この記事では、映画『ショーガール』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ショーガール』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『ショーガール』の作品情報
上映時間:131分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ポール・ヴァーホーヴェン
キャスト:エリザベス・バークレイ、カイル・マクラクラン、ジーナ・ガーション、グレン・プラマー etc
映画『ショーガール』の登場人物(キャスト)
- ノエミ・マローン(エリザベス・バークレー)
- ダンサーとしての成功を夢見てラスヴェガスへやってきた。到着して間もなくスーツケースを盗まれ自暴自棄になっていたところを「スターダスト」の衣装係として働いているモリーに助けられ、共同生活を始める。生活のためトップレスラウンジ「チーター」でストリップダンサーとして働き始める。
- クリスタル・コナーズ(ジーナ・ガーション)
- 「スターダスト」のショー「女神」に出演するトップダンサー。興行重役のザックと付き合っている。ノエミのダンスの才能と魅力に興味を持ち、ショー出演のチャンスを与えるが、徐々に嫉妬心を膨らませていく。
- ザック(カイル・マクラクラン)
- 「スターダスト」の興行重役。ショー「女神」に出演のトップダンサーであるクリスタルと付き合っている。一見優しいが、裏の顔は非情で冷酷。のちにノエミと深い仲になり、ノエミの成功に一役買う。
- モリー(ジーナ・ラヴェラ)
- 服飾の学校に通いながら「スターダスト」の衣装係として働く。持ち物を全て盗まれてしまったノエミに同居を提案し、一緒に暮らし始める。アンドリュー・カーバーの大ファン。優しく思いやりがあり、ノエミの良き友達である。
- ジェームス(グレン・プラマー)
- 一流ダンサーの下でレッスンを受けていた過去を持つ。用心棒として働いていたクラブでノエミと出会い、すぐにその才能に気づく。お互いに惹かれ合うが、女癖が悪いせいで恋愛には発展しない。
映画『ショーガール』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『ショーガール』のあらすじ【起】
ダンサーとしての成功を夢見て、ヒッチハイクでラスヴェガスへやってきたノエミ。到着早々スーツケースを盗まれ、ヤケを起こして道路に飛び出したところを、偶然居合わせたモリーが助ける。服飾学校に通いながら「スターダスト」の衣装係として働いているモリーは、ノエミにしばらく一緒に暮らさないかと提案する。
2ヶ月後、ノエミはトップレスラウンジ「チーター」でダンサーとして働いていた。オーナーのアルとは反りが合わず、しょっちゅう口喧嘩をするが、生活のため仕方なく仕事を続けていた。
そんな時、モリーに職場である「スターダスト」に見学に来ないかと誘われ、ショーの舞台裏に足を踏み入れる。煌びやかな舞台で繰り広げられるショーの世界。初めて見るその光景にノエミは激しく心を揺さぶられる。
モリーはショーのトップスターであるクリスタルにノエミを紹介するが、クリスタルは「チーターで働くなんてろくなものじゃない」とノエミに言う。
悔しい気持ちを晴らしに踊りに行ったクラブには、用心棒として働くジェームスがいた。一流ダンサーの元でダンスを習った経験のあるジェームスは、すぐさまノエミのダンスの才能に目をつける。俺がダンスを教えてやるとノエミと踊りだすのだが、ジェームスの高慢な言葉に腹を立てたノエミはダンス中に蹴りを入れ、そのせいで警察に連行されるのだった。

映画『ショーガール』のあらすじ【承】
翌日、「チーター」の舞台に立つノエミの前に、「スターダスト」の興行重役であるザックを引き連れ、クリスタルがやってきた。500ドルを払いプライベートダンスを申し込むクリスタル。初めは拒むものの、オーナーのアルに丸め込まれ、二人を相手に挑発的なダンスを披露する。大金を稼いだノエミだが心は沈んでいた。
