映画『ホビット 決戦のゆくえ』の概要:ファンタジー巨編『ロード・オブ・ザ・リング』の前日譚となる小説を映画化。ホビットのビルボが、ドワーフ達とはなれ山のドラゴン退治の旅に出る。3部作の完結編となる今作では、各種族がはなれ山の財宝をめぐり壮大な戦争を巻き起こす。
映画『ホビット 決戦のゆくえ』の作品情報
上映時間:144分
ジャンル:アクション、ファンタジー
監督:ピーター・ジャクソン
キャスト:イアン・マッケラン、マーティン・フリーマン、リチャード・アーミティッジ、エヴァンジェリン・リリー etc
映画『ホビット 決戦のゆくえ』の登場人物(キャスト)
- ビルボ・バギンズ(マーティン・フリーマン)
- 「小さき者」と呼ばれるホビット族の青年。ガンダルフの一計により、トーリンらはなれ山出身のドワーフの生き残りとともに、はなれ山をドラゴンから奪還する旅に出ることになる。欲がなく誠実。旅の途中で姿を消すことのできる「一つの指輪」を手に入れた。
- ガンダルフ(イアン・マッケラン)
- 「灰色の魔法使い」と呼ばれる魔法使い。その姿はみすぼらしいが、誰よりも知恵と先見の明をもつ。冥王サウロンの復活にいち早く気づき、ドル・グルドゥアに向かうが捕えられてしまう。
- トーリン・オーケンシールド(リチャード・アーミティッジ)
- かつてはなれ山で栄華を極めたドワーフの王族の子孫。若いころにドラゴンのスマウグによって一族は故郷を追われ、流浪の身におちぶれた。故郷と王族に代々伝わる秘宝アーケン石を奪還すべく、12人のドワーフと旅に出た。尊大な面もあるが、仲間からは慕われている。
- キーリ(エイダン・ターナー)
- トーリンの甥で、若く長身のドワーフ。本来ドワーフとエルフは犬猿の仲だが、傷の手当てをしてくれたエルフのタウリエルを愛するようになる。
- タウリエル(エヴァンジェリン・リリー)
- 闇の森のエルフ族の護衛隊長。次第に心の底でキーリを愛するようになるが、種族の違いを気にしている。
- レゴラス(オーランド・ブルーム)
- 闇の森のエルフ族でスランドゥイル王の息子。弓矢を使った軽い身のこなしで戦う。タウリエルの事を常に気遣っている。
- バルド(ルーク・エヴァンス)
- はなれ山近くの湖にある町・エスガロスに住む男性。かつてスマウグに滅ぼされた国のギリオン王の末裔で、ギリオン王はスマウグの鱗を黒い矢ではがしたと言われている。今は身分を落とし、2人の子供とつましく暮らしている。弓矢が得意。
- スランドゥイル王(リー・ペイス)
- 闇の森のエルフの王。自国さえ安全ならば他の種族の事には関わろうとしない。前作でトーリン達を捕えたが、ビルボの活躍により逃げられている。スマウグの黄金の間には、森のエルフから奪った宝もある。
- アゾグ(マヌー・ベネット)
- サウロンによって造られた邪悪な種族、オーク族のリーダー。トーリンによって片腕を失い、代わりに刀を埋め込んでいる。サウロンより命を受け、はなれ山とトーリンを狙う。
- スマウグ(ベネディクト・カンバーバッチ)
- はなれ山に住む邪悪なドラゴン。トーリンの祖父の代に、彼らの住むはなれ山を奪い取り、以後ここを拠点に大量の財宝を略奪している。
- ラダガスト(シルベスター・マッコイ)
- 「茶色の魔法使い」と呼ばれる魔法使い。魔法使い達の中では変わりもので、森の動植物を専門としている。ガンダルフと共にドル・グルドゥアで捕まってしまった。
- 黒がね山のダイン(ビリー・コノリー)
- 黒がね山に住むドワーフ族の領主。トーリンのまたいとこでもある。
- ガラドリエル(ケイト・ブランシェット)
- エルフに託された3つの指輪のうち1つを持つ、ロスローリエンの森のエルフの奥方。エルフの中でも特に強大なパワーと先を読む力を持っている。
- エルロンド(ヒューゴ・ウィーヴィング)
- 裂け谷を治めるエルフの領主。かつて人間と共に冥王サウロンと戦った。エルフに託された指輪のうち1つを持つ。
- サルマン(クリストファー・リー)
- 「白の魔法使い」と呼ばれる魔法使い。3人の魔法使いの中では最も偉大な魔法使いとされている。のちの『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズまでの間に、冥王サウロンに寝返ることとなる。
