映画『昼顔(2017)』の概要:人気ドラマの劇場版。不倫関係に陥り、一度引き離された紗和と北野だったが、ある日二人は再会してしまう。再び二人の愛情は燃え上がるが、二人の前に北野の妻である乃里子が現れる。
映画『昼顔』の作品情報
上映時間:125分
ジャンル:ラブストーリー
監督:西谷弘
キャスト:上戸彩、斎藤工、伊藤歩、平山浩行 etc
映画『昼顔』の登場人物(キャスト)
- 木下紗和(上戸彩)
- 北野との不倫が原因で離婚し、現在は遠く離れた三浜町で暮らしている。飲食店でのアルバイトで生計を立てている。
- 北野裕一郎(斎藤工)
- 紗和と不倫関係にあった。不倫発覚後も妻と婚姻関係は続いている。元々は高校の生物学教師だったが、不倫騒動から退職に至り、現在は大学で勤務している。
- 北野乃里子(伊藤歩)
- 北野裕一郎の妻。大学の生物学准教授。裕一郎の不倫が発覚し、様々な方法で夫の気持ちを取り戻そうとしたが叶わなかった。それでも婚姻関係は解消せず、弁護士を介して裕一郎と紗和とを引き離し、現在は表面上幸せな家庭を再建したかのように見える。
映画『昼顔』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『昼顔』のあらすじ【起】
北野との不倫によりすべてを失った紗和は、知り合いのいない遠く離れた三浜という小さな町で静かに暮らしていた。この町で紗和は海辺にある飲食店でのアルバイトで生計を立てていた。
紗和はある日、蛍に関する講演に北野が講師として訪れることを知る。紗和は理性を押さえきれず、講演会に参加する。紗和はこっそりと参加していたが、前に座っていた子どもが挙手して質問したために、北野に姿を見られてしまう。
講演会の帰り道、紗和はバスの車窓から北野を見かける。紗和は窓を開け北野の名前を叫ぶ。紗和の声に気付いた北野はバスを追いかけるが、バスを見失ってしまった。紗和がバスを降りた時にはもうすでに北野の姿は無かった。
翌日、紗和は北野に会えるかもしれないという希望をもって森に向かう。すると森で蛍の幼虫を探す北野を見つける。二人はついに再会してしまうが、会話をしてはいけないという誓約書を交わしているので、二人は独り言と称して会話をする。
それ以降、二人は森での密会を重ねるようになった。しかし一方で罪悪感にも駆られており、ある日紗和は北野に会うのはこれきりにしようと持ち掛ける。北野もそうしようと同意し、紗和を駅まで送る。しかし、駅には北野の妻が待ち伏せており、二人を問い詰める。激しく問い詰められた紗和はその場から逃げ出し、北野は後を追った。一人残された北野の妻は悔しさと悲しみで涙する。
映画『昼顔』のあらすじ【承】
数か月後、紗和と北野は同棲していた。北野は紗和に妻とは離婚し、紗和と籍を入れると伝えた。一方で、三浜は小さい町だったため二人の不倫の噂はすぐに町中に広がってしまう。そんな中、バイト先のオーナーだけは噂を気にせずに紗和に接してくれる。
オーナーに心を許した紗和は、オーナーに不倫の話は真実であることを告白する。そんなある日、紗和は北野の勤め先の大学から送られてきたFAXで、北野が大学に行っていないことを知る。不審に思った紗和が北野を尾行すると、北野は妻の暮らすマンションに通っていた。紗和は嫉妬に駆られ、北野が信じられないと涙する。
翌日、紗和が出勤するとバイト先のスタッフは皆よそよそしい態度をとる。どうやら紗和の不倫のことを知って態度を変えたようである。そんな中、オーナーとホームページ掲載用の写真撮影に出かけた紗和は、オーナーから不倫の噂を広めたのは自分だと告白される。オーナーはかつて妻に不倫された過去があり、不倫する者の身勝手さに憤りを感じていたのである。
映画『昼顔』のあらすじ【転】
その日の夜、紗和はいつまでたっても籍を入れてくれない北野と喧嘩する。翌日、北野の妻に会いに行った紗和は、北野が妻の元へ通っていた理由を知る。北野の妻は怪我により車いすでの生活を送っており、北野はその介護のため妻の元へ通っていたのである。北野の妻は、北野と紗和の入籍を認める。
北野も紗和との喧嘩を経たことで、妻と離婚し紗和と入籍する覚悟を決め、結婚指輪を購入する。一方で紗和は結婚を機にバイト先を辞めることにし、バイト先に挨拶へ行く。初めはよそよそしい態度のバイト仲間だったが、町で行われる祭りを通して打ち解けていく。
その頃、北野は離婚手続きのため妻と会っていた。離婚届の記入が終わり、北野の妻は三浜町まで北野を送り届けることにする。しかし、途中から北野と離婚することへの悲しみや未練から、車のスピードは速くなり、運転が荒くなる。そしていよいよ車はガードレールを突き破り、谷底へ転落する。
