映画『マグニフィセント・セブン』の概要:アントワーン・フークワ監督が、黒澤明監督の「七人の侍」(54)と、そのリメイク版であるジョン・スタージェス監督の「荒野の七人」(60)へのリスペクトを込めて製作した西部劇。リーダー役に黒人のデンゼル・ワシントンを起用し、他のメンバーも様々な人種で構成されている。迫力あるアクションシーンは見応え十分。
映画『マグニフィセント・セブン』の作品情報
上映時間:133分
ジャンル:西部劇、アクション
監督:アントワーン・フークア
キャスト:デンゼル・ワシントン、クリス・プラット、イーサン・ホーク、ヴィンセント・ドノフリオ etc
映画『マグニフィセント・セブン』の登場人物(キャスト)
- サム・チザム(デンゼル・ワシントン)
- カンザス州の巡回裁判所の委任執行官であり、インディアン準州及び7州の治安官も兼任している賞金稼ぎ。銃の早撃ちの名手。エマに頼まれ、ボーグに土地を奪われそうになっている町を救いにいく。7人のリーダー。
- ジョシュ・ファラデー(クリス・プラット)
- カードを使った手品が得意なギャンブラー。二丁拳銃の名手。気さくなアイルランド人。
- グッドナイト・ロビショー(イーサン・ホーク)
- 凄腕の狙撃手として知られるフランス系カナダ人。南北戦争で多くの人を殺した罪悪感から、銃を撃てなくなっている。
- ジャック・ホーン(ヴィンセント・ドノフリオ)
- 多くのネイティブ・アメリカンを殺したことで知られる伝説の殺し屋。野性的な接近戦を好み、ナイフを使って敵を惨殺する。
- ビリー・ロックス(イ・ビョンホン)
- 東洋系のナイフ投げの達人。自分を差別せずに相棒にしてくれたグッドナイトに感謝している。
- バスケス(マヌエル・ガルシア=ルルフォ)
- メキシコ人のお尋ね者。サムに見逃してもらう代わりに、仲間に入る。
- レッド・ハーベスト(マーティン・センズメアー)
- コマンチ族の青年。弓矢の名手。
- エマ・カレン(ヘイリー・ベネット)
- 土地を奪いにきたボーグに夫を殺され、全財産をはたいてサムに町の用心棒を依頼する。ボーグへの復讐心も強く、自ら銃を持って戦いに参加する。
- バーソロミュー・ボーグ(ピーター・サースガード)
- 「略奪男爵」として恐れられる悪徳資産家。金鉱のあるローズ・クリークの町に目をつけ、強引に土地を奪おうとする。良心のかけらもない、冷酷な男。
映画『マグニフィセント・セブン』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『マグニフィセント・セブン』のあらすじ【起】
1879年、アメリカ西部にあるローズ・クリークの町では、住民たちが教会に集まり、この土地を奪おうとしているボーグにどう対抗するかを話し合っていた。巨大資本家であるボーグは、どんな手段を使っても、狙った土地を奪う「略奪男爵」として知られていた。
そこへ多くの用心棒を引き連れたボーグが現れ、わずかな金で町から出て行くよう、住民たちに命じる。ボーグは一切の反論を許さず、“3週間後に戻ってくるから権利譲渡権にサインをしておけ”と言って、教会から出ていく。
教会の外で、ボーグを非難した住民は次々と撃ち殺され、エマも目の前で夫を殺されてしまう。ボーグは、この町の保安官も、すでに買収していた。
裁判所の委任執行官をしているサム・チザムは、小作人の父子と妻を殺したお尋ね者を追って、アマドール・シティへやってくる。サムは、酒場で店主をしていたお尋ね者を撃ち殺し、自分を撃とうとした客も早撃ちで次々と倒してしまう。
町を救ってくれる用心棒を探すため、この町を訪れていたエマは、サムの腕と人柄を見込んで、“ローズ・クリークを助けてほしい”と頼んでみる。サムは難色を示すが、全財産を差し出して必死で食い下がってくるエマの情熱にほだされ、その話を引き受ける。敵がボーグだということも、サムにとっては重要なポイントだった。
