映画『7つの贈り物』の概要:過去に悲惨な事故を起こしてしまい、婚約者と6人の命を奪ってしまった主人公。彼は自分のしたことを酷く悔い、とある計画を思いつく。7人の人々を厳選した主人公は、自分の身分を偽りながらも、命を削って彼らに贈り物をする。悲しくも感動的な作品。
映画『7つの贈り物』の作品情報
上映時間:123分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ガブリエレ・ムッチーノ
キャスト:ウィル・スミス、ロザリオ・ドーソン、マイケル・イーリー、バリー・ペッパー etc
映画『7つの贈り物』の登場人物(キャスト)
- ベン・トーマス(ウィル・スミス)
- 元航空学エンジニア。黒人男性で常に悲し気な表情をしている。とある計画を遂行するため、アメリカの税務局員を装い目的の人物を捜している。努力家で、優しい性格。本名はティム。
- エミリー・ポサ(ロザリオ・ドーソン)
- 心臓病を患いつつも、印刷業を営んでいる女性。病気のせいで、幼い頃からやりたいことができずにいる。大型犬を飼っているが、散歩するのにも一苦労。国税局員として接近してきたトーマスに惹かれていく。
- トーマスの弟(マイケル・イーリー)
- アメリカの税務局員。肺を患い兄から臓器を提供してもらい、命を救われる。兄思いの弟で本当のベン。
- ダン(バリー・ペッパー)
- 幼い頃からのトーマスの親友。トーマスの計画に苦悩しつつも協力してくれる。
- エズラ・ターナー(ウディ・ハレルソン)
- 盲目のピアニストで、普段は肉のセールスをしている。障害のせいで自信がなく、礼儀正しく優しい性格。子供達にピアノや歌を教えている。
映画『7つの贈り物』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『7つの贈り物』のあらすじ【起】
海岸沿いの豪邸に住むトーマスは、過去に悲惨な大事故を起こしてしまい、酷く苦悩していた。そんな中、とある計画を立て親友のダンと医師に協力を仰ぎ、計画の遂行中であった。
トーマスは肉のセールスをしているエズラ・ターナーに、クレームの電話をかける。わざと酷いクレームを怒鳴りつけるが、エズラは盲目であることを指摘されても怒らずに、丁寧な対応を行うのである。トーマスは自分の所業に苦しみつつも、エズラの対応に心を決めるのだった。
トーマスが次に向かった先はアメリカの国税庁。彼は資格者証に記載されているベン・トーマスとして潜入し、デスクの端末から探している人物のデータを入手した。
心臓病を患う女性エミリー・ポサの元へ早速、訪問。しかし、彼女は検査のために病院へ行っており留守だった。
病院にてエミリーを発見したトーマス。エミリーは若く美しい女性だったが、面会時間を過ぎていたため、話をすることができなかった。
次に骨髄移植を待つ男性と面会したトーマスだったが、男性は善人を装った悪人だったため、候補者から外れる。トーマスが探しているのは、心が清い人物なのだ。
エミリーの病院で骨髄移植を待つ少年を発見。急遽、候補者を少年に変更しつつ、エミリーとも少しだけ会話。その後、トーマスは病院の近くにあるモーテルへと移り住むことにする。
翌日、エミリーの自宅を訪ね、国税局員を装って彼女の事情を直接、聞き出す。エミリーの病状はドナー登録をしているが、入院するほど酷いわけでもない。しかし、発作後にドナーが見つからなければ、死んでしまうという状態だった。
彼女と面会しエミリーの人格を感じ取ったトーマスは、海沿いの豪邸を譲り渡す準備を行う。そして、飼っていたハブクラゲをモーテルへ持ち込んだ。
映画『7つの贈り物』のあらすじ【承】
