この記事では、映画『エレジー(2008)』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『エレジー(2008)』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『エレジー』の作品情報
上映時間:112分
ジャンル:ラブストーリー
監督:イザベル・コイシェ
キャスト:ペネロペ・クルス、ベン・キングズレー、パトリシア・クラークソン、デニス・ホッパー etc
映画『エレジー』の登場人物(キャスト)
- コンスエラ・カスティーリョ(ペネロペ・クルス)
- デヴィッドの教え子。美しく聡明な女性。デヴィッドのことを心から愛している。
- デヴィッド・ケペシュ(ベン・キングズレー)
- 大学教授。本を出版しており、テレビ出演も行っている。バツイチ。女性との気軽な関係を望んでいる。
- キャロライン(パトリシア・クラークソン)
- デヴィッドの元教え子。デヴィッドと体の関係がある。デヴィッドの理解者。
- ジョージ・オハーン(デニス・ホッパー)
- デヴィッドの親友。妻かいるが、浮気をしている。デヴィッドの相談相手。
- ケニー・ケペシュ(ピーター・サースガード)
- 35歳。デヴィッドの息子。家族を捨てた父を恨んでいる。医師。妻と子供がいるが、愛人を本気で愛してしまう。
映画『エレジー』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『エレジー』のあらすじ【起】
デヴィッド・ケペシュは大学教授で、コンスエラ・カスティーリョは彼の教え子だった。コンスエラは洗礼された美しさを持つ女性だった。しかし、セクハラの緊急連絡先が掲示板に張り出されるようになってから、デヴィッドは個人的に生徒と接触するのは止めた。
デヴィッドはテスト終了後、生徒達を集めてパーティーを開いた。コンスエラも参加していた。デヴィッドは彼女と会話を楽しみながらも、一緒にベッドに行きたくて仕方がなかった。コンスエラが演劇やオペラが好きだと話したため、デヴィッドは一緒に行こうと誘いをかけた。
デヴィッドには体の関係だけの女性がいた。その女性キャロラインは元教え子で、20年間の付き合いがあった。デヴィッドがキャロラインとベッドにいるときに電話がかかってきた。しかし、相手が誰か分かっていたので受話器を取らなかった。電話の相手は息子のケニーで、35歳になった今も家族を捨てた父親を恨んでいた。
デヴィッドはコンスエラと演劇を見に行った後、お酒を飲むために自宅に誘った。コンスエラは家に行く代わりにお願いをした。それは、ピアノを弾いて欲しいというものだった。デヴィッドはコンスエラのためにピアノを弾いた。その後、デヴィッドは絵画が載っている本を見せながら、コンスエラに触れてキスをした。コンスエラは拒まなかった。2人は一夜を共にした。

映画『エレジー』のあらすじ【承】
デヴィッドはコンスエラとの関係を友人のジョージに話した。ジョージは一夜限りの関係だと思っていたが、そうではなかった。デヴィッドとコンスエラは何度もベッドを共にしていた。デヴィッドは気軽な関係を続けていると思っていたが、コンスエラの過去の男性遍歴を聞いた瞬間、激しい嫉妬心が芽生えた。若い男がコンスエラを奪っていくのではないかと不安で仕方がなかった。
デヴィッドはコンスエラと付き合う中で、年齢差を感じるようになった。ジョージはそんなデヴィッドを心配し、捨てられる前に別れることを勧めた。だが、デヴィッドはコンスエラに別れを切り出すことができなかった。話の流れからいつの間にかコンスエラのことを旅行に誘っていた。
デヴィッドはコンスエラを食事に誘うが、弟とクラブに行くから無理だと断られる。家に1人でいるとコンスエラが若い男性と浮気をしている想像しかできなかった。居てもたってもいられなくなり、クラブへと足を運んだ。コンスエラは浮気を疑われたことに気づき、腹を立てた。
デヴィッドはコンスエラに嫌われ全てが終わったと思っていた。しかし、コンスエラから連絡があり、自分達の関係をどうしたいのか尋ねられる。デヴィッドは30歳もの年齢差を気にしていることを明かした。だが、デヴィッド自身が2人の関係をどうしたいと思っているのかを話すことはできなかった。
映画『エレジー』のあらすじ【転】
キャロラインはデヴィッドの部屋で女性の痕跡を見つけ、激しい怒りを見せた。デヴィッドはジョージに部屋の鍵を貸しており、彼が連れ込んだ女性の痕跡だと嘘を吐いた。キャロラインはデヴィッドにとって数少ない理解者だったため、切ることができない存在だった。その一方で、コンスエラとも関係を続けた。
