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映画『エンジェル、見えない恋人』のあらすじ・感想・評判・口コミ(ネタバレなし)

生まれつき姿の見えない少年“エンジェル”と盲目の少女“マドレーヌ”の一途な恋を描いた珠玉のラブストーリー。『トト・ザ・ヒーロー』(91)や『神様メール』(15)のジャコ・バン・ドルマルが製作を務めている。

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映画『エンジェル、見えない恋人』の作品情報

エンジェル、見えない恋人

タイトル
エンジェル、見えない恋人
原題
Mon ange
製作年
2016年
日本公開日
2018年10月13日(土)
上映時間
79分
ジャンル
ラブストーリー
ファンタジー
監督
ハリー・クレフェン
脚本
ハリー・クレフェン
トマ・グンジグ
製作
ジャコ・バン・ドルマル
オリビエ・ローサン
ダニエル・マルケ
製作総指揮
なし
キャスト
フルール・ジフリエ
エリナ・レーベンソン
マヤ・ドリー
ハンナ・ブードロー
フランソワ・バンサンテッリ
ゴーティエ・バトゥー
レオ・ロルレアック
ジュール・マイニー
製作国
ベルギー
配給
アルバトロス・フィルム

映画『エンジェル、見えない恋人』の作品概要

姿の見えない少年と盲目の少女の純愛を描いたベルギー発のピュアで美しいラブストーリー。製作は、『ミスター・ノーバディ』(91)や『神様メール』(15)の監督として知られる“ベルギーの至宝”ジャコ・バン・ドルマル。ドルマル監督の作品に数多く出演している俳優のハリー・クレフェンが、初めての長編映画監督と脚本(共同)を務める。ヒロインのマドレーヌ(成人期)を演じるのは、本作で本格的な女優デビューを果たしたフルール・ジフリエ。

映画『エンジェル、見えない恋人』の予告動画

映画『エンジェル、見えない恋人』の登場人物(キャスト)

エンジェル(声のみの出演)(幼少期:ジュール・マイニー / 10代:レオ・ロルレアック / 成人期:ゴーティエ・バトゥー)
生まれつき誰にも見えないという特異体質で、心を病んだ母親と施設の中で幼少期を過ごす。姿が見えないこと以外は、普通の人間と変わらない。賢くて、心優しい少年。
マドレーヌ(幼少期:ハンナ・ブードロー / 10代:マヤ・ドリー / 成人期:フルール・ジフリエ)
盲目の少女。声や匂いで姿の見えないエンジェルの存在に気づき、互いに惹かれ合っていく。エンジェルの姿が見えないということは知らないまま、視力回復の手術を受ける。
ルイーズ(エレナ・ルーベンソン)
エンジェルの母親。マジシャンの恋人が失踪して心を病んでしまい、施設でエンジェルを出産する。世間との接触を断ち、施設内でエンジェルを育てる。

映画『エンジェル、見えない恋人』のあらすじ(ネタバレなし)

ルイーズの恋人は、姿を消すイリュージョンが得意なマジシャンだった。しかし、ルイーズが彼の子供をお腹に宿している時、謎の失踪をしてしまう。ショックのあまり心を病んでしまったルイーズは、施設に入居して子供を出産する。驚いたことに、“エンジェル”と名付けられたルーズの息子は、誰にも姿が見えないという特異体質を持って生まれてきた。

ルイーズは世間との接触を完全に断ち、姿の見えないエンジェルを育てる。ルイーズの愛情を一身に受け、エンジェルは優しい少年に育つ。

そんなある日、エンジェルは施設の窓から、同じ年頃の少女を見る。エンジェルは、その子に近づきたくて、施設を抜け出して彼女の屋敷の庭に入る。すると、少女が見えないはずのエンジェルに気づき、声をかけてくる。少女の名前はマドレーヌで、彼女は盲目だった。声や匂いで人の存在を感じるマドレーヌは、何の違和感もなくエンジェルを受け入れてくれる。エンジェルは嬉しくなり、自分の秘密を隠したまま、マドレーヌと友達になる。2人は互いに惹かれ合い、幸せな時間を過ごす。しかし、マドレーヌが目の手術を受けることになり、2人は数年間、離れ離れになってしまう。再会の日、ついにエンジェルは、彼女に秘密を打ち明けることになるのだが…。

