この記事では、映画『愛の渦』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『愛の渦』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『愛の渦』の作品情報
上映時間:123分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:三浦大輔
キャスト:池松壮亮、門脇麦、新井浩文、滝藤賢一 etc
映画『愛の渦』の登場人物(キャスト)
- ニート(池松壮亮)
- パーティーに参加する男。仕事もせず、親からもらったお金で参加する。女子大生と何度もペアを組み、彼女に対して好意をもつ。無口な青年。
- 女子大生(門脇麦)
- パーティーに参加する女。普段は女子大生で、ちょっとした間違いからパーティーへの参加を決める。セックスを楽しんでいた自分は、別の人間だと思っている。無口な女。
- フリーター(新井浩文)
- パーティーに参加する男。おしゃべりで、積極的に女を誘う。セックスが好きなだけのフリーター。
- 保育士(中村映里子)
- パーティーに参加する女。保育士。下品な話が好きで、男性人気も高い。中途半端な顔立ちだと言われて非難される。
- 工員(駒木根隆介)
- パーティーに参加する男。太った童貞の男。普段は工員として働いている。ヤンキーとペアを組み、徐々にセックスが上手くなっていく。純粋な性格の男。
- ヤンキー(赤澤セリ)
- パーティーに参加する女。常連で、主催者の男の彼女。気が強い。その強面の容姿から、男性陣から避けられる。
- OL(三津谷葉子)
- パーティーに参加する女。かわいい顔のOLで、男性陣から人気を得る。しかし、性器が臭いと言われて揶揄される。性格の明るい女。
- サラリーマン(滝藤賢一)
- パーティーに参加する男。普段はサラリーマンで、冴えない風貌の男。しかし、下品話が大好き。フリーターと共に、積極的に女を誘う。
- カップルの男(柄本時生)
- 途中参加の男。カップルで参加し、愛を確かめたいと言う。彼女の行為を目の当たりにし、怒り出す。自己中心的な性格。
- カップルの女(信江勇)
- 途中参加の女。カップルで参加し、ニートとセックスをする。彼氏に怒られ、素直に謝る。彼氏の言いなり。
映画『愛の渦』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『愛の渦』のあらすじ【起】
住宅街のマンションの一室。そこは、ただセックスがしたいというだけの男女が集まる部屋。つまり、乱交パーティーが開かれる場所。全財産の2万円を手に、ニートがその部屋に向かう。
メガネの女子大生は、乱交パーティーを主催している男の事務所を訪れている。色々と質問をし、女子大生は参加を決める。
部屋に入ったニート。そこには、金髪のフリーターの男、サラリーマン、工場で働く太った工員の男、保育士の女、OLの女、ヤンキー風の女、女子大生がいた。
それぞれ、セックスに向けて準備を始める。そして主催者の男が、みんなの前でルールを説明する。
気まずい雰囲気が流れる中、会が始まる。ダイエット話など、なんでもない話を始めるメンバー。しかし、ニートと女子大生はずっと黙ったまま下を向いている。
そんな中、フリーターとOLが下の部屋に向かう。そこには4つのベッドがあるだけで、お互いの行為は丸見えになっている。
徐々に、好みのタイプの人間に話しかけるメンバー達。そんな中、OLとフリーターが早速セックスを始める。OLの喘ぎ声が大きく、上にいた他のメンバー達にも聞こえてくる。

映画『愛の渦』のあらすじ【承】
次に部屋に向かったのは、保育士とサラリーマン。二人もセックスを始める。女子大生とニートは相変わらず下を向いたままで、ヤンキーはお菓子を食べ続けている。
ニートが動き出し、女子大生に話しかける。すると、女子大生が突然ニートに抱きつき押し倒す。ニートは一旦それを止め、下へ行こうと女子大生を誘う。
ベッドに向かった二人は、お互いにぎこちない手つきでセックスを始める。上の階に残った工員とヤンキー。工員がヤンキーを下の部屋に誘う。下に行くと、物凄い喘ぎ声の女子大生のセックスを一同が眺めていた。
