この記事では、映画『あしたのパスタはアルデンテ』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『あしたのパスタはアルデンテ』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『あしたのパスタはアルデンテ』の作品情報
上映時間:113分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:フェルザン・オズペテク
キャスト:リッカルド・スカマルチョ、ニコール・グリマウド、アレッサンドロ・プレツィオージ、エンニオ・ファンタスティキーニ etc
映画『あしたのパスタはアルデンテ』の登場人物(キャスト)
- トンマーゾ・カントーネ(リッカルド・スカマルチョ)
- ローマで暮らしており、恋人がいる。ゲイであることと、作家になりたいことを家族に隠している。
- アルバ・ブルネッティ(ニコール・グリマウド)
- カントーネ家のパスタ工場の共同経営者の娘。トンマーゾに恋心を抱く。
- アントニオ・カントーネ(アレッサンドロ・プレツィオージ)
- トンマーゾの兄。家族にゲイであることを打ち明けた為、勘当される。
- ヴィンチェンツォ・カントーネ(エンニオ・ファンタスティキーニ)
- トンマーゾの父。女好き。パスタ工場を経営している。アントニオがゲイだという事実を受け止められず、倒れてしまう。
- ステファニア・カントーネ(ルネッタ・サヴィーノ)
- トンマーゾの母。ヴィンチェンツォと同じように、アントニオがゲイだという事実を受け止められずにいる。
- お祖母ちゃん(老年:イラリア・オッキーニ / 若年:カロリーナ・クレシェンティーニ)
- トンマーゾのお祖母ちゃん。パスタ工場の創業者。トンマーゾ達の良き理解者で、アントニオがゲイだということも知っていた。若い頃、夫の弟の二コラに恋をしており、ずっと胸に秘めている。
- マルコ(カルミネ・レカーノ)
- トンマーゾの恋人。医者。
映画『あしたのパスタはアルデンテ』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『あしたのパスタはアルデンテ』のあらすじ【起】
お祖母ちゃんは写真を見ながら、若かりし頃に思いを馳せた。ウェディングドレスを着て田舎道を走り抜けると、遺跡のような建物に辿り着いた。その中に居た男性の目の目で、お祖母ちゃんは自分の胸に拳銃を突きつけた。男性は拳銃を取り上げようとするが、銃声が外まで鳴り響いた。お祖母ちゃんは写真に写る別の男性と結婚した。
お祖母ちゃんの孫であるトンマーゾが、久しぶりに家に帰って来た。家族達は再会を喜び合う。トンマーゾはパスタ工場に居る兄のアントニオに会いに行き、自分の秘密を打ち明ける。それは、作家として働きたいことと、小学生の頃からゲイの自覚があることだった。アントニオは少し驚いたが、今まで通り秘密にしていればいいと弟を諭す。しかし、半端なことが嫌いなトンマーゾは、木曜の夕食会で家族に打ち明けることを伝えた。
トンマーゾは恋人のマルコに、今夜ゲイだと家族に打ち明けることを伝える。夕食会には、共同経営者の娘であるアルバも居た。他の家族も集まり、トンマーゾは緊張した面持ちで話し出そうとした。しかし、アントニオがそれを遮り、自分はゲイだと打ち明けた。そして、皆にばれるのを恐れて解雇してしまった、従業員で恋人のミケーレを呼び戻したいと伝えた。父のヴィンチェンツォは怒り狂い、アントニオを勘当した。
ヴィンチェンツォは心筋梗塞で倒れてしまう。トンマーゾだけが病室に呼ばれ、手を貸してくれと涙ながらに父に頼まれる。トンマーゾはゲイのことも作家になりたいことも言えず、途方に暮れてマルコに電話する。その電話をアルバに聞かれてしまい、ゲイだとばれてしまう。だが、アルバが気にしている様子はなかった。

映画『あしたのパスタはアルデンテ』のあらすじ【承】
トンマーゾはアルバに無理矢理連れ出され、仕事に駆り出される。だが、トンマーゾはやる気が無かった。母のステファニアはアントニオがゲイだと信じられず、アントニオの部屋を漁っていた。すると、ミケーレと仲睦まじく映る写真が見つかる。