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映画『エンジェル、見えない恋人』のネタバレあらすじ結末と感想
映画『エンジェル、見えない恋人』のネタバレあらすじと感想。ストーリーを結末まで起承転結で分かりやすく簡単に解説しています。映画ライターや読者による映画感想も数多く掲載。

映画『エンジェル、見えない恋人』の感想・評価

姿の見えない少年と盲目の少女の恋物語

本作の主人公は、姿の見えない少年“エンジェル”と盲目の少女“マドレーヌ”だ。エンジェルは確かに存在しているのだが、その姿が誰にも見えない。エンジェルはあくまで人間なので、声も発するし食事もする。匂いや質感もある。ただ、普通の人間の感覚では、彼の存在を認識しにくい。私たちは視覚で対象物を見て、それが“人間”なのか“犬”なのか“植物”なのか認識していく。母親のルイーズはそれがわかっているので、世間との接触を一切断ち、2人だけの世界でエンジェルを育てる。しかし、よく考えてみると、姿が見えるということは、その人を理解するのにどうしても必要なわけではない。そもそも“心”というのは目に見えないものだ。それでも私たちは「あの人の心は美しい」とか「心が汚れている」と表現する。それを何で判断しているのかというと、その人の行動や考え方や空気感だろう。盲目のマドレーヌは、エンジェルに限らず、全ての人をその感覚で理解し、どういう人か見極めている。そして、エンジェルの心優しさに惹かれ、彼と恋に落ちる。これはとても自然なことで、“心が惹かれ合う”という感覚を、私たちにわかりやすく見せてくれる。

ジャコ・バン・ドルマルの魅力

この作品の製作を担当するのは、『トト・ザ・ヒーロー』(91)で長編監督デビューを果たし、いきなり世界中から注目を集めたベルギーの映画監督ジャコ・バン・ドルマルだ。ジャコ・バン・ドルマルは脚本も手がけるし、かなり丁寧に作品を作りこむので、新作発表のペースは遅い。2作目の『八日目』は1996年、3作目の『ミスター・ノーバディ』は2作目公開から13年後の2009年に公開された。しかし、作品を見ると、彼がサボっていたわけではなく、それだけの時間を要する理由があったのだとわかる。

彼の最新作(と言っても2015年公開だが)の『神様メール』は、予想を上回る奇想天外なブラックコメディで、新作を待ち望んでいたファンを喜ばせた。邦題は『神様メール』になっているが、原題の直訳は『新・新約聖書』であり、内容的にはそっちの方がしっくりくる。設定だけは面白いけれど、脚本や演出が下手で、おまけに映像や音楽にも魅力がないため、支離滅裂なだけの駄作になってしまうファンタジーコメディは多い。しかし、ジャコ・バン・ドルマル監督は、自由な発想をしっかりとまとめ上げ、いろんな意味で心に残る作品を完成させている。1本でもジャコ・バン・ドルマル監督の作品を見たら、他の作品も見たくなるのが、彼の魅力だ。そんなジャコ・バン・ドルマルが製作を務める本作も、彼の作品のファンならば、「絶対に見逃すまい!」と思ってしまうはず。

エンジェルの視点で描かれる映像の美しさ

『エンジェル、見えない恋人』の物語は、姿の見えないエンジェルの視点で進んでいく。そのため、映像もエンジェルの目線で描かれており、観客はエンジェルの側から、世界を見ることができる。

本作の監督・脚本(共同)を務めるハリー・クレフェンは、ジャコ・バン・ドルマル監督作品の常連俳優であり、彼の映画制作を間近で見ているので、その影響は大きいだろう。それはそれで楽しみなのだが、ハリー・クレフェン監督がこだわった美しい映像には、彼独自の魅力がある。幼いマドレーヌと見えないエンジェルが木漏れ日の中で無邪気に遊ぶシーンは、まるで絵本を見ているようだ。成長したマドレーヌが、姿の見えないエンジェルと抱き合う異色のラブシーンも、官能的で美しい。

映画『エンジェル、見えない恋人』の公開前に見ておきたい映画

映画『エンジェル、見えない恋人』の公開前に見ておきたい映画をピックアップして解説しています。映画『エンジェル、見えない恋人』をより楽しむために、事前に見ておくことをおすすめします。

