この記事では、映画『キュア 禁断の隔離病棟』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『キュア 禁断の隔離病棟』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『キュア 禁断の隔離病棟』の作品情報
上映時間:147分
ジャンル:サスペンス、ホラー
監督:ゴア・ヴァービンスキー
キャスト:デイン・デハーン、ジェイソン・アイザックス、ミア・ゴス、イーヴォ・ナンディ etc
映画『キュア 禁断の隔離病棟』の登場人物(キャスト)
- ロックハート(デイン・デハーン)
- 金融業界屈指の大会社に務める営業マン。幼い頃に父親を亡くし、母1人子1人で育つ。父親のような負け犬になりたくないと思っている。
- ヴォルマー医師(ジェイソン・アイザックス)
- スイスの山上にある古城を再建し、療養所を開設。地下水脈の秘められた効能を使い、水療法を行っている。実は不老不死の妙薬を開発し300年もの間、生き続けている男爵。純血に強い拘りを持っており、娘のハンナを妻に迎えようとしている。
- ハンナ(ミア・ゴス)
- ヴォルマーの娘。幼い頃より不老不死の妙薬を服用させられている。療養所で育てられ行動を制限されているが、ロックハートと出会い外の世界へ憧れるようになる。
- ペンブローク(ハリー・グローナー)
- ロックハートが勤める会社の社長。ヴォルマーに自分が病気なのだと洗脳され、療養所へ入院。不老不死の妙薬を作るろ過装置として利用され、死亡する。
- ワトキンス(セリア・イムリー)
- 療養所に入院中の患者。素人歴史家で古城の歴史を調べている。ロックハートと共に200年前の城の謎を解明。そのせいで、ろ過装置として利用され死亡する。
映画『キュア 禁断の隔離病棟』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『キュア 禁断の隔離病棟』のあらすじ【起】
金融業界でもかなり大手の証券会社に勤めるロックハートは、仕事で大忙しの日々を送っていた。彼の会社は現在、大会社同士での合併の話が進んでおり、成立した暁には巨万の富と業界の3分の1を占める大企業へとのし上がる予定だった。
しかしそんな時、会社社長のペンブローク氏が休暇中に心の病を患い、療養所へと入院してしまう。合併には社長のサインと了承が必要であるため、役員はロックハートを呼び出し、彼が行っている不正を見逃す代わりに、ペンブローク氏を呼び戻すよう命令するのだった。
ペンブローク氏がいるというスイスの療養所へ。そこは山の上の古城を改築した美しい場所だった。
療養所の責任者はヴァルマーという医師だったが、別の医師と面会。彼から療養所の規則は曲げられないという話と、水治療を推奨しているという話を聞く。
だが、ロックハートは社長を連れてNYへ帰ると断言。すると、相手は例外を認め治療が終わる頃に、会えるよう手配すると言うのだった。
時間を潰すため、一旦療養所から去ろうとしたロックハート。しかし、その帰り塀の上に若い女性を目撃。直後、牡鹿が飛び出して来てタクシーがクラッシュしてしまう。
そのせいで右足を骨折してしまったロックハートはしばしの間、療養所で過ごすことになる。そして、高地に身体が馴染むよう沢山の水を飲めと勧められるのであった。

映画『キュア 禁断の隔離病棟』のあらすじ【承】
この機に乗じて、療養所内を徘徊しペンブローク氏の捜索を行うロックハート。社長の居場所を看護師から上手く聞き出して、ようやく発見。必死に社長を説得し、帰還を取り付けるのであった。
帰る準備を整え玄関へやって来たロックハートは、聞き覚えのある歌を耳にして唄っている人を捜索。療養所の裏手で事故に遭う前に見た若い女性と出会った。ロックハートは彼女に幾つかの疑問をぶつけたが、明確な答えはなく。女性は自らをハンナと名乗り去ってしまう。
その後、玄関へ戻って来たが、そこにペンブローク氏の姿が無い。彼の病室へ向かうと看護師たちが部屋の片づけをしていたため、不審に思ったロックハートは食事中のヴァルマー医師の元へ向かった。
すると、医師は病状が悪化したため、治療を一段階進めたと言う。ロックハートはヴァルマーに抗議するも、鼻血の流出と強い眩暈に襲われ倒れてしまうのであった。
ヴァルマーの診察を受けたロックハートは、内臓器官がかなり弱っていると指摘され、水治療を勧められる。彼は治療を了承。これに喜んだヴァルマーは一旦席を外す。ロックハートはその隙にペンブローク氏のカルテを入手した。