一回戦が終わり、一同が上の階に集まる。そして、お互いの職業の話を始める。もっといやらしい話をしようと言うヤンキーに、保育士やフリーターが賛同する。
そのうち、お互いが新たなパートナーを見つけ始める。フリーターは保育士と、サラリーマンはOLと、童貞がバレた工員は再びヤンキーと、ニートも再び女子大生とペアを組む。ペアを見つけたあと、それぞれのペア同士で身の上話などを始める。
映画『愛の渦』のあらすじ【転】
新たなペアで、第二回戦が始まる。今度は四組が同時にセックスを開始する。
二回戦が終わり、保育士とサラリーマンとフリーターがメンバーの陰口を言い始める。サラリーマンとフリーターは、OLの性器が臭いと言い出したり、女子大生の喘ぎ声がうるさいと言い出す。
その後、新たなペアを組み始めたメンバー達。保育士は、工員とやる羽目になりそうだと愚痴を漏らす。
フリーターは女子大生を誘ったが、ニートに止められる。やがて、店員を交えて言い合いが始まる。フリーターは、ヤンキーと工員を非難する。保育士は店員に、女の子は可愛いのに、男の面接もちゃんとやれと文句を言う。それに対してヤンキーが、対して可愛くもないのにと保育士を揶揄する。OLがそれに対して笑い、保育士はOLを非難する。
ある一組のカップルが、追加で参加してくる。カップルの女が、ニートを誘って下の部屋に向かう。彼女の喘ぎ声が聞こえ、豚の鳴き声みたいだと言って他のメンバーが覗き見をしに行く。
カップルの男の方は、女子大生を誘って下のベッドに向かう。ニートと女子大生、さらにはカップル二人の気持ちが交錯する中、二組のセックスが始まる。
映画『愛の渦』の結末・ラスト(ネタバレ)
カップルが突然喧嘩を始める。本気でやるなと言う男は、別れ話を始める。一度時間を置いて考えたいと言う女は、部屋を出ていってしまう。ニートが女子大生に謝ると、二人は再びセックスを始める。
一休みし、終わりの時間が近づく。サラリーマンは、妻に電話をして言い訳をしている。OLは保育士に謝り、フリーター達は先程のカップルの話をしている。そこへ、工員とヤンキーの喘ぎ声が聞こえてくる。メンバー達は興味津々で覗きにいく。上手くセックスができた工員に、メンバーから拍手が起きる。
会が終わる。携帯をなくしたと言う女子大生。店員はニートの携帯を使って、女子大生の携帯に電話を掛ける。
主催者の男とヤンキーが一緒に帰って行く。彼らは付き合っていたのだ。主催者の男は、ヤンキーとペアを組んでいた工員に、大丈夫でしたかと謝って去って行く。
本来は、会で知り合った者同士の電話番号交換は禁止されていた。しかし、携帯電話を探す過程でニートの番号を知った女子大生。彼女は後日、ニートを呼び出す。
再会した二人。ニートは喜び、女子大生の名前を登録しようとしたとき、番号を消去して下さいと女子大生が言い出す。それが言いたくて呼び出したのだと言う。あそこにいたのは自分じゃないと言って去ろうとする女子大生に対し、あそこにいたのが自分だと思っているとニートは言う。そして、女子大生は去っていく。
映画『愛の渦』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
主役、脇役共にキャスティングが秀逸。
この映画で門脇麦のファンになる人も多いのではないだろうか。
仮面を被って普通に生きている人々の性という欲望をむき出しにしつつ、物語は小さなコミュニティで作り上げられるカーストを浮き彫りにしていく。
中盤は男女が抱き合うシーンを中心に展開する中で、これは果たして“愛の渦”なのだろうか?と考えさせられる。
しかしラストシーンでの主演二人が交わす最後の言葉に胸が熱くなる。
欲望から始まる恋心。最後は少し、人生を考えさせられるような映画。(女性 30代)
女子大生に恋をしたニートの気持ちも、あの部屋にいたのは別の人間だと思っている女子大生の気持ちも良く理解できた。あっさりと交際に発展せずにラストを迎えたため、人間の気持ちや欲望について考えさせられる物語になっていたと思う。出演しているキャストが演技の上手い方達ばかりというのも良かった。キャラクターの個性が引き立てられていた。恋愛映画というよりは、後味に少し苦味が残るような人間ドラマが楽しめる作品である。(女性 30代)
