映画『菊次郎の夏』の概要:祖母と二人で暮らす少年正男の夏休み。退屈していた正男は、遠くに暮らす母に会いに行く。近所のおじさん菊次郎が同行し、旅は賑やかな珍道中になっていく。名曲「Summer」が光る一作。
映画『菊次郎の夏』の作品情報
上映時間:121分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:北野武
キャスト:ビートたけし、関口雄介、岸本加世子、吉行和子 etc
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映画『菊次郎の夏』の登場人物(キャスト)
- 菊次郎(ビートたけし)
- チンピラの中年男性。妻に言われ、妻の知り合いの孫である正男の一人旅に同行させられる。両親のいない正男の境遇を自身と重ね合わせ、距離を縮めていく。破天荒な行動ばかりとるが、優しさを持った男。
- 正男(関口雄介)
- 小学校三年生の男の子。祖母と二人暮らし。父は早くに他界し、母は遠くの町で働いていると祖母に言われている。母に会うため、勢いで家を飛び出す。旅を共にした菊次郎の優しさに触れ、だんだんと心を開いていく。
- 菊次郎の妻(岸本加世子)
- 菊次郎の妻で、スナックを経営している。正男の旅を心配し、菊次郎を同行させる。気が強く、ヤンキーにも物怖じしない。
- 正男の祖母(吉行和子)
- 正男の祖母で、正男と二人暮らしをしている。浅草の煎餅屋を営んでいる。正男には、母のことを秘密にしている。優しい祖母。
- 小説家志望の青年(今村ねずみ)
- 菊次郎達がヒッチハイクで出会った青年。小説家を目指している。母の真実を知って傷ついた正男を癒すため、菊次郎達とキャンプを行う。正男には、優しいおじちゃんと呼ばれる。
映画『菊次郎の夏』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『菊次郎の夏』のあらすじ【起】
小学校三年生の正男は、夏休みを迎えていた。家族と旅行に出掛ける友人を羨ましがる正男。
正男は、浅草で祖母と二人暮らしをしている。下校途中、祖母の知り合いである菊次郎とその妻に出くわした正男。挨拶をしてその場を去った正男を見ながら、菊次郎の妻が正男の身の上話をする。正男には父親がいなく、母は遠くで暮らしているのだ。
夏休みのある日、遊びに誘うために友人達の家を訪れる正男。しかし、みんな家族と出掛けてしまっていた。仕方なく家で寂しく過ごしていると、宅配便が送られてくる。その荷物の送り主が母だと思った正男は、その住所を紙にメモして家を飛び出す。
母に会うために豊橋へと向かう正男。途中、中学生にカツアゲされてしまう。それを見つけた菊次郎夫妻が、正男を助けに入る。
正男から事情を聞いた菊次郎の妻。彼女は、一人では危ないからと菊次郎を同行させることにする。さらに彼女は、祖母にもうまく話をつける。
映画『菊次郎の夏』のあらすじ【承】
菊次郎は、豊橋に向かわず競輪場へと足を運ぶ。レースを外し続け、機嫌が悪くなる菊次郎。所持金も尽き、正男の持っていたお金にまで手をつける。しかし、正男に予想させたレースが大当たりする。その夜、菊次郎は正男を連れてキャバクラで豪遊をする。
再び競輪で儲けようとした菊次郎。何度も正男に予想させるが、ことごとく外してしまう。正男に八つ当たりした菊次郎は、正男を居酒屋の外に置いて中で食事を摂る。外に出た菊次郎は、正男がいなくなっていることに気づく。正男は、変質者に連れ去られてしまっていたのだ。菊次郎は正男を見つけると、変質者から財布を奪ってタクシーへと乗り込む。
菊次郎は、運転手がトイレに行っている隙にタクシーを奪う。タクシーを降りた二人は、リゾートホテルに辿り着く。
