映画『SCOOP!』の概要:大スクープを狙い、あらゆる手段を使って、決定的瞬間を捉えることに命を燃やすパパラッチを描いた作品。新人記者を育てつつ、スクープを追い続ける主人公。コンビを組むことで、息の合った相棒となり、いつしか大きな事件を追うようになる。
映画『SCOOP!』の作品情報
上映時間:120分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:大根仁
キャスト:福山雅治、二階堂ふみ、吉田羊、滝藤賢一 etc
映画『SCOOP!』の登場人物(キャスト)
- 都城静(福山雅治)
- フリーのパパラッチ。アロハシャツに革ジャンで柄が悪く粗野。何が何でもネタをものにしようとする凄腕カメラマン。金にがめつい。スクープ編集部の元カメラマン。
- 行川家火(二階堂ふみ)
- 若い女性新人記者。ボブカットの茶髪にパーマで、毛先にピンクのカラーリングをしている。服装は動きやすさ重視で色気に欠ける。都城と組むことで、記者としての野心に目覚める。
- 横川定子(吉田羊)
- スクープという雑誌の副編集長。口は悪いが、やり手。腕のいい都城を再び、エースカメラマンとして復活させたいと思っている。都城と組んでネタを追っていた過去を持つ。
- 馬場(滝藤賢一)
- かつて事件部にて取材していた記者。現在はスクープの副編集長でグラビア方面担当。短期間だが、都城と組んでいたこともある。横川とはよく対立している。
- チャラ源(リリー・フランキー)
- シャブ中毒で雀荘の店主。都城とは古い馴染で親友。時に情報屋。中年のおじさんだが、喧嘩にはめっぽう強い。
映画『SCOOP!』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『SCOOP!』のあらすじ【起】
フリーのパパラッチである都城静は、スクープをものにするためなら何でもする男である。彼はとあるタレントのネタを撮るために、いかがわしい店へ入店。鞄に仕込んだカメラで撮影を開始しようとした矢先、妙な女に邪魔をされてネタを逃した。若い女はド新人の記者のようだ。よくよく話を聞けば、スクープという雑誌編集部から遣わされたらしい。
彼は女を連行して、編集部の副編集長である横川定子へ文句を言いに行く。新人のせいで飯のネタを逃した。すると、横川は都城が次に撮るネタを30万で買うと宣言。ただし、新人記者行川家火の教育をするのが条件である。金額に沿うネタでなければならないが、背に腹はかえられない。都城は金額に目が眩み、渋々了承した。
家火を乗せた都城の車は一路、代官山へ。都城曰く、ネタは自ら捜すものである。彼は路上に停車している車のナンバーを自前のデータで検索。店からスタイリストとヘアメイクを伴った女優が現れる。それを写真に収めた都城。家火からすれば、それだけでネタになりそうなものだが、彼はこれだけではものにはならないと言う。パパラッチとは、世間の誰もが驚き飛びつくような大スクープを、常に捜しているのである。
深夜、中目黒。都城は路駐したまま動かない。彼曰く、スクープをものにするには、壮絶な暇との戦いだ。張り込みをしてネタを掴めない日など、ざらにあるのだ。家火は帰ろうと言うが、寝ている間にスクープを横取りされたら仕事にならないと言われる。
深夜2時過ぎ。おもむろにカメラを構え撮り始める都城。若い男性アイドル3人と女性アイドル3人が別々に入店して行く。彼は家火を連れて店へ入った。
店内にはカーテンで仕切られた部屋がある。都城は家火に携帯カメラで一瞬の隙を撮れと指示し、自分は車を回して来るからと店を出て行ってしまう。部屋には男性アイドルと女性アイドルがしけ込んでいた。1人残された家火。とにかく撮れと言われ、彼女は戸惑いながらもカーテンを開けて写真を撮る。その後、すぐさま逃走した。
