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映画『ローマ法王の休日』のネタバレあらすじ結末と感想

この記事では、映画『ローマ法王の休日』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ローマ法王の休日』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。

この記事でわかること
  • 『ローマ法王の休日』の結末までのストーリー
  • 『ローマ法王の休日』を見た感想・レビュー
  • 『ローマ法王の休日』を見た人におすすめの映画5選

ローマ法王の休日の作品情報

ローマ法王の休日

製作年:2011年
上映時間:105分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ナンニ・モレッティ
キャスト:ミシェル・ピッコリ、イエルジー・スチュエル、レナート・スカルパ、ナンニ・モレッティ etc

ローマ法王の休日の登場人物(キャスト)

メルヴィル / ローマ法王(ミチェル・ピッコリ)
新ローマ法王として選ばれるが選挙の当選候補には挙がっていなかった。若い頃に役者を目指していた。
報道官(イエルジー・スチュエル)
ヴァチカンの報道官。メルヴィルが行方不明になったことを隠すため、各国の枢機卿や信者に嘘をつく。
精神科医の男(ナンニ・モレッティ)
メルヴィルのカウンセリングのために宮殿に呼ばれた。メルヴィルの素性を知らないカウンセラーが必要だと考え、報道官に助言した。
精神科医の女(マルゲリータ・ブイ)
精神科医の男の元妻で、現在は再婚している。カウンセラー。

映画『ローマ法王の休日』のネタバレあらすじ(起承転結)

映画『ローマ法王の休日』のストーリーをネタバレありの起承転結で解説しています。この先、結末までのネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ローマ法王の休日』のあらすじ【起】

前ローマ法王の葬式が終わり、108名の枢機卿たちは新ローマ法王を選出するための選挙を行う。投票中、誰もが自分が選ばれないようにと神に祈っていた。サン・ピエトロ広場には信者や報道関係者が集まり、煙突から決定の印である白い煙が上がるのを待っていた。

午後に行われた2回目の投票で、それまで名前が挙がっていなかったメルヴィルが新ローマ法王として選ばれる。予想外の結果に動揺するメルヴィルだったが、結果を受け入れなければならない雰囲気だった。

メルヴィンは新法王として、広場に集まったたくさんの信者に向けて挨拶をしなければならなかった。服を着替え終えたメルヴィルは枢機卿たちとバルコニーへ向かう。枢機卿の1人が話し始めると、信者たちの歓声が上がる。それを聞いたメルヴィルは不安を抑えきれず、部屋へ逃げ帰ってしまう。

ヴァチカンの報道官は会見を開き、法王は祈祷をしていると説明する。記者たちは選出された新法王の名前だけでも発表してほしいと訴えるが、報道官は数時間後に祈祷を終えた法王が姿を現せばわかることだと言って会見を終える。

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映画『ローマ法王の休日』のあらすじ【承】

メルヴィンは医師の検診を受けるが、問題は見つからなかった。報道官は精神科医の男を宮殿に呼び出し、心理療法を試すことにする。メルヴィンは今までの人生で経験がないほどの不安や重圧を感じており、神は自分に過度の期待をしていると心の内を明かす。

メルヴィンは次の国務長官の候補を急かされるが、情緒不安定となっていた。報道官はメルヴィンの状態をいつまでも隠しきれないと苛立ち始める。誰もこのような事態を想定していなかった。法王が姿を見せないことで各国の首脳陣は遺憾の意を表明する。

報道官は秘密裏にメルヴィンを宮殿から移動させ、精神科医の女のカウンセリングを受けさせる。周囲の期待に応えたいと思いながらも、メルヴィンにはひどい疲労感が圧し掛かっていた。

カウンセリングの後、メルヴィンは車には乗らずに散歩をしたいと言って歩き始める。報道官はメルヴィンから離れて歩いていたが、目の前をトラックが通り過ぎるとメルヴィンの姿は消えていた。暫く経ってからメルヴィンは報道官に電話を掛け、しばらく戻れないと告げる。

