12000作品を紹介!あなたの映画図書館『MIHOシネマ』

映画『ヴィデオドローム』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ヴィデオドローム』の概要:ケーブルTV局社長のマックスは、謎の番組『ヴィデオドローム』を目にした時から次第に現実と不気味な幻覚との区別がつかなくなっていく。監督クローネンバーグの哲学がふんだんに盛り込まれた、カルトムービーの金字塔。

映画『ヴィデオドローム』の作品情報

ヴィデオドローム

製作年:1982年
上映時間:87分
ジャンル:ミステリー、ホラー
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
キャスト:ジェームズ・ウッズ、デボラ・ハリー、ソーニャ・スミッツ、レイ・カールソン etc

映画『ヴィデオドローム』の登場人物(キャスト)

マックス・レン(ジェームズ・ウッズ)
過激な映像のみを扱うケーブルTV局『チャンネル83』の社長。
ニッキー・ブランド(デボラ・ハリー)
人気ラジオパーソナリティー。あるTV番組でマックスと共演する。
オブリビアン教授(ジャック・クレリー)
メディアの教祖と呼ばれる教授。TV画面を通してのみ活動している。
ビアンカ・オブリビアン(ソーニャ・スミッツ)
オブリビアン教授の娘。TV伝導所の所長。
ハーレン(ピーター・ドゥヴォルスキー)
チャンネル83所属のエンジニア。盗撮や盗聴が趣味。
バリー・コンベックス(レスリー・カールソン)
眼鏡店『スペクタクル・オプティカル』のオーナー。
マーシャ(リンネ・ゴーマン)
アングラ映像のプロモーター。映像業界の裏事情に詳しい。

映画『ヴィデオドローム』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ヴィデオドローム』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ヴィデオドローム』のあらすじ【起】

過激な映像専門のケーブルTV局社長のマックスは、日々ネタを探している。ある日、マックスは局のエンジニアのハーレンから、衛星を傍受して入手した謎の映像『ヴィデオドローム』を紹介される。マックスはリアリティのある残酷な映像に興味を持ち、番組に使おうと考える。ハーレンによると、ヴィデオドロームはアメリカのピッツバーグから放映されているという。

マックスは、TV画面越しで活動するオブリビアン教授、ラジオパーソナリティーのニッキーと共に、あるTV番組に出演する。マックス達は暴力的な映像が与える影響について意見を交わす。

マックスとニッキーは交際を始める。マックスの自宅で、ニッキーはヴィデオドロームと書かれたビデオテープを再生する。ニッキーはヴィデオドロームの惨たらしい映像に興奮し、残酷な映像を流しながら二人はSM的なセックスをする。

翌日、ビデオプロモーターのマーシャがポルノ作品を売り込みにチャンネル83社を訪れる。マックスはマーシャに、ヴィデオドロームの調査を依頼する。

ヴィデオドロームに魅せられたニッキーは、自分も出演したいと思うようになる。ニッキーは、出張と称して二週間ピッツバーグへ滞在することをマックスに告げて姿を消す。

数日後、マーシャはマックスに、ヴィデオドロームから手を引くよう忠告する。マックスはヴィデオドロームについて話すのを渋るマーシャから、オブリビアン、という一言だけヒントを聞き出す。

映画『ヴィデオドローム』を無料視聴できる動画配信サービスと方法
映画『ヴィデオドローム』を無料視聴できる動画配信サービスと方法を分かりやすく紹介しています。

映画『ヴィデオドローム』のあらすじ【承】

マックスは、オブリビアンが主催する『ブラウン管伝導所』を訪れる。ここは、浮浪者や低所得者にTVを見せて社会復帰を促すことが目的の施設である。マックスはオブリビアンの娘ビアンカに、ヴィデオドロームについて尋ねるためにオブリビアンとの面会を申し込む。ビアンカは、後日父親から回答のビデオを送ると言い、マックスを帰らせる。

その夜、自宅でマックスは銃を取り出す。突如、マックスの秘書がオブリビアンからの包みを持ってやってくる。一瞬、マックスは秘書とニッキーを混同する。マックスは不審がる秘書を追い返す。

包みの中身は一本のビデオテープだった。マックスは、テープが生き物のように脈を打っているように錯覚する。

映像の中のオブリビアンは、ヴィデオドローム鑑賞による脳腫瘍が原因で幻覚を見るようになったと語る。オブリビアンの背後から覆面をした謎の人物が現れ、オブリビアンを絞殺する。謎の人物が覆面を取ると、ニッキーだった。画面の中のニッキーは、マックスにこちらへ来い、と誘う。

突如、TV自体がニッキーの肉体のように蠢き出す。画面にはニッキーの唇が大きく映し出され、マックスに囁きかける。マックスは柔らかくぬめるTV画面に頭を突っ込む。

翌日、マックスは伝導所を訪れ、ビアンカに昨夜受け取ったビデオテープについて尋ねる。ビアンカはマックスに、ヴィデオドロームを観ると脳に腫瘍が発生し、それが脳に作用して幻覚を見せることを教える。ヴィデオドロームに使って社会に革命を起こそうと考えていたオブリビアンは、悪用しようとした相棒によって殺されたのだという。