デヴィッドとコンスエラの関係は1年以上続いた。コンスエラは何度も家族が参加するパーティーにデヴィッドを誘っていたが、デヴィッドは来てくれなかった。コンスエラは美術学修士号のお祝い卒業パーティーには参加し、家族に会って欲しいと頼んだ。デヴィッドは親戚から守ることを条件に、参加することを承諾する。コンスエラはとても嬉しそうだった。
デヴィッドは花束を用意してパーティー会場に向かおうとするが、年齢差を気にしてどうしてもパーティーに出席することができなかった。コンスエラに電話をかけ、車が故障して行けなくなったと嘘を吐いた。だが、コンスエラはその嘘を見抜いていた。デヴィッドが家に帰ると、コンスエラからの伝言が残っていた。コンスエラは一緒にお祝いをしたかったことや、心から愛していたことを電話に残していた。
ケニーがデヴィッドの元を訪ねてきた。ケニーには愛人がおり、妻のリサや子供達も捨てることができず苦悩していた。デヴィッドと同じ道を辿りたくなかったのだ。デヴィッドはリサに言わないよう助言するが、ケニーは既にリサに打ち明けていた。愛人のことも本気で愛しており、別れることができなかった。ケニーはデヴィッドに父として親身に相談に乗って欲しかったのだが、デヴィッドはケニーの気持ちに寄り添うことができなかった。
映画『エレジー』の結末・ラスト(ネタバレ)
コンスエラからの連絡がなくなり、デヴィッドは憔悴する。デヴィッドは本気でコンスエラのことを愛していた。ジョージはデヴィッドを心配し、世話をした。ジョージは来月ニューヨーク大学で行われる詩の朗読会に参加することが決まっていた。デヴィッドに自分の紹介役を頼んだ。デヴィッドはやる気が出なかったため断るが、友達の頼みだと言われ引き受けることにした。
朗読会でデヴィッドはジョージのことを紹介した。だが、ジョージが立ち上がった瞬間、倒れてしまう。デヴィッドはジョージの自宅に見舞いに行った。だが、ジョージは言葉を話せず、相手のこともきちんと理解できなくなっていた。デヴィッドは変わり果てた友人の姿にショックを受ける。その後、ジョージは亡くなった。
デヴィッドはジョージの死を知ったキャロラインから連絡をもらう。デヴィッドは若い女性と付き合っていたが捨てられたことを打ち明け、キャロラインは老いを感じていることを打ち明けた。長い付き合いで、正直に話し合ったのは初めてのことだった。
デヴィッドは仕事に没頭し、2年をかけてジョージの死を乗り越えた。そして、コンスエラを失ったことも受け入れた。だが、それは表面上のことだった。そんな時、コンスエラからの伝言が、留守番電話に残っていた。デヴィッドはコンスエラが誰かと結婚するのではないかと恐れながら連絡を入れた。
デヴィッドはコンスエラを自宅に呼んだ。コンスエラが告げたのは結婚の報告ではなかった。コンスエラは乳癌を患っており、2週間後に手術することが決まっていた。デヴィッドはコンスエラを思って涙を流した。コンスエラも気丈に振る舞いながら涙を流した。コンスエラは手術をする前に、自分の体を写真に撮って欲しいと頼んだ。デヴィッドはコンスエラの望みを叶えた。
デヴィッドは医師であるケニーに会いに行き、そのツテでコンスエラの病気のことを調べてもらった。すると、2週間後ではなく、執刀日は明日であることが判明する。デヴィッドは手術後コンスエラに会いに行った。コンスエラは乳房を取ったため、デヴィッドが気に入った美しさがなくなり会いに来なくなると思っていた。デヴィッドはそれを否定し、傍にいると告げた。
映画『エレジー』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
デヴィッドの男としての身勝手さに腹が立つ一方で、不器用な人なんだろうなと、ほんの少しだけ同情する気持ちが沸き上がった。彼がどんな家に生まれて、どんな人生を送って来たのか非常に気になる。
物語のラストで、デヴィッドがコンスエラに会いに行った場面に深い愛を感じた。デヴィッドは様々な人を傷つけ身勝手な人生を送ってきた末に、やっと大切な存在に気づけたのかもしれない。美しさと同時に、人間のダメな部分も感じることができる作品。(女性 30代)
『アイアンマン』のマンダリンのイメージが強いベン・キングスレー。ペネロペ・クルスとのラブストーリーはあまり期待していなかったのですが、ものすごく深くて美しいストーリーに感動しました。
女好きでまだまだ現役のおじさん教授が、美しい教え子に本気で恋してしまうお話。年の差を理解しているが故に、愛することに素直になれない教授と自由に恋愛を楽しみ、ありのままの姿を見せる教え子。二人の関係が次第に変わっていく様子をとても丁寧に描いています。
