映画『高慢と偏見(1940)』の概要:英国の女流作家ジェーン・オースティンの小説『高慢と偏見』を映画化した作品。1940年に公開されたものの、日本では劇場未公開となり、テレビ放映のみに留まった。本作品は、名優ローレンス・オリヴィエがダーシー氏を演じたことでも話題になった。
映画『高慢と偏見』の作品情報
上映時間:118分
ジャンル:コメディ、ラブストーリー、時代劇
監督:ロバート・Z・レオナード
キャスト:グリア・ガーソン、ローレンス・オリヴィエ、モーリン・オサリヴァン、メアリー・ボーランド etc
映画『高慢と偏見』の登場人物(キャスト)
- エリザベス・ベネット(グリア・ガースン)
- ベネット家の次女で、姉妹の中でも一番頭の良い女性。ややへそ曲がりな性格でもある。
- フィッツウィリアム・ダーシー(ローレンス・オリヴィエ)
- ダービシアに住む資産家青年。ビングリーの親友。全く笑わない高圧的な態度は、人々の反感を買う。
- キャサリン・デ・バーグ(メイ・オリヴァー)
- ダーシーの叔母で、ダーシーの許嫁の母でもある。音楽を嗜み、人々にあれこれと助言を与えるのが好き。
- ジェーン・ベネット(モーリン・オサリヴァン)
- ベネット家の長女で、次女エリザベスと大変仲が良い。村で一番の美人で、他人の悪口などには一切耳を傾けない性格美人でもある。
- チャールズ・ビングリー(ブルース・レスター)
- ネザフィールドパークを購入した資産家青年。村一番の美人と評判の高いジェーンに恋をするも、家族や友人から身分の差を指摘され、その恋に悩む。
- コリンズ
- エリザベスの従弟で、キャサリン・デ・バーグ夫人の教区に勤める牧師。自分に相応しい花嫁を貰うためにベネット家を訪ねてくる。
映画『高慢と偏見』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『高慢と偏見』のあらすじ【起】
18世紀のイギリスのとある田舎町。
ネザフィールドパークに買い手が付いて、それもかなりの資産家の青年だというビッグニュースはあっという間に村に広まった。年頃の娘5人を持つベネット夫人は、町での買い物を済ませる前に大急ぎで家に舞い戻る。夫のベネット氏にビングリー氏を訪ねてもらうためだ。
女性の身分が低いこの時代には、家長である男性が家同士の親交を深めて初めて、家付き合いが出来るようになる。特に年頃の娘がいる家では、我先にその家との親交を取り決めなければ出遅れると考えられていた。
ベネット夫人は、一刻も早くビングリー氏を訪ねるよう夫を説得するも、感情論にはびくともしないベネット氏。夫人が喚き始めた時、実はもうビングリー氏に会ったという嬉しいニュースをベネット氏が口にする。ちょっと夫人をからかうことがベネット氏の楽しみなのであった。
町のパーティーにビングリー氏、ビングリー氏の妹、そしてビングリー氏の友人であるダーシー氏がやってくる。
中流社会のパーティーに嫌々参加しているビングリー氏の妹とダーシー氏。しかし、ビングリー氏はとても人懐っこい性格であるために、あっという間に村の人々の輪に溶け込む。そこでジェーンと出会い、2人は一目惚れする。
パーティーを楽しまないダーシーにもっと肩の力を抜くよう助言するビングリー氏。ダーシーのお相手にジェーンの妹エリザベスを勧めるも、自分には釣り合わないと取り合わない。それを陰で聞いてしまったエリザベスは傷つき、彼にダンスを誘われても一生踊らないと心に固く決める。
映画『高慢と偏見』のあらすじ【承】
ビングリー氏とジェーンの仲は深まり、ジェーンはビングリー氏の妹の招待を受けてビングリー氏の邸宅に赴くことになる。しかし、雨の中を馬で行けば一晩お屋敷に泊まれるのではというベネット夫人の妙計で、ジェーンはずぶ濡れになって邸宅に到着。この時の雨が原因ですっかり風邪を引いてしまう。
姉が心配なエリザベスは、姉を見舞いに歩いてビングリー氏の邸宅に向かう。ペチコートを泥だらけにしながらも姉を見舞う優しさに心打たれるダーシー氏。ジェーンが良くなるまでは泊まっていきなさいというビングリー氏の言葉に甘えて、数日間をビングリー邸で過ごすことになるエリザベス。
苦手なダーシー氏やビングリー氏の妹と付き合いながら、少しずつダーシー氏と心を通わせるエリザベス。しかし、最初の印象が悪いだけに素直にダーシーを受け入れられず苦悩する。
ジェーンの体調が良くなってから程なくして、また村でパーティーが開催された。そこでエリザベスはウィッカムという青年将校と出会う。気さくで明るいウィッカムは、どこか影があって何を考えているのか分からないダーシーとは対照的な存在であった。あっという間に仲が良くなったエリザベスとウィッカムは、一緒にダンスを楽しんだり話を楽しんだりしていた。
そこにダーシー氏が現れる。エリザベスをダンスに誘うも拒絶される。ダンスを拒まれたダーシーはただただ驚くばかり。そこで、村の長を連れてきて再びダンスにエリザベスを誘う。これには流石のエリザベスも承知しないわけにはいかず、1曲だけダンスを踊ることにする。