しかし、写真はピントがずれていてものにはならなかった。家火はこの仕事は本当に最悪だと罵るも、パパラッチとは本来そういうものである。世間からしたら彼らがしていることは、ゴキブリかドブネズミ以下の所業なのだった。
映画『SCOOP!』のあらすじ【承】
編集部へ戻った家火と都城。ピントがずれているものの顔の判別はできるため、家火が撮った画像は記事になった。報道はニュースにもなり、世間を沸かせる。だが、素直に喜べない野火。
次のターゲットは民自党青年局長だった。横川からの情報では、相手は人気女性アナウンサー。だが、政治家は既婚者である。となると、女性とは不倫関係にあるということだ。
週末、政治家主催のパーティに潜入した2人。男はそのままパーティ会場でもあるホテルに宿泊予定で、女子アナとは生放送終了後に落ち合うだろうと思われた。家火は都城の指示で男が宿泊する階を調査。奴は数人のSPに囲まれ8階でエレベーターを降りた。
その後、ホテルのロビーで待っていると女子アナが登場。目立たない服装を着ているが、家火はすぐに彼女であることを見抜く。
隣のビルの屋上に陣取った2人。ルームサービスが部屋に運び込まれたところで、屋上で仕込んだ花火に灯火。花火を見るために、カーテンを開けた政治家と女子アナが寄り添う姿を見事、激写した。
喜びも束の間、SPに見つかった2人はその後、カーチェイスを経て無事に逃げ切る。危険な目に遭いつつも、狙っていたものが撮れた報酬は大きい。家火は達成感に満たされた。
都城と家火が撮った不倫報道により、雑誌は飛ぶように売り上げを伸ばした。その後も次々とスクープを撮り続ける都城と家火。コンビはやがて息の合った動きを見せるようになる。
そうして、やがて訪れる転換期。コンビで撮ったネタが没になる。雑誌の売り上げを伸ばした横川は事件部との兼任となり、都城はかつての同僚に中年パパラッチと言われる。
スクープ編集部の会議で、大事件の掲載をしたい横川と、グラビア中心でやりたい馬場の意見が対立。編集長はどちらも掲載すると言いその場は治まったが、横川は家火と都城、その他に2人の記者をつけて、松永事件の犯人である松永の現在の姿を撮って来いと命令した。
映画『SCOOP!』のあらすじ【転】
松永事件は容疑者松永が、4人の若い女性をレイプして殺害したという凄惨な事件である。
野火は都城にそれを話すも、彼はやりたがらなかった。チャラ源みたいな本当のゴキブリになりきってしまえと、野火に捨て台詞を吐かれる都城。
彼女は都城の制止を振り切って、1人で取材に行ってしまう。
バッティングセンターで家火の危険を聞いた都城。チャラ源と共に家火を助けに行く。危うく集団レイプされるところを助けられる野火。だが、都城はめっぽう喧嘩に弱く瞬殺でダウン。しかし、チャラ源は変なテンションで笑いながら、次々に体格の良い若者達を倒してしまう。意外な才能である。
夜通し思い悩み、チャラ源と都城の姿を遠目に見つめる家火。
翌朝、彼の自宅を訪ねて助けてくれた礼を言った。2人は仲直りし、松永事件のヤマを撮りに行くことにする。
編集記者2人を加えた計4名は、作戦会議を行う。事件の現場検証のために、事件現場を訪れる犯人は警察が囲むブルーシートに阻まれ、現在の姿を捉えるには難しい。それを、どのようにして掻い潜るか。
現場検証当日。都城は馬場にも応援を頼んだ。過去に短期間だが、組んだことのある馬場には現場のかく乱を頼む。
報道陣は場所を決められ、通常ならば動くことはできない。