人間味溢れる映画。ほとんどのシーンが裸であり、驚いたがすぐに慣れる。あのマンションの一室では身も心も裸になるということなのだろう。
乱行パーティーという普通に過ごしていたら触れないであろう世界と、それに参加する人間同士の関わりを緻密に描いた作品だった。今作はただの変わった作品ではなく、人間というものをより生臭く描いた映画である。
主演の池松壮亮と門脇麦の演技は圧巻だった。あの2人にしか表せない世界が、この映画を作り上げていた。(男性 20代)
人間の欲望が渦巻いていた。
あの一室にいたのは本当の自分だと思っているニートと、本当の自分ではないと思っている女子大生の気持ちがすれ違う、最後のファミレスでのシーンは、それぞれに孤独感が漂っていてとても好みだった。
交際どころか連絡先を削除させ、あっさりとした女子大生。あの時とは一変した彼女の態度や気持ちには共感した。
彼女は、あの一室の自分をあの一室に封印してきたのだから。
きっと全員が、何事もなかったような顔で日々を過ごしていくのだろう。(女性 20代)
演劇畑の三浦大輔がメガホンを取った作品。
これは乱交パーティーに参加した男女のただの群像劇にあらず。リアリティーをストイックに追求し、見事に配役された俳優陣もそのリアルを最大限に表現している。
何と言ってもまだまだ無名であった門脇麦を起用したのはすごい。彼女の持つ独特の魅力に主人公が惹かれてしまう理由もよく理解できた。池松壮亮をはじめとした実力派俳優全員の体当たり演技にも脱帽である。
最後の女子大生のセリフはロマンを追い求める世の男たちに、現実を突きつける一言である。(男性 40代)
「笑っちゃうほどむきだしの欲望」このキャッチコピーに惹かれて観たこの作品。豪華なマンションの一室に集まる男女。彼らの目的は「ただ、セックスがしたい」本当に欲望がむきだしです。主演の池松壮亮がすごい。こんな難しい、感情移入し難い役どころをよく演じたなと驚きました。
どの登場人物も感情移入しづらい設定で、身も蓋もないストーリー展開の中、ふとした瞬間に気持ち悪いほどの共感が生まれてしまいました。もう観たくないけどまた観てしまう。クセになる作品です。(女性 30代)
舞台が乱交パーティーであるため、見る人を選ぶかもしれません。集まった男女の会話に妙な間があり、気まずい様子がリアルでした。また、フリーターや保育士、派遣社員等の人物描写が緻密です。途中、言い争いのシーンではそれぞれの人間味が炸裂していました。あのような閉ざされた空間でも、ヒエラルキーのようなものが発生してしまうことがなんだか滑稽に思えました。スタッフ役の窪塚洋介の存在がキラリと光っており、ラストのセリフ含めてセンスの塊です。(女性 30代)
全員が裸で始まるという大胆な設定に驚いたが、見終わると「裸になるのは身体だけじゃない」と気づかされる。人間の本性や欲望、孤独がむき出しになる様子は、どこか痛々しくも美しい。池松壮亮と門脇麦の演技が自然すぎて、まるで現実を覗き見しているようだった。最後の別れのシーンは、愛の儚さを突きつける名場面。(20代 男性)
性愛を描いているようでいて、実は“人の孤独”を描いた心理ドラマ。裸の男女が集まり、最初はただの快楽を求めていたはずなのに、次第に心の奥が露わになっていく。特に門脇麦の「普通の女の子なのに満たされない」感情の描き方がリアルで刺さる。観ていて気まずいほど正直な映画だった。(30代 女性)
人間の欲望をここまで露骨に描いた作品は珍しい。しかし、それが下品にならないのは、三浦大輔監督の演出が見事だから。セックスを通じて、誰もが抱える「承認欲求」と「孤独」が剥き出しになる。最後の“名前も知らない関係”に虚しさを感じた。観終わったあと、妙に静かな気持ちになった。(40代 男性)
映画『愛の渦』を見た人におすすめの映画5選
寝ても覚めても
この映画を一言で表すと?
愛の“形”ではなく、愛の“衝動”を描いた心の迷路のようなラブストーリー。
どんな話?