以前からの知り合いである、家族福祉課に務める女性を訪ねたトーマス。彼は彼女から、恋人の暴力に苦しめられている女性を紹介してもらう。女性には幼い子供が2人いるが、恋人と別れられずに苦しんでいた。トーマスはその家族を助けるため、救いの道を示すも女性は疑心暗鬼となっており、彼の言葉を信じなかった。
トーマスには弟が1人いる。弟は療養中だったが、病状が安定したため、仕事に復帰したようだ。怒った様子の弟から電話があるも、兄は相手にしなかった。少し急ぐ必要があるようだ。
アイスホッケーのコーチをしている男性の人格を認め、トーマスは決心して腎臓の移植提供をすることにした。
しかしそんな折、犬の散歩中にエミリーが失神してしまう。その頃、トーマスはエズラの身辺調査を行っていた。エズラは普段から人柄の良い人物のようだった。
深夜、意識の戻ったエミリーから電話がある。これにより、彼女の状況を知ることになったトーマス。エミリーの心臓は日に日に弱っているようだ。彼は彼女にティムという少年の話をした。
深夜の内にエミリーの病室へ。そのまま朝を迎えたトーマス。医師からエミリーの病状が悪化し余命が1年ほどしかないことを聞く。エミリーはドナーを待つべくポケベルを持つことになった。
エミリーの飼い犬を1晩預かることにしたトーマスだったが、恋人の暴力に苦しむ女性から救助の電話が入る。彼女は精神的に追い詰められ、咄嗟に逃げ出して来たと言う。トーマスは彼女に豪邸の所有権譲渡の書類を渡し、無事に逃がした。
映画『7つの贈り物』のあらすじ【転】
エミリーと過ごすうちに、2人の距離が徐々に近づいていく。トーマスがエミリーの自宅で草むしりをしていると、彼女が印刷機を見せてくれる。アンティークの印刷機は、味わいのある色を出すため、彼女が作り出すものには定評があった。しかし、2台ある印刷機の内、1台は故障中で修理できる人がいないと言う。
エミリーと犬の散歩へ行き、彼女の内面を更に知ることができたトーマス。彼女は先天性の心臓病を患っているため、幼い頃から無理ができない身体だった。そのせいで、できることが限られた生活をずっと送ってきたのである。
トーマスは彼女に惹かれていることを自覚。その夜、密かにエミリーの工房へ侵入し、1晩かけて故障中の印刷機を修理した。航空学エンジニアだったが故にできたことだった。
その後、病院で発見した少年に骨髄を提供。モーテルで休養中にエミリーから夕食の誘いがある。時間通りに彼女の自宅を訪ねると、プレゼントを渡され着替えろと言われる。以前、トーマスがスーツしか持っていないと言っていたことを気にかけていたらしく、シャツとジーンズが入っていた。
エミリーとの楽しい時間を過ごすトーマスだったが、実に複雑な心境でもあった。彼はエミリーに心臓を提供しようと考えていたからである。自分にとっても最後の時間を過ごすトーマス。修理した印刷機を披露した。エミリーは感動し、2人の思いは到達点を越える。トーマスは彼女へのプレゼントを取りに車へ戻った。しかし、そこへ弟が現れる。
弟は自分の資格者証で勝手をした兄に対し、怒っていた。そして、兄が何をしようとしているか聞き出そうとする。ベンと名乗っていたトーマスだったが、本当のベンは弟で兄はティムという名前だった。ティムは弟を車で待たせ、自分はエミリーの元へ戻る。
映画『7つの贈り物』の結末・ラスト(ネタバレ)
言い訳をして帰ろうとしたティムだったが、エミリーの誘いに負けてしまい、2人はそのまま体を重ねる。互いに愛を告げ合うもティムは彼女を救うため、最後にその姿を目に焼き付けて心を決める。
深夜、エミリーの自宅から走って病院へ。外は土砂降りの雨だった。エミリーの担当医から他に助かる方法がないかを確認するが、エミリーは特殊な血液型でドナーが見つかる可能性は低いらしい。ティムはダンに連絡を取り、時が来たと告げた。
モーテルへ戻ったティム。エズラへ電話をかける。クレームの電話をかけたことを詫び、贈り物をするための指示をした。