- 熊人ビヨルン(ミカエル・パーシュブラント)
- 熊と人、両方の姿になることができる。動物を愛し、動物を虐げる者やオーク族を憎んでいる。旅の途中でビルボ達に一夜の宿を貸した。
- 冥王サウロン / 死人遣い(ベネディクト・カンバーバッチ)
- かつて中つ国を支配していた絶対悪の存在。先の戦争で人間とエルフに滅ぼされたと考えられていた。しかし、「一つの指輪」を失って実体を失いながらも、「死人遣い」の名でドル・グルドゥアに潜んでいたことが判明する。のちの『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズでの悪の親玉。
- アングマールの魔王
- かつては人間の王だったが、冥王サウロンが作った指輪によって支配された9人の王の首領。実体はすでになく、幽鬼となりサウロンに仕えている。
映画『ホビット 決戦のゆくえ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ホビット 決戦のゆくえ』のあらすじ【起】
はなれ山に侵入したドワーフ達への見せしめに、はなれ山のドラゴン・スマウグは湖の町・エスガロスを襲いにきた。怪我の治療のため町に残っていたキーリ達や女エルフのタウリエルは、バルドの子ども達を連れて船に乗る。ドラゴンが町を焼き尽くす。かつての王の末裔バルドは鐘つき台から弓矢で対抗するが、スマウグはびくともしない。そこへ息子バインが、ギリオン王がスマウグの鱗をはがしたという伝説の黒い矢を持って駆け付けた。スマウグは無駄だと嘲笑するが、バルドは黒い矢で鱗がはがれたスマウグの胸を撃ち抜いた。スマウグは死に、湖に落ちる。
町は甚大な被害を受けた。キーリらドワーフ達は仲間の待つはなれ山へ向かうこととなる。キーリはタウリエルに愛の告白をし、種族など関係なく共に生きたいと誘う。しかし同じエルフのレゴラスがそれを許さなかった。タウリエルはレゴラスと残り、キーリは仲間と共にはなれ山へ向かった。エスガロスでは逃げ出した統領の代わりに、バルドが町の再建を指揮することとなった。
ドワーフ達のリーダー・トーリンは、スマウグの宝物庫で大量の財宝に囲まれ、王の威厳に酔っていた。トーリンは仲間に先祖代々伝わるアーケン石を探させていた。実はビルボは最初に潜入した時にアーケン石を手に入れていたのだが、欲に目がくらんだ様子のトーリンを見て、そのことを言い出せずにいた。
バルド達ははなれ山を目指していた。スマウグ亡き今、さまざまな種族がはなれ山の財宝を目指しやってくるだろう。邪悪な者達もはなれ山を目指し出軍していた。アゾグとその息子ボルグ達だ。彼らの狙いは、はなれ山にあるかつての悪の拠点グンダバドだ。オークの狙いを察知したレゴラスは、タウリエルと2人でグンダバドを目指す。
映画『ホビット 決戦のゆくえ』のあらすじ【承】
ドル・グルドゥア。ガンダルフとラダガストは悪の勢力に捕えられていた。そこにエルフのガラドリエル、エルロンド、白の魔法使いサルマンが助けに現れる。3人はアングマールの魔王ら9人の幽鬼を蹴散らした。ガンダルフは息を吹き返し、冥王サウロンが復活し始めていることを伝え、ラダガストによって逃がされる。ガラドリエル達の前に、冥王サウロンの目が現れた。ガラドリエルはサウロンをその場から追い出すのに力を使いきり、サルマンがサウロンの挙動を見張ることとなる。
はなれ山の砦では、アーケン石が見つからず、トーリンが憤っていた。トーリンは祖父同様、独占欲と猜疑心に支配されていた。仲間達も、アーケン石が見つかればこの病はさらにひどくなるだろうと心配していた。その時、はなれ山を目指し人々が集まってきていることにドワーフ達は気付く。バルド達だ。トーリンは守りを固めるよう命令する。
ガンダルフははなれ山目指し、馬を駆らせていた。
闇の森のエルフ・スランドゥイル王も、富の分配にあずかるため、軍隊をはなれ山のふもとに到着させる。スランドゥイル王はエスガルドの人々に食料を支給する。バルドはスランドゥイル王に、共に交渉をしようと持ちかける。