そんな中、「スターダスト」のプロデューサーが現れ、ショーのオーディションを受けないかとノエミを誘う。クリスタルの差し金と気づくノエミだが、憧れの舞台に出演するチャンスを掴むため、オーディションを受けに行くのだった。
だが、そのオーディションも途中で放棄してしまうノエミ。オーディション会場を出たところに、またしても偶然ジェームスが居合わせ、悪態をつきながらも意気投合する。彼の自由奔放で明るい性格に、落ち込んでいた気持ちも励まされ、ダンスレッスンを受けるうちに体の関係に発展しそうになる。だが、ノエミは愛のないセックスは嫌だとその場を後にするのだった。
帰宅したノエミは放棄したはずのオーディションに合格した事を知り、大喜びする。
ジェームスに報告するため再び彼の家を訪れたノエミだが、彼女が見たのは彼のベッドから出てきた裸の女性だった。
映画『ショーガール』のあらすじ【転】
激しいレッスンを受け、ついにスターダストの舞台に立ったノエミ。その一方でショーのプロデューサーから売春を匂わせる誘いを受ける。すぐさま重役のザックに報告し、対処してもらう。ザックのスマートな対応や優しさに惹かれていくノエミ。ある晩ついに彼の自宅に行き一線を超えるのだった。
ザックの計らいでクリスタルの代役の座を手に入れたノエミ。だが、ザックを奪われ嫉妬に狂っていたクリスタルは、それを許さなかった。弁護士を立ててノエミを代役座から引きおろす。
嫉妬と怒りのボルテージが最高潮に登ったまま、ショーの舞台上でお互いを威嚇しあい火花飛び散る激しいダンスを踊る二人。昂ぶった気持ちが収まらないノエミは、舞台から降りる階段で、前にいたクリスタルを突き落としてしまうのだった。
クリスタルが入院することになり、事態は一変。急遽主役に抜擢されたノエミは、チャンスを掴み、「スターダスト」のトップスターとなる。
そんな中、モリーがショーの打ち上げパーティーで、憧れのスターであるアンドリュー・カーヴァーにレイプされてしまう。アンドリューがスターであるためその事実をもみ消そうとするザック。ショックを隠せないノエミに、ザックはさらにノエミの身辺調査で明らかになった過去の売春、コカイン保持、暴力による逮捕歴を突きつける。
「生きるためだった」と涙するノエミに「君の値段はいくらだった?」と問うザック。ザックの卑劣な本性を知ったノエミは彼に唾を浴びせその場を去るのだった。
映画『ショーガール』の結末・ラスト(ネタバレ)
ラスヴェガスの街で自分を見失いかけていたことに気づくノエミ。やっと掴んだスターの座だが、ノエミはこの場所にもう未練のなかった。
ノエミはモリーをレイプしたアンドリューを激しく暴行し復讐を果たす。そして、未だ意識が朦朧としている入院中のモリーに会いに行き「大好きよ」と優しく見つめ、その場を去るのだった。
その後、クリスタルの病室も訪れる。野心的なノエミに過去の自分を重ねていたクリスタルは、階段から突き落とされた事実について「自分も昔同じ事をして役を取った」と告白する。そして、クリスタルもショービジネスの世界で生きることに限界を感じており、引退を決めていたのだった。
本当は似た者同士だった二人。これまで嫉妬しあい、戦ってきた二人は最後にお別れのキスを交わす。
煌びやかで憧れていたショービジネスの世界は、嫉妬と欲望にまみれた世界だった。ノエミはラスヴェガスを後にし、来た時同様、生きる場所を探しに、新たな旅を始めるのだった。
映画『ショーガール』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
華やかな舞台裏でのどろどろした人間模様やのし上がろうとするダンサーの野望を描いた作品だが、評価は低くアメリカでは、1995年劇場公開時に過激な暴力シーンや性的シーンが問題となり、NC-17指定で公開されている。ワースト映画賞を総嘗めにした逸話もある。