早速、水治療を受けることになったロックハート。感覚遮断装置という巨大タンクへ入れられる。酸素マスクを装着し全身を水に浸してたゆたうものらしい。しかし、治療中にトラブルが発生し、危うく死にそうになる。
翌日、古城の古代史を調べているワトキンス女史と会話。城には200年前、純血に拘っていた男爵が妹を妻にしたという悲話があった。しかし、ヴァルマーから聞いた話は少し違う。それらをワトキンスに話すと、彼女は真実に気付いた様子。ロックハートに療養所には闇があると密かに耳打ちするのであった。
映画『キュア 禁断の隔離病棟』のあらすじ【転】
ヴァルマーはハンナのことを特別だと言う。彼女は療養所内で育てられ暮らしていた。そこで、ロックハートはハンナの協力を得て、自転車で療養所の外へ。麓の町のバーで休憩した後、町医者のような仕事をしている男の元へ向かい、ペンブローク氏のカルテを見てもらった。
その後、ロックハートはバーへ戻り、会社へと連絡を入れ、社長代理からペンブローク氏に持病がないことを確認した。
そんな中、バーにいたハンナが、柄の悪い若者に襲われそうになる。ロックハートは彼女を助けに向かうが、足の骨折でまともに抵抗できず。
そこへ、ハンナを探してヴァルマーが登場。ハンナもロックハートも療養所へ連れ戻されるのであった。
その夜、口内に異変を感じたロックハート。虫歯でもないのに歯が抜ける。看護師にそれを報告し少しの間、奥へ行っている隙に社長の居場所を確認。見つからないよう移動を開始した。目的の場所は隔離病棟。病棟の奥でミイラ化が進んだワトキンス女史を発見する。
彼女から更に男爵の話を聞く。村人達は男爵夫婦を拘束し、城ごと焼き尽くしたが、その前に妊娠していた夫人から赤子を取り出し、地下水脈へ捨てたと言う。だが、赤子は息を吹き返し生き続けたらしい。
更に病棟の奥へ向かった彼はある部屋へ迷い込み、そこで水槽の水に浸されたペンブローク氏を発見する。それはまるで、ホルマリン漬けにされた標本のようだった。
恐ろしくなったロックハートは慌てて部屋から出て、ヴァルマーに遭遇。歯が抜けたことを言い訳にすると、拘束具を装着され正常な歯を無理矢理に抜歯させられる。彼は必死に抵抗し、拘束から逃れ警察へ。
警官はロックハートの話を聞いて彼をひとまず安心させた。だが、警官のオフィスに療養所の職員や、ハンナがいつも服用しているビタミン剤があるのを発見。警官までがヴァルマーの手先であることを知る。そこへ医師とペンブローク氏が現れ、ロックハートが心を病んでいると言われてしまえば、彼は本当に自分が病んでいるのだと、とうとう信じてしまうのだった。
映画『キュア 禁断の隔離病棟』の結末・ラスト(ネタバレ)
それから数日。ロックハートは平和で安穏とした時間を過ごした。そして、会社へと辞職の手紙を書こうとして、ふと気付く。本当に自分の足は骨折しているのか。真実が捻じ曲げられ、思い込まされているだけなのではないかと。
彼は水のグラスでギプスを破壊した。すると案の定、足は健全で問題なく歩行できるのである。
その後、怪しいと目星をつけていた扉へ。地下には男爵のものと思われる研究室があった。壁にはハンナと瓜二つの容貌をした夫人の肖像画が飾られている。彼は更に奥へと進み、ストレッチャーを発見。シートを開けるとワトキンスの死体が横たわっていた。
物音がしたため、岩陰に隠れたロックハート。彼はそこへやって来た下男が遺体を地下水脈へ投げ込むのを目撃。水脈に落ちた遺体は、ウナギが全て餌として処理してしまう。療養所へ戻ったロックハートは、食堂へ向かい声高に真実を告げたが、患者達はヴァルマーによって洗脳されている。ロックハートは捕縛されてしまうのだった。
等身大のタンクへ収容されたロックハートは、口から胃まで太いホースを詰め込まれ強制的にウナギの稚魚を体内へ流し込まれる。
地下水脈は普通に飲めば毒となるが、適切に毒をろ過すればそれは不老長寿の妙薬となる。等身大のタンクと人間の体は、毒をろ過する装置だったのである。
一方、月経を迎えたハンナは、ヴァルマーからウェディングドレスをプレゼントされる。ヴァルマーはビタミン剤と称して妙薬を口にし、ハンナを永遠に養うと誓うのであった。
ハンナは洗脳され、生きた屍のようになってしまったロックハートの元へ向かい、救いを信じて母親の形見を手渡す。
