家に行き、お手製の爆弾を見せる始末だ。
しかもそれを見た変わり者の男は、「君は他の世界につれて行って欲しいのだね」などと見当違いの返事をすると、果子にキスを迫った。
さすがに驚いて部屋を飛び出した果子。
夜、果子は夢のような現実を見た。
あの男と未来子が窓際に立っているのを見て、自分も連れて行ってくれと果子は言うが、二人はそのまま窓から消えてしまったのだ。
そして、翌朝目覚めると未来子は本当に居なかった。
果子はあの男の部屋に行くが、そこには当たり前のように未来子がいて、男も相変わらず訳のわからないことを発言している。
動揺した果子は傘を振り回すが、何とそれが未来子の腹を刺してしまい怪我を負わせてしまった。
寝込んだ彼女の姿を見て慌てる果子の姿がそこにあった。
果子と未来子は運河を見て、取り立てて面白くも無い会話を交わす。
するとそこで人が運河を指さし騒ぎ出した。
ワニが見つかったのか!と運河を見つめる果子。
果子は遂に運河でワニを発見することができたのだが、ワニは既に死んでいる状態であった。
しかし、実はワニは生きており、その瞬間、果子の表情が笑顔に変わったのだった。
映画『ふきげんな過去』の感想・評価・レビュー
特に、二階堂ふみと小泉今日子の掛け合いが自然で面白かった。
果子のように、何をやってもつまらない不機嫌な時期が自分にもあったなーと、思い出した。皆どこか不機嫌で、台詞のやり取りがいちいち笑えるので聞き逃せない。
女子同士テーブルを囲んで豆を剥くシーンは、日常的な空気感がにじみ出ていてとても好きだった。
色んな話題が込み入ってごちゃごちゃ流されながら進行していくけれど、なぜだかそういう雰囲気が夏に乗っかって心地良かった。(女性 20代)
独特な世界観なのであまり理解しようと思わずに、その不可解な世界観や雰囲気を楽しむ気持ちで観ると作品をより面白く観ることができると思った。たまに小さく笑ってしまうようなシュールな笑いが入っているので個人的にはそこも面白いと思ったが、好き嫌いがはっきり分かれる作品だなと感じた。
会話のテンポがよく見やすくなっていた。また、クセがある役柄を演じると二階堂ふみさんはやっぱり飛び抜けて表現の仕方が上手だと感じた。(女性 20代)
みんなの感想・レビュー
ご指摘ありがとうございます。
該当部分について修正致しました。
間違えが3点。
・果子の爆弾で怪我を負ったのはカナ。
・男と未来子が出て行ったのは夢ではないし、果子も最初から現実としてうけとめている。
・ラストシーン、果子が笑顔に変わったのは、ワニか発見されたからではなく、死んだとされたワニが、突然動き出したから。