ステファニアは使用人達にも、アントニオの秘密を守るように伝える。しかし、お祖母ちゃんは家族なら受け入れるべきだと反論した。夜、トンマーゾはお祖母ちゃんに会いに行く。お祖母ちゃんはアントニオからゲイだと打ち明けられて知っていた。そして、嫌々仕事をしているトンマーゾに、人の望み通りに生きるのはつまらないものだと優しく諭した。
ヴィンチェンツォは退院してトンマーゾとカフェに行くが、街の人にアントニオのことが知れ渡っているという被害妄想で、心が病んでしまう。そして、家に閉じこもってしまう。トンマーゾは仕方なくアルバと共に工場経営を頑張るが、マルコと会えない辛さが募る。そして、気を紛らわそうとして、夕食を作りながらアルバにマルコとの思い出を語った。アルバはトンマーゾに惹かれており、目に涙を溜めて密かに悲しんだ。
トンマーゾは姉のエレナに協力してもらい、工場との交渉を行う。エレナの娘達は叔母に見てもらった。その日の夜、トンマーゾの前にアントニオが現れる。アントニオはミケーレを迎えに行ったが、既に愛想を尽かされていたと落ち込んでいた。それでも、トンマーゾはアントニオが勝手に家族に打ち明けたことを許せず、お互い相手のことを責めて喧嘩別れをしてしまう。
映画『あしたのパスタはアルデンテ』のあらすじ【転】
ヴィンチェンツォはトンマーゾとアルマが仲良くしていると、安心したように笑顔になった。だが、アントニオのことは名前を聞くことも嫌がった。トンマーゾは勇気を出して、アントニオと会ったことを話した。そして、アントニオは家族なのだから家に戻るべきだと伝えた。ヴィンチェンツォとステファニアは受け入れられず、お祖母ちゃんだけが味方した。
トンマーゾは工場に行き、勇気を出してエレナに自分がゲイであることを打ち明ける。しかし、エレナはトンマーゾとアントニオがゲイであることに気付いていた。しかも、兄弟がゲイだということを特別気にしている様子も無く、トンマーゾは拍子抜けする。
お祖母ちゃんはアルバにパスタのことを話していたが、悲しそうな顔を見て恋に悩んでいることに気付く。慰めの代わりに、夫の弟であるニコラのことを話した。お祖母ちゃんは二コラのことを愛しており、それは結婚をしてからもずっと変わらなかったことを打ち明けた。そして、叶わない愛には終わりが無いことを教えた。
トンマーゾの家にマルコとゲイの友人のアンドレア、ダヴィデ、マッシミリアーノが訪れる。皆ゲイであることを隠しているが、トンマーゾはいつ家族にばれるかドキドキして挙動不審になる。トンマーゾの様子を見て、お祖母ちゃんだけは気付く。トンマーゾの家族への挨拶が終わると、トンマーゾはマルコを裏庭に連れて行った。そして、勝手に来たことを非難してしまい喧嘩になる。マルコ達はそのまま家に泊まることになるが、ゲイだとばれないようにアンドレア達は必死に演技をした。
マルコはトンマーゾの部屋を訪ねた。トンマーゾは会うのを躊躇うが、我慢できなくなり扉を開けた。そして2人は抱きしめ合った。
映画『あしたのパスタはアルデンテ』の結末・ラスト(ネタバレ)
マルコ達はアルバを連れて海水浴を楽しみ、ゲイであることを隠さず開放的に遊んだ。トンマーゾはその姿を見て、二度とマルコと離れないことを誓う。アルバは辛い気持ちを我慢して、トンマーゾとマルコの姿を目に焼き付けた。帰り道、マルコは出版社から届いていた手紙をトンマーゾに渡した。そして、一足先にローマへと帰って行った。
トンマーゾはヴィンチェンツォ達に作家になりたいことを話した。そして、一生出版するのが無理でも、自分の為に書きたいと伝えた。ヴィンチェンツォは話し合おうとするが、トンマーゾの気持ちは既に固まっていた。その夜、お祖母ちゃんは久しぶりに自分の顔に化粧をして着飾った。そして、糖尿病にも関わらず、机に並べられたお菓子を順番に食べた。
朝、お祖母ちゃんはトンマーゾを起こすと、自分の幸せを考えろと伝えて優しく微笑んだ。その時、部屋の外で騒ぎがありトンマーゾが向かうと、お祖母ちゃんがベッドの上で亡くなっていた。お祖母ちゃんは遺言状を残しており、アントニオに土地を残していること。そして、ヴィンチェンツォ達にアントニオを拒むのは止めなさいと書いてあった。他にも家族に対して愛情の籠った言葉が書かれていた。ヴィンチェンツォ達は霊柩車の後ろを歩きながら、アントニオを受け入れることを決めた。
映画『あしたのパスタはアルデンテ』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