ありがちなストーリーですが、終わり方は秀逸でした。ベン・キングスレー、素晴らしかったです。(女性 30代)
David Kepesh の人生に“愛”と“老い”という二つの重荷が降りかかる様を、これほど内省的に描いた恋愛映画はあまりないと感じました。Kepesh(Ben Kingsley)が学生の Consuela(Penélope Cruz)との関係を持ち始め、自分がいつも軽く関係を結んで終わらせる側だったことに気づいていく過程が胸に刺さります。彼は Caroline と何年も定期的な関係を続けながら Consuela に惹かれ、欺きながらも本気になってしまったこと、それが許されざるものだと知っていながらやめられない自分に苦しむ。
最後、Consuela が乳がんと診断され、手術をしなければならないとき、Kepesh が彼女の胸を写真に収めて「医者に壊される前に」という依頼を受け入れる場面は、彼女への愛も、彼自身の老いと恐れも混ざり合っていて非常に痛い。Kepesh が彼女の手術後、病院でそっと彼女を抱きしめるラストでは、「愛とは見た目ではなく、生きる意味を共有することなんだ」という思いが強く心に残りました。(40代 女性)
知性と欲望、若さと老いの間で揺れ動く男の姿を観るのがこんなに息苦しいとは。教授の Kepesh は長年にわたりさまざまな女と関係を持ちつつも、どこか空虚で、自分が「愛すること」に慣れていないと感じていた。Consuela の存在が彼を変えさせるが、その深みを恐れて、自分から壊してしまう。彼女の家族に会うのを怖がるあたり、Kepesh の内面の弱さが露わになる。
そして最終的に Consuela が手術を必要とする病に罹るエピソードで、彼は他人事ではなくなっていく。外見がどう変わろうと、彼女を愛したという事実と、死に近づく恐怖と、それでもそばにいたいという願い。非常に複雑で、甘くないラブストーリー。観終わったあと、長く胸に残る作品です。(30代 男性)
最初は Kepesh のような「自由人の恋愛傾向」を美化しているのかと思ったけど、この映画はそれを批評する作品だと感じました。彼の生活は知的で華やかに見えるが、裏には孤独と回避がある。Consuela に引き込まれていきながらも、Kepesh は過去のパターン(Caroline との関係、息子との疎遠)を繰り返してしまう。
Consuela が愛を告白したあと、Kepesh がそれを受け入れられないまま距離を置いてしまうのは、年齢差だけでなく、自分自身を守るための壁を築いている証。それが深く傷つける。ラスト、彼女の手術後の病院で寄り添うシーンは、遅すぎた後悔と、それでも愛を選ぶ強さの混ざった哀しみがあり、私には痛く響きました。(20代 女性)
「愛とは何か」を問い続ける映画だと思います。Kepesh の人生が “emancipated manhood” という言葉で語られていたように、彼は自由を愛してきた。しかし、自由だけでは補えない孤独と、老い、性の衰え、そして時間の有限さ。Consuela との恋愛が進むにつれて、Kepesh は自己欺瞞とも向き合うことになる。
また、息子 Kenneth との関係や、友人 George の存在が、Kepesh にとっての鏡のようで、彼がどこで間違ってきたのかを示してくれる役割を果たしている。特に George の死が、Kepesh に自らの死もそう遠くないものとして意識させる。最後の抱擁と「I am here」の一言には、言葉では表せない重みがあった。(50代 男性)
Penélope Cruz の演じる Consuela がただ「若くて美しい学生」ではなく、自分の希望や恐れ、誇りを持っていて、それが物語のもう一つの中核であることがこの映画のすごいところだと思う。Kepesh に惹かれつつも、彼がいつも完全には自分にコミットしないことを感じて、やがて離れる勇気を持つ。彼女の卒業パーティーで David が嘘をついて来なかった時の Consuela の失望の表情と、それがその後の関係に影を落とすところがとても切ない。
そしてまた、病気を打ち明けた後、David に「写真を撮ってほしい」と頼むシーンでは、愛の中での“見られること”“認められること”の願いが如実に表れていて心が締め付けられました。愛の成熟とは何かを考えさせる物語。(30代 女性)