映画『昼顔』の結末・ラスト(ネタバレ)
紗和が警察の連絡で死体安置所に駆け付けると、そこには息を引き取った北野の姿があった。北野は即死で、妻は重傷を負ったものの一命を取り留めたとのことだった。紗和は北野の遺品の中から紗和との結婚指輪を購入した際のレシートを見つけ泣き崩れる。紗和は遺品の中から北野が購入した結婚指輪を探すが見当たらない。
1か月後、紗和は北野の妻に会いに行き、北野が購入した結婚指輪の在り処を尋ねるが、北野の妻は知らないと言う。さらには北野が死んだのは紗和のせいなので一生恨み続けるとも言われてしまう。絶望した紗和は命を断とうとするが、命を投げ出そうとしたその瞬間に蛍が紗和の左手薬指にとまり、指輪のように光って飛び去って行ったのを見て、紗和は心変わりする。
その後、紗和の妊娠がわかる。北野との間の子どもである。それからさらに数年後、三浜の森で子どもたちが遊んでいた。その中にいた(紗和の子どもと思われる)少年が壊れた百葉箱の中を探ると、北野が紗和のために買った結婚指輪が出てくる。少年が隣にいた少女にその指輪をはめると、指輪は美しく輝いた。
映画『昼顔』の感想・評価・レビュー
本作は、平凡な妻が不倫に溺れれていく末を描いたドラマの続編を映画化したもの。
紗和と北野の恋は二人にとっては純愛で、せめて幸せになってほしかったが、当事者の周辺の人間からの恨みは相当なものだ。
幸せまであと少し、というところで起きた哀しい現実に胸が痛いが、天罰を受けて当然の結果のように思えるのは冷酷だろうか。
わかりきったことだが、不倫は誰も幸せにしない。
だから今後、それが自分の人生に介入しないよう心がけたい。(女性 20代)
「妻たちの不倫」をテーマとした連続ドラマの続編。不倫によって人生が狂わされた大人たちと、その果てを描いている。
不倫を悪と思わず恋を楽しんでいる二人には苛立ちを感じるが、その辺りのモヤモヤは全て妻役の伊藤歩による狂気的な演技と毒のあるセリフが解消してくれる。
結局、不倫は誰も幸せにしない。紗和と裕一郎がようやく結ばれそうになるが、最後は裕一郎の死をもってその関係が終わるというスリリングな内容である。不倫によってもたらされる、恨みや憎しみの感情が恐ろしく、人間の脆さや弱さを感じる作品である。(女性 30代)
昼顔はドラマの時から言えることだが、恋愛の良い面だけでなく悪い面を切り取るのがうまい。全体的な構成や演出が素晴らしく、すんなりと感情移入できる作品である。物語もドラマよりスケールアップしていて、一つの映画として楽しむことができた。
特に妻役の伊藤歩が素晴らしい。もはやホラー作品とも言えるくらいには怖かった。完全なる被害者なのだが、ここまでされると怖い以外の感情は出てこない。そう思うくらいに伊藤歩は怪演だったと言えるだろう。(男性 20代)
話もせず、連絡先も教え合わず、ただ週に一度蛍を探す二人にこの上ないロマンを感じてしまいました。北野先生の真面目そうな人柄にも大いに惹かれます。しかしながら、不倫は悪だと強く戒める展開に感じます。不倫をしている当事者二人も、常に罪悪感に苛まれているようでした。たしかに、紗和の「自分が裏切ったことがあると相手を信じられない」という言葉は的を得ています。しかし、ここまでバッドエンドにしなければならなかったのかと、ふと疑問に思いました。(女性 30代)
「不倫」という許されない恋に落ちてしまった2人ですが、お互い遊びではなく、深い愛情で結ばれていた佐和と北野先生には幸せになって欲しかった…。不倫はいけないと分かっていても2人を応援していましが、「不倫」の罰を受ける形になってしまった悲しい結末で幕を閉じ、胸が苦しくなりました。不倫は誰も幸せにはなれないという現実を突きつけられました。北野の妻・乃里子の執念の深さと、恐ろしいほどのイカれぶりが凄まじかったです。(女性 30代)
大人気ドラマ『昼顔』の続編映画。斎藤工がこれほどまでに売れたのは『昼顔』からではないだろうか。何よりこの作品はとにかく上戸彩が可愛い。童顔にもかかわらず色気を兼ね備えており、たまらなく可愛い。しかしやはり不倫を描いた作品は難しいように思う。このご時世、不倫を正当化するわけにはいかないだろう。ハッピーエンドにしてしまうことはあってはならないのだと思う。しかし気持ちは妻ではなくもう完全に愛人に行っている…そんなどうしようもなさがあの結末には詰まっているように感じた。どこかつい憧れてしまう、色気溢れる大人のラブストーリー。(女性 20代)
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