ボーグのことをよく知るサムは、1人で奴の率いる軍勢に対抗するのは無理だと考え、仲間を探し始める。最初に目をつけたのは、二丁拳銃の名手のジョシュ・ファラデーだった。サムは、ギャンブルに負けて馬を奪われたファラデーに馬の引き取り代金を渡してやり、仲間に入ることを約束させる。
映画『マグニフィセント・セブン』のあらすじ【承】
サムはファラデーに、ボルケーノ・スプリングスでグッドナイト・ロビショーを探すよう頼み、自分はお尋ね者のバスケスを探しにいく。バスケスには、殺人の罪で500ドルの賞金がかけられていた。
森の中の一軒家でバスケスを捕まえたサムは、“仲間になれば、俺はお前を追わない”という約束で、彼を仲間に引き入れる。
ボスケーノ・スプリングスに到着したファラデーは、賞金をかけて早撃ち対決をしていたビリー・ロックスと、彼と組んでいるグッドナイト・ロビショーに出会う。東洋人のビリーは、ナイフ投げの達人で、その凄腕にファラデーも感心する。事情を聞いたグッドナイトは、ビリーも一緒という条件で、仲間に加わってくれる。
これで5人のメンバーが揃い、合流した一行は、森の中で暮らす伝説の殺し屋ジャック・ホーンに会いにいく。ホーンは凶暴なクマのような男だったが、サムとは旧知の仲で、仲間に加わってくれる。
一行はローズ・クリークを目指して移動を続け、インディアンの居住区に入る。そこで、仲間と離れて単独行動しているコマンチ族のレッド・ハーベストと出会い、サムがインディアンの言葉で、彼と話をする。レッドは、“悪いやつと戦いにいく、みんな死ぬだろう”と淡々と話すサムを気に入り、一緒に来てくれることになる。レッドは弓矢の達人だった。
エマの案内で、7人の用心棒はローズ・クリークの町へ入る。しかし、住民たちは彼らを恐れて姿を隠し、保安官には武器を預けるように言われる。
サムはボーグの手下に、“町が欲しいなら俺に会いにこい”という、ボーグへの伝言を頼む。他の6人は町のあちこちに散らばって、その様子を見守っていた。サムを撃とうとしたボーグの手下に、レッドが弓矢を放ち、サムも高所から自分を狙う男たちを次々と撃ち殺す。それを合図に、他のメンバーも敵に襲いかかり、町には多くの死体が転がる。しかしグッドナイトだけは、銃の引き金が引けないままだった。
映画『マグニフィセント・セブン』のあらすじ【転】
エマは住民を集め、7人に来てもらった事情を説明する。サムは住民たちの前で、これからの戦いには全員の協力が必要であることを説明する。ボーグの軍勢と戦って勝利するには、念密な作戦を立て、先手を打つことが大事だった。住民の中には、戦いを恐れる者もいたが、多くの住民は、自分たちの力で町を守ることに賛同する。
翌日から、戦いの特訓が始まる。メンバーはそれぞれに住民を集め、ナイフや銃の使い方を教えていく。しかし、今まで銃など手にしたことのない住民は、なかなかうまく銃を撃てない。グッドナイトは、ファラデーに見本を見せるよう煽られ、見事な狙撃の腕を見せる。しかし、彼の様子がおかしいことは、みんな薄々気づいていた。
サムは、町の周囲に罠を仕掛けることにして、ボーグが所有している金鉱の採鉱場から爆薬を奪うことにする。奇襲作戦でボーグの手下を撃ち殺し、大量の爆薬を奪ったサムたちは、そこにいた労働者たちも援軍として連れ帰る。
知らせを受けたボーグは、責任者をその場で撃ち殺し、軍勢を集めるよう指示を出す。
ボーグの軍勢が町に到着するのが間近に迫り、サムは急ピッチで準備を進める。サムは町の構造を把握し、それぞれの部隊の配置を決める。町の周囲には塹壕が掘られ、あちこちに罠が仕掛けられる。サムの作戦は、町の外側で、できるだけ敵の数を減らし、残りは町の中央に追い込んで逃げ道を塞ぎ、集中的に撃ち殺すというものだった。
7人が来たことで、町には活気が戻り、夜には平穏な時間が訪れる。牧師は、短い時間でも住民が心の平穏を取り戻せたことに感謝し、サムにお礼を言う。
偵察に出ていたレッドが、明朝にはボーグの軍勢が到着すると知らせに帰ってくる。その夜、自分に自信をなくしていたグッドナイトは、町を去っていく。サムは“去るなら今のうちだ”と声をかけるが、他のメンバーは、みんな残ってくれる。