その日の夜、ヴァルマーとハンナの結婚式が行われた。その後2人は地下の研究室へ行く。そこで真実が明かされた。純血を求めるヴァルマーは妹を犯し妊娠させたが、村人に虐げられ城ごと火あぶりにされてしまう。だが、彼は生き延びハンナを育てながら研究を続け、不老不死の妙薬を作った。全ては純血の子を残すためだった。
ハンナはベッドの天蓋に拘束され、父親であるヴァルマーから襲われる。だが、そこへ正気を取り戻したロックハートが現れ、ハンナを救出。研究室にオイルを撒き、ヴァルマーもろとも焼き払おうする。しかし、抵抗され揉み合いの攻防を展開。遺体を投げ込む地下水脈へと追い込まれる。だがそこへ、ハンナが現れ父親をスコップで攻撃。ヴァルマーは愛する娘で妻に裏切られ、ウナギの餌となってしまう。
古城が赤々と燃え上がる。外へと逃れた患者やスタッフが茫然とする中、ハンナとロックハートは自転車に乗って逃亡を図った。これから2人で明るい未来を紡ぐのだと思った矢先、前方からやって来た車と衝突。車にはロックハートの社長代理と役員が乗っていた。
ロックハートは社長が亡くなったことを告げ、ハンナと共にその場を去るのであった。
映画『キュア 禁断の隔離病棟』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
うなぎの使い方や演出が独特で秀逸だった。非常に印象深く、脳裏に焼き付いて離れない。
全身治療や患者たちの人格が狂っていくという目を瞑りたくなるような痛々しいシーンもあるが、その恐怖とは裏腹に、映像美がより一層不穏な雰囲気を漂わせている。
146分という長編なので長く感じたが、気づいたら自分も療養所の患者になっていた、と錯覚するほど深い世界観にどっぷり浸っていた。
『エヴォリューション』(2015)の世界観が好きな人には、是非おすすめしたい。(女性 20代)
デイン・デハーンが大好きな私ですが、独特の雰囲気が漂う今作はB級なのかカルト作品なのかわからず鑑賞していませんでした。
実際に見て感じたのは、好き嫌いが分かれる世界観ではありますが、好きな人は大好きだろうということ。個人的には大好きで大満足の作品でした。
「不老不死」の薬の裏に隠された秘密はとにかくヤバかったです。鰻の稚魚を飲まされたり、死体は鰻の餌になったりととにかく「鰻」がよく出てきます。しばらく鰻は食べたくないなと思うでしょう。
デイン・デハーン演じるロックハートは終始最高です。あの色白で少し影のある雰囲気が今作の世界観と物凄くマッチしていました。(女性 30代)
古城を改装した療養施設を舞台に主人公が隠された秘密を暴いていくという内容だが、場所柄、風景や古城の佇まいがとても美しい。そして、雰囲気がとにかく独特。故に、主人公が到着した時からすでにどことなく不穏な感じが漂っている。表向きはとても良さそうな施設に見えるが、裏では大変なことになっている。まさか、ウナギの稚魚を飲まされるとは夢にも思わない。あのシーンはさすがに度肝を抜かれた。更にそこから不老不死の妙薬に進んでいくとは驚きの展開。ただし、ラストの終わり方には若干、納得できない感じがあった。(女性 40代)
とことん気色悪く不穏な空気に、怖いもの見たさを刺激されます。一見非の打ち所がない、しかしどこか狂気のようなものを感じる療養所。翻弄されてしまいました。そして、劇中の音楽が癖になります。中盤までは、主人公が見聞きしたことは妄想なのか、事実なのかはっきりしません。ぼんやりとしたミステリアスな世界観から一転、後半は急展開します。この緩急に大興奮しました。当分、うなぎは食べられないかもしれません。天空の城、ホーエンツォレルン城は見ものです。(女性 30代)
閉ざされた療養所の不気味さと映像美が見事に融合した作品でした。序盤は静かなサスペンスですが、次第に「治療」と称した実験の実態が明らかになり、背筋が凍りました。特にロックハートが水槽で苦しむシーンは強烈で、監督のビジュアルセンスに圧倒されました。ラストで彼が療養所を破壊して脱出する姿は救済のようでありながらも、狂気の笑みを浮かべる表情が印象的で、人間の理性と狂気の境界を問いかける結末でした。(20代 男性)
この映画はホラーでありながら、寓話的なテーマ性も強く感じました。患者たちが「治療」によって若さを失い、館に囚われていく様は、現代社会の欲望と依存を象徴しているようでした。ヒロインのハンナが実は院長の娘であり、近親的な呪われた血脈の犠牲者だったという真相は衝撃的。最後の火に包まれる療養所はまさに「浄化」のようで、美しくも悲しいラストシーンでした。(30代 女性)
