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映画『桜桃の味』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『桜桃の味』の概要:町を車で走りながら、自殺の手伝いをしてくれる人間を探しているバディという男。淡々と目的のために行動するバディはある老人にそれを依頼するが、人生の些細な幸せについて語るその老人に心を揺さぶられる。

映画『桜桃の味』の作品情報

桜桃の味

製作年:1997年
上映時間:98分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:アッバス・キアロスタミ
キャスト:ホマユン・エルシャディ、アブドルホセイン・バゲリ、アフシン・バクタリ etc

映画『桜桃の味』の登場人物(キャスト)

バディ(ホマユン・エルシャディ)
自殺願望のある男。町を車で走りながら、自殺に協力してくれる人間を探している。なぜ自殺したいのか、理由を語らないでいる。バゲリの話を聞き、死ぬことに対する恐れと生きることの幸せを覚える。淡々と目的のために行動する男。
バゲリ(アブドルホセイン・バゲリ)
博物館で働く老人。息子が病気で、お金が必要。息子のために、バディの依頼を受ける。自身も自殺願望があったが、桑の実を食べたことによって生の素晴らしさを悟る。些細な幸せのことを、バディに語る。

映画『桜桃の味』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『桜桃の味』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『桜桃の味』のあらすじ【起】

イランのある町で、中年の男がゆっくりと車を運転している。男はバディという名前の男で、運転しながら何かを探している様子を見せている。

人気の少ない、貧しい人達が住む地区を走るバディ。そこで一人の男を見つけ、話しかける。車に乗っていけと言うバディだが、その男はそれを断る。さらに、お金に困っているなら助けるとバディはその男に言う。男はバディを不審に思い、それを断って去っていく。

今度は、プラスチックバックを拾って売っている男に話しかけるバディ。お金の良い仕事を紹介すると言うバディだったが、その男もバディの依頼を断る。

近くの兵舎までいくというクルド人の若い兵士を乗せたバディ。二人は車中で会話を始める。家族の話や故郷の話をした後、バディは給料の話を始める。そして、良い仕事があると青年に話す。青年は兵舎に戻らないといけないと言うが、仕事は時間もかからないし、終わったら兵舎まで送ると言うバディ。青年は渋々その仕事を受けることにする。

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映画『桜桃の味』のあらすじ【承】

車中で、仕事についてバディに尋ねる青年。しかし、バディは詳しいことを話さない。お金をあげるだけだと、バディは青年にしつこく主張する。

途中、帰りたいと言い出す青年。バディはそんな青年を、小高い丘の上へと無理矢理に連れてくる。

そこには大きな穴があった。バディは青年に、「明日の朝、この穴の中で寝ている私に向かって名前を呼んで欲しい。もし返事があれば私を穴から助け出し、返事がなければ土をかけて埋めて欲しい。お金は車にあるから、それを持って行って良い。」と話す。

不審に思った青年は、仕事を受けたくないと言う。そんな青年をバディはしつこく説得する。しかし、青年はついに逃げ出してしまう。

再び車を走らせるバディ。途中、タイヤが溝にはまって動けなくなってしまう。そこへ、自然と周囲の人々が集まってきてバディを助ける。

丘の工事現場に、ポツンとボロ屋が一軒あった。バディはそこを訪ね、そこに住んでいる孤独な男と会話を始める。

その孤独な男は、その工事現場の守衛だと言う。そんな彼をバディは、新鮮な空気を吸いに外へ出ようと誘う。

映画『桜桃の味』のあらすじ【転】

その男はバディを断るが、男の友人だという神学生を外で見つけたバディは彼を誘ってドライブに出る。

バディは青年に仕事の話をする。何をすれば良いのかとバディに尋ねる青年。しかし、バディは相変わらず内容を話そうとしない。神学生の青年に神の話をし、自殺と自由について語り出すバディ。もし自分の目的を話しても、理解できないだろうとバディは青年に言う。

丘の上まで行き、バディは青年に穴を見せる。そして、仕事の話を始める。青年は、自殺も殺人だと言う。それを手伝うことはできないと言って、青年はバディを断る。

次にバディは、バゲリという老人を乗せる。バゲリはバディの仕事の話を聞き、自殺の手伝いはしたくないが、病気の息子のためにそれを受け入れると言う。そしてバゲリは、自分の過去を語り出す。

バゲリは結婚したての頃、生活苦ゆえに自殺を考えていた。桑の木にロープをかけて首を吊ろうとした時、桑の実が手に触れた。ふとその実を食べると、その瞬間から景色が変わった。そして、なぜか幸せな気分になったのだと言う。桑の実が、バゲリを救ったのだ。

映画『桜桃の味』の結末・ラスト(ネタバレ)

バゲリは、その後も車中で人生の些細な幸せについて語り続ける。バゲリの仕事先である自然博物館に着いたバディの車。バゲリは、子供のためじゃなければ絶対にやらないと言う。それでも、きっと全て上手くいくはずだと言ってバゲリは車を降りていく。

しばらく車を走らせたバディ。するとある娘が、バディにシャッターを押して欲しいと頼んでくる。シャッターを押したバディにその娘は、ありがとうと微笑む。

娘の笑顔を見た後、バディは突然来た道を戻る。そして、バゲリのいる博物館を訪れる。

再びバゲリに会ったバディ。バディは、「明日の朝、もし私が返事をしなかったら石を投げ入れて欲しい。もしかしたら、寝ているだけかもしれないから。」とバゲリに伝える。

家に帰ったバディは、錠剤を飲む。そして、タクシーで丘の上まで向かう。もうすっかり日が暮れた丘の上で、バディはタバコを吸い始める。しばらく町を眺めた後、バディは穴に入る。そして、ゆっくりと目を閉じる。

映像が突然ビデオの映像に切り替わり、映画の撮影風景が映し出される。そこには、撮影スタッフに指示を出す監督のキアロスタミの姿や、バディの姿も映し出されるのだった。

映画『桜桃の味』の感想・評価・レビュー

自殺しようと思うほど追い詰められたことも悩んだことも無い私は、この作品を見てもイマイチ「死」に対するイメージが湧きませんでした。「自殺」する勇気があるなら生きていた方が楽なのにと思うタイプの人には向かない作品です。
自殺したいと思う人は「生きている方が楽」なんて考えはとっくに捨てているのだと感じました。意味も無く生きること、もう生きたくないのに生き続けなければいけないこと、そういう「縛り」のようなものから抜け出したくて「自殺」を決意するのかなと考えてしまいます。結末を見ても、そこに「納得」は出来ませんでした。(女性 30代)

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