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映画『ローマンという名の男 信念の行方』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ローマンという名の男 信念の行方』の概要:長年、不正も働かず、真面目に働いてきた弁護士が、失業に窮地に立たされたことから、不正に手を染めていく姿を描く。今までにないデンゼル・ワシントンの演技と、『ナイトクローラー』のダン・ギルロイ監督らしい毒気を持った脚本が、見事にマッチしている。

映画『ローマンという名の男 信念の行方』の作品情報

ローマンという名の男 信念の行方

製作年:2017年
上映時間:122分
ジャンル:サスペンス
監督:ダン・ギルロイ
キャスト:デンゼル・ワシントン、コリン・ファレル、カーメン・イジョゴ、リンダ・グラヴァット etc

映画『ローマンという名の男 信念の行方』の登場人物(キャスト)

ローマン・J・イズラエル(デンゼル・ワシントン)
弁護士だが、人前に出てしゃべるのは、あまり得意ではない。その代わり、尋常でない記憶能力を持つ。コンピュータではなく、紙の資料やカードで記録し、全て記憶している。世間にはびこる人権侵害や不正行為、司法制度の穴などに対して不満を持っており、それを正したいと常々考えている。頭はよく、切れ者なのだが、コミュニケーション能力が不足しており、人を不快にさせるような言葉を、考えなしに発言してしまうところもある。だが、困っている人を助けたいという気持ちは、人一倍強い。
ジョージ・ピアス(コリン・ファレル)
弁護士事務所をいくつも経営する敏腕弁護士。ローマンと一緒に仕事をしているウィリアムは大学時代の恩師。若い頃に一度、法律の世界に嫌気がさして辞めようと考えたこともあったが、ウィリアムの言葉で考え直す。事務所を経営していくには金を稼がなくてはいけないが、ローマンに出会い、拝金主義に走りすぎていたことに気がつき、考え方が少しずつ変わってくる。
マヤ・オルストン(カルメン・イジョゴ)
抗議活動をしているボランティア団体の代表。自分がしていることに意味はあるのだろうかと迷っていたが、昔、抗議活動を行い、今でも静かに活動を続けているローマンに出会って、その志と姿勢に感動する。

映画『ローマンという名の男 信念の行方』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ローマンという名の男 信念の行方』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ローマンという名の男 信念の行方』のあらすじ【起】

弁護士のローマン・J・イズラエルは、友人のウィリアムの経営する弁護士事務所で働いていた。表立って裁判所に顔を出すのはウィリアムで、彼は裏方の弁護アドバイザーだった。若い時は司法制度に疑問を持ち、法律の間違いを正そうと抗議活動なども積極的に行っていた。

ある朝、事務所の電話が鳴り、ウィリアムが心臓発作で倒れたという知らせが入る。ローマンはウィリアムの代わりに裁判所へ行き、依頼人と面談。裁判の延期をお願いしてこいと言われていたが、持ち前の正義感から上訴を申し出てしまう。ローマンは有能だが、思ったことをストレートに言いすぎてしまうところがあった。きつい物言いのせいで、裁判官を怒らせて法廷侮辱罪で罰金をもらってしまう。

翌日。出社すると、ウィリアムの親族のリンが、ジョージ・ピアス弁護士を連れてきた。リンは、ウィリアムが担当していた案件はジョージに引き継いでもらうという。そして、この事務所は閉鎖すると言った。ローマンは驚き、この事務所を支えてきたのは自分だという自負から、“ぼくがやる”と言うが、あなたに経営はできないと一蹴されてしまう。ローマンは失業の危機に陥ってしまった。

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映画『ローマンという名の男 信念の行方』のあらすじ【承】

ジョージはウィリアムとは師弟の間柄だった。4つの弁護士事務所を運営し、車は高級車。高価なスーツを着こなす、やり手の弁護士だ。ウィリアムに仕事を回し、キックバックをもらっていた。昔は理想も持っていたが、仕事と経営に忙殺され、忘れ去ってしまっている。ジョージはローマンの有能さに気がつき、彼を引き抜こうとするが、ローマンは拒否する。