豪華な美術と不気味な雰囲気が際立っていました。ヨーロッパの古城を舞台にした隔絶された環境が、観客に強い閉塞感を与えます。水を使った拷問的な治療や、歯の治療シーンなどは生理的な恐怖を煽り、強烈に記憶に残ります。最終的にロックハートが療養所を壊滅させるのはカタルシスを感じましたが、彼の狂気に満ちた表情に「本当に自由を得られたのか」という余韻が残りました。(40代 男性)
ゴシックホラー的な世界観に惹き込まれました。美しい自然と建物の調和が、逆に不気味さを強調していたと思います。院長ヴォルマーが数百年生き延びた不老不死の存在であり、ハンナを利用して血脈を維持しようとしていた展開は衝撃でした。ロックハートが彼を倒す瞬間は爽快でしたが、結局彼自身も狂気に取り込まれていくのではという不安を残す結末が秀逸でした。(50代 女性)
『シャッターアイランド』を思わせる心理サスペンス的な要素がありつつ、よりファンタジックでグロテスクでした。療養所の秘密が少しずつ暴かれる過程はスリリングで、真相がわかった時の絶望感は強烈。ロックハートが最後にハンナと共に脱出するも、笑顔に潜む狂気が「彼もまた戻れない存在になったのでは」と感じさせました。恐ろしくも美しい後味の映画です。(20代 女性)
長尺ながら映像表現が圧倒的で、飽きることなく観られました。水をモチーフにした恐怖表現が印象的で、観客に強い不安感を与えます。治療の正体が「人間を犠牲にして永遠を求める実験」だとわかるにつれ、恐怖から嫌悪に変わっていきました。最後に燃え落ちる療養所の映像はカタルシスと同時に、再生と破壊を象徴する美しいラストでした。(30代 男性)
映画『キュア 禁断の隔離病棟』を見た人におすすめの映画5選
シャッター アイランド
この映画を一言で表すと?
理性と狂気の狭間を揺さぶる極上のサスペンス。
どんな話?
精神病院のある孤島に派遣された捜査官が、患者失踪事件を調べるうちに次第に真実と虚構の境界を失っていく物語。陰謀か妄想か、観る者を翻弄する仕掛けに満ちています。
ここがおすすめ!
レオナルド・ディカプリオの迫真の演技と、マーティン・スコセッシ監督の緻密な演出が光る心理サスペンス。『キュア 禁断の隔離病棟』同様、隔離された場所で狂気と対峙するストーリーが強烈な余韻を残します。
ホステル
この映画を一言で表すと?
楽園が一転、恐怖の監禁拷問地獄。
どんな話?
ヨーロッパを旅行する若者たちが、美しい街で歓楽を楽しむが、実は裏で人間狩りが行われていた。観光地の陰に潜む恐怖と暴力に巻き込まれていくサバイバルホラーです。
ここがおすすめ!
華やかな旅先が実は恐怖の舞台というギャップがスリリング。『キュア』のように「表の美しさ」と「裏のグロテスクさ」が対比的に描かれ、社会風刺的要素も含んだ強烈なショック作です。
ブラック・スワン
この映画を一言で表すと?
完璧を求めて狂気に飲み込まれる心理ホラー。
どんな話?
バレエ団の主役に抜擢された女性ダンサーが、役への執着とプレッシャーに追い詰められ、次第に精神を蝕まれていく物語。現実と幻覚の境界が曖昧になっていきます。
ここがおすすめ!
美と狂気が入り乱れる映像と、ナタリー・ポートマンの鬼気迫る演技が圧巻。『キュア』の幻想的で不気味な描写に惹かれた人には、この心理描写の深さと視覚的恐怖が刺さるはずです。
ローズマリーの赤ちゃん
この映画を一言で表すと?
日常に忍び寄る悪夢と妊娠の恐怖を描く名作。
どんな話?
新居に引っ越した若夫婦。妻ローズマリーは妊娠するが、次第に夫や隣人たちが自分と胎児を狙っていると感じ始める。妄想か現実か分からない不安がじわじわと広がっていきます。
ここがおすすめ!
ポランスキー監督による静かな恐怖の演出が秀逸で、観客の想像力を極限まで煽ります。『キュア』の「美しさの中に潜む恐怖」に通じる雰囲気があり、ラストの衝撃も忘れられません。
マーターズ
この映画を一言で表すと?
極限の痛みと信仰を描いたフレンチホラーの衝撃作。
どんな話?
幼少期に拉致・拷問を受けた女性が、成長後に復讐を遂げるが、その背後には人間を「殉教者」へと変える恐ろしいカルト的実験が隠されていた。人間の限界を描く残酷な物語。
ここがおすすめ!
暴力描写は凄惨ですが、同時に哲学的テーマを内包しており、「人間とは何か」を問いかける作品です。『キュア』のように恐怖と美学が融合した作品を求める方に強くおすすめです。
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