映画『陰謀のセオリー』の概要:世界は陰謀に満ちていると信じているタクシー運転手のジェリーは、ドライバーになるより前の記憶が無い。ジェリーは愛する女性を守るため、そして自分の記憶を取り戻すために、ある秘密組織の陰謀に立ち向かう。
映画『陰謀のセオリー』の作品情報
上映時間:135分
ジャンル:ラブストーリー、ミステリー
監督:リチャード・ドナー
キャスト:メル・ギブソン、ジュリア・ロバーツ、パトリック・スチュワート、シルク・コザート etc
映画『陰謀のセオリー』の登場人物(キャスト)
- ジェリー・フレッチャー(メル・ギブソン)
- 世界は陰謀に包まれていると信じているタクシー運転手。常に挙動不審。タクシー運転手になる前の記憶が無い。アリスに想いを寄せている。
- アリス・サットン(ジュリア・ロバーツ)
- 司法省ニューヨーク支部の検事。数年前に父親を殺されている。ジェリーをうるさく思いながらも、拒絶できない実直な女性。
- ドクター・ジョナス(パトリック・スチュアート)
- CIAの精神科医と称する男。ジェリーを執拗に追っている。
- ラウリー(キルク・カザート)
- FBI捜査官の男。ジェリーを調査している。
映画『陰謀のセオリー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『陰謀のセオリー』のあらすじ【起】
ニューヨークでタクシー運転手をしているジェリーは、世界は陰謀に満ちていると信じている。ジェリーは古今東西の陰謀論に精通しており、陰謀についてのニュースペーパーを発行している。ジェリーには運転手になるより前の記憶が無い。
ジェリーに唯一残っていた記憶は、司法省検事のアリスを見守ることだけであった。アリスの部屋を監視することが、ジェリーの日課である。半年前、ジェリーは暴漢に襲われそうになったアリスを助けた。以後、ジェリーはアリスの職場を度々訪れては陰謀論をまくし立てるが、アリスは相手にしていない。
ある日、街で水道管破裂事故が起こる。事故の原因を怪しんで現場を訪れたジェリーは、公用ナンバーの謎の車が来ていることに気付く。破裂事故は何らかの陰謀に違いないと考えたジェリーは、謎の車を尾行する。車は刑事裁判所のビルに入っていく。ジェリーはそのビルにはCIAの管轄部署が入っていることに気付く。
突然、複数の男達が現れ、ジェリーを郊外のジャーメイン精神病院へ連れ去る。ジェリーは拘束され、旧知と名乗る謎の男から拷問を受ける。男はジェリーに自白剤を打ち、あの件を誰に話したか、と執拗に尋ねる。ジェリーには何のことかわからない。ジェリーは男の鼻にかみつき隙をついて逃げ出すが、途中で腹部に怪我を負う。
ジェリーは血を流しながら司法省に駆け込み、アリスを呼ぶよう騒ぎ立てる。アリスは錯乱しているジェリーを落ち着かせ、病院へ連れて行く。
アリスは病院に収監されたジェリーを訪ねる。ジェリーは、謎の組織に殺されると怯えている。ジェリーはアリスに、同室の強盗犯の男とカルテを交換してほしいと頼む。ジェリーが寝入ったあと、アリスはカルテを交換しておく。
翌日、アリスが病院へ足を運ぶと、ジェリーと同室の男は心臓発作で死んだという。CIAから精神科医と称するジョナスが、FBIから捜査官ラウリーが派遣されてくる。死んだ男はジェリーとは別人であることが発覚し、ジェリーの逮捕命令が出される。ジェリーは病室から逃げ出す。
ジョナスは、ジェリーと親しいアリスを疑い事情聴取する。ジョナスの鼻の怪我に気づいたジェリーは、ジョナスが自分を拷問した男だと気付く。ジェリーは洗濯ダクトから病院の外へ逃げ出す。
アリスは、ジェリーの病室に残されていた『ライ麦畑でつかまえて』のペーパーバックと、貸し金庫の鍵を見つける。CIAの職員が鍵を没収する。ラウリーはアリスに情報提供と協力を要請する。
アリスが病院出て路上に停めていた車に乗り込むと、後部座席にジェリーが隠れていた。ジェリーはアリスを自宅へ誘導する。
映画『陰謀のセオリー』のあらすじ【承】
ジェリーの部屋には厳重な警備が張り巡らされている。ジェリーは、自分が発行しているニュースペーパーが原因で秘密組織に目をつけられたと考え、5人の購読者の中にスパイがいるとアリスに話す。
