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映画『サイドカーに犬』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『サイドカーに犬』の概要:弟の結婚を機に、ふと過去へと思いを馳せるヒロイン。自分とは真逆の性格で、豪快で破天荒な女性がいたことを思い出す。父親の愛人だった女性との短い生活を思い出すことで、再び自分の人生を歩き出そうとするヒロインの姿を描いている。

映画『サイドカーに犬』の作品情報

サイドカーに犬

製作年:2007年
上映時間:94分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:根岸吉太郎
キャスト:竹内結子、古田新太、松本花奈、谷山毅 etc

映画『サイドカーに犬』の登場人物(キャスト)

ヨーコ(竹内結子)
薫の父親の愛人。破天荒で豪快、大雑把な性格。その反面、料理を作ってくれるなど、女性的な面も見せる。
近藤薫(子供時代:松本花奈 / 20年後:ミムラ)
不動産会社勤務。大雑把で生真面目な性格だが、恋愛事には消極的。自分とは真逆の性格であるヨーコに憧れを抱き、仲良くなっていく。
近藤透(子供時代:谷山毅 / 20年後:川村陽介)
薫の弟。プラモデルやゲームに夢中だった。大人になってからは姉に気遣いを見せる。
近藤良子(鈴木砂羽)
薫の母親。うだつの上がらない夫に業を煮やし、家出する。家出から帰宅後は夫と離婚し、娘を連れて実家の山形へ帰郷。気の強い女性。

映画『サイドカーに犬』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『サイドカーに犬』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『サイドカーに犬』のあらすじ【起】

不動産会社で働く近藤薫は、大雑把な割に恋愛には消極的だ。近々弟の結婚式を控えており、家族全員が久しぶりに顔を合わせることになっていた。
ある朝、薫は仕事に行く前、履いて行く靴を選ぶことができずに仕事を休んでしまう。そして、行きつけの釣り堀へ。そこに来ている小学4年生の女の子と接し、自分が同じ年頃のことを思い出すのだった。

20年前、薫と透の母親良子がある日突然、家出した。父親は中古車買い付けの仕事を始めたばかりで先行きは不安だったが、薫も透も深く考えることはしなかった。
7月の終わり。家にヨーコという女性がやって来る。彼女は豪快で破天荒。買い物に行くと一度に何袋も買い込む人だった。

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映画『サイドカーに犬』のあらすじ【承】

ヨーコはどうやら父親の愛人らしい。柄の悪い連中と付き合いのある父親だったが、本人は人が好く争いごとを好まない。そんな父親だからこそ、ヨーコは好意を寄せているようだ。薫はヨーコにコーラの味を教えてもらい、自転車の乗り方や麦チョコをカレー皿で食べるという贅沢を教えてもらった。

家族でオンボロ車に乗りドライブに出かけた時、薫はバイクのサイドカーに乗る犬を見たことがあった。澄ました顔で乗っていた犬に憧れを抱いた薫。人を支配する側にいるより、彼女は産まれた時からずっと隣にいるような存在になりたいと思ったのだった。

父親は放任主義で、子供達にうるさく言う人ではない。薫はどちらかと言うと母親似で、生真面目な性格だった。故に、度々父を悩ませるような言動をしてしまう。

映画『サイドカーに犬』のあらすじ【転】

そんなある日、父親が車の一時不停止で警察に止められてしまう。車の後部座席には、車のナンバープレートが何枚もあったため、盗難車売買の疑いをかけられる。父親は咄嗟に逃亡するも、逮捕されてしまう。

その頃、薫と透はヨーコと花火を楽しんでいた。翌朝、釈放された父親がようやく帰宅。
そこで、ヨーコが父親の友人と会い、盗難車を扱う一件から手を引くよう言われたために金を渡したことが判明。父親とヨーコは口論になり、もう家にご飯を作りに来なくていいと言われてしまう。