突然姿を消した恋人に似た男性と出会い、再び恋に落ちる女性の物語。外見が同じでも中身は違う――それでも心は惹かれていく。愛とは何か、本当に好きなのは“彼”なのか“記憶”なのかを問いかける、切ない人間ドラマ。
ここがおすすめ!
『愛の渦』と同様、人間の欲望や感情の曖昧さを丁寧に描く作品。濱口竜介監督による静かな演出が心をえぐる。俳優たちのリアルな会話劇が魅力で、観終わったあとに“愛とは何か”を考えずにはいられない。
欲望
この映画を一言で表すと?
見ること、撮ること、そして欲望すること――すべてが絡み合う幻想的スリラー。
どんな話?
1960年代ロンドン。カメラマンのトマスは偶然撮った写真に“殺人の痕跡”を見つける。真相を追ううちに現実と幻想の境界が曖昧になっていく――欲望に取り憑かれた人間の終焉を描く。
ここがおすすめ!
ミケランジェロ・アントニオーニ監督の代表作。『愛の渦』と同様、性と欲望、そして人間の孤独を哲学的に描く。セリフ少なめの映像表現が美しく、現代にも通じる“虚無の愛”を体感できる芸術的映画。
ロスト・イン・トランスレーション
この映画を一言で表すと?
言葉ではなく“孤独”で通じ合う、静かで深い大人のラブストーリー。
どんな話?
異国・東京を舞台に、孤独を抱えたハリウッド俳優と若い女性が偶然出会い、心だけで繋がるひとときを過ごす。恋愛とも友情とも違う、儚くも美しい関係を描く。
ここがおすすめ!
『愛の渦』が肉体的な繋がりを描いたとすれば、こちらは“心の接触”を描く映画。ソフィア・コッポラ監督の繊細な映像と静かな会話が胸に残る。寂しさと温かさが同居する、まさに現代人のためのラブストーリー。
クローサー
この映画を一言で表すと?
愛の真実を突きつける、痛烈な人間関係の四重奏ドラマ。
どんな話?
ロンドンを舞台に、二組の男女の恋愛模様が交錯していく。欲望、裏切り、嫉妬――誰もが“愛されたい”という本音を抱えながら、他人を傷つけていく。
ここがおすすめ!
『愛の渦』同様、セリフの応酬による心理劇が圧巻。ジュリア・ロバーツ、ジュード・ロウ、ナタリー・ポートマンら豪華俳優陣が見せる人間の弱さがリアル。愛の醜さと美しさを同時に描く、大人の恋愛映画の傑作。
ラスト、コーション
この映画を一言で表すと?
愛と裏切りが絡み合う、究極の心理スリラー・ラブストーリー。
どんな話?
第二次大戦下の上海。スパイとして敵の要人に近づいた若い女性が、任務と恋心の狭間で揺れ動く。愛してはいけない男を愛してしまった彼女の結末は――。
ここがおすすめ!
アン・リー監督が描く肉体と感情のせめぎ合いが圧巻。『愛の渦』のように、欲望の中に潜む“真実の感情”を浮き彫りにする。タン・ウェイとトニー・レオンの張り詰めた演技が美しくも残酷で、観る者の心を強く揺さぶる。
みんなの感想・レビュー
エロの部分が強調されてしまいがちだと思いますが、しっかりと人間の感情も描かれている作品です。男女の違いのようなものも感じられておもしろかったです。日頃様々な立場や職業で違う人生を生きていても、それぞれに悩みやストレスを抱えているという点は誰しも同じだということに気づかされます。また、人と人が分かり合ったり思いを伝えるには、結局言葉をぶつけることが必要だということも感じました。
門脇麦さん、池松壮亮さんの演技がやはり素晴らしく、私たちの日常では考えられない状況も、共感できるような作品に落とし込んでくれていたと思います。
舞台劇があったことを知らなかったのですが、パッケージに惹かれて鑑賞しました。映画の予告編ではR18指定され、そのことを強調していましたが、実際観てみるとエロさだけではありません。それより、乱交パーティーにやってきた男女の人間模様に重きが置かれている印象です。私的には、一晩だけの相手と親密にコミュニケーションを取ったり、感情をむき出しにしたりするのだろうかと感じたりしましたが…。もし機会があったら、舞台も観てみたいと思います!