映画『希望のかなた』の概要:シリアからの避難民である青年は、ヘルシンキにたどり着く。はぐれた妹を探し出し、そこで生活しようとするも、政府に強制送還を言い渡されてしまう。そんな青年の姿を見て、あるレストランのオーナーが彼の手助けを始める。
映画『希望のかなた』の作品情報
上映時間:98分
ジャンル:ヒューマンドラマ、戦争
監督:アキ・カウリスマキ
キャスト:シェルワン・ハジ、サカリ・クオスマネン、シーモン・フセイン・アル=バズーン、カイヤ・パカリネン etc
映画『希望のかなた』の登場人物(キャスト)
- カーリド(シェルワン・ハジ)
- シリアのアレッポからの避難民。ヘルシンキに流れ着き、はぐれてしまった妹を探し続けている。強制送還を言い渡されるも、ヴィクストロムに不法滞在の手助けをしてもらう。フィンランド解放軍を名乗る男に刺されてしまう。妹想いの優しい男。
- ヴィクストロム(サカリ・コイヴラ)
- ヘルシンキに住む老人。衣類のセールスという自分の仕事と、妻への不満が爆発して家を出ていく。カジノで大金を得て、念願のレストランオーナーになる。ゴミ置場にいたカーリドを救う。物静かだが、意志の強い老人。
- ミリアム(ニロズ・ハジ)
- シリアのアレッポからの避難民。兄のカーリドとは、ハンガリーの国境での混乱ではぐれてしまう。兄とヴィクストロムのおかげで、ヘルシンキへと無事にたどり着く。不法滞在をせず、自分の名前で生きていきたいと兄に伝える。芯の強い少女。
- マズダク(サイモン・フセイン・アルバズーン)
- カーリドと同じ収容所にいた避難民。元看護師。仕事をするも、中々向上しない現状に苛立ちを覚えている。カーリドに友情を抱き、色々な手助けをする。
映画『希望のかなた』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『希望のかなた』のあらすじ【起】
フィンランドのヘルシンキ。港に泊められた船に積まれた石炭の山から、シリア人青年のカーリドが姿を現す。真っ黒になった彼は、淡々とその船を降りていく。
ヘルシンキで衣類のセールスマンとして働いているヴィクストロムという男が、指輪と鍵を妻の座っているテーブルに置いて家を出ていく。仕事への情熱もなく、酒浸りな妻を毎日見る生活に辟易していたのだ。ヴィクストロムは車に乗り、家を離れる。途中、顔を真っ黒にした青年カーリドにぶつかりそうになりながらも、彼は街のホテルに車を駐車させる。
カーリドは、駅のシャワールームで真っ黒な体を洗い流す。綺麗になった彼が向かったのは、警察署だった。彼の故郷であるアレッポの内戦が激化したため、彼はヨーロッパへと逃げた。流れ着いたここヘルシンキで彼は、難民申請を申し出ようとしていたのだ。
ヴィクストロムは、在庫として持っていたシャツ全てを車に積み、いろいろなお店を回って売り払っていた。彼は、ずっとレストランのオーナーとして働きたいと思っていて、仕事を変えようとしていたのだ。
映画『希望のかなた』のあらすじ【承】
カーリドは、様々な国から避難してきた人たちのいる収容所に収容される。そこでは最低限の物が用意され、食事もしっかりしている。
入国管理局で、カーリドの最初の面接が行われる。そこでカーリムは、ヘルシンキまで流れ着いた経緯を話す。
彼は修理工としてアレッポで働いていた。ある日家に帰ると、何者かによる空爆によって家は壊滅してしまった。家族はみんな命を落としたが、偶然にも生き残っていた妹のミリアムと共にアレッポを脱出した。色んな国を経て着いたハンガリーの国境での混乱で、彼はミリアムと生き別れになってしまったのだ。彼はミリアムが生きていると信じていて、彼女を探しているのだと話す。彼の今の希望は、妹を探してフィンランドに呼び寄せることなのだった。
全てのシャツを売り終えたヴィクストロムは、まとまったお金を手にいれる。そのお金を持って彼が向かったのは、カジノだった。そこでポーカーをプレイし、大勝ちした彼は莫大なお金を手に入れる。
映画『希望のかなた』のあらすじ【転】