映画『マグニフィセント・セブン』の結末・ラスト(ネタバレ)
いよいよ決戦の時がきた。子供や女性は雑貨屋の地下室に避難し、メンバーは住民を引き連れて、それぞれの持ち場につく。敵の襲来を知らせる鐘が鳴り、町の外にボーグの軍勢がやってくる。
軍勢は二手に分かれて町へ入ろうとするが、町の手前で爆薬が爆発し、そこで多くの者が倒れる。さらにテントや塹壕からの銃撃や、ロープによる罠が続き、敵は混乱する。サムは自らがおとりになって、侵入してきた敵を町の中央に呼び込む。ビリーはナイフ投げと銃で、ファラデーとバスケスは二丁拳銃で敵を倒していく。ホーンは直接襲いかかり、敵を惨殺する。レッドは高所から弓を放ち、サムを援護する。エマも男たちとともに銃を持って戦っていた。
作戦はほぼ成功するが、まだ終わりは見えない。そこへグッドナイトが帰ってきて、ボーグがガトリング銃を準備しているので、建物内へ避難するようみんなに知らせる。予想以上に苦戦を強いられていたボーグは、味方が町の中にいるのも無視して、ガトリング銃で町中の人間を皆殺しにするよう指示を出していた。
「悪魔の銃」と呼ばれるガトリング銃の攻撃は強烈で、人や建物を粉々に破壊していく。サムは地下室の子供と女性を救い出し、野原へ逃がす。けが人を助けていたホーンは、敵のインディアンに弓を何本も打ち込まれ、ついに絶命する。エマもそのインディアンに襲われそうになるが、レッドがそいつを倒してくれる。
ファラデーはサムに援護を頼み、遠くで戦いを傍観しているボーグ目指して馬を走らせる。教会の上にいたビリーと、戻ってきたグッドナイトも、そこから銃を撃ってファラデーを援護する。それに気づいたボーグは、教会の上を狙うよう指示を出し、ビリーとグッドナイトはガトリング銃で蜂の巣にされる。
ファラデーは、撃たれながらも馬を走らせていたが、まともに銃弾を食らって落馬する。しかし、最後の瞬間に敵を欺き、奴らにダイナマイトを投げる。その爆破で、ボーグの軍勢はほぼ壊滅する。
仲間を失ったボーグは、ついにサムに追い詰められ、早撃ちで腕を撃たれる。ボーグは教会へ逃げ込み、サムに命乞いする。実はサムには、実家の土地をボーグに奪われ、奴の手下に母親と2人の妹を殺されたという深い恨みがあった。サムはボーグに祈りを捧げるよう迫り、ロープで首を締め上げる。ボーグは隠し持っていた銃でサムを撃とうとするが、最後はエマに撃ち殺される。
戦いは終わった。ホーン、ファラデー、ビリー、グッドナイトの死を知ったサムは、生き残ったレッドとバスケスとともに、すぐに町を去っていく。エマや住民はサムたちに感謝し、4人を手厚く葬ることを約束する。町を守るために命を落とした4人の墓には、“彼らは崇高なる男たち”という言葉が刻まれていた。
映画『マグニフィセント・セブン』の感想・評価・レビュー
格好良くて、強者で、曲者で、決して善人という訳ではないが、心に信念のある男たちのプライドをかけた熱き戦い。こんなの面白くない筈がない。
どいつもこいつもキャラが立ちまくりで、気が付いたら七人全員好きになっている。ヒロインのエマも凛々しく美しくて、男たちに負けない強さがあって良かった。
ラストは想像以上に味方が死んでしまって驚いたが、不思議と悲しみよりも爽快感が勝る。ファラデーの最期が格好良すぎて忘れられない。(女性 30代)
実はチザムの復讐劇だったというところが、この映画をただの西部劇アクションにしてないと思う。その上で7人の無条件の正義が引き立つ。チザムが黒人であることやインディアン同士の戦い、そして東洋人の投入はオリジナル版の『荒野の七人』でも見なかったし、この監督ならではの多様性がすごく丁寧に描かれていたと思う。
もちろんアクションも見応えあるし、命をかけて戦う7人の姿やそれぞれの想いにも涙してしまう。キャストも豪華でこれはリピートしたくなる西部劇だ。(女性 20代)
みんなの感想・レビュー