映画『ブレードランナー 2049』の概要:1982年公開の傑作SF映画『ブレードランナー』から35年の時を経て製作された続編。前作から30年後の2049年のロサンゼルスを舞台に、ブレードランナーKは、レプリカントの出産の謎を追うため、行方不明のデッカードを探す。
映画『ブレードランナー 2049』の作品情報
上映時間:163分
ジャンル:SF、アクション、サスペンス
監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
キャスト:ライアン・ゴズリング、ハリソン・フォード、アナ・デ・アルマス、マッケンジー・デイヴィス etc
映画『ブレードランナー 2049』の登場人物(キャスト)
- K(ライアン・ゴズリング)
- LAPDのブレードランナー。ネクサス9型レプリカントでもあり、形式番号はKD6-3.7。署内で「人間もどき」と揶揄されることもあるが、レプリカントなので感情はほとんど表に出ない。
- リック・デッカード(ハリソン・フォード)
- 元LAPDのブレードランナー。前作において、レプリカントのレイチェルと共に消息不明となっている。ラスベガスの廃ホテルに犬と一緒に住んでいる。
- ジョイ(アナ・デ・アルマス)
- ウォレス社製のAI搭載のホログラフィー。実態はないが、Kの恋人であり理解者である。エマネーターという機器を使えば、何処へでも連れ出すことが可能である。
- ニアンダー・ウォレス(ジャレッド・レト)
- ウォレス社代表。両目義眼の天才科学者。合成食料を開発し、全世界規模の食糧危機を救う。タイレル社の資産を手に入れ、ネクサス9型レプリカントを開発する。
- ラヴ(シルヴィア・フークス)
- ネクサス9型レプリカント。ウォレス社の経営を取り仕切るため、特別カスタマイズされている。知性だけでなく、戦闘能力も高い。
- ジョシ警部補(ロビン・ライト)
- LAPD特捜班の司令で、Kの直属の上司。レプリカントの出産に危機感を覚え、出産にまつわる全ての形跡を抹消するようKに命じる。マダムと呼ばれている。
- アナ・ステリン博士(カーラ・ジュリ)
- ステリン研究所所長。ウォレス社の依頼により、レプリカント用記憶を創っている。その技術は最高と評されている。免疫不全のため、8歳から気密室の中で暮らしている。
映画『ブレードランナー 2049』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ブレードランナー 2049』のあらすじ【起】
前作『ブレードランナー』において、タイレル社によって開発された人造人間レプリカントだったが、人間至上主義運動の拡大で、その製造は禁止され、タイレル社は倒産する。科学者のニアンダー・ウォレスは合成食料を大量生産し、世界規模の食糧危機を救う。そして旧タイレル社の資産を手に入れ、新型の「ネクサス9型レプリカント」の製造を始める。旧型のレプリカント「ネクサス8」は探し出され、廃棄処分される。その任務を遂行する者は「ブレードランナー」と呼ばれている。
2049年、LAPDのKは、郊外にある農場にいる旧型レプリカントのサッパー・モートンを訪れる。抵抗する彼を射殺し、帰還しようとしたとき、木の根元に手向けられた小さな花に気がつく。センサーで地中をスキャンすると、何かが埋まっているのだった。
LAPD本部に帰還したKは、レプリカントが正常かどうかを確認するベースライン検査を受ける。正常と診断されアパートに帰ったKはウォレス社製AI搭載のホログラフィーのジョイと話す。Kはエマネーターという拡張メモリをジョイにプレゼントする。これで彼女は、Kと一緒に外出できるようになる。ジョイは、雨のベランダに出て、Kに抱きつく。ホログラフィーなので、実際に抱き合うことはできないのだが、Kもジョイを抱きしめるのだった。
緊急呼び出しが入り、再び署に向かうK。モートンの農場から回収した箱には、遺骨が入っていた。帝王切開の跡があり、出産の際に死亡したと考えられた。しかし彼女は、レプリカントだった。ジョシ警部補は、Kに産まれた子供の殺処分を命令する。
映画『ブレードランナー 2049』のあらすじ【承】
Kは、遺骨に記載されていたナンバーを検索するためにウォレス社を訪れる。社長直属の部下であるラヴがKを案内し、タイレル社の記録を検索する。記録されていたデータには、前作『ブレードランナー』での、デッカードとレイチェルの会話が残っているのだった。
ウォレス社では、社長のウォレスがラヴから報告を受ける。ウォレスは、タイレル社が成功したが失われたレプリカントの生殖に興味を持つ。そして、ラヴにデッカードの子供を捜すよう命じるのだった。
Kは、再びモートンの家を訪れ、ピアノの中から、子供用の靴下と、外の木の前に立つ母親の写真を見つける。そして、枯れた木の根元の部分に「6 10 21」の数字を見つける。
一方、ラヴはLAPD本部に入り込み、鑑識を殺してレイチェルの遺骨を盗み出す。
自室に戻ったKの元にジョシ警部補が訪れ、Kの過去の記憶について訊ねる。Kは自分の記憶が植え付けられたものだと知りつつ、幼い頃にいじめっ子たちに玩具の木馬を取り上げられそうになり、焼却炉の中に隠したことを語る。
Kは、遺伝子データベースを捜索する。Kは、同じDNAデータを持った男女の情報を見つける。女児は死亡していたが、男児はロサンゼルス郊外にある孤児院で消息を絶っていた。