ホテルで好き放題に行動する菊次郎。その後、何度も迷惑をかけ続けた菊次郎。それでも、正男の事情を知って同情した従業員が、ヒッチハイクのできる場所まで菊次郎達を連れて行く。
映画『菊次郎の夏』のあらすじ【転】
若いカップルに目をつけた二人。正男がカップルに、豊橋まで連れて行って欲しいと頼む。豊橋とは逆の方向に行く予定だったにも関わらず、カップルは途中まで正男達を車に乗せる。
車を降り、古いバス停に着いた二人。しかし、いくら待ってもバスはやって来ない。雨が降り、夜が来て、二人は一夜をそのバス停で過ごす。
菊次郎は、正男が母親に会ったことがないと知ると、この子も自分と一緒だと言って悲しい表情を浮かべる。
ようやくヒッチハイクに成功した二人。小説家志望だというその青年は、菊次郎達を正男の母の家まで連れて行く。
母親を見つけた正男と菊次郎だったが、そこには再婚して新たな家庭を持った母親の姿があった。
ショックで泣き出してしまう正男。菊次郎は、道端で会ったバイク乗りからお守りだという鈴を奪う。それを正男に渡し、鳴らすと天使が幸せを運んでくれると言って励ます。
菊次郎は、正男に帰ろうと言う。途中、縁日に寄って正男を励ます菊次郎。好き放題やる菊次郎は、ヤクザに捕まってボコボコに殴られてしまう。
映画『菊次郎の夏』の結末・ラスト(ネタバレ)
ボロボロになった菊次郎を、正男が介抱する。二人の距離はどんどんと縮まっていく。
再び帰路へと着く二人は、小説家志望の青年と再会する。キャンプをしようという青年の提案を受け、菊次郎達はキャンプをすることに決める。バイク乗りの男達も合流し、キャンプは賑やかになっていく。
菊次郎はバイク乗りに、ある町に連れて行けと言う。そこはキャンプ場の近くの町で、菊次郎の母親が住む町だった。しかし、菊次郎は母を遠目に見るだけでその場を去ってしまう。
菊次郎達は、正男を楽しませるために様々な遊びを考える。隠れん坊やスイカ割りをして遊び、正男もどんどん元気になっていく。
バイク乗り達と別れ、小説家志望の青年の車で帰路につく菊次郎達。浅草に着き、青年とも別れた二人。菊次郎と正男も別れのときを迎える。別れ際、正男は菊次郎に名前を尋ねる。菊次郎という名前を知った正男は、家路へと走っていく。菊次郎は、優しい眼差しで正男の姿を見つめている。
映画『菊次郎の夏』の感想・評価・レビュー
北野武が監督・脚本をつとめ、母親に会いたい少年・正男と、近所に住むオッサン・菊次郎との珍道中を描いた作品。久石譲のテーマソングは映画の枠を越え、あまりにも有名である。
菊次郎が正男に自分自身を重ね、不器用ながらも手を差し伸べてやるシーンが絶妙で、とても温かい気持ちにさせられる。
そして、正男に突き付けられた悲しい現実。母親はすでに別の家庭を築いていたのだ。そんな正男を慰めようと、またも菊次郎はいろいろな遊びを正男にさせるのだ。
つまずきながらも前に進もうとする菊次郎と正男の姿に勇気をもらった視聴者も多いはずだ。(男性 40代)
北野武は天才だと感じた作品です。彼はコメディアンであり、俳優であり、映画監督でもあります。『アウトレイジ』が大好きな私は、それをきっかけに北野武監督の作品を鑑賞し始めましたが、この『菊次郎の夏』は一番心に残っている作品と言っても過言ではありません。
少年とチンピラおじさんの交流を描いた今作は、最初から北野武らしさが滲み出ていてとにかく最高でした。全く接点の無い2人が少しずつ心を通わせて、お互いが相手を想い大切な存在になっていく姿は涙無しでは見られません。
作中に流れる久石譲のSUMMER。あまりにも有名な曲ですが、これほど作品の世界観に合っている曲は他に無いと感じさせてくれます。(女性 30代)
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