“公民権を守る会”を訪ねたローマンは、会の代表であるマヤと出会った。ここを再就職先にと足を運んだが、マヤは全てボランティアでやっているので雇えないと言う。だが、革命に対して熱く語るローマンの言葉に、マヤは心を動かされたようだった。雇うことはできないが、会合があるので参加しないかとローマンを誘った。

その後、どこからも良い返事をもらえなかったローマンは、仕方なく、ジョージの事務所で働くことを決めた。最初の案件は、殺人事件だった。デレルとカーターという少年たちがコンビニに強盗に入り、店員を銃殺。デレルは捕まり、カーターは逃走。殺された店員はアルメニア人で、仲間はカーターに10万ドルの懸賞金をかけて捜していた。

ローマンは、周りの弁護士は皆、金と名声のことしか考えていない愚か者だと思っていたが、ジョージのことは一目置いていた。彼とだったら自分が夢見ていたことを実現できるのではないかと。彼は7年前から司法取引に改革を起こす裁判の準備をしていた。ローマンはジョージに、私と組まないかとオファーする。だが、ジョージはその話を右から左に聞き、まともに取り合ってくれなかった。

デレルに会いに行ったローマン。デレルは、店員を撃ったのはカーターだと言う。そして、減刑されるならカーターの居所を教えると言ってきた。これは大変に危険なことだったが、デレルはカーターの居所をローマンに話した。ローマンは検察と司法取引の相談をするが、減刑されても10年は食らうと言われる。思わず皮肉を言ったローマンに、検察側は怒り、司法取引は泡と消えてしまった。

マヤに誘われ、ボランティアの会合に参加したローマン。若い時を思い出し、熱弁する。だが、時代が変わってしまっており、逆に凹まされてしまう。強すぎる正義感と、自分の信念を曲げない勇気を持つローマンは、他人と衝突することも多かった。しかし、そんな姿を見て、マヤは少しずつ彼を尊敬しはじめる。

映画『ローマンという名の男 信念の行方』のあらすじ【転】

上司と共に、ジョージのオフィスに呼ばれたローマンは、そこでデレルが刺殺されたことを知らされる。ローマンが勝手に司法取引を持ちかけたせいで、デレルは目をつけられ、殺されてしまったのだ。このことで訴えられれば、間違いなく敗訴すると怒るジョージ。ローマンに、ことが落ち着くまでおとなしくしているよう言いつけ、その後は解雇すると厳しく言い放った。

踏んだり蹴ったりの毎日が続き、ローマンはストレスで爆発寸前だった。なぜ、悪事も不正もせず、真面目に生きてきたのに、こんな仕打ちを受けるのか。ローマンは入院中のウィリアムに会いに行った。病室で昏睡状態になる姿を見て、ローマンの中で何かが壊れた。

ローマンは、警察に匿名で電話をかけた。“カーターの居所を知っている。教えるので10万ドルほしい”と。顔は出せないので、金はキャッシュで用意し、裏路地のゴミ箱に入れてくれと警察に要求する。なんとしてもカーターを逮捕したかった警察は、その話に乗ってきた。ローマンは依頼人との守秘義務を放棄し、弁護士としての一線を踏み越え、大金を手にした。

金を手に入れたローマンは、今までしなかった豪遊を思う存分楽しむ。ビーチでドーナツを食べ、スーツを新調し、高級ホテルに泊まる。たくさんの買い物をし、日常に戻ってきたローマンは、事務所に新調した高級スーツで出社した。

出社すると、ジョージから、あることを告げられた。ウィリアムが死亡したというのだ。ローマンは複雑な表情を浮かべる。ウィリアムと親密だったローマンを心配するジョージは、先日は言い過ぎたと謝ってきた。そして、デレルの件は和解し、問題ないという。まだここで働きたいのだったらお願いしたいという申し出に、二つ返事でOKし、ローマンは言う。“恩知らずの依頼人に飽き飽きした。これからは、金を稼ぐ”