コメディ要素が多くユーモアたっぷりなので楽しんでみることができ、ストーリーは心が温かくなり、家族や友情のことを考えさせてもらえるものだったのでよかった。同性愛について強い否定を表すシーンがあり、今でこそ少しずつ理解されつつあるが、やはり差別は存在するのだなと少し悲しくなった。
結末が観た人の判断に任せるというタイプだったので、はっきりと終わらせてほしかったと少しモヤっとして終わってしまい、そこは残念だった。(女性 20代)
「カミングアウト」のタイミングって本当に大事ですよね。この作品の舞台は南イタリアの田舎町。自分がゲイであるとカミングアウトしようと里帰りした男。しかし、兄が先にゲイであることをカミングアウトしてしまい、自分は言い出せなくなってしまいます。
未だに無くならない、こういう話題に対する偏見。この作品で描かれていたのは、ゲイであることを理解できない父親。日本でもそうですが、若者よりも年配の方のほうがこういう話題に笑ってしまうほど固執しているように感じます。
どんな形でも「愛」ってすごく温かくて、大切ですね。愛を感じられる作品でした。(女性 30代)
カラフルで陽気なイタリア映画かと思いきや、家族と自分らしさの間で揺れる繊細なドラマが詰まった作品でした。主人公トンマーゾがカミングアウトしようとした矢先、兄のアントニオが先にゲイであることを告白し、家族がパニックに。特に父の反応があまりにも古風で、それが逆にリアル。悲喜こもごもの展開が、笑いと切なさを同時に運んできます。(20代 男性)
色鮮やかな映像と、美味しそうな料理の数々にまず惹かれましたが、テーマは意外と重く深い。特に家族に自分の本当の姿を受け入れてもらうことの難しさは、国や文化を越えて共感できました。祖母が若い頃に秘密の恋をしていたことを打ち明けるシーンには思わず涙。ラストで彼女が家族のために取った行動には、驚きと尊敬が混じった気持ちになりました。(30代 女性)
一見するとラブコメのような雰囲気ですが、実は家族、伝統、自由をめぐるシリアスな問題が絡み合っていて見応えがありました。兄のアントニオが突然のカミングアウトで家業を追い出され、代わりに弟が後を継ぐ…という皮肉な展開に苦笑しつつも、イタリア社会の保守性を鋭く突いた良作だと思います。笑いと風刺が絶妙なバランスで共存しています。(40代 男性)
女性として、主人公の母や祖母の気持ちにも深く共感しました。家族の中で「女性はこうあるべき」という固定観念に縛られて生きる辛さがさりげなく描かれていて、自分自身と重ねました。祖母の最期の選択は悲しいけれど、家族の未来のためという気高さを感じて泣いてしまいました。イタリア映画の奥深さを感じた一本です。(50代 女性)
トンマーゾとアントニオ兄弟の関係が本当にリアルで良かった。特に兄が先にカミングアウトしてしまう展開は予想外で、弟の戸惑いに妙に共感しました。自分もまだ親にカミングアウトできていないので、余計に感情移入しました。陽気な空気の中に、社会の偏見や家族の葛藤がしっかり描かれていて、勇気をもらえる映画でした。(20代 男性)
映像が綺麗で、料理もインテリアもイタリアらしくておしゃれ。でも内容はちゃんと重くて、家族というもののしがらみや、何世代にもわたる価値観の違いが浮き彫りになっていました。祖母の過去の恋の話が、今のトンマーゾの状況にリンクしているのが素敵でした。ラストの“アルデンテ”な人生観に、共感しました。(30代 女性)
正直、もっとライトな作品かと思っていたら意外に深くてビックリ。「伝統」と「自分らしさ」の衝突はどこの国でもあるんですね。父親の頑固さにイライラしつつも、彼の時代の価値観がそうさせてるのもわかる。だからこそ祖母の存在が効いていて、過去と現在、家族と個人を繋ぐ重要な役割を担っていたと思います。良質な人間ドラマでした。(40代 男性)
自分も息子を持つ親なので、あの父親の気持ちが少しわかってしまいました。愛しているからこそ、期待して、理想を押し付けてしまう。でも、それが子どもを傷つけてしまうということを、映画を通して痛感しました。祖母の優しさと決断がすべてを和らげてくれて、涙が止まりませんでした。家族で観て語り合いたい映画です。(50代 男性)
映画『あしたのパスタはアルデンテ』を見た人におすすめの映画5選
君の名前で僕を呼んで(Call Me by Your Name)
この映画を一言で表すと?
