この記事では、映画『生きてこそ』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『生きてこそ』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『生きてこそ』の作品情報
上映時間:126分
ジャンル:ヒューマンドラマ、ドキュメンタリー、歴史
監督:フランク・マーシャル
キャスト:イーサン・ホーク、ヴィンセント・スパーノ、ジョシュ・ハミルトン、ブルース・ラムゼイ etc
映画『生きてこそ』の登場人物(キャスト)
- ナンド(イーサン・ホーク)
- ラグビー部のメンバー。母と妹と共に、飛行機に乗っていた。前向きで、意志が強い。思い切った発想で仲間達を励まし、時に戸惑わせる。
- アントニオ(ヴィンセント・スパーノ)
- ラグビー部主将。責任感が強く、真面目。リーダーとしての自負が大きく、事故直後は独裁的にメンバーを仕切る。
- カネッサ(ジョシュ・ハミルトン)
- ラグビー部メンバー。医学生。積極的に救助活動にあたるが、経験も物資も無い中で、常にプレッシャーを感じている。生きる意志は強く、時に慎重になる。
- リリアナ(イリーナ・ダグラス)
- ラグビー部応援の為に、夫ハビエルと共に搭乗。落ち着いた、慈悲深い女性で、部員達を励まし続ける。
映画『生きてこそ』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『生きてこそ』のあらすじ【起】
1972年、一機の小型飛行機が、アンデスの山中に墜落した。20年後、生存者は語る。当時、誰もが「自分なら生き残れなかった」と言ったが、それはあの時あの場所にいてみないとわからないはずだ、と。
あの日、クリスチャンからなる大学ラグビーチームの一行は、チリでの遠征試合に向かう為、応援の家族と共にその飛行機に乗っていた。機中は陽気そのもので、機体が雲に飲まれ始めた時も、冗談を言う余裕があった。しかし、機体の揺れが治まる事はなく、アンデス山脈の切り立った岩肌に翼をぶつけ、地上めがけて猛スピードで墜落していく。
機体は胴体後部を失い、後部座席にいた者や立っていた者は空に放り投げだされた。前部は頭から深い雪の中に突っ込み、座席は操縦席に向かって滑り落ち、衝撃で即死する者も少なくなかった。
生き残ったキャプテンのアントニオは、医学生のカネッサらと協力して救助活動を始める。しかし、短時間のフライトを想定した小型機には満足な物資が無く、無線の電池も吹き飛ばされた後部に搭載されているらしい。できる事と言えば、シートのカバーを外して夜に備えるくらいだ。
夜の寒さは厳しく、機体の開いた部分をトランクで塞ぎ寒さをしのぐ。最初の晩を越せずに死ぬ者が何人もいた。しかし翌朝、頭を強く打って虫の息だったナンドが、しっかりとした呼吸をし始めた。生存者達は、わずかなワインやチョコを分配し、機材を使って雪を飲み水に変え、通り過ぎる捜索の飛行機に手を振って時を過ごした。

映画『生きてこそ』のあらすじ【承】
ナンドが、意識を取り戻した。彼の母は、事故の際に即死だった。妹は重傷を負い、死にかけている。ナンドは妹を看病し、彼女が息を引き取ったら、死んだパイロットの肉を食べてでも下山してやると仲間に話した。
翌日、いつものように通り過ぎるかと思われた捜索の飛行機が、彼らの上空で翼を振った。これが発見の合図だと信じ、カネッサ達は狂喜した。その夜は配給を無視し、ワインやチョコを食べて祝う。彼らに指図するアントニオと子分のロイは、疲れて眠り込んでいた。ハビエルとリリアナの夫婦だけが、この宴会に参加しなかった。
夜が明けても、救助は来なかった。アントニオは食料が無くなっていると気づき、激怒した。救助が来るとは限らないし、陸路なら何日もかかるはずだ。そもそも、発見したなら既に食料くらい落としてくれているのではないか。学生達は意気消沈し、足を怪我した者達の為にハンモックを作ってやることにした。
荷物から、ラジオが見つかった。アントニオは、そのラジオで捜索失敗のニュースを聞いてしまう。自力で機体後部を見つけようと数名が歩き出すが、クレパスの潜む冬山はあまりに危険だった。そうしているうちに、ニュースは「捜索中止」に変わり、ナンドの妹は死んだ。
