映画『愛と哀しみのボレロ』の概要:第二次世界大戦を経験したモスクワ、パリ、ベルリン、ニューヨークの舞踏家や音楽家たちの人生を、2世代に渡って描いた群像劇。接点のなかった登場人物たちが、長い時間経過を経て繋がっていく。作中でボレロの舞踏を披露したジョルジュ・ドンが、強烈な存在感を放っている。
映画『愛と哀しみのボレロ』の作品情報
上映時間:185分
ジャンル:ヒューマンドラマ、戦争
監督:クロード・ルルーシュ
キャスト:ロベール・オッセン、ジョルジュ・ドン、ダニエル・オルブリフスキー、ジェラルディン・チャップリン etc
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映画『愛と哀しみのボレロ』の登場人物(キャスト)
- シモン・メイヤー / ロベール・プラ(ロベール・オッセン)
- シモンは、パリのリド(キャバレー)でピアノを弾いていた。そこで出会ったアンヌと結婚する。ナチスのユダヤ人迫害によって収容所に送られ、ガス室で殺される。
ロベールは、シモンとアンヌの息子。本名はダビッド・メイヤー。赤ん坊の時、両親によって収容所行きの列車から密かに降ろされ、司祭夫婦の息子として育てられる。アルジェリア戦争から帰還後、著名な弁護士になる。
- アンヌ・メイヤー(ニコール・ガルシア)
- パリのリドでバイオリンを弾いていた。収容所から生還後、生き別れとなった息子を捜し続ける。収容所でバイオリンを捨て、戦後はアコーディオン弾きをして生計を立てる。
- ボリス / セルゲイ・イトヴィッチ(ジョルジュ・ドン)
- ボリスは、モスクワのボリジョイ劇場の関係者だった。プリマドンナのオーディションでタチアナに一目惚れし、その後結婚する。第二次世界大戦中、スターリングラードで戦死。
セルゲイは、ボリスとタチアナの息子。母親の指導で幼い頃からバレエを習い、天才的な舞踏家となる。パリ公演後、ソ連からフランスに亡命する。
- タチアナ / タニア・イトヴィッチ(リタ・ポールブールド)
- タチアナは、ボリジョイ劇場でプリマドンナを争うバレリーナだった。ボリスと結婚してセルゲイを出産し、戦時中は踊り子として慰問活動をしていた。夫の戦死後、ボリジョイ劇場の教師となり、旧友と再婚する。
タニアは、セルゲイの娘であり、タチアナの孫。パリでバレリーナをしている。
- ジャック・グレン / ジェイソン・グレン(ジェームズ・カーン)
- ジャックは、ニューヨークを中心に活動する著名な音楽家。ジャック・グレン楽団の指揮者であり、作曲や作詞も手がける。戦時中は、連合軍の軍楽隊長として、ヨーロッパ各地を回っていた。
ジェイソンは、ジャックの息子。歌手として活躍する妹のサラのマネージャーをしている。
- スーザン / サラ・グレン(ジェラルディン・チャップリン)
- スーザンは、ジャックの妻。フランス出身の歌手だった。戦後、交通事故により死亡する。
サラは、ジャックの娘。歌手として大きな成功を手にするが、私生活は乱れ、4回の離婚を経験する。アメリカで人気が低迷してきたため、パリのリドへの出演を決める。
- カール・クレーマー(ダニエル・オルブリフスキ)
- ナチス政権下のベルリンで、ヒトラーにピアノの腕を褒められたことがある。戦時中は占領軍の軍楽隊長に任命され、パリにいた。幼い息子はベルリンの空襲で死んだ。戦後は著名な指揮者となり、妻のマグダとともに世界各国を回る。
- エヴリーヌ / エディット(エヴリーヌ・ブイックス)
- エヴリーヌは、戦時中のパリで歌っていたシャンソン歌手。パリを訪れていたカールと恋に落ち、エディットを出産する。戦後、ドイツ兵と寝た売国奴として迫害され、故郷で自殺する。
エディットは、エヴリーヌの娘。母親の故郷で祖父母に育てられた。結婚するためパリへ来たが、婚約者に裏切られ、苦労をしてアナウンサーとなる。カールが父親であることは知らない。
映画『愛と哀しみのボレロ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『愛と哀しみのボレロ』のあらすじ【起】
1936年、モスクワ。ボリジョイ劇場では、プリマドンナを選ぶための最終審査が行われていた。バレリーナのタチアナは、課題曲「ラヴェルのボレロ」に合わせて一生懸命踊るが、プリマの座を逃してしまう。審査員の1人だったボリスは、個人的にタチアナを賞賛し、後に彼女と結婚する。
1937年、パリ。「フォリー・ベルジェール」という人気のリドでは、華やかなショーが行われていた。そこの楽団でバイオリンを弾いていたアンヌは、新人ピアニストのシモンと恋に落ち、めでたく結婚する。リドの仲間たちは、2人の結婚を賑やかに祝福してくれる。