ジェリーは、運転手になる前の記憶がないことをアリスに打ち明ける。ジェリーは『ライ麦畑でつかまえて』のペーパーバックを何冊も持っており、どうしても再び買ってしまうだという。アリスはジェリーに同情する。
CIAの武装部隊が、ジェリーのアパートを襲撃する。ジェリーは資料を焼却し、前もって準備しておいた脱出口からアンと逃げようとする。アンは、一面スクラップ記事や写真で埋め尽くされた壁を見つける。壁の中心には、アンの写真が据えられている。火が広がる直前に、二人は脱出する。
ジェリーはアンのアパートに転がり込む。アンは、ジェリーの家の壁になぜ自分の写真が貼ってあったのかジェリーに尋ねる。ジェリーはアンの生活を覗き見していたことを思わず口走ってしまう。激怒したアリスは、ジェリーを部屋から追い出す。
ジェリーは、書店で『ライ麦畑でつかまえて』を再度購入する。レジの購入履歴から、CIAはジェリーの居所を突き止める。市民に紛れ込んだCIA隊員が追ってくることに気付いたジェリーは、逃げ込んだ映画館で爆弾騒ぎを演出し、どさくさに紛れて逃げ切る。
翌朝、司法局のビルへ入っていくアリスを、ジェリー、FBI、CIAが監視している。アリスは、ジェリーのニュースペーパーの5人の購読者のうち4名が24時間に死亡していることを知る。アリスのもとへ、ジェリーからメモを忍ばせた花束が届く。
アリスはジェリーが指定したバスに乗る。アリスを追ってFBIとCIAも動き出すが、ジェリーが仕組んだ罠にかかり足止めされる。ジェリーはアリスが乗っているバスに駆け込み、二人はメトロの駅へ向かう。道中、アリスはジェリーにニュースペーパーの購読者の生き残りは一人だけだと伝える。
駅のホームで、ジェリーは、アリスを守るために陰謀論を伝えているのだと訴える。ジェリーはアリスに愛を告白するが、ジェリーを信用できないアリスは応えられない。傷ついたジェリーはメトロに乗ってその場を後にする。
映画『陰謀のセオリー』のあらすじ【転】
その時、アリスの携帯電話に、生き残りの人物の所在が判明したとの連絡がくる。フィンチという名のその男は、刑事裁判所のビルに入っている企業合併国際基金という団体に所属している。
アリスがフィンチを訪問すると、ジョナスが出てくる。アリスは国際基金はCIAの部署の仮の姿だと気付く。
ジョナスは、ジェリーを追う理由をアリスに明かす。以前CIAでは、MKウルトラ計画という実験が秘密裏に行われていた。MKウルトラ計画は、一般人を洗脳して暗殺者にするための実験で、ジェリーはその被験者であった。実験は約20年前に頓挫したが、何者かが実験技術を盗み、ジョナスはその手掛かりを握るジェリーを探している。
ジョナスは、アリスの父親を暗殺したのはジェリーで、現在はアリスを狙っているのだと吹き込む。アリスはジェリーに裏切られたと思い、ショックを受ける。
ジェリーは、司法省にいるアリスに宅配ピザの中にメモを忍ばせて伝言する。ジョナスは、アリスに発信機と盗聴器を持たせ、ジェリーのもとへ向かわせる。
指定場所で、ジェリーはアリスを車に乗せる。CIAの尾行に気づいたジェリーは、わざと急停車して渋滞を起こす。ジェリーは反対車線に停まっていた車に乗り込み、街の外へアンを連れ出す。アリスは、自分の携帯電話から司法省に電話をかけ、ジョナスに逆探知させる。
ジェリーの目的地は、アリスの父親の家だった。父親の家の納屋で、アリスはジェリーが本当に父親を殺したのか詰め寄る。アリスの悲痛な声を聞いて、ジェリーの記憶がおぼろげに蘇る。
アリスの父は実験から逃げ出したジェリーを保護していた。父親はジェリーの話を信用し陰謀を暴こうとしたため、CIAによって抹殺されたのだった。アリスは、父親とは堅い友情で結ばれていたというジェリーの言葉を信用する。
ジェリー達の居場所を突き止めたジョナスが、武装隊員と共に敷地内に乗り込んでくる。捕らえられたジェリーはヘリコプターで連れ去られる。隊員はアリスを抹殺しようとするが、アリスは走って逃げ切る。
映画『陰謀のセオリー』の結末・ラスト(ネタバレ)
ジョナスはジェリーをジャーメイン精神病院の閉鎖病棟に監禁し、薬物を注射する。ジェリーの意識は朦朧とする。