ビアンカは父親が残した膨大な映像を使って、父親の生存を演出していた。ビアンカは、マックスに数本のテープを渡す。

映画『ヴィデオドローム』のあらすじ【転】

自宅でビアンカから受け取ったビデオを観ている最中、マックスは幻覚に襲われる。いつのまにか、マックスの腹部に口のような裂け目が生じている。マックスは手にしていた銃を裂け目に差し込む。ふと我に帰ると、裂け目は跡形もなく消えており、銃もなくなっている。

突如、バリーと名乗る男から電話がかかってくる。バリーは迎えの車をよこし、マックスをスペクタキュラー・オプチカルという眼鏡店に案内する。

マックスが店内に入ると、オーナーのバリーが姿を現わす。バリーは、マックス以外のヴィデオドローム鑑賞者は全員精神異常をきたしており、マックスがなぜ無事なのか調べたいと言う。マックスは新しい装置の実験に参加することを了承する。

装置を頭に着けたマックスは、ニッキーを鞭打つ幻覚を見る。幻覚の中で、いつの間にかニッキーはマーシャに代わっている。

途中気を失ったマックスは、自宅のベッドで目を覚ます。隣にはマーシャの死体が横たわっている。マックスは急遽ハーレンを電話で呼び出し、遺体の証拠写真を撮らせようとするが、ハーレンがベッドを見ると死体は消えていた。

マックスは、ヴィデオドロームから放映されている映像を確認するために自社のラボへ向かう。先に到着していたハーレンは、ヴィデオドロームの放映はもとから存在せず、マックスが目にしたのはあらかじめ撮影された映像だったことを明かす。

バリーがラボに現れる。ハーレンとバリーは秘密組織スペクタキュラー・オプチカルに所属しており、ヴィデオドロームを介して世界を浄化するという計画を立てている。オブリビアンを殺したのもバリーである。バリー達はチャンネル83を支配下に置くために、マックスにヴィデオドロームを見せて巻き込んだのだった。

バリーが一本のビデオテープをマックスの腹の裂け目に挿入する。ヴィデオドロームに洗脳されたマックスの頭の中に、チャンネル83の社員達を殺せと命じる声が響く。マックスの手が、握っていた銃と同化する。

マックスは自社のオフィスへ向かい、重役二人を射殺する。続けて、ビアンカを殺せ、と命令する声が頭に響いてくる。

マックスは伝導所に忍び込む。マックスが自分を殺しにくることを予見していたビアンカは、襲いかかるマックスにニッキーが殺害される場面の映像を見せる。画面から肉塊のような銃が現れ、マックスを撃つ。マックスはバリーの洗脳から解放されるが、今度はビアンカがヴィデオドロームを利用してマックスを洗脳する。

映画『ヴィデオドローム』の結末・ラスト(ネタバレ)

街では、チャンネル83の社員を殺したマックスの捜査が始まっている。

ビアンカの命を受けて、マックスはスペクトラム・オプティカルに乗り込み、ハーレンを殺害する。マックスはバリーが主催するスペクタキュラー・オプチカルの見本市の会場へ向かう。眼鏡をモチーフにしたショーが行われる中、マックスはバリーを射殺する。死んだバリーの体内から、怪物のような不気味な生き物が溢れ出てくる。

連続殺人犯として指名手配されたマックスは、港に放置されている廃船に身を隠す。突然、船内に残されていた古いTVの電源が入る。画面に現れたニッキーは、ヴィデオドロームを完全に破壊するために、マックスは新しい段階に進むべきだと告げる。ニッキーは、今から次の段階へ進む方法を示すと言う。

画面が切り替わり、廃船の中で佇むマックスが映る。画面の中のマックスは手と同化した銃で頭を撃ち抜く。同時に、臓物のような塊を撒き散らしてTVが爆発する。

煙を上げるTVを前に、マックスは手と一体となった銃をこめかみに当て、引き金を引く。

映画『ヴィデオドローム』の感想・評価・レビュー

クローネンバーグ監督の神髄が味わえる映画、ネタとしては世にも奇妙な物語でもありそうなSFミステリーの定番だが全体を覆う不穏さ、不気味さは傑出しているといって差し支えないだろう。映像で物事を語る力がとにかく抜きんでており、CGがない時代でここまでの異質な世界の再現度は他に例はない。昨今の映像に慣れた若い鑑賞者には少し間抜けに見えるかもしれないが、当時の最先端をしる資料としてもおススメ出来る。(男性 30代)


現実と幻覚の区別がつかなくなってしまうお話。作品を見始めてすぐ感じる「不快感」と「違和感」。あの作品に似ていると思い出し、調べてみるとやはり『スキャナーズ』と同じデヴィッド・クローネンバーグ監督の作品でした。彼が描く世界観はものすごく独特で、気持ち悪いのですがそれがクセになるんです。
衝撃的な映像を見続けると、自分自身の脳内も洗脳され、現実にそれが起きていると錯覚してしまうのかなと怖くなりました。こういう癖のある作品は最近なかなか無いので、とても楽しめました。(女性 30代)

みんなの感想・レビュー