映画『生きてこそ』のあらすじ【転】
弱気になったアントニオの代わりに、ナンドが捜索中止のニュースを皆に伝えた。彼は、これを良いニュースだと言った。自分達の力で脱出をやり遂げると決まったのだ。しかし、それには体力が必要だった。食べ物が必要だった。それでも、人の肉を食べるという決断は容易にできる事ではない。カネッサはナンドに賛同したが、皆で一晩祈り、考える事にした。
生存者達は、夜通し議論した。宗教観を揺さぶられながらも、もし自分が死んだら、自分を食べてでも生き延びて欲しいという想いが、彼らの心を決めた。翌日、カネッサが一人の遺体を選び、肉の欠片を口にした。仲間達が、次々と後に続く。それでも、リリアナは食べられなかった。ナンドは、妹の遺体を心配した。アントニオは、いまだチームメイト達を許せずにいた。
肉を食べた者達は、何か行動しなければ気が済まなかった。3人が再び後部の捜索に出かけ、後部座席にいた者達の遺体を発見し、遺品を持ち帰った。極寒の夜を野営し、ソリで勢いよく帰還した彼らは、生存者達に希望を与えた。アントニオは仲間と和解し、リリアナは子供の元へ帰るため、肉を食べる決意をした。そしてその夜、大規模な雪崩が彼らの飛行機を襲った。
アントニオは死んだ。リリアナも死んだ。飛行機は完全に雪に覆われ、地中にはい出し、雪をどけるのは何日もかかる大作業だった。その中で、仲間の誕生日を思い出し、タバコで祝う生存者達。
映画『生きてこそ』の結末・ラスト(ネタバレ)
墜落から、50日が経っていた。ナンドとカネッサ、ティンティンは、再度後部を探しに出発した。彼らはついに残りの機体を見つけ、衣服や食べ物、マンガ本まで発見した。しかし、肝心の電池は重く、持ち帰る事が出来ない。そこで、嫌がるロイを基地から連れ出し、修理させる。とは言え、ロイもただの素人だ。修理は失敗に終わり、四人は仲間の元へ帰る。
60日が過ぎ、雪が溶け始めた。彼らは、春の訪れを待っていた。協力して縫った寝袋も完成した。相変わらず、生存者は減り続けていた。前回の捜索時から山越えを主張してきたナンドは、地図を頼りに西へ向かってチリを目指す覚悟を決めた。彼は再び、しぶるカネッサと中立のティンティンを誘い、天気の良い日に出発した。
危険を冒しながらも、山頂と思われる岩山の上に到達するナンド。しかし、そこから見えたのは一面の山々だった。カネッサはやる気をなくし、戻る事しか考えられなくなっていた。しかしナンドは、遠くの山並みに、一本の線を発見した。彼はそれを道だと信じ、さらに高い場所へ上り、確かめに行く。ナンドは嬉々としてカネッサを呼び寄せるが、結局見えるのは切り立つ山々だった。カネッサは怒るが、ナンドには、雪に覆われていない一つの山が見えていた。
西へ向かって50マイルもの道を進もうとするナンドに、カネッサは苛立ちをぶつける。しかし、ナンドにとっては、ここまで70日間も生き延びてきた事こそが奇跡だった。死ぬなら歩きながら死のうとカネッサを励まし、ティンティンを帰らせ、彼の分の食料をもらった二人は歩き続けた。
一方、飛行機の中で、ただ時を過ごし、命を温存する生存者達。ついに、彼らの耳にヘリコプターのプロペラ音が聞こえる日がやって来た。我先にと外へ出ると、救助ヘリの中で、笑顔のナンドとカネッサが大きく手を振っていた。
生存者16名、死者29名。生き残った者達は、後日アンデス山脈の現場へ戻り、死者達のために石の祭壇と十字架を建てた。
映画『生きてこそ』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
実際に発生した航空機墜落事故を描いた作品です。生き残った若者たちが救助を待ちながらも必死に生きる様は胸を打たれます。食料が尽きたことで、仲間の遺体を食べるという苦渋の決断もしっかりと描写されています。クリスチャン系の彼等の宗教観と『生きてこそ』の葛藤は相当の覚悟が必要だったのでしょう。映画では触れてませんが、生還した後に人肉食について責められたそうです。(女性 20代)
作品の描き方としては少しあっさりとした印象だったが、実話のストーリーとしてはかなり衝撃的だった。登山家でもない彼らが、極寒の中助かることをあきらめずに過ごし、そして16名も生存した事実、彼らの70日間は容易には想像できない。