アリスがラウリーとともに国際基金の事務所へ向かうと、フロアはもぬけの殻となっていた。アリスはラウリーを銃床で殴って気絶させ、車の鍵を奪ってジェリーの自宅へ向かう。焼け跡の壁のスクラップ記事から、アリスはジェリーが連れ去られたのはジャーメイン精神病院だと見当をつける。
精神病院に到着したアリスは、ジェリーを捜す。通風孔からジェリーのかすかな声が聞こえて来る。ジェリーの断片的な言葉を頼りに、アリスは監禁場所は閉鎖病棟だと特定する。アリスは閉鎖病棟の扉を力づくで破り、薬で前後不覚になっているジェリーを発見する。
ジェリーとアリスは、ジョナス達に囲まれる。その時、FBIが閉鎖病棟に突入し、銃撃戦が始まる。ジョナスは掴みかかってきたアリスを殴り倒す。激昂したジェリーはジョナスをシンクに沈めて溺死させようとするが、ジョナスは隠し持っていた銃でジェリーを撃つ。うずくまるジェリーにとどめを刺そうとするジョナスを、アリスが射殺する。
アリスは息も絶え絶えのジェリーを抱きしめ、ジェリーに自分の愛を伝える。ジェリーは、救助ヘリで運ばれていく。
ある日、アリスはジェリーの墓を訪れる。実は生きているジェリーが、FBIの車からアリスの姿を見つめている。ジェリーは表向きは死んだとされているが、MKウルトラ計画の全貌解明までFBIの保護のもと協力しているのだった。
ジェリーは、アリスに自分の生存を示す秘密の合図を残していた。アリスはジェリーがまだ生きていると希望を抱き、笑顔になる。ジェリーはこれからもアリスを見守ることを心に誓う。
映画『陰謀のセオリー』の感想・評価・レビュー
記憶を無くしたジェリーと、ジェリーが想いを寄せており、行動を見守られているアリスとの過去の真実や、アリスの裏切りなど、内容が盛り沢山であった。父親を殺害したのはジェリーだと、アリスに吹き込んだジョナスの存在や、ジェリーを捜査しているラウリーとの駆け引きが見所であり、事件の展開が早く、釘付けになった。死んだと思われたジェリーだったが、実は生きており、アリスを見守っていて、アリスも生きていると信じるシーンがとても感動的であった。(女性 20代)
90年代のハリウッドらしい大仰なサスペンス映画。見どころはまずメル・ギブソンのクレイジーな演技だろう。最初の数分で彼の演じるジェシーの不安定な突飛さが表現されており、鑑賞者は不安な気持ちで彼の行く末を見守ることになる。小道具の『ライ麦畑でつかまえて』も効いており、このあたり名匠リチャード・ドナーの丁寧な語り口が心地よい、映画の大ネタはありふれたものであるが出演者が豪華で実直な作品なので見ごたえがある。(男性 30代)
陰謀や都市伝説と言った類いの話が大好きな私は、冒頭のメル・ギブソン演じるタクシードライバーが乗客に話す「陰謀説」だけで大興奮でした。こういった題材は好きな人にはたまらないんです。フィクションであるこの作品の中で話されている「陰謀説」も、実は現在も秘密裏に行われているかもしれないと思うとワクワクしますよね。
都市伝説好きな私としては、陰謀のスイッチと呼ばれることもある「ライ麦畑でつかまえて」が出てきたことに驚きました。都市伝説の中でも有名なこの作品を、まさか主人公が手にするとは…。奥が深い作品です。(女性 30代)
135分というなかなかの長丁場だが、趣向を凝らしたストーリーと先の読めない展開のおかげで終始退屈することなく観られる。
終盤にかけて様々な伏線が回収されていくのが面白いのだが、主人公が『ライ麦畑でつかまえて』を買い続けていた理由は予想外過ぎてちょっと笑ってしまった。
ジュリア・ロバーツがとても美しい。台詞はないが、晴れやかな余韻の残るラストシーンがお気に入り。(女性 30代)
みんなの感想・レビュー
ハリウッド映画はある意味では今まで大衆のマインドコントロールの ツールとして機能し続けている。しかしながらその背後にあるものを知っている映画プロデューサー達はそれをパラドックスによる手法を使って人々に覚醒のひと雫を与えてくれている。陰謀のセオリーもまたその一つと言える。我々の住むこの世界は有史以前から人類を遺伝子のレベルから意識を支配コントロールするあるシステムが存在する。しかしそのシステムは人類の中には存在の真理に到達できる人々が生まれより多くの覚醒する人が世の中を変える力を生み出すことを防ぐ力はなかった。
ちなみにハリウッドとは魔法使いの杖の森と言う意味もある。