父親が透と出かけてしまったため、薫はヨーコと昼ご飯を食べて出かけた。ヨーコは父親から当たり馬券を手切れ金代わりに受け取っていたため、換金に向かう。すると、馬券は渡した金額の倍はあった。
ヨーコは薫を連れて、小旅行へ出かけることにした。

バスに乗って海辺へ来た2人。宿泊場所を探すも見つからない。アイスクリーム売りの男性に泊まれるところがないか聞いてみると、自分の家に泊まって良いと案内された。
しかし、男性の年老いた母親に薫とヨーコの関係を推察され、どきりとする2人。

映画『サイドカーに犬』の結末・ラスト(ネタバレ)

翌朝、薫が目を覚ますと隣に寝ていたはずのヨーコがいない。彼女は焦ってヨーコの後を追って、海の岩場へ向かう。ヨーコは岩場でカメの手を獲っていた。
薫は彼女と一緒にカメの手獲りに精を出しつつ、ヨーコのカメの手にまつわる思い出を聞いた。
嫌いなものを好きになるより、好きなものを嫌いになる方がずっと難しいと語るヨーコ。

良くしてくれたアイスクリーム屋の男性に別れを告げて、2人は帰路に着く。
家に帰ると、徹が黙々と膨大な量のプラモデルを作っていた。そこへ、母親がまたしても突然、帰宅。妻と愛人の戦いが勃発する。

戦いにはヨーコが勝利するも、彼女は泣きそうになりながら家を去ろうとする。薫はすぐさまヨーコを追いかけたが、彼女は友達になれて良かったと言い、自転車で走り去って行くのだった。

その後、良子は夫に見切りをつけ離婚。薫は母親に引き取られることになり、透は父親の元に残ることになった。

あれから20年、薫は今年30歳になる。釣り堀から帰る途中で透から電話があり、ヨーコの自転車を見かけたと言う。薫は隣町へヨーコを訪ねて行くも、会わずに帰るのであった。

映画『サイドカーに犬』の感想・評価・レビュー

長嶋有の同名短編小説を映画化した作品。竹内結子を主演とし、破天荒で男勝りなヒロイン役で新境地を開いたと言われている。
今作の魅力はやはり、ヒロインのヨーコだろうと思う。竹内結子演じるヨーコが素晴らしく嵌っていて、かつ男勝りでありながらも女らしさを垣間見せるという魅力溢れる存在となっている。10歳の主人公にとってはヨーコの存在はとても衝撃的だっただろう。何しろ主人公は真面目で堅苦しい性格だからだ。故に、ヨーコのような自由な女性との短いながらも濃い生活は、大人になっても忘れられない記憶になったのだと思う。ストーリー上、主人公の家族関係はお世辞にも良いものとは言えないが、作中では不幸というよりもヨーコと過ごしたことによって良い思い出として記憶されている。そんな思い出を束の間、思い出して息抜きをするというちょっとした一時を描いた作品。(女性 40代)


母が家出し、代わりに父の愛人がやってくるというドロドロとした大人の事情を入れ込みながらも、それを子供目線で描き、ひと夏の鮮烈な思い出としてどこか爽やかさも感じられる作品。1980年代の時代設定で、パックマンやガンプラなど、当時懐かしのアイテムも登場して哀愁を漂わせている。
ヨーコと薫の関係は家族でも友人でもないけれど、お互いにとってかけがえのない存在だったであろう。もう会えないけれど、いつまでも特別な人として心に残り続けるはずだ。(女性 30代)


父の愛人と仲良くなるという不思議な関係でしたが、ヨーコのキャラクターがものすごく魅力的で懐いてしまう薫の気持ちがとてもよく分かりました。知らないことや大人の世界を教えてくれるヨーコは真面目で世間知らずな薫にとってまさに憧れだったのだと思います。ヨーコのようにはなれなくても、ヨーコの近くにいられることが薫にとっては嬉しいことで幸せだったのではないでしょうか。
会いたいなと思って足を運びますが、会わずに帰っていくのがなんとも雰囲気があって良かったです。(女性 30代)

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