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映画『聲の形』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『聲の形』の概要:小学生の頃、ろうあ者のヒロインをいじめてしまった主人公。問題が露呈した後、主人公自身がいじめの対象となり、罪の意識から人を信じられなくなってしまう。高校生になりヒロインと再会した彼が、彼女と共に再生していく過程を描いた長編アニメーション。

映画『聲の形』の作品情報

聲の形

製作年:2016年
上映時間:129分
ジャンル:ヒューマンドラマ、アニメ
監督:山田尚子
キャスト:入野自由、早見沙織、悠木碧、小野賢章 etc

映画『聲の形』の登場人物(キャスト)

石田将也(高校生:入野自由 / 小学生:松岡茉優)
小学生の時は、人の心を慮ることのできないガキ大将だった。いじめているという認識のないまま、ろうあ者である硝子をイジメてしまい、そのせいで周囲から逆にイジメの対象となってしまう。元々は心優しく明るい。とても真面目な性格。良くも悪くも正直。
西宮硝子(早見沙織)
産まれ付き耳が聞こえなくなる病を患っており、幼少期からろうあ者である引け目を感じて育った少女。周囲が辛く当たるのは自分が悪いせいだと思っており、笑って誤魔化す癖がある。可愛らしく前向きで一生懸命。高校生となった将也に好意を抱く。
西宮結絃(悠木碧)
硝子の妹で中学生。姉思いで手話が使える。現在は何らかの理由で不登校となり、自宅へ引き籠っているが、手話教室へは姉と共に通っている。突然現れた将也に不審を抱き、貶めてしまい姉と喧嘩。その後は将也に懐く。
永束友宏(小野賢章)
将也の高校の同級生。将也に助けられたことで、友人となる。ひたすら将也を信じ、心配して励ましてくれる。ぽっちゃり体系だが、心は男前。
上野直花(金子有希)
将也の小学校からの同級生。硝子のことを目の敵にして、強く当たる。気が強くひねくれており、将也のことを思ってやることが、いつも将也を苦しめてしまう。小学生時代は周囲を巻き込んで硝子にきつく当たっていた。
佐原みよこ(石川由依)
将也と硝子の小学生時代の同級生。高校はデザイン系の学校へ入学。硝子と仲良くなるも、イジメの対象になってしまい、硝子から離れてしまった経緯を持つ。将也のお陰で硝子と再会し、友人関係を復活させる。
川井みき(潘めぐみ)
小学生から高校まで将也と同じ学校に通う同級生。いつも強い人物の影に隠れているタイプで、弱者を演じつつ上手く同情を誘う。下心はなく無意識の行動で輪から外れまいとし、育まれた行動。すぐに泣く。

映画『聲の形』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『聲の形』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『聲の形』のあらすじ【起】

石田将也は小学生時代、良くも悪くも正直な性格で、クラスでも中心的な存在だった。
ある日、将也のクラスに西宮硝子が転校して来る。彼女は産まれ付き耳が聞こえなくなる障害を持っていた。

始めは歓迎して受け入れたクラスメイトだったが、やはり普通とは違うことに気付き彼らは次第に硝子を弾き出すようになる。だが、硝子自身もそれが当たり前と、すでに悟っているような態度を取るのだ。そんな彼女に苛立ちを隠せない将也は人一倍、硝子に対して酷い仕打ちをしてしまうのだった。

その内、彼の行いが明らかになりクラスでいじめが問題になる。先生に名指しされた将也は周囲もやっていたと発言。そのせいで裏切り者というレッテルを張られ、逆にいじめの対象となってしまう。彼に対するいじめが続く中、秋口に再び硝子が転校。彼女とはそれっきりになった。

それから数年後、高校入学。将也は自分の人生を変えてしまった出来事にけりをつけるべく、硝子の所在を探し出し直接、謝りに行った。全てにけりをつけて、自分の人生も終わりにするはずだった。しかし、彼は再会した硝子へ友達になろうと言ってしまう。