1938年、ベルリン。ピアニストのカールは、ヒトラーの前でピアノを披露し、彼に褒められる。カールは急いで家に帰り、妊娠中の妻のマグダに、その喜びを伝える。この当時、ヒトラーから褒められるということは、大変な名誉だった。
1939年、ニューヨーク。自身の楽団を従え、豪華客船で「サラ」という新曲を披露していた音楽家のジャック・グレンは、ラジオで妻のスーザンと子供たちに呼びかける。「サラ」は、生まれたばかりの娘のために作った曲だった。その日の臨時ニュースで、ドイツ軍のポーランド侵入に従い、フランスとイギリスがドイツに宣戦布告したことが伝えられる。
1940年、パリ。第二次世界大戦が勃発し、アンヌとシモンが暮らすパリも物騒になっていた。ドイツ軍の軍楽隊長に任命されたカールは、1941年の新年をパリの酒場で迎える。そこで、シャンソン歌手のエヴリーヌという女性に出会う。ベルリンには、愛するマグダと生まれたばかりの息子がいたが、寂しさに耐えきれなくなっていたカールは、エヴリーヌと男女の関係になる。同じ頃、モスクワのボリスも、タチアナと生まれたばかりの息子を残して、戦場へと旅立っていた。
映画『愛と哀しみのボレロ』のあらすじ【承】
ナチスのユダヤ人迫害がパリでも始まり、多くのユダヤ人と一緒に、アンヌとシモンも収容所行きの列車に乗せられる。夫婦の赤ちゃんは、生き苦しい貨物列車の中で泣き続けていた。シモンは、この子だけでも助けたいと考え、途中で停車したイニ・アブリクール駅の線路上に、赤ちゃんを置いていく。赤ちゃんのおくるみの中には、金とアンヌがしていた結婚指輪、そして「この金と宝石で戦争が終わるまで育てて下さい」という名前と住所を記したメモを潜ませておいた。アンヌは、気も狂わんばかりに泣き続けていたが、シモンはこれが最善の方法だと信じる。
翌朝、線路上で赤ちゃんを見つけた近所の若者は、金と宝石を懐に入れ、赤ちゃんを遠くの教会の前に置く。シモンの残したメモも捨てられていたので、教会の司祭は赤ちゃんをロベールと名付け、自分の息子として育て始める。
戦況はますます激しくなり、アメリカも大規模な徴兵を開始する。ソ連のスターリンは、いかなる犠牲を払っても、ドイツ軍からスターリングラードを死守せよという厳命を出す。出征して1年になるボリスもスターリングラードへ送られ、そこで命を落とす。マットハウゼン収容所では、シモンがガス室に送られる。アンヌはバイオリンを弾いて、夫の最期を見送る。
ジャックは軍楽隊長として戦地へ向かい、ヨーロッパ各地を回っていた。ジャックの自宅前にある酒場の双子は、空挺師団の第一次攻撃隊員として勇ましく戦い、フランスで戦死する。
1945年、パリ。ついにドイツ軍がパリから撤退し、連合軍とパリ市民はともに勝利を祝う。ジャックの楽団の演奏で盛り上がるパリ市民の中に、司祭と幼いロベールの姿もあった。そんなお祝いムードの中、カールと恋人同士だったエヴリーヌは、ドイツ兵と寝た売国奴として、晒し者にされる。
アンヌは収容所からパリに戻り、カールもベルリンへ帰る。しかしベルリンは空襲で焼け野原となっており、マグダとは再会できたが、幼い息子は命を落としていた。同じ頃、ニューヨークに帰ったジャックは、妻や子供たちと喜びの再会を果たす。しかし前の酒場には双子の戦死の知らせが届き、双子の両親は泣き崩れる。未亡人となったモスクワのタチアナは、ボリジョイ劇場の教師となり、息子のセルゲイにバレエを教え始める。
アンヌは赤ちゃんと別れた駅を訪れ、息子を捜し始める。収容所でバイオリンを捨てたアンヌは、昔のリドの仲間たちと小さな楽団を組み、アコーディオンを弾いて生計を立てる。カールの子供を出産したエヴリーヌは、生まれたばかりの娘を連れて故郷へ帰るが、そこでも迫害されて自殺する。戦争は終わったが、ヨーロッパが明るさを取り戻すのには、まだまだ時間がかかりそうだった。
映画『愛と哀しみのボレロ』のあらすじ【転】
それから20年後。エヴリーヌの娘のエディットは、育ての親の祖父母に見送られ、婚約者の待つパリへと旅立つ。同じ列車には、アルジェリア戦争の帰還兵たちが乗っていた。その中に、立派な青年となったロベールもいた。
パリの駅は、帰還した息子を迎える家族で賑わっていた。パリに到着したエディットは、婚約者の裏切りを知る。
アンヌは暇さえあれば駅へ行き、息子の行方を捜し続けていた。アンヌとともにこの駅を訪れた仲間たちは、初めて彼女の身の上話を聞く。アンヌの人生は、息子と別れたあの夜からストップしていた。