神様メール

この世界を作った神様(ブノワ・ポールブールド)は、ベルギー・ブリュッセルのアパートで、妻の女神(ヨランド・モロー)と10歳になる娘のエア(ピリ・グロワーヌ)と暮らしている。神様は慈愛心のない横暴な男で、書斎のパソコンで世界を支配して、人間に不幸をもたらしていた。そんな神様を嫌い、エアの兄はイエス・キリストになり、エアも家出を決意する。ところが、家を出る前、エアが人間のためになると考え、神様のパソコンから人々の余命を知らせるメールを一括送信してしまったので、世界は大混乱に陥る。エアは世界を救うため、地上で6人の使徒を探しながら、「新・新約聖書」作りを始めるのだが…。

ジャコ・バン・ドルマルが監督・脚本(共同)を務めたファンタジックなブラックコメディで、奇想天外なストーリーが軽快なテンポで進んでいく。神様が酒飲みで乱暴な最低の男であることや、母親の女神は刺繍と野球にしか興味のない愚鈍な女であることなど、この作品はとにかく設定が面白い。6人の使徒がエアと出会い、本来の自分を取り戻していく物語も爽快で後味がいい。映像や音楽の使い方も秀悦で、ジャコ・バン・ドルマル監督の非凡な才能を感じずにはいられない。

詳細 神様メール

ロスト・チルドレン

大道芸人の怪力男ワン(ロン・パールマン)は、一つ目族にさわられた弟を探している途中で、子供窃盗団のリーダーである孤独な少女ミエット(ジュディット・ビッテ)と出会う。ミエットは心優しいワンを気に入り、弟探しを手伝ってくれる。ワンの弟は、クローン人間のいる海上の要塞に拉致されていた。ワンとミエットは、強欲なシャム双生児の追跡をかわしながら、秘密のベールに包まれた要塞を目指す。

独特の作風で大ヒットした『デリカテッセン』(91)に続いて、フランスの鬼才・ジャン=ピエール・ジュネとマルク・キャロのコンビが作ったファンタジー映画。SF要素とおとぎ話がミックスされたような物語で、丁寧に作り込まれた美術と映像は、不気味でありながら芸術的だ。この作品は、体は大人だが知能の低い怪力男ワンと精神年齢の高い少女ミエットの純愛物語でもある。ワンとミエットの関係は、『レオン』(94)のジャン・レノとナタリー・ポートマンの関係に似ている。孤独な2人が出会い、どんなことをしても相手を守りたいと思う。そこには、友情や恋愛といった言葉では説明できない、深い愛がある。

詳細 ロスト・チルドレン

シザーハンズ

発明家の博士によって作られた人造人間のエドワード(ジョニー・デップ)は、博士の急死により、両手がハサミの未完成な状態で、山上の屋敷に取り残される。化粧品のセールスで屋敷を訪れた主婦のペグ(ダイアン・ウィースト)は、かわいそうなエドワードを自宅へ連れて帰り、家族や町の人々に紹介する。エドワードは孤独から解放され、ペグの娘のキム(ウィノナ・ライダー)に恋をする。しかし、いくつかの誤解が重なり、人々はエドワードを危険分子として怖がるようになっていく。

ティム・バートン監督が作り出した現代のおとぎ話で、純粋無垢なエドワードとヒロインの純愛が描かれている。エドワードはキムに一目惚れするが、キムの方にはボーイフレンドがいて、最初はエドワードを避けている。しかし、キムは少しずつエドワードの優しさに気づき、彼に惹かれていく。そんな2人が迎える結末は、ハッピーエンドとは言えないが、とても詩的でロマンティックだ。ティム・バートン監督らしい、ブラックだけど夢のあるファンタジー映画になっている。

詳細 シザーハンズ

映画『エンジェル、見えない恋人』の評判・口コミ・レビュー

映画『エンジェル、見えない恋人』のまとめ

全盲の少女マドレーヌが姿の見えない少年エンジェルに恋をして、その秘密を知らないまま視力を取り戻し、秘密を知った時にどんな心境の変化があるのか、とても興味がある。この作品の良い所は、長い時間経過でエンジェルとマドレーヌを描いている点にあるので、2人の変化に注目したい。私たちの目に見えるマドレーヌの成長はわかりやすいが、見えないエンジェルも大人の男になっている。心の目をしっかりと見開いて、スクリーンには映らないエンジェルの存在を感じて欲しい。

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