エリザベスは、ウィッカムとのおしゃべりを楽しんでいた時に、ダーシー氏のよくない評判を聞きつけていた。そのことをダンスの最中ダーシーに質問した。ダーシーは急に表情を変え、エリザベスから離れていった。エリザベスは、ウィッカムの話をすっかり信じ込み、ダーシーを悪者扱いするようになっていた。
映画『高慢と偏見』のあらすじ【転】
ベネット家にコリンズという牧師がやってきた。彼はエリザベスたちの従弟にあたるという。ベネット家には男子がいないため、ベネット氏が死んだ後の家の相続権はコリンズに移るということから、自分の妻にベネット家の女性をと考えているという。ベネット夫人は次女のエリザベスを勧め、コリンズはこれに乗る。しかしエリザベスにプロポーズするも拒否されたため、エリザベスの親友であるシャーロットと結婚することに決める。
コリンズとシャーロットが結婚して、初めて2人の新居に訪れることに決めたエリザベス。コリンズのパトロンでもあるキャサリン・デ・バーグ夫人に会い、晩餐会に招待される。そこでエリザベスは、キャサリン夫人の甥であるダーシー氏との再会を果たす。
時同じくして、ビングリー氏がネザフィールドを去るというニュースが舞い込んできた。ビングリー氏は、よき友人のアドバイスに基づいてネザフィールドを去ることに決めたという。エリザベスはすぐにダーシーの陰謀だと勘づく。
エリザベスがダーシーに対して怒りを抱いていた時、ダーシーがなんとエリザベスにプロポーズを申し込む。身分の差は大きいがという説明に完全に怒ったエリザベスはダーシーを振る。屈辱的な振られ方をしたダーシーは、ウィッカムのことやビングリーのことを手紙にしたため、エリザベスに渡す。エリザベスはそれを読んで、ウィッカムに騙されていたこと、そしてダーシーを誤解していたことを知る。
時を置かずして、エリザベスの一番下の妹のリディアがウィッカムと駆け落ちしたというニュースが入ってくる。戸惑うエリザベスにダーシーがなんとかすると身を引く。エリザベスは妹の不祥事で自分に未来ある結婚が出来ないことを嘆く。
数日後にリディアとウィッカムが揃ってベネット家に来た。素直に祝福出来ないエリザベスにリディアはダーシー氏のお蔭だという話をする。ダーシー氏がお金を出して、裏で動いてくれたから自分たちは結婚できたと言うのだ。この話から、まだダーシーが自分のことを想ってくれていると確信するエリザベス。
そこへキャサリン・デ・バーグ夫人が現れ、甥っ子と婚約しているのかとエリザベスに詰め寄る。キャサリン夫人の問いかけに答えをはぐらかすエリザベス。
映画『高慢と偏見』の結末・ラスト(ネタバレ)
キャサリン夫人はベネット邸から帰ると、ダーシーにあなたにはあの子しかいないでしょうと言い、2人の結婚を認めたことを表す。感極まったダーシーは叔母に接吻をする。
ダーシー氏がベネット家にやってくる。庭でエリザベスと話をする。キャサリン夫人の言葉で勇気をもらったからと、もう一度プロポーズする。エリザベスは、キャサリン夫人がダーシーの送った遣いだったとは気付かず失礼な態度を取ったことを詫び、ダーシーのプロポーズを受ける。この様子を窓から見ていたベネット夫人はびっくり仰天。あれほど忌嫌っていた2人がくっつくなんてとても信じられないことだったのだ。
そして、ダーシーの計らいでビングリーとジェーンも関係を修復し、婚約した。
部屋の中では、音楽好きの三女メアリーと音楽好きの男性が仲良く演奏会をしていたり、四女のキティと将校が仲良くお話ししている。これを見てベネット夫人は、これから忙しくなるわと嬉しそうにしているのであった。
映画『高慢と偏見』の感想・評価・レビュー
名前だけは聞いたことがあったが内容は知らなかった話の一つ。
てっきり小難しい英国文学なのかと思いきや、昼メロもびっくりの敷居の低いラブコメだった。もちろん原作を言語で読めばそうではない部分もあるのかもしれないし、時代背景等を考えると深い意味があるのかもしれないが、映画は適度に軽めに纏められている。なにより最後は大団円なのが良い。
「ユー・ガット・メール」や「ブリジット・ジョーンズ」シリーズが好きな人は一度は観ておいて損はない一本。(男性 40代)
『高慢と偏見』というタイトルから難しい作品かと思いきや、とても見やすいラブストーリーでした。
女性は従順であるべきとされていた時代の物語なので、女性を下に見るような描き方をされていて、そこだけは気になりましたが、ストーリー的にはとても面白かったです。
資産家の青年・ダーシーとこの時代には珍しい自分を持った女性・エリザベスの恋の物語。エリザベスにプロポーズをするダーシーですが、その高慢な態度が気に入らなかったエリザベス。後にそれは偏見のせいだったことが分かるのですが、それがまさにタイトル通りで笑ってしまいました。終始テンポが良いので飽きずに見ることが出来ました。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー
エリザベスとダーシーに的を絞った心理劇。脇役もコミカルで面白かった。特にキャサリン夫人のメイ・オリヴァー、またかと思うほどこうした役(デヴィッド・コパフィルドなど)、適役でいいですね。往年の雰囲気に浸れました。