この映画は、美しく内面的な痛みを丁寧に描いた一作だと思います。Kepesh の飽くなき欲望が、最終的には老いと死の恐怖によって制約されるという現実。それでも彼が Consuela を思い続け、自分の過去の過ち(息子を見捨てたこと、Caroline への裏切りなど)を少しずつ振り返る姿には共感できる。
ただ、展開が少し予想がつく部分もあり、“ドラマとしての盛り上がり”が弱いと感じる人もいるかもしれない。とはいえ、ラストの病院ベッドでの抱擁は強く心を震わせる。愛ってこんなにも不完全で、それでも意味を持つものなんだと感じました。(40代 男性)
恋愛映画としては重たいテーマだけど、恋をしたくなる映画でもありました。年齢差カップル、浮気、不倫、親子関係、病気…どれを取っても観る人の立場によって共感ポイントが変わる。私の場合、自分より年上を好きになったことがあるので、Kepesh の葛藤や不安、嫉妬がとてもリアルに感じられた。Consuela が病気を隠していたこと、David がそれを知った後に急に行動を起こすところなど、心がざわつく瞬間が多かったです。(20代 女性)
年を重ねてから観ると、また感想が変わる映画だと思います。若いときは K批判的だったけれど、今は彼の老いと死を恐れる気持ちがよくわかる。自由と快楽の間で人生を選んでしまった人間の苦悩。Consuela の帰還と病気の発覚、Kepesh の後悔と承認欲求、それらが重なって最後の優しい抱擁へと至る。結局、彼は「愛することの不器用さ」を持った人間で、それでも誠実であろうと足掻いたんだと思う。(60代 男性)
映画『エレジー』を見た人におすすめの映画5選
ある愛の風景(原題:Things We Lost in the Fire)
この映画を一言で表すと?
喪失と再生を静かに描く、心に沁みるヒューマンドラマ。
どんな話?
夫を突然亡くした女性が、彼の親友である薬物依存の元ミュージシャンと関わりを深めながら、互いに癒しを見出していく物語。痛みを抱えた人々が、どのように再び希望を見出していくのかが丁寧に描かれます。
ここがおすすめ!
ヒラリー・スワンクとベニチオ・デル・トロの繊細な演技が光る一作。人間の心の傷と、それでも生きていく強さを真摯に描いています。感情に寄り添う演出と、静かながら深いドラマが『エレジー』の余韻に重なる作品です。
君に読む物語(原題:The Notebook)
この映画を一言で表すと?
愛がすべてを超えることを教えてくれる、永遠のラブストーリー。
どんな話?
若き日の激しい恋愛と、歳を重ねてなお消えない愛情。記憶を失った妻に語られる、ある男女の愛の軌跡が描かれます。時間や記憶を超えた、感動的な愛の物語です。
ここがおすすめ!
年齢や記憶を超越する愛の姿が、『エレジー』で描かれた「不完全で強い愛」と共鳴します。情熱的で詩的な演出と美しい映像美が、観る者の心を静かに打ち震わせます。
クローサー(原題:Closer)
この映画を一言で表すと?
愛と欲望の間をさまよう、心の剥き出し劇。
どんな話?
2組の男女が織り成す複雑な関係。出会いと別れ、浮気と裏切りを通して、人間の本質と恋愛のリアルを鋭く描いた作品です。華やかさの裏にある“心の闇”を暴いていきます。
ここがおすすめ!
ジュリア・ロバーツ、ナタリー・ポートマンら豪華キャストが、それぞれのキャラクターの脆さと残酷さを体現。恋愛の“正しさ”とは何かを問いかけるストーリーが、『エレジー』に通じる大人の愛の不完全さを描き出します。
愛についてのキンゼイ・レポート(原題:Kinsey)
この映画を一言で表すと?
性愛を科学しながら、人間の複雑さを照らす知的な人間ドラマ。
どんな話?
実在の性科学者キンゼイの人生を描く伝記映画。彼の研究がいかに世の中の価値観を揺るがし、同時に彼自身の人生にも影響を与えていったのかを丁寧に追っていきます。
ここがおすすめ!
愛と性の境界線、社会の常識と個人の欲望。そのテーマが『エレジー』の哲学的な問いとも重なります。実話ベースながら、感情に寄り添う展開が見どころです。
アバウト・ラブ/関於愛(原題:About Love)
この映画を一言で表すと?
アジアの街角から届く、3つの異なる愛のかたち。
どんな話?
東京・台北・上海を舞台に、3つの世代の男女が織りなす恋愛を描いたオムニバス映画。文化や言葉の壁を超え、繊細な感情のやり取りが胸に響く作品です。
ここがおすすめ!
視線や言葉の余白に漂う感情が、美しくも切ない。『エレジー』のように、静かに心に染み入る恋愛模様を求めている人にぴったり。都会的で洗練された感性が光るアジアの恋愛映画です。
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