映画『ローマ法王の休日』のあらすじ【転】

報道官は枢機卿にメルヴィルの不在を隠すために衛兵を法王の部屋に滞在させることにする。定期的にカーテンを動かし、窓の外から人影が見えるように細工をさせた。

メルヴィルがホテルで休んでいると、チェーホフの“かもめ”の台詞が聞こえてくる。錯乱した劇団員の男が一人芝居を初めていた。若い頃に台詞を覚えていたメルヴィルが後に続くと、劇団員の男は真似をするなと言って怒り始める。男はホテルの前に乗り付けていた救急車に自ら乗り込んでいった。

精神科医の男は枢機卿たちの意識を変えるために地域ごとにチームを分け、バレーボール大会を開催する。男は試合のエネルギーが伝わり、祈祷を続ける法王の支えになると力説する。戸惑っていた枢機卿たちだったが、試合が始まると次第に白熱していった。

メルヴィルは精神科医の女に会いに行き、若い頃の挫折について語り始める。役者を目指していたメルヴィルは演劇学校の入学試験で不合格となり、その時に自分に演劇の才能がないと悟ったのだった。

映画『ローマ法王の休日』の結末・ラスト(ネタバレ)

メルヴィンは売店で新聞の見出しに“法王のために祈る街”と書かれているのを目にする。信者は法王を信じ続け、姿を現すのを待っていた。協会に立ち寄ったメルヴィンは、抱えた傷口を神に見せること、そしてそれを癒せるのは神だけであるという教えを得る。

報道官と会ったメルヴィンは、このまま姿を消して全てをなかったことにしたいと口にする。しかし、これ以上予定を先延ばしにすることはできなかった。報道官は枢機卿を集め、バレーボール大会は中止される。

現状を打破するために動いていた報道官だったが、嘘を認め全責任は自分にあると枢機卿ために説明する。報道官は枢機卿に決断を促し、提案は賛成多数で実行されることになる。“かもめ”を観劇していたメルヴィルは枢機卿に見つかり、宮殿に戻ることになる。

メルヴィンがバルコニーに現れるとサン・ピエトロ広場に集まっていた信者たちは歓声をあげる。メルヴィルは自分が導くのではなく導かれる側の人間だとして、指導者であってはならないと告げる。メルヴィルが去った後、信者や枢機卿は悲嘆に暮れる。

映画『ローマ法王の休日』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)

ローマ法王を題材にしたコメディ作品とはなかなかにチャレンジングです。様々な配慮がありながらもブラックコメディに仕上げたのでしょう。
笑えるのですが、笑って良いのか躊躇してしまう内容でした。あまりにも法王がかわいそうに思えてしまいます。だからこそ、意外性のあったラストはこれで良かったのではないかと思いました。ハッピーエンドと取るか、バッドエンドと取るか、解釈次第で変わってきます。(女性 20代)


ローマ法王にスポットを当て、しかもダークコメディという挑戦的で斬新な作品でした。法王と言えども、やっぱり人間なんだなぁと感じました。笑えるところも沢山あり、誰が法王になるか投票のシーンで誰もが「私が選ばれませんように」と祈り、選ばれなかった枢機卿たちがホッとしているシーンが笑えて印象に残り、ラストはまさかの展開でかなり驚きました。展開は少しスローテンポで盛り上がりにかけるところもありますが、面白いテーマでエッジの効いた笑いの作品で印象に残る作品でした。(女性 30代)


新しく選ばれたローマ法王が、まさかの「逃亡」。その奇想天外な展開に驚きつつも、重圧に押しつぶされそうな一人の老人として描かれる姿には深く共感しました。法王とはいえ、人間としての弱さや迷いはある。その当たり前を見せてくれた作品です。ラストで法王が群衆の前に現れて語る「私はできません」は、静かだけど圧倒的な決断でした。(30代 男性)


予想していた宗教映画とは全く違い、どこかユーモラスで温かみのある人間ドラマでした。法王に選ばれた老人の心の葛藤がとてもリアルで、名誉ある立場でも人は脆くなれるという普遍的なテーマに胸を打たれました。精神分析医とのやり取りも面白く、哲学的な問いと人間的な笑いが絶妙に混ざった名作だと思います。(40代 女性)


キャリアや肩書きの重みに耐えられなくなる主人公の姿が、自分の仕事や人生のプレッシャーと重なって、胸にグサッと刺さりました。法王の役割を拒否するという結末は、ある意味で勇気ある決断だと思います。表面的な責務よりも、自分の限界を受け入れることの方が難しいということを教えてくれる作品でした。(20代 男性)