ジャックの娘のサラは歌手となり、兄のジェイソンは妹のマネージャーになっていた。兄妹は、母親が交通事故で死亡したという突然の知らせを受け、悲しみにくれる。ジャックは、妻の死から1年も経たないうちに若い女性と再婚し、ハネムーンでパリへ行く。
カールは著名な指揮者となり、右腕となった妻のマグダとともに世界各地を飛び回っていた。ニューヨーク公演の日、切符は完売していたが、幕が開くと観客席には2人の批評家しか座っていなかった。カールがヒトラーと交流していたことを知ったニューヨークのユダヤ系市民が、切符を買い占めて彼の公演を妨害していたのだ。カールはマグダの勧めで記者会見を開き、当時の状況では仕方がなかったことを伝える。
タチアナの息子のセルゲイは天才舞踏家となり、パリのオペラ座での舞台を大成功させる。モスクワのタチアナは、再婚相手とともに、セルゲイの成功を喜ぶ。しかし、公演を終えて帰国するはずだったセルゲイは、自由を選んでフランスに亡命し、ソ連には帰ってこなかった。
婚約者に捨てられたエディットは、パリで苦労を重ねていた。ロベールは弁護士となり、ほかの戦友たちもそれぞれの人生を歩み始めていた。パリに帰ってからも、ロベールと戦友たちの交流は続いていた。
映画『愛と哀しみのボレロ』の結末・ラスト(ネタバレ)
それからまた時は流れ、80年代がやってくる。ロベールは弁護士として成功し、彼の息子は歌手を目指していた。ロベールは、そんな息子のことが理解できない。ロベールの妻は夫の浮気を疑い、離婚を切り出す。ロベールの家庭は、崩壊寸前だった。
エディットは様々な職を転々とした末、アナウンサーとなる。サラは歌手として大成功していたが、私生活はめちゃくちゃで、4回の離婚を経験していた。15歳になる息子ともずっと離れて暮らしており、アル中となったサラの人気は低迷していた。ジェイソンはそんな妹を心配し、パリのリドでショーをすることを勧める。しかしサラは、自分はまだまだアメリカで通用すると自負していた。
ロベールと戦友たちの交流は続いていたが、それぞれが抱える事情は重たくなっていた。そんなある日、ロベールはエディットと食事をすることになる。そこで、彼女が20年前にアルジェリアから帰る列車で会った女性であることを思い出す。その後2人は男女の関係となるが、エディットは隠し事ばかりするロベールにうんざりし、彼に別れを告げる。
ジェイソンは、将来を悲観して自殺未遂を図る。サラは兄のために、パリのリドで歌うことにする。そこでサラのデュエットの相手に選ばれたのが、ロベールの息子だった。
ロベールの著書を目にしたアンヌの仲間は、著者の写真がシモンそっくりであることに驚く。仲間はロベールに会いにいき、昔の写真を見せて、アンヌとシモンのことを知らせる。実の両親のことを初めて知ったロベールは、息子が音楽好きな理由がわかった気がする。アンヌが2週間ごとに駅へ来て、自分のことを捜し続けていたと聞き、ロベールは母親を捜し始める。認知症になっていたアンヌは、2年前から消息不明になっていた。
戦後40年を記念し、パリでユニセフと赤十字が主催する大規模なチャリティ・ショーが行われることになる。企画者の男性は、パリを訪れていたサラやカール、そしてセルゲイに協力を依頼する。エディットは、テレビ放送の司会を務めることになる。
エッフェル塔の前の広場に舞台が組まれ、周囲に多くの観客が集まる。観客の中には、ロベールと、精神病院で発見されたアンヌ、そしてタチアナの孫にあたるタニアの姿もあった。モスクワのタチアナは、テレビでショーを見守っていた。
カールの指揮でオーケストラが演奏を始め、舞台上ではセルゲイが見事な舞踊を披露する。そしてオーケストラの演奏に合わせ、サラとロベールの息子が歌う。その曲目は「ラヴェルのボレロ」だった。
映画『愛と哀しみのボレロ』の感想・評価・レビュー
フランスのクロード・ルルーシュ監督作品。これぞフランス映画と言うような芸術的で壮大で、目でも耳でも楽しめる超大作でした。バレエダンサー、歌手、指揮者、音楽家という実在の4人の芸術家をモデルに、運命の糸に結ばれた人々の物語を描いた3時間。その3時間のほとんどが、演奏や踊りのシーン。これこそが目でも耳でも楽しめるということです。本当に美しく、そして儚い芸術家たちの人生。
タイトルにある「ボレロ」のシーンは素晴らしく、言葉になりません。何度も観返したくなる作品です。(女性 30代)
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