亡くなった仲間の肉体を食べるという決断、体力を無視し果てしなく長い道のりを歩くという決断、そのすべては生きて帰るためであり、それ以外には何もない。彼らの「生きる」という強い思いが、この結果を生んだのだ。
この作品には、『ALIVE/生きてこそ』というタイトル以外は考えられないほど相応しい言葉であると感じた。(女性 30代)
1972年、アンデス山脈に衝突した飛行機墜落事故からの72日間の生存を果たし、帰還したという実話をもとにした作品。
ドキュメンタリータッチで描かれており、そこには生き延びるために死んだ仲間の肉を食べるという苦渋の決断をする壮絶でショッキングなシーンもあり、非常に安易に言葉にしてはいけないような重厚な雰囲気を感じた。
内容とは一変して、CGを使わずに撮影された雪山は壮大で美しかった。
これほどの絶望的な状況で、「生きる」為にどうすべきかという選択を強いられる姿や、極限の環境を生き抜く生命力には学ぶべきものが沢山あった。(女性 20代)
極限の状態になった時に迫られる選択。飛行機事故で山に墜落し、何日も飲まず食わずで彷徨い、このままだと死んでしまうと感じた時にする選択の重みを感じる作品でした。
遭難した経験がないので、よくわかりませんが、とにかく誰かがいてくれてよかったと感じました。1人で遭難していたらすぐ死んでいただろうなと。この「誰か」がいてくれるというのがこの作品でとても重要なポイントでした。生きていくための選択に「正解」はないと感じます。(女性 30代)
『生きてこそ』は極限状態の人間ドラマとして非常に見応えがありました。実話に基づいているからこそ、墜落直後の絶望感や極寒のアンデスでのサバイバルが生々しく感じられました。特に、仲間の死と向き合いながら「生きるために人肉を食べる」決断に至る描写は衝撃的で、単なるスリラーでは終わらない哲学的な問いを投げかけてきます。最終的に救出されたときの涙の描写には胸を打たれました。生きるとは何か、命の尊さとは何かを深く考えさせられる一作です。(40代 女性)
冒頭から緊張感が張り詰めていて、一瞬たりとも目が離せませんでした。飛行機墜落という非日常の出来事を、登場人物たちがどう乗り越えるのかを丁寧に描いていて、特に後半の「人肉食」の描写が非常にリアルでした。倫理的な葛藤と、飢えと寒さという現実の板挟みの中で生きる選択をした彼らを責めることはできません。映画を見終わった後も心にずっと残る衝撃がありました。これは単なるサバイバル映画ではなく、生きる覚悟を問う作品です。(30代 男性)
最初はショッキングな映画かと思って構えていましたが、意外にも人間の強さや絆が感じられる感動的なストーリーでした。宗教や信仰の描写も印象的で、極限状態の中で精神的な支えがどれだけ大切かが伝わってきました。特に、仲間たちの死を乗り越えていく過程に涙が止まりませんでした。命をつなぐためにどんな手段をとるのか、その重みをじっくりと描いていて、心に刺さる映画でした。(50代 女性)
映像美がとにかく素晴らしく、アンデスの冷たい風まで感じられるような臨場感がありました。物語が進むにつれて、生き延びることの過酷さと、それでも諦めない人間の意志に感動しました。登場人物たちが抱える心理的葛藤が丁寧に描かれていて、「自分ならどうするか」と考えさせられます。生々しさをリアルに描きながらも、最終的に希望を感じさせてくれるバランスが秀逸でした。(20代 女性)
生と死の狭間で人間性を失わずにいられるかというテーマに心を打たれました。自分の中の倫理観と生存本能がぶつかり合う場面に何度も鳥肌が立ちました。感情を抑えきれず泣いてしまったシーンもあり、映画館で観たことを後悔しないどころか、むしろ感謝しています。過酷な状況でも人間の希望や絆を失わずに生き抜いた彼らを尊敬します。(60代 男性)
青春と絶望が混在するストーリーに圧倒されました。登場人物たちがみんなまだ若く、人生をこれからという時期にこのような試練に直面するという点に感情移入しました。生き残るために必要だった選択が重く心に残ります。苦しい決断を経て、自ら行動して助けを求めた彼らの勇気には感服しました。「生きて帰る」という執念と希望の光に感動しました。(10代 女性)
映画『生きてこそ』を見た人におすすめの映画5選
127時間
この映画を一言で表すと?