現場の裏には廃車が山と詰まれた場所があった。野火と都城はそこへ潜伏。いよいよ、犯人がやって来た。松永は四方と天井を覆われ姿が見えない。現場をかく乱する馬場の奮闘があっても、犯人の姿は捉えられず。最後の手段として都城が単身突入することにより、家火は犯人の姿を写真に収めることに成功した。
映画『SCOOP!』の結末・ラスト(ネタバレ)
他のどの雑誌でも撮れなかった犯人、松永の現在の姿を激写したスクープ。雑誌の売り上げは異常な伸びを見せた。
都城は警察に逮捕され、カメラごと没収されてしまったが、終わり良ければすべて良しである。
記者として一から育て上げた野火と組み、いくつものヤマを乗り越えて来た都城。2人はコンビを組むことでいつしか惹かれ合い、溢れた思いは体を重ねるに至る。
翌朝、チャラ源から都城に電話がある。別れた妻が娘に会わせないと言い、男が出て来たために弾いてやったと言う。電話の向こうで不穏な音を聞いた都城。野火とアパートへ向かう。
彼女を車に残し、都城はカメラを持って行く。チャラ源は銃を持ち、怯える娘を連れて外へ。不審に思い訪れた警官を撃ってしまう。都城はチャラ源と行動を共にした。
2人の後を追う野火。事件はたちまちニュースとなり報道された。
シャブのやり過ぎなのか、チャラ源は気がおかしくなってしまったようである。都城はタイミングを見計らい娘を解放。迫る警官を抑えてチャラ源の要望に応えようとする。
チャラ源は銃を片手に俺を撮れと迫る。彼はすでに元妻とその恋人、警官1人を殺害していた。
チャラ源と都城を正面に、野火は物陰に隠れてカメラを構える。決定的瞬間を捕えようと集中。都城は彼女の存在に気付き、チャラ源を宥める。しかし、弾みで発射された弾丸が都城の頭部を撃ち抜いてしまう。野火はその瞬間をカメラに収めた。
編集部では、野火が撮った写真を雑誌に掲載するかで揉める。横川は掲載を推進、馬場はそれに抵抗を示した。編集長はその席を退き、横川を編集長に指名。何があっても、真実を報道する。それが真の記者である。
野火は横川に、都城が最後まで手を離さなかったカメラを渡す。写真を現像すると、フィルムのほとんどが、ピントをわざとぼかしたチャラ源の姿を捉えていた。しかし、最後の1枚だけ安らかに眠る野火を映している。
横川は野火に事件の記事を書くよう命令。野火は泣きながら、都城とチャラ源の記事を書いた。
一人前となった野火は、その後も記者を続ける。都城のカメラをお守りに持って。
映画『SCOOP!』の感想・評価・レビュー
コメディタッチの冒頭からシリアスなエンディングへの転換が見事。雑誌業界の辛酸やカメラマンの仕事なども垣間見ることができ、それも興味深かった。オープニングから都城静役の福山雅治のチャラ男っぷりが鼻についたが、静の人生が分かってくるとそれも味に思えた。
登場人物がみんな魅力的。最初は分からなかった人柄が物語の中で自然と描かれていて、終盤で印象が変わるキャラクターが多かった。特に滝藤賢一演じる馬場は嫌な奴だと思っていたが、心ある人で彼の涙が胸に響いた。またチャラ源役のリリー・フランキーのキレた演技が怖くて、さすがだった。(女性 40代)
リリー・フランキーの怪演が素晴らしいです!福山雅治の小汚い中年のパパラッチ役も意外性がありますし、二階堂ふみもナチュラルな可愛さがあって、キャストに見ごたえがあるなと感じました。ただ、純粋な先輩・後輩関係のまま進んで欲しかっただけに、濡れ場も含む恋愛が絡んでしまったのが少し残念でした。
ラストの展開は衝撃的で、賛否両論あると思います。死んでしまう必要は無かったのでは、と思いましたが、人生をかけたカメラマンの生き様を映し出すためには、あのラストでないと駄目だったのかもしれません。(女性 20代)