バルドはトーリンに話し合いを申し入れ、トーリンが約束した富の分配を要求する。しかし欲に支配されたトーリンは約束を守ろうとしない。交渉は決裂した。夜明けになれば、戦が始まる。
映画『ホビット 決戦のゆくえ』のあらすじ【転】
ドワーフ達は戦の準備中。トーリンはビルボに、羽のように軽いが最強の鎧であるミスリルの胴着を贈る。仲間を疑い、金貨1枚たりとも誰にも渡さないと言うトーリンの目に、ビルボは狂気を見ていた。
エスガルドの町民とエルフが戦の準備をしている野営地に、ガンダルフが到着する。ガンダルフはサウロンによってオークの軍団が差し向けられていると警告する。はなれ山はアングマール魔王の国とつながり、戦争時に大きな拠点となるからだ。しかしスランドゥイル王は耳を貸さない。
レゴラスはグンダバドにオーク軍が集結するのを見て、急ぎ警告に戻る。
ビルボはこっそり砦を逃げ出し、野営地にやってきた。ビルボはスランドゥイル王、バルド、ガンダルフの前でアーケン石を見せる。ビルボはトーリン達を救うため、アーケン石を彼らに託す。ガンダルフはビルボに感服していた。
夜明けが来た。バルドはトーリンにアーケン石を見せ、交渉しようとする。アーケン石は自分が渡したと告白するビルボを、怒り狂ったトーリンは砦から投げ落とそうとする。しかしガンダルフがそれをいさめた隙に、ドワーフ達はビルボを逃がす。
黒がね山からダイン率いるドワーフの軍勢が現れた。トーリンに加勢しに来たのだ。交渉が決裂し、ドワーフとエルフの戦いがまさに始まろうとしたその時、岩肌からオーク軍が攻めて来た。
ドワーフ軍とエルフ軍は協力し、オーク軍に立ち向かう。アゾグの指示でトロール達が野営地になだれ込む。女子供を助けるため、エスガルド町民とガンダルフは野営地に戻りオーク達と戦う。
オーク軍の数に、残りの3軍は劣勢に追い込まれていた。しかしトーリンは王冠を戴き、ダイン達を助けようともしない。仲間達は、変わってしまったトーリンに失望していた。トーリンは1人黄金の間にたたずみ自問自答していた。金に飲み込まれる自分の姿を見たトーリンは、我に帰り王冠を投げ捨てる。
敗戦が近づいている。悲しみに暮れる仲間達の前に、正気に返ったトーリンが戻った。トーリンは仲間達を救うため戦に加勢することを決める。
映画『ホビット 決戦のゆくえ』の結末・ラスト(ネタバレ)
ドワーフ・エルフ軍が砦前に追い詰められた。そこに角笛の音が響く。トーリンが先陣を切り、再びドワーフ・エルフ軍はオーク軍に突っ込んでいく。トーリンはキーリ達数名とともに、敵の頭アゾグを討つためカラスが丘に向かう。ガンダルフのもとにレゴラスとタウリエルが戻った。カラスが丘の方角から別のオーク軍が攻めてくるのだ。カラスが丘にキーリが向かったことを知ったタウリエルは、撤兵しようとするスランドゥイル王を説得する。しかし王は耳を貸さない。タウリエルとレゴラスは王の命令を無視し、カラスが丘に向かう。
ビルボは姿の消える魔法の指輪をはめ、トーリンに警告しに行く。しかし仲間の1人がアゾグに殺され、トーリン達はアゾグ達との戦いに突入する。キーリはタウリエルと合流し、お互いを守りながら戦う。しかし、アゾグの息子ボルグの刃にキーリは刺殺されてしまう。タウリエルは仇を討つため戦いを挑み、崖から転げ落ちてしまう。レゴラスの加勢により、ボルグは谷底に落ちた。
一方頂上付近の凍った池では、トーリンとアゾグの一騎打ちが始まった。勝負は互角。その時、茶の魔法使い率いる大鷲軍団がやってきた。地上でも熊人ビヨルンが加勢し、戦況が一気に優勢に変わっていく。アゾグを討ち倒したトーリンだったが、自身も深手を負いそのまま倒れ込む。そこへビルボが駆け付けた。トーリン・オーケンシールドは、真の友ビルボに看取られ、静かに逝った。
戦は終わった。一族から離れることを決意したレゴラスは、父スランドゥイル王から、人の王の末裔(ドゥネダイン)の「ストライダー」を訪ねるようアドバイスされる。タウリエルは愛するキーリを失い、悲嘆に暮れていた。ドワーフの仲間達も、トーリンの死を悼んでいた。どの種族も多くの仲間を失い、弔いの角笛を鳴らす。