ローマンが変わったことと、もともと優秀だったことが認められだし、事務所の仲間たちの風当たりも良くなってきた。ジョージは会議で、これからは無償弁護も行っていくと発表。そのリーダーにローマンを抜擢した。ローマンに出会ったことで、ジョージも少しずつ、変わり始めたようだった。

マヤとディナーに行くことになり、浮かれるローマン。彼女と高級レストランに行く。マヤはローマンと出会ったことで感動し、活動を続けていく勇気をもらったという。だが、ローマンは以前とは違ってしまっていた。マヤの言葉に、自分に都合よく返事をするが、ローマンの心は複雑だった。

今までの人生に見切りをつけ、欲と金の世界へと落ちてしまおうと決めたローマンだったが、世の中は不思議なもので、そう決めた途端、物事が動きだしたりする。正義感に溢れていたローマンに突き動かされ、ジョージはかつての情熱を取り戻し、拝金主義よりも地域密着型の、人に寄り添った弁護をしていきたいと言いだす。そして、以前にローマンが持ちかけた司法取引制度を正す裁判を考えてみたいと口にした。

ある死刑裁判の案件で、拘置所を訪れたローマンとジョージ。そこで待っていたのは、なんとカーターだった。ジョージは、この案件はローマンに一任すると言い、席を立つ。二人きりになったとき、カーターが言った。“デレルから俺の居場所を聞き、俺を売ったな”と。“いつでもお前を殺せる。守秘義務を破った罪を認めろ”というカーターの言葉に、その場を逃げるように後にしたローマン。

自分が犯した不正が暴かれ、死の恐怖を感じはじめたローマンは、すっかり疑心暗鬼になり、誰も彼もが自分の命を狙っているように思えてならない。一等地に引っ越すことにしたローマンは、今までのマンションから逃げるようにトラックに荷物を積み込むと、ハイウェイを走り始める。後ろの車がつけていると勘違いしたローマンは、闇雲に車を走らせ、いつの間にか砂漠のど真ん中へ。そんな時、マヤから電話が入る。マヤは何も事情を知らなかったが、ローマンを勇気づけようと“落ち込んでも、常に一直線に進むのよ”とアドバイスをくれた。

映画『ローマンという名の男 信念の行方』の結末・ラスト(ネタバレ)

砂漠の中でひとり立ち尽くしていたローマンは、マヤの言葉で、あることを決意し、それを実行することにした。事務所に戻ったローマンは、法律書や資料をかき集め、ある起訴状を作成する。そこに書いてある名前は、被告、原告ともにローマン・J・イズラエル。つまり、自分で自分を訴え、弁護するという、奇想天外なものだった。

ローマンがカーターの居所を密告したことを知ったジョージは、ローマンを問い詰める。ローマンは全てを認め、これから自首すると言った。そして、自分対自分の裁判のことを話し出す。“全ては自分次第ということだ。我々は皆、被告であり、原告なのだ”これをやったら、全てがひっくり返るだろうな、と笑うローマンは、ジョージを残し、静かに歩いていった。だが、ジョージは、ローマンの後をつけていく男の姿を見つける。ジョージは危険を感じ、ローマンを追うが、追いついた時には、すでに彼は殺されていた。足元には、あの司法取引裁判の資料を入れたカバンが転がっていた。

ローマンは懸賞金を警察に送り返していた。使った分は、必ず返しますというメモをつけて。ローマン亡き後、マヤは今でも熱心に抗議活動を続けていた。ジョージはローマンの司法取引裁判の資料を整理し、アメリカ連邦裁判所を訪れ、提訴した。ローマンの意志を継いだ長い闘いが、静かに始まろうとしていた。

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