そうして、大量の氷を浴槽へ入れ救急に自ら電話し、今からすることを告げた。
少し前まで、航空学エンジニアだったティム。婚約者との仲も仕事も順風満帆だった。未来は明るく開けていたとばかり思っていたが、ハイウェイを走行中に携帯メールの確認しハンドル操作を誤ってしまう。車は対向車と衝突し、婚約者と他に6人もの命を奪う大事故を引き起こしてしまったのだった。
1人だけ生き残ってしまったティムは、自分がしてしまったことを酷く悔い苦悩した。
冷たい浴槽へ身を沈めたティムは、飼っていたハブクラゲを投入。クラゲの触手には、地球上で最も強いとされる猛毒があった。ティムはクラゲに刺され、痛みと苦しみに悶える。そうして、息を引き取るのだった。
電話をもらったダンはティムの計画通りに心臓移植の説得をし、エミリーのポケベルが鳴る。ダンは親友の最期を思い、涙に暮れた。
何も知らないエミリーは緊急オペにより、ティムの心臓を移植されるのだった。
弟のベンは兄が住んでいたモーテルを訪れそこで、ようやくティムの計画の全てを知る。そうして、無事に回復したエミリーと会い、事情を説明するのだった。
ティムの大事故から1年後、ベンは肺がんを患い移植が必要となった。その時にドナーとなってくれたのが、兄のティムだ。恐らくは、それがきっかけだったのだ。
その半年後、家族福祉課に務める女性に肝臓を提供。少年に骨髄を、アイスホッケーのコーチに腎臓を、恋人の暴力に怯えていたシングルマザーに家を、エズラに網膜を、そして最後に心臓をエミリーに提供したのだった。奪ってしまった命の分だけ、ティムは報いとして自らの命を削り、本当に救いを求める人に手を差し伸べたのである。
後日、回復したエズラを訪ねたエミリー。たった1人の人間によって救われた2人は、命をくれた彼を思い滂沱の涙を流しながら抱き合うのだった。
映画『7つの贈り物』の感想・評価・レビュー
ウィルスミス主演の映画でも、かなりお気に入りの作品である。過去に犯した罪に対しての罪悪感から、せめて自分が選んだ人間に贈り物をしようと、様々な人物と出会っていくストーリー。タイトルにある7つの贈り物の意味は、最後にはっきりと描かれているので、
しっかりと見て欲しい。けして犯した罪や罪悪感は消える事は無いのだろうが、それでも主人公ベンが、いわば自らの命を分け与えるという選択をした事へのその自己犠牲精神には脱帽してしまう。(男性 30代)
本作は、自分の不注意によって起こした悲惨な事故で婚約者と6人の命を奪ってしまった男を描いたヒューマンドラマ作品。
ウィル・スミスは明るい役が多いが、こういった影のある役は珍しいと思った。
主人公が大切な人たちの命を奪ったという罪悪感から自殺に至るまでがとにかく重かった。
亡くなった人たちの分まで生きることは出来なかったのだろうかという疑問もあるが、彼の優しさと深い考えによって導かれた選択なのだろう。
最後に全てが繋がって感動した。(女性 20代)
主人公が様々な人と会い、密かに審査している様子が描かれていくので、何が贈り物になるのか最後まで分からない。だが、ストーリーが進むにつれまさかという疑惑が確信になっていく。そして、最後に明らかにされる主人公の罪と彼の贖い方は、とにかく衝撃的でしかなかった。婚約者と6人の命を奪った罪を贖うには、この方法しかないようにも思える。他の方法ではきっと足りない。ある意味、究極とも言える。それにしても、凄い方法を考えたものだと思う。自分だったら考えつかない方法だろう。聖職者か仏門に入って仏様を拝むしか思いつかない。とにかく、ストーリー構成が秀逸で贈り物の真実が明らかになることで胸が痛み、涙が止まらなくなる。素晴らしく秀逸で悲しくも感動的な作品だ。(女性 40代)
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