大事な友となったドワーフ達に別れを告げ、ビルボはガンダルフと共に帰途につく。ガンダルフはビルボに指輪の取り扱いについて警告するが、ビルボは「戦いで落としてしまった」と返す。ガンダルフと別れたビルボは、ホビット庄に戻ってきた。危うく競売にかけられそうになっていたわが家を取り戻し、ついにビルボは愛する家に戻ってきたのだ。そのポケットには、あの「一つの指輪」を隠し持って……。そして物語は『ロード・オブ・ザ・リング』へとつながる。
映画『ホビット 決戦のゆくえ』の感想・評価・レビュー
はなれ山に着き、バルドがスマウグを倒し祖国を取り戻したトーリン達ドワーフ族であったが、次々と宝を狙う刺客達がはなれ山に向かい、ドワーフ軍、エルフ軍、オーク軍などの戦いが始まったり、アーケン石が見つからず正気を失っていたトーリンや、ガンダルフが再び戻ってきたシーンなど、たくさんの見所があり、釘付けになっていた。戦いの末、多くの仲間達を失ってしまった悲しみが共感できた。最後の、指輪を隠し持ってガンダルフとの別れをしたビルボの行動が、後のロード・オブ・ザ・リングへと繋がるシーンが印象的であり、最高の終わり方であった。(女性 20代)
ついにホビットシリーズの最終章です。ドワーフ達の故郷であるエレボールの奪還に成功したのだが、トーリンは自分を見失い城に立てこもります。そこへアゾグ率いるオークの大群が攻めてきます。
ここでもやはり大活躍したのはレゴラスでした。タウリエルがピンチのときに駆け付けるシーンは人間離れした動きなので大注目です。ですが、まさかキーリとフィーリが死んでしまうとは思いませんでした。キーリはキーリを愛しているタウリエルの目の前でオークに殺され、フィーリはオークに殺されてから下にいた弟のキーリの目の前に落とされるなんてとても残酷でした。(女性 20代)
ホビット最後の作品となるこの映画。見どころたっぷりでこれを見た後には、もう一度ロードオブザリングを見たくなります。
この3作であのホビットの村にいた頃とは見違えるほど成長し、勇気を持ったビルボ。最後の戦いではみんなが部族を超えて戦う姿や、自分を犠牲にしてほかの仲間のために戦う姿に心を打たれます。
そして戦いを終え故郷へと帰ってきたビルボですが、そこには例の指輪も。ここからロードオブザリングが始まるのだと、物語の繋がりが見えるエンディングです。(女性 20代)
ここまで壮大なシリーズをまとめるのは至難の技。しかし今作は完結編としての役目をしっかりと果たしている。もっと評価されてもいいと感じる作品である。確かにストーリーの盛り上がりは前作全前作と比べると落ちているかもしれないが、シリーズ全体で見ると起承転結の結の部分なのだから仕方がない。独立した作品として観てはいけないと個人的には思う。一つだけ文句を言うと、3作通じて言えることだがとにかく時間が長い。もう少し短くても魅力は損なわないのでは?と思ってしまった。(男性 20代)
黄金に魅入られ、徐々に周囲から孤立してゆくトーリンの姿は、前シリーズでのフロドやボロミアを彷彿とさせられ非常に胸が痛かった。だが、最後には自分の力で黄金の魔力に打ち勝ち、崇高なるドアーフの王として、そしてビルボの良き友として旅立っていった彼の姿は、悲しいけれどとても格好良かった。
フィーリの最期やキーリとタウリエルの恋の結末など、決してハッピーエンドとは言えないが、それでもこの物語がのちの『ロード・オブ・ザ・リング』へと繋がっていくのだと思うとすべてが愛おしい。前シリーズに負けず劣らずの素晴らしい三部作だった。(女性 30代)
シリーズの最終作でこれまでの伏線を回収し、物語のいったんの決着までを描く。
とくにトーリンが王としての責務を果たすところは、今までの登場人物の姿が重なって胸が熱くなる。そして最後に指輪の行方が『ロードオブリング』のお話にスムーズに繋がっていくのに壮大な物語を見事に映像化したスタッフに心からの賛辞を送りたい。
ただし、この作品を見ると『ロードオブリング』シリーズを見たくなるので時間がいくらあっても足りないのが難点。(男性 30代)
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