映画『海賊じいちゃんの贈りもの』の概要:アビー夫妻は夫婦関係が冷え切っていて、口論が絶えない状況だった。そんな時、癌で闘病中の夫の父の誕生日を、家族皆で祝いに行くことになる。アビー夫妻は夫の父に心配をかけないため、別居中であることは秘密にしていることにした。
映画『海賊じいちゃんの贈りもの』の作品情報
上映時間:95分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
監督:アンディ・ハミルトン、ガイ・ジェンキン
キャスト:ロザムンド・パイク、デヴィッド・テナント、ビリー・コノリー、ベン・ミラー etc
映画『海賊じいちゃんの贈りもの』の登場人物(キャスト)
- アビー(ロザムンド・パイク)
- ダグとの間に3人の子供(ロッティ、ミッキー、ジェス)がいる。夫の浮気に腹を立てており、離婚して引っ越すことを考えている。
- ダグ(デヴィッド・テナント)
- 妻のアビーとは関係が冷え切っており、子供の前でも口論が絶えない関係になる。だが、子供達のことは大切に思っている。
- ゴーディ(ビリー・コノリー)
- ダグの父親。若くして戦場で散った兄のことを忘れられずにいる。癌を患い、余命いくばくもない。
- ギャビン(ベン・ミラー)
- ダグの兄。投資家。プライドが高く、威圧的な性格。成り上がるのに必死で、妻が鬱病であることも気づいていない。
- マーガレット(アメリア・ブルモア)
- ギャビンの妻。鬱病を患い、精神的に不安定。威圧的な夫に、愚痴を言うこともできない。
映画『海賊じいちゃんの贈りもの』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『海賊じいちゃんの贈りもの』のあらすじ【起】
ダグとアビー夫妻はダグの父であるゴーディの75歳の誕生日を祝いに行くため、朝から慌ただしく準備に追われていた。子供達は各々好き勝手なことをして、親達を困らせていた。次女のジェスは石ころを持って行きたいとゴネ、長女のロッティは誰が嘘を吐くかメモに書きとめると言い出す。また、長男のミッキーは海賊に夢中で、遊んでいた。だが、ダグとアビー夫妻にも問題があった。夫婦の仲は冷え切っており、事あるごとに口論ばかりしているのだ。
ダグ一家が乗った車は渋滞にハマってしまい、今日中にゴーディの家に着くのは不可能だった。だが、ダグは兄のギャビンに今日着くことを約束していたため、アビーが止めるのも聞かずに、今夜中には着くと言ってしまう。アビーとダグは子供達に喧嘩の声を聞かせないため、雨が降りしきる中外で口論した。だが、子供達は幼いながらも親達の仲が悪いことは知っており、罵り合っている姿をうんざりした様子で見ていた。
ダグは父の余命が僅かなため、別居していることを隠すことにした。そして、アビーや子供達に秘密にするよう頼んだ。ダグ一家は一晩ホテルに泊まり、次の日ゴーディがいるスコットランドに辿り着いた。
映画『海賊じいちゃんの贈りもの』のあらすじ【承】
ゴーディは秘密の隠れ部屋に、ロッティを案内した。そこに、ミッキーが現れ、75歳で誕生日は終わりなのか質問した。両親がこれが最後だと話していたのだ。ミッキーはまだ幼いため、祖父の病気のことが理解できなかったのだ。ロッティは死が分かる年齢だったが親に知らされていなかったため、弟の話に肩を強張らせた。ゴーディはミッキーに子犬達の様子を見に行かすと、ロッティに自分が癌で余命が長くないことを打ち明けた。そして、嘘を頑なに嫌うロッティに、ゴーディは“嘘も方便”ということを教えた。場合によっては、嘘を吐いた方が良い場合もあるのだ。ロッティは祖父の話に、耳を傾けた。
皆でサッカーをして遊んでいると、ギャビンは動こうとしない息子のケネスを激しく叱り飛ばした。その様子を、ゴーディは呆れたように眺めていた。父に激しく責められたケネスはボールを追いかけるが、ボールの前に立っていたロッティも一緒に突き飛ばしてしまう。幸いロッティに怪我はなかったが、ギャビンは息子の行いを責めた。
昼間、ゴーディは皆の前で明るく振る舞っていたが、夜1人でいるときは、痛みに耐えて苦しんでいた。一方、ケネスの母のマーガレットは情緒が不安定で、1人暗い部屋に籠もり泣き腫らしていた。ケネスは偶然その現場に遭遇してしまう。次の日、ダグはロッティからアビーが転居を考えていることを聞き、責め立ててしまう。しかも、アビーは子供達を連れて、ダグが暮らしている現在の町から約4時間はかかる場所に引っ越そうとしていた。両親達が口論しているのを、ロッティは部屋の外で聞いていた。その下の階では、ミッキーがゴーディとマーガレットに両親が別居していることをバラしていた。