ヴィクストロムは、ポーカーで手に入れたお金で「ゴールデン・パイント」というレストランを買い、オーナーになる。そこにはベテラン従業員がいるというふれこみだったが、頼りないウェイターのカラムニウス、やる気のない調理人のニルヒネン、無愛想なウェイトレスのミルヤの三人がいるだけだった。サービスも最低で、お客に缶詰のサーディンをそのまま出すだけだった。
カーリムは、同じ収容所でイラクからの避難民であるマズダクと仲良くなる。マズダクは、一年もヘルシンキにいる。しかし、何か良い方向に向かっているかと言われるとそうではなく、気を落としていた。
カーリムは警察署に呼ばれ、面接の結果を言い渡される。フィンランド政府は、アレッポの戦況はそこまで酷くないと判断し、カーリムをトルコ経由でアレッポへと強制送還する判決を下す。その夜、カーリムが見ていた収容所のテレビニュースに映し出されていたのは、アレッポの町が爆撃されている映像だった。
映画『希望のかなた』の結末・ラスト(ネタバレ)
翌朝、カーリムは収容所を脱出する。彼が辿り着いたのは、「ゴールデン・パイント」のゴミ置場だった。ヴィクストロムはカーリムをそこで発見する。言い争いになった二人は、そこで殴り合いをする。
ヴィクストロムはカーリムをレストランで働かせることに決める。自身が使っていた倉庫を寝床としてカーリムに与え、さらには偽装パスポートまでも手配する。
店の営業成績が悪いことを危惧していたヴィクストロム。彼はスタッフと相談して、レストランを寿司屋に変えてしまう。しかし、小手先で挑戦した寿司屋は大失敗に終わる。
再びレストランとして営業を始めたヴィクストロムたち。そこへ、カーリムを訪ねてマズダクがやってくる。彼はカーリムにミリアムが見つかったという知らせを持ってくる。
ヴィクストロムの協力で、ミリアムはヘルシンキへと辿り着く。彼女に再会したカーリムは、彼女を抱きしめて喜ぶ。
偽造パスポートを作らずに、堂々と難民申請をしたいというミリアムの願いを聞き入れたカーリム。その夜、彼はフィンランド解放軍を名乗る男にお腹を刺されてしまう。
翌日、カーリムは警察署に向かったミリアムを見送りに向かう。彼女が警察署に入るのを見届けたあと、彼は川沿いの木陰で倒れこむのだった。
映画『希望のかなた』の感想・評価・レビュー
移民の現状を反映させた社会的な作品です。
フィンランドの映画を見るのは、私は初めてでした。
急に寿司レストランのシーンが出てきたときは驚きました。日本人だからこそ笑えるシーンでしたね。
ただ、映画自体のキャッチコピーが「みんなで救う」だったのに対し、キャラクターそれぞれの関係性が深いわけでもなく、主人公が妹をフィンランドに呼ぶという目的を達成した後は、仲間に挨拶もせずどこかへ行ってしまいました。
ストーリーが難解な映画です。(女性 20代)
移民たちのリアルを描いた作品でしたが、あまりにもストーリー性が無く内容が頭に入ってきませんでした。
家族と離れ、自分自身の手で新しい人生を歩み始めた男ヴィクストロムとその男が助けた移民のカリーム。全く違う人生を歩んできた2人が突然出会い、そこから友情を深めていくのかと思いきや、仲が深まると言うよりも自分の目標のためにお互いを使い合っているような感じで、なんとも言えない気持ちになりました。
ヴィクストロムにお礼も言わずに出ていってしまうカリーム。そのままラストを迎えます。作品の意図を読み取るのが難しかったです。(女性 30代)
シリア難民問題を淡々と描いています。難民とか、難民認定申請についてもっと理解を深めていきたいと思いました。拒絶して強制送還させようとする人もいますが、ぶっきらぼうなのに手を差し伸べてくれる人も大勢います。難民を受け入れる側の事情についても、深堀りしたくなりました。キャストは必要最低限しか動かず、会話も少なめです。シュールなコメディみたいな世界観、アキ・カウリスマキらしくて好きです。『希望のかなた』が引退作だなんて、淋しくなりますね。(女性 30代)
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