硝子が転校後、将也に対してのイジメは止まることなく、それは中学へ進学してからもずっと続いた。周囲から切り捨てられた彼は孤立し、人を信じることができなくなってしまう。それだけ自分が犯した罪が深く、やったことは返ってくるのだ。将也は中学の3年間で、それを深く思い知った。

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映画『聲の形』のあらすじ【承】

その日は、硝子に会える火曜日だった。しかし、学校で同級生を助けたために自転車を貸す羽目になる。当然、自転車の返却はなく仕方ないので徒歩にて手話教室へ。だが、教室の入り口で門前払いされてしまう。彼は帰宅の途へ就き、学校で助けた同級生と出会った。同じクラスの永束友宏は助けてくれた将也に恩義を感じ、自転車を探して出してくれたのだった。

次の火曜日も手話教室へ向かったが、先週も門前払いした少年が立ちはだかる。硝子の姿は見えているのに、いないと言い張るのだ。そこへ、永束が現れ将也の味方をし、少年とひと騒動。騒ぎに気付いた硝子と目が合った将也は居たたまれなくなり、その場から逃げ出してしまった。

手話教室の近くには川がある。そこには鯉がいて硝子は毎週、ここで鯉に餌をやっていた。将也はその橋で追って来た硝子と会話し、彼女も会う理由を探していたと知る。
小学時代の筆談ノートを巡って、飛び込み禁止の川へ飛び込んでしまった将也。その時の画像を硝子の彼氏だという少年がSNSへアップしてしまい、3日間の停学をくらってしまうのだった。

停学中、立ち寄った公園にて硝子の彼氏を発見した将也。画像アップの件について、硝子に酷く怒られたらしい。将也は少年、結絃を拾って帰宅し夕食をご馳走した。その後、彼を家まで送って行く。自宅前にて、実は少年が硝子の妹だと知り驚愕する将也。

火曜日、律義にも結絃が貸した傘を持って来る。彼女ともにいつもの橋へ向かい、硝子と会った将也は携帯のアドレス交換を申し出るが、硝子は小学校時代に仲良しだった佐原みよこと連絡を取りたいと訴えるのだった。

映画『聲の形』のあらすじ【転】

佐原の居場所を突き止め、硝子と一緒にお出かけ。偶然、佐原とは駅で会えたため、2人を残して帰宅の途に就いた将也。途中、ビラ配りをしているかつての同級生、上野直花を目撃する。日を改めて永束と共に彼女のバイト先へ行ってみたが、接触しないことにした。

紆余曲折を経て週末、親交を深めるという口実の元、上野と佐原、川井を含めた計8人で遊園地へ。思いの外、楽しくて少しずつ心を開き始める将也だったが、上野に誘われた売店にて、かつての親友と会ってしまう。将也を切り捨てた張本人だったため、瞬時に心を閉ざしてしまう将也。上野が仲直りのために画策したことだった。

数日後、結絃が将也の自宅を訪ねて来る。彼女が持ち込んだ動画には、上野と硝子が2人で乗った観覧車での会話が録画されていた。上野は硝子がしたことを責め、そのせいで将也が孤立したことを怒っていた。全てを受け止め、謝って済ませてしまう硝子にも責任があると言っているのだった。

その後、学校で将也が過去に硝子をいじめていたことが露呈。川井に過去を明らかにされた将也は何も言えなくなり、吐き気を覚えてその場から逃走。学校を早退してしまう。
夕方、いつもの橋で硝子と会った将也。そこへは遊園地に行った8人が続々と集まった。
当時を知る同級生たちがいじめについて、各々に責め立てる。この件について辟易となった将也は同級生たちを酷く詰り、突き放してしまうのだった。

夏休みに突入。連日、硝子姉妹と会い続ける将也。ある日、自宅へ招かれ母親の誕生日を祝うことになった。母親にとって将也は娘をいじめて悲しませた張本人である。憎まれて当然の相手だが、姉妹のお陰で渋々受け入れてくれた。