映画『海賊じいちゃんの贈りもの』のあらすじ【転】
ギャビンは父の誕生日会に、214名の客を招待していた。ゴーディはそんな誕生日を望んでいなかったため、孫達を連れて友人のドーリンの元に遊びに出かけた。ゴーディは体調のことを心配されるが、大丈夫だと答えた。だが、ドーリンはそれが嘘だと言うことに気づいていた。
ゴーディは孫達を海に連れて行った。そこは、ゴーディが兄とよく遊びに来た場所だった。ゴーディの兄はヒトラーの軍と戦い、味方に敵のドイツ軍と間違われて殺されていた。墓もない状態だった。話を聞いたミッキーとジェスは、無邪気に死について質問した。ゴーディは自分が死んだら、ご先祖と同じヴァイキング流に弔って欲しいと明るく語った。燃える小舟に遺体を乗せ、沖に流すのだ。
ロッティは嘘ばかり吐く両親の愚痴を祖父に吐露した。しかも、父は浮気をしていた。ゴーディは孫の悩みに共感しながら、最後には全てどうでもよくなるのだとアドバイスした。ロッティはそれを穏やかな気持ちで聞いていた。その後、ゴーディは孫達の遊ぶ姿を、幸せそうに眺めていた。すると、既に亡き兄の幻影が見えた。ゴーディはそのまま息を引き取ってしまう。
ロッティは祖父が亡くなっていることに気づき、1人で走って家に戻った。海から自宅まで、30分はかかった。海にはアザラシ達が来るため、ミッキーとジェスは残って祖父の遺体を守ることにした。ロッティは自宅に戻るが、大人達は揉めていて話せる状況ではなかった。ロッティは海に戻ると、祖父の望む弔いをするため、弟達と協力して筏を作ることにした。車を使って筏を海まで運ぶと、潮が満ちるのを待った。そして、祖父の遺体を筏に乗せて火を点けた。ロッティ達は海に流れて行く筏を見送った。
映画『海賊じいちゃんの贈りもの』の結末・ラスト(ネタバレ)
ロッティは弟達を連れて自宅に戻り、祖父が亡くなったことと、遺体を海に流したことを親達に伝えた。ギャビン達は予想の斜め上を行く子供達の言葉に戸惑った。だが、ギャビンとダグが海に行くと、海の遠くの方で煙が上がっているのが見えた。ギャビンは父の死を受け止め、泣き叫んだ。ダグはそんな兄を抱きしめた。
ケネスは祖父の誕生日会のためにやって来た、バンドの少女に一目惚れをする。今まで父に言われ演奏会向けのバイオリンしか弾くことができなかったが、その少女と一緒に自由な演奏を楽しんだ。一方、大人達は招待客や警察、児童福祉課の対応に追われていた。だが、警察は捜索にあまり乗り気ではなかった。ギャビンがそのことを責め立てていると、テレビにマーガレットがスーパーで暴れている動画が映し出された。その様子は動画サイトに投稿されており、ミッキー達がパソコンで遊んでいて、気づかぬ内に映し出してしまったのだ。マーガレットは抗鬱剤を飲んでいて、その影響で攻撃的になっていた。店側はそのことを考慮して、穏便に済ませていた。ギャビン以外の周囲は、そのことを知っていた。
ロッティ達のことは記事に載り、多くの記者が家に押しかけて来た。大人達がそのことで口論していると、ロッティが止めた。そして、祖父がダグ達に不満を抱きながらも、愛しているから最後はどうでもよくなるのだと言っていたことを話した。大人達はロッティの言葉に胸を詰まらせ、謝罪し合った。その間に、ミッキーが記者達の前に出て行ってしまう。ミッキーは子供なりに、今回の騒動の責任を感じていたのだ。ダグはミッキーを連れ戻しに行くが、記者達に子供に病気の人の世話を任せたことを責められる。それを見たアビーは表に出て行き、ダグのことを庇った。そして、家庭が崩壊していることを認めながらも、子供達を守りたいのだと伝えた。ロッティ達は戻って来た両親に抱き付いた。
アビーは引っ越すことを止め、ダグと話し合うことにした。ギャビン達はゴーディの友人達と海に集まり、ゴーディの死を弔った。ギャビンはケネスに、バイオリンの演奏を頼んだ。そして、教科書のように畏まった演奏ではなく、ゴーディが好きな自由な演奏をしろと伝えた。ケネスが演奏する曲で、皆踊って騒いだ。
映画『海賊じいちゃんの贈りもの』の感想・評価・レビュー
大のおじいちゃん子だった私は、この作品の孫たちにとても共感し、おじいちゃんの心のこもった優しい「アドバイス」に涙がこぼれました。
余命僅かなおじいちゃんと、家族の悩みを抱える孫たち。大人達の行動を見ている子供は「子供なり」に色々なことを感じているのだとわかります。
自分のことしか考えられなくなってしまう「大人」と周りのことを考えて我慢をしてしまう「子供」。とても考えさせられる、心に残る物語でした。(女性 30代)
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