映画の総評としてはまずまず面白い。が文句がある。キャラクターがステレオタイプすぎる、不愛想で一見ぐうたらだが腕はいいタイプの主人公と理想主義の若い女の子のコンビが、どこかで観たようなやり取りが繰り広げるが別の職業でも名詞をかえればできる会話である。職業を描いたドラマであり、その人間のひととなりが大切なのにこのアイデアの凡庸さは観客への背信ではないだろうか。(男性 30代)
福山雅治に中年パパラッチができるのか、という心配は全く無駄なものだった。意外にも、と言っては失礼だが、女にだらしがなくスクープを撮るためには手段を選ばない中年カメラマンの役は、福山雅治がとてもハマっていた。
今作は脇を固める実力派俳優たちが作品を力強く支えていた。吉田羊や滝藤賢一はさすがの演技力で作品に溶け込んでいたし、リリー・フランキーにサイコパスの役を与えれば絶対にハズレがない。配役がとても上手い作品であったと強く感じる。(男性 20代)
福山雅治が不潔で、金や女にだらしない中年男性を演じていて意外だった。その役がはまり役で、全く違和感なく見れたことに驚いた。リリー・フランキーの不気味な薬物中毒の役も、さすがの好演だった。
一人の記者のスクープを撮ることへの執念と、プロ意識を感じた。週刊誌の記者といえば、いい印象はあまりないが、本作の静を見ていると、記者にもありのままの真実を伝えるという使命を持って仕事をしているのだと思い、少し見方が変わった。(女性 20代)
冒頭でいきなりの濡れ場、その後の重低音がよく効いたかっこいい音楽とともに始まる。福山雅治が濡れ場・・と少し戸惑った。私には少し刺激が強かったのかもしれない。雅治のちょっとエロティックな声と色っぽい容姿とは裏腹に中年の変態おじさんという設定に衝撃を受けつつも、それを忠実に再現してるので非常に感心した。
実際パパラッチというものを見たことはないのだが、こんなに堂々と写真を撮って大丈夫なのかと不安にさせられるシーンがいくつもあった。私的には面白さに欠けていたと感じが予想できないラストにかなり高評価だった。(女性 20代)
福山雅治が主人公の雑誌カメラマンを演じたパパラッチ映画。大根仁監督が何年もあたためてきた企画だそう。
福山雅治の他にも、二階堂ふみ、吉田羊、滝藤賢一ら演技派が脇を固め、スクープを撮るために記者やカメラマンがどう行動しているか、出版業界の現実など、とてもリアリティーのある映画だ。何より、リリー・フランキーの怪演が神がかっていた。
登場人物それぞれの抱えるドラマが人間らしさを醸し出し、ストーリーを引っ張っているので最後まで楽しめた。
ラストは切ない内容だが、前を向いて歩く人間ドラマが垣間見られる映画である。(男性 40代)
パパラッチといえば海外のもので、過激で人々に衝撃を与えるような映像も海外のパパラッチから発信されるものが多いように感じます。そのため、邦画で福山雅治が演じるパパラッチはどんなものなのだろうと、楽しみに鑑賞しましたが想像以上に汚くて、だらしない福山雅治が登場するので驚きました。
序盤は笑える要素も含みつつ観客をグッと引き付けて、徐々に深いストーリーになっていく作りはとても上手いなと感じました。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー
予告編の印象とは良い意味で違った。もっとどこか硬質なだけの話かと思いきや、男性の主人公はぶっきらぼうに見えつつ情はあるし、女性の主人公の成長物語的要素と合わせ、なかなかのエンターテイメント。
歌手としての福山雅治とは全く違う雰囲気も面白い。カメラを触られている方だったと思うがカメラマン役がしっくりくる。プライベートのカメラを使い分けるあたりは、もしかして素じゃないかと思わせる。
ロバート・キャパの写真著書「ちょっとピンぼけ」を知っておくと、後半さらにニヤリとできるかもしれない。