後日、西宮一家と花火大会へ来た将也は、自宅へ帰ると言い出した硝子を見送った。
その後、結絃に自宅へとカメラを取りに行って欲しいと頼まれたため、マンションへ向かうも、中に入って異変を察知。ベランダに立った硝子が今にも身投げしようとしていたのだ。将也は必死になって彼女をぎりぎりで捕まえてどうにか助けることに成功するも、代わりに自分が落ちてしまう。彼はマンションの側の池へと落下した。

映画『聲の形』の結末・ラスト(ネタバレ)

意識不明の重体となった将也。硝子の母親と結絃は彼の母親に土下座をして謝る。一方では上野が助かった硝子を酷く責め立てた。全ては自分が悪いせい。だから死のうと思った硝子だったが、将也に助けられてしまった。家族も友人も誰もが、悲しい思いを抱えていた。
そんな周囲を見た硝子。彼女は決意を新たに、自らも前進するべく友人達の元を訪れた。そうして連日、上野へも会いに行く。雨の日も風の日も。許してもらえるまで。

そんなある夜、硝子は夢を見た。将也が自分をいじめたことで長い間、苦しんできたこと。それで、死のうと思っていたこと。もう、時間がないこと。彼は彼女に別れを言った。
はっとして目覚めた硝子は全速力でいつもの橋へ。彼女はさっきの夢が虫の知らせではないかと思い、声を張り上げて泣いた。

その頃、硝子の声が届いたかのように将也が飛び起きる。どうにか病院から抜け出して橋へ。
果たしてそこには、彼女がいた。自分のことよりも硝子を心配する将也は、今まで自分がしてきたことを謝った。すると、硝子も泣きながら謝ってくる。2人は共に手を取り合い、支え合って生きて行こうと約束するのだった。

退院後、帰宅すると西宮母と石田母が仲良しになっていた。結絃は学校へ復学することになり、それぞれが新たな道を歩み始めている。
翌日は学園祭だった。硝子と一緒に学校へ向かったが、周囲の噂話で一旦、心が折れる。硝子の助けによりクラスへ到着するも、精神的に限界がきてトイレへ逃走。籠もった将也の元に永束が駆け付け、泣いて喜んでくれた。

気を取り直してトイレから出ると、硝子と共に川井達が待っている。彼らは将也を心配し受け入れてくれる。その後、仲直りした将也はみんなと一緒に学園祭を回り、ようやく自分を許すことができたのだった。

映画『聲の形』の感想・評価・レビュー

人気漫画家、大今良時の同名漫画作品を劇場版アニメーション化。
小学生だった主人公が調子に乗ってろうあ者であるヒロインをいじめてしまったことから、互いの心に深い傷を抱えてしまうという内容。
原作もさることながら、アニメになってもとても心に響く作品となっている。ガキ大将だった主人公がヒロインのいじめをきっかけに立場が逆転し、周囲から拒絶されて追い詰められた先に死を望むことも当然の結果であるし、子供だったが故に軽い気持ちでやってしまったことが、自分の人生を一変させてしまうなど考えてもいなかったことだろうと思う。対してヒロインも耳が聞こえにくいという障害を持っていることで逆に傲慢になってしまっていたということも2人が改めて対峙しなければ、分からなかったことだろう。非常によく出来た作品であり、アニメーションになってより心に響く作品になったと思う。涙なくしては観られない名作だと思う。(女性 40代)


一見可愛らしいアニメ映画でありながら、いじめや聴覚障害といった重たいテーマを描いた作品。タイトルの『聲』には、直接耳で聞くことのできる声だけではなく、人の心の声、気持ちが込められているのだろう。いじめに関するシーンも多く、観ていて心が痛くなってしまう。しかし彼らが徐々に成長し、心を開いていく様子は心に沁みるものがある。過去に自分をいじめていた相手と向き合うのは、現実ではここまで上手くはいかないだろう。賛否両論ある映画ではあるが、大人にこそ響く作品ではないだろうか。(女性 20代)

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