今作を初めて観たのは学生の頃で、ダンサーの飽くなき努力と野望に慄いた記憶がある。トップの座を争い競うのは当然のこととしても、主人公がしてしまったことは決して許されることではない。だが、野望を叶えるために追い詰められる心理も理解できる。対して、舞台上でのダンスや衣装は素晴らしく、主人公が抜きん出た存在だったのは明らかで、その煌びやかでセクシーなダンスに魅入られた。評価は低いが、個人的には衝撃を受けた作品で、印象に強く残っている。(女性 40代)
酷評の嵐で、さらに最低映画賞まで受賞してしまい酷い言われようの問題作とされていましたが、実際に観賞して見ると結構面白かった~と思いました。トップを争う、女たちの恐ろしさや汚さがしっかり描かれドロドロ展開で面白かったです。映画の大半がトップレスでしたが鍛えられた体が美しくて、下品でもいやらしくもなくガッコ良かったです。そしてラスベガスの劇場でのトップレスショーはとても圧巻で見応えがある作品だと思いました。(女性 30代)
トップレスショーと言うと、男性が興奮を求めて行く場所だと思っていましたが、今作でステージに立つために努力を重ね、時にはライバルと戦いながら夢の舞台を勝ち取る女たちの姿を目の当たりにし、私のショーやダンスに対する考え方はとても浅はかで失礼だったと感じました。
山あり谷ありのストーリーは感情移入しやすく、すぐに世界観に引き込まれます。ダンスだけでなく女の嫉妬や妬み、恋愛要素もあるので終始楽しんでみることが出来ました。
彼女たちの熱いダンスに釘付けになってしまいます。(女性 30代)
正直、最初はただのセクシー路線の映画かと思って観始めましたが、主人公ノーミの野心や、女性が自分の力だけで這い上がっていく過程が描かれていて驚きました。ショービジネスの裏側はこんなにも残酷なのかと、思わず息を呑む展開が続きました。終盤、モリーが性的暴行を受けたシーンは衝撃的で、ノーミがその復讐に動く姿には拍手を送りたくなりました。(20代 男性)
登場人物たちが全員“善人ではない”ところがリアルで、ある意味人間の欲望と闇を正直に描いた作品だと思いました。ノーミの踊りにも、彼女の中にある怒りやエネルギーが表現されていて圧倒されました。最後にトップを捨てて去っていく彼女の姿は、勝ったのか逃げたのか…それを観る者に委ねてくるあたりが面白いです。(30代 女性)
過激な演出が多くて賛否両論なのも理解できますが、キャラクターの描き方や社会の構造批判がしっかりしていて見応えがありました。ノーミの“正体”が徐々に明かされるあたりからのスリルは見逃せません。ラストの“ラスベガスを出て、また夢に向かう”流れは、彼女の強さと再生を感じさせて爽快でした。(40代 男性)
女性の自己決定権をテーマにした映画として見ると、とても力強いメッセージを感じました。ノーミは誰にも媚びないし、傷つけられても自分の方法で立ち向かう。その姿勢が痛々しくも清々しい。モリーへの想いから行動を起こすシーンも、彼女がただの野心家でないことを示していて、感動しました。(30代 女性)
一見、過激な描写や派手な演出に目がいきますが、そこに込められた皮肉や風刺は非常に深い。ショービジネスの裏にある搾取や暴力、格差がノーミの視点を通して見えてくる。ラストで頂点に立つも、その世界に留まらない彼女の選択がとても印象的でした。90年代の作品なのに今見ても全然古く感じません。(50代 男性)
女性たちが生き抜くために“武器”として何を使うのか、その葛藤がリアルでした。ノーミは決して聖人じゃないけど、自分の正義を信じて貫く強さがあった。特にモリーの事件を受けて復讐に動くあの瞬間、自分も心の中で「よくやった」と叫びました。ラスベガスを出てまた新しい夢を追う姿がまぶしかったです。(20代 女性)
当時賛否が大きかった作品だけど、今改めて観ると女性の生き様を描いた貴重な映画だと思いました。ノーミの過去が徐々に明かされることで、彼女がなぜ“攻撃的”で“必死”なのかがよく分かります。ラストの選択には賛否あるかもしれないけど、私はあれこそが彼女の“勝利”だったと思います。(40代 女性)
映画『ショーガール』を見た人におすすめの映画5選
ブラック・スワン
この映画を一言で表すと?