イタリアの陽光の下で芽生える、ひと夏の繊細な恋の記憶。
どんな話?
1983年、イタリア北部の避暑地を舞台に、17歳の少年エリオと大学院生オリヴァーが出会い、次第に惹かれ合っていく過程を丁寧に描いた青春ラブストーリー。情熱と痛みが交差する美しいひと夏の物語。
ここがおすすめ!
恋とアイデンティティの間で揺れる主人公の姿に、『あしたのパスタはアルデンテ』と通じる感情のリアリティがあります。映像美と音楽、セリフの一つひとつに詩情が宿る、映画好きなら見逃せない一作です。
プリシラ(The Adventures of Priscilla, Queen of the Desert)
この映画を一言で表すと?
笑って泣ける、ドラァグクイーンたちのロードムービー!
どんな話?
オーストラリアの荒野をバスで旅する3人のドラァグクイーン。地方の偏見や自分たちの過去と向き合いながら、それでも堂々と自分らしく生きる彼女たちの姿を、ユーモアと感動で包み込んだヒューマン・ドラマ。
ここがおすすめ!
「自分らしく生きる」というテーマが『あしたのパスタはアルデンテ』と強く共鳴。カラフルな衣装と楽曲、笑いに満ちた展開の中に深いメッセージが込められており、観終わったあと温かい気持ちになれます。
グッド・ストライプス
この映画を一言で表すと?
愛とはなにかを模索する、現代的で静かな結婚物語。
どんな話?
倦怠期カップルのこじれた関係が、ひょんなことから結婚に向かって動き出す。結婚準備という日常の中で、互いに向き合い始める2人の変化を、淡く繊細に描いた日本発の人間ドラマ。
ここがおすすめ!
人間関係の「すれ違い」と「本音」に焦点を当てた構成が秀逸で、静かながら深く心に残る作品。家族や愛の形がテーマである『あしたのパスタはアルデンテ』が好きな方におすすめしたい良作です。
トーチソング・トリロジー(Torch Song Trilogy)
この映画を一言で表すと?
笑いと涙で綴る、ゲイ男性の人生と愛の遍歴。
どんな話?
ニューヨークで生きるドラァグクイーンのアーノルドが、自分を愛してくれる人を求め、家族との関係を見つめ直しながら、人生と向き合っていく姿を描いた感動作。1970~80年代のゲイ文化が背景。
ここがおすすめ!
コミカルながらも核心を突いたセリフが多く、LGBTQテーマの入門としても見やすい一本。親との葛藤、自分の幸せの形を模索する主人公の姿は、『あしたのパスタはアルデンテ』と深く重なります。
クローゼットに閉じこめて(Le Fil)
この映画を一言で表すと?
伝統と個人の間で揺れる、チュニジア発の静かな感情劇。
どんな話?
フランスから故郷チュニジアに帰ってきた主人公が、母との関係や自分のセクシュアリティと向き合う日々を描いた作品。家族経営のビジネスを継ぐプレッシャーと、自分らしい生き方の狭間で揺れ動く。
ここがおすすめ!
中東の保守的な社会における同性愛というテーマが描かれており、『あしたのパスタはアルデンテ』のイタリア的状況と共鳴します。しっとりとした映像と、抑えた演技が印象的な静かな傑作です。
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