孤独な絶望と、生への執念がぶつかる衝撃の実話サバイバル。
どんな話?
登山中に事故で岩に右腕を挟まれ、身動きが取れなくなった青年アーロン・ラルストン。水も食料も尽き、死を覚悟する中で、生き抜くために下した決断とは…。彼の壮絶な5日間を描いた実話に基づくサバイバルドラマ。
ここがおすすめ!
たった一人の閉ざされた空間で繰り広げられる緊張感と心理描写が圧巻。極限状態の中で見せる人間の強さと弱さ、そして生きることへの渇望が心に迫ります。ジェームズ・フランコの熱演も見逃せません。
エベレスト 3D
この映画を一言で表すと?
世界最高峰で繰り広げられる、圧倒的スケールのサバイバル実録劇。
どんな話?
1996年、登山ブームに沸く中で起きたエベレスト大量遭難事故を描いた実話映画。標高8,000メートルを超える「死の領域」で悪天候に巻き込まれた登山者たちが、命がけで下山を試みる姿が描かれます。
ここがおすすめ!
息を呑むような山岳映像と共に描かれる、自然の恐ろしさと人間の挑戦。実話に基づくストーリーだからこそ感じる緊迫感と哀しみが胸に迫ります。真実の重みがずっしりとのしかかる作品です。
ザ・ウォーク
この映画を一言で表すと?
命綱なしで世界を驚かせた、空中の奇跡と勇気の実話!
どんな話?
1974年、ニューヨークのワールド・トレード・センターの間にワイヤーを張り、命綱なしで綱渡りに挑んだ男、フィリップ・プティ。周囲の反対を押し切り、夢を追いかけたその挑戦と執念を描く感動の実話。
ここがおすすめ!
映像体験としても抜群の迫力。高所恐怖症の人には少し刺激が強いかもしれませんが、それだけに手に汗握る展開が魅力。夢を追うことの美しさと狂気、その裏にある情熱に心打たれます。
キャスト・アウェイ
この映画を一言で表すと?
孤独と向き合い、生きる意味を探す無人島サバイバルの傑作。
どんな話?
飛行機事故で無人島に漂着した男性が、文明から完全に切り離された状態で生き延びる姿を描く物語。文明社会で当たり前だったものが失われた中、孤独と戦いながら生きる力を見出していきます。
ここがおすすめ!
トム・ハンクスのほぼ一人芝居で展開される濃密なドラマが見どころ。言葉が少ない中でも表情や行動で伝わる感情の強さに驚かされます。無人島でのサバイバルというシンプルな舞台が、逆に深い感動を生み出します。
ローン・サバイバー
この映画を一言で表すと?
極限の戦場で、人間性と命の価値を問うリアル・アクション。
どんな話?
アフガニスタンで実際に起きた米軍特殊部隊の任務失敗と、その中で唯一生還した兵士の記録を描いた実録戦争映画。仲間を守るために下した決断の数々が、重く心にのしかかります。
ここがおすすめ!
戦場のリアルを極限まで追求した映像と音響が、まるでその場にいるかのような臨場感を生み出します。単なる戦争映画ではなく、友情、信念、そして生き残ることの苦しみを描いた人間ドラマです。
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ずっと気になっていた映画でやっと見れました。人間を食べる?そんなばかな…と否定するのは簡単だ。生きてこそ、価値がある!と強く考えさせられた。