Kはジョイを連れて、孤児院のある廃棄物処理場になっているロサンゼルス郊外に向かう。Kは、孤児院を訪れ、監視役の男を脅し、過去の記録書類を閲覧する。その場所は、Kに植え付けられた記憶の風景によく似ていた。Kは、記憶にある焼却炉の扉を開ける。すると、その中から、記憶と同じ玩具の木馬が出てくる。そして、その木馬の足の裏には「6 10 21」と記されているのだった。
映画『ブレードランナー 2049』のあらすじ【転】
Kはアナ・ステリン博士の元を訪れる。免疫不全障害をもつ彼女は、隔離された施設に8歳の時に入れられていた。そのため空想好きとなり、その特技を生かしてレプリカントの記憶のデザイナーとなっているのだった。Kはステリン博士に自分の記憶が作られたものなのかをチェックしてもらう。ステリン博士は、Kの記憶は作られたものではなく本物の記憶だと言う。Kは動揺し、声を荒げる。
施設を出たKは、マダムに呼び戻され、ベースライン検査を受けるが、異常が発覚。捜査の進捗状況を聞かれたKは、とっさに子供を処分したと嘘をついてしまう。
Kが自宅に戻ると、ジョイが呼び寄せた娼婦のマリエッタが訪ねてくる。ジョイはホログラフィーの体を、マリエッタの身体と同期させ、そのままKと一夜を共にするのだった。
翌朝、ジョイはKに、追跡されるのを防ぐためエマネーターのアンテナを折るように言う。しかしそうすると、もしエマネーターが壊れれば、ジョイも失われてしまうことになるのだった。一度は断るKだったが、ジョイの懇願にアンテナを折る。アンテナの発信が途絶えたのを感知したラヴは、Kの部屋へ向かうのだった。
Kは玩具の木馬を調べてもらい、それが、現在は汚染されて廃墟となったラスベガスにあったことを知る。そして、Kはラスベガスへと向かう。そして、年老いたデッカードと会う。デッカードは、Kに仲間と協力して子供の情報を隠蔽したことを伝えるのだった。
ラヴの率いる追っ手がラスベガスにやってくる。Kとデッカードは脱出しようとするが、攻撃を受け、デッカードは捕らえられてしまう。Kもラヴに叩きのめされ、エマネーターを踏み潰される。破壊される直前、ジョイは「愛してる」とKに告げるのだった。
映画『ブレードランナー 2049』の結末・ラスト(ネタバレ)
Kはマリエッタたちに救出される。マリエッタは、フレイサという、レイチェルの出産に立ち会ったレプリカントに率いられた解放運動の一員だった。フレイサは、レイチェルが産んだ男女の双子というのは、情報を混乱させるための偽装工作だったことをKに告げる。Kは、レイチェルの子供ではなく記憶を植え付けられた、ただのレプリカントだったのだ。
連行されたデッカードは、ウォレスから自分とレイチェルとの出会いは、仕組まれたものだったと聞かされる。そして、レイチェル本人と見紛うレプリカントを見させられる。しかし、そのレプリカントを一目見たデッカードは「彼女の目はグリーンだった」と言うのだった。
ロスに戻って来たKに、ジョイと同じモデルの巨大なホログラフィー広告が語りかけてくる。Kは、あのジョイも単なるプログラムに過ぎないことを悟るのだった。
Kは、デッカードを護送していたラヴたちの飛行車両を襲撃する。デッカードの乗った飛行車両は海岸に不時着する。ラヴと撃ち合いになるK、弾丸がつき、殴りあいになる。その間に、手錠で繋がれたデッカードを乗せたまま、飛行車両は海に沈んでいくのだった。Kはラヴの頭を掴んで水中に沈め、デッカードを救出するのだった。
Kとデッカードは、ステリン博士のいる施設へ行く。アナ・ステリンこそがデッカードとレイチェルの娘だったのだ。デッカードが施設の中に入っていくのを見届けると、Kは施設の入口前の階段に座り、そのまま横になり息を引き取る。施設の中では、デッカードが娘との再会を果たすのだった。
映画『ブレードランナー 2049』の感想・評価・レビュー
ブレードランナーの続編だが、前作を超える傑作と言ってもいいかもしれない。細かく緻密に作り込まれていて、映像に迫力もある。音楽も含めて全てに文句のつけようがないほど素晴らしい。
Kを演じたライアン・ゴズリングも完璧だった。あそこまでかっこいい俳優がこれまでにいただろうか。難しい役柄だったが完璧に演じきっていた。
特に注目すべきは世界観の完成度である。この世界観を完成させたドゥニ・ヴィルヌーヴ監督とライアン・ゴズリングには脱帽である。(男性 20代)
直近のアカデミー賞授賞式でハリソン・フォードがプレゼンターとして登壇した際、「ブレードランナー」に関するネタを披露した。40年近く昔の作品でありながら未だに語り草となる作品の続編というのは難しいものがあっただろう。個人的にはこれはこれでアリだと思う。レイチェルとデッカードの「その後」の妄想の一つとしては面白いし、映像は美しく丁寧、ライアン・ゴズリングは儚い夢を見たレプリカントを好演している。丹精込めて作られた贅沢な1本。(男性 40代)
間を重視する映画ゆえに3時間近い映画になっているが、これを単調と感じるか味わいと感じるかは人によってそれぞれだ。自分はまだ許容範囲だった。
前作より映像面では飛躍的に向上しているが、脚本的にいまいち盛り上がりを感じられない。全作品(前日譚のアニメーションなど)を網羅しているわけではないので、それらを全部視聴した後に見るとまた違った感想を持つのだろうか。
ライアン・ゴズリングのレプリカントとしての演技が素晴らしかったのは言うまでもない。(男性 30代)
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前作 ブレードランナー
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