ラストの“私はできません”という言葉があまりにも重く、そして美しかった。法王という絶対的な権威のイメージを、ひとりの不完全な人間として描いたことで、逆にその存在の尊さが際立っていたように感じます。ユーモアと哀しみが共存するこの映画、何気ない日常描写の中に深い感情が込められていて、静かに心に残ります。(50代 女性)


“人は選ばれても、自分でその役割を選べるのか?”という問いが全編を通して突きつけられるようでした。法王としての器ではないという彼の不安や葛藤は、現代社会にも通じる話だと思います。個人的には、精神分析医の描かれ方に少し皮肉があって、そこも含めて知的で面白かったです。カトリックでなくても考えさせられる映画です。(30代 女性)


ローマ法王という遠い存在が、とても身近で悩める一人の人間として描かれていて驚きました。ユーモアの中にしっかりとしたメッセージが込められており、見終わったあとにじんわりと心に残る作品でした。とくに人形劇のシーンや街の中での市井の人々との触れ合いが、主人公にとっても観る側にとっても癒しになっていたと思います。(60代 男性)


この映画を観て、「逃げる」ということが必ずしも弱さではないという価値観を教わった気がします。法王としての務めを果たせないという決断は、むしろ彼の誠実さの表れでした。内省的な作品で派手な演出はないけれど、人間の心の奥底にある「怖さ」と向き合う姿が深く描かれていて、静かに感動できる映画でした。(20代 女性)


厳粛で神聖なカトリックの世界を、ユーモアとアイロニーで柔らかく包んだ作品でした。選ばれること=望まれることではない、というテーマが現代的で、誰にでも起こり得るジレンマとして描かれていました。ラストの辞退宣言は、崩壊でも失敗でもなく、“解放”のように感じられて心地よい終わり方だったと思います。(40代 男性)

映画『ローマ法王の休日』を見た人におすすめの映画5選

累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ローマ法王の休日』を見た人におすすめの映画5選を紹介します。

2人のローマ教皇(2019)

この映画を一言で表すと?

“対立”から“理解”へと至る、ふたりの法王の静かな対話劇。

どんな話?

保守的なベネディクト16世と改革派のホルヘ・ベルゴリオ枢機卿(後のフランシスコ教皇)がバチカンで対話を重ね、互いの思想と過去を受け入れていく姿を描いた実話ベースのドラマ。

ここがおすすめ!

重厚な宗教テーマにも関わらず、知的でユーモラスな会話劇が中心で、テンポよく観られます。『ローマ法王の休日』が描いた法王の人間性を、さらに深く掘り下げたような一作です。実話ゆえのリアルさも魅力。

やさしい嘘と贈り物(2009)

この映画を一言で表すと?

過去に縛られた心が、やさしい出会いでほどけていく静かな感動作。

どんな話?

古本屋の主人と、記憶を失くした老女の交流を通して、それぞれの過去や心の傷が明かされていく心温まるドラマ。静かな演出のなかに、深い人間の情感が流れています。

ここがおすすめ!

人生の晩年に立つ人間の“迷い”や“孤独”を優しく描いた作品で、『ローマ法王の休日』に通じる温かさと哀しさがあります。派手さはないけれど、心にじんわり染みる名作です。

パターソン(2016)

この映画を一言で表すと?

“何も起こらない”毎日にこそ、美しさと詩がある。

どんな話?

バス運転手として日々を生きる男・パターソンが、詩を書きながら日常と向き合っていく姿を描く。特別な事件は起こらないが、彼の目を通して世界が少しだけ輝いて見えるようになる物語。

ここがおすすめ!

法王という非日常の存在を“普通の人”として描いた『ローマ法王の休日』と同じく、この作品も「普通の時間の中にある特別」を見せてくれます。静かな映画が好きな人にはぴったりの一作です。

グランド・ブダペスト・ホテル(2014)

この映画を一言で表すと?

色彩豊かで風変わり、しかし底には深い孤独と優しさが流れる群像劇。

どんな話?

伝説のコンシェルジュと若きベルボーイが、ヨーロッパの架空の国で遺産相続騒動に巻き込まれながらも友情を育んでいく。奇抜な世界観とテンポの良いストーリーが魅力。

ここがおすすめ!