完璧を求めた先に待つ狂気、美と破滅が交錯する芸術ホラー。
どんな話?
バレエダンサーのニナは、『白鳥の湖』の主役に抜擢されるが、役柄にふさわしい“黒鳥”の側面を表現するために自我が崩壊していく。嫉妬や欲望、不安に苛まれながらも舞台にすべてを賭ける姿を描く。
ここがおすすめ!
『ショーガール』のように、舞台の表と裏、芸術の美しさと人間の欲望がぶつかり合う構造が共通しています。ナタリー・ポートマンの狂気を帯びた熱演が圧巻で、芸術にすべてを賭ける女性の姿に引き込まれます。
バーレスク
この映画を一言で表すと?
夢を追いかけて大都会へ、歌とダンスが織りなすきらびやかな逆転劇!
どんな話?
田舎町からロサンゼルスに出てきたアリが、ひょんなことからバーレスク・ラウンジで働き始める。才能と情熱でステージの主役へと駆け上がっていく姿を、パフォーマンス満載で描くミュージカル映画。
ここがおすすめ!
ショービジネスの世界で成功をつかもうとする女性の物語は『ショーガール』と非常に近いテーマ。クリスティーナ・アギレラとシェールの圧倒的な歌唱・ダンスシーンが見どころで、華やかさと努力が詰まったサクセスストーリーです。
ムーラン・ルージュ
この映画を一言で表すと?
愛と芸術がぶつかり合う、ビジュアルも音楽も極上のロマンティック・ミュージカル。
どんな話?
1900年のパリ、若き詩人クリスチャンはキャバレー「ムーラン・ルージュ」で美しい踊り子サティーンと出会う。許されない愛と舞台のプレッシャー、運命の渦に飲まれていく2人の切ない恋の物語。
ここがおすすめ!
『ショーガール』と同じく、舞台の裏にある愛と欲望、自己犠牲を描いた作品。映像美、音楽、衣装すべてが鮮烈で、エンタメ性と感情の深さを両立。観る者を情熱の世界に引き込む、極上のシアター体験です。
オール・アバウト・イヴ
この映画を一言で表すと?
舞台女優の栄光と転落を描く、嫉妬と野心の名作クラシック。
どんな話?
人気女優マーゴの前に現れた若きファン、イヴ。純粋そうに見えた彼女は、徐々にマーゴの地位を狙い始める…。表向きは友情、裏では熾烈な駆け引きが繰り広げられるハリウッドの内幕劇。
ここがおすすめ!
『ショーガール』にも通じる“女同士の戦い”と“名声の裏の闇”を描いた傑作。1950年公開とは思えない鋭い台詞と心理戦の応酬に惹き込まれます。映画史に残るクラシックとしてぜひ一度は観てほしい1本です。
マルホランド・ドライブ
この映画を一言で表すと?
夢と現実がねじれるハリウッド、欲望に飲まれていく女優たちの迷宮。
どんな話?
女優を夢見るベティは、記憶喪失の謎の美女と出会い、彼女の過去を探ろうとするが、次第に物語は現実と幻想の境界が曖昧になっていく。デヴィッド・リンチ監督が放つ夢幻的サスペンス。
ここがおすすめ!
華やかな世界の裏に潜む人間の狂気と妄執、アイデンティティの崩壊。『ショーガール』の“夢を見て夢に裏切られる”という構造と通じるものがあります。観るたびに新たな解釈が生まれる、映画好き必見の作品です。
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