ユーモアと哀愁が絶妙に混ざった空気感は『ローマ法王の休日』にも通じるものがあります。ウェス・アンダーソンならではの美術と演出も見どころで、視覚的にも楽しめます。

ぼくを探しに(2012)

この映画を一言で表すと?

失われた自分を探す旅が、人と人をつなぎ直す。

どんな話?

実在の精神科医ジャック・マーティンが、突然の不安発作に悩まされながら、旅と出会いの中で“本当の自分”を取り戻していく感動のロードムービー。

ここがおすすめ!

精神のバランスを崩した主人公が、自分と世界を再認識していく物語は、『ローマ法王の休日』の法王の“心の逃避行”とリンクするテーマです。人生に迷ったときに観たい作品です。

この記事の編集者
影山みほ

当サイト『MIHOシネマ』の編集長。累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家です。多数のメディア掲載実績やテレビ番組とのタイアップ実績があります。平素より映画監督、俳優、映画配給会社、映画宣伝会社などとお取引をさせていただいており、映画情報の発信および映画作品・映画イベント等の紹介やPRをさせていただいております。当サイトの他に映画メディア『シネマヴィスタ』の編集長も兼任しています。

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ヒューマンドラマ映画

みんなの感想・レビュー

  1. 匿名 より:

    フランスやイタリアの映画はオリジナリティーが高く、芸術性に富んでいる。
    独特の間や暗さを残しつつも、ブラックユーモアを吹き込んだ絶妙な作品が多いのも特徴であるだろう。
    本作のような宗教的要素を含んだ作品は描き方も非常に難しい。
    観ている側へ媚を売るとばれてしまう、しかしだからといって何も気にせず無神経に進行するとかなりリスキーである。
    その適度な観客との距離が最後まできっちり守られたことで、嫌悪感など持たずに見終わることが出来るのはヨーロッパならでは。
    日本では取り上げづらい題材を見事に面白おかしく、シリアスに描いているのだ。
    無宗教者が多いと言われている日本でも見やすいのは、万人ウケするように手を尽くしているからなのであろう。
    このあたりの間合いが芸術を重んじるさすがヨーロッパという感じがあることは尊敬に値すべきところである。

  2. 匿名 より:

    ①斬新かつタブー的なテーマが魅力的な映画

    パッケージや当時のCMが印象的だった、赤の法衣をまとう枢機卿たちとローマ法王。
    これを見ただけでどんな映画なのか興味深く惹かれてしまう。
    想像上ではコメディだろうという空気は予想通りであはるが、実はそれは周囲の枢機卿たちだけであり主人公のパパにとっては深刻な問題であった。
    もちろん描き方のタッチも思っていたよりもシリアスである。
    コメディでありながら自分の人生や、世界中に注目されていることに恐怖を描くという物語が人間らしくて交換を持てる。
    バチカンの枢機卿たちのあれこれを表現しているということ自体が非常に珍しい。

    ②おじいちゃんたちが笑顔で頑張る映画

    最初から最後まで主役はおじいちゃんである枢機卿たち。
    ヨーロッパ映画で比較的ありがちなのが、おじいちゃんやおばあちゃんたちを出演させてコメディ化すること。
    本作も途中で枢機卿たちがバレーボールをするシーンがあり、物語とは特別関係ない。
    しかしこのシーンが映画に深みを持たせている。
    可愛らしい雰囲気を出しつつブラッキーな要素も持たせられたのは、おじいちゃんたちのがんばりに尽きる。

    ③意外なラストシーンに苦笑い

    ローマ法王になることが嫌で逃げ回るパパだったが、最後は見つかってしまった。
    てっきりそのまま連れて帰られて、民衆の前でまだ自信が無く未熟者であるが頑張っていくので協力して欲しいなどという感動的なスピーチが用意されているのだろうと思っていたら大間違い。
    やっぱり辞退するなどというエンディング。
    「辞めちゃうの!?」という驚きと、そのまま終わってしまう残念さを隠すことが出来ない。
    ハートフルコメディだと信じて疑わなかったら大どんでん返し。
    意外性が強いことで印象に残り、中々記憶から消えることはないだろう。
    ユーモアの要素が入っているだけのシリアスで真面目な映画の本作は、新しいジャンルの映画というイメージである。