映画『寄生獣』の概要:伝説の漫画、「寄生獣」がまさかの実写映画化。全2部作の予定。人気キャラクターであるミギーを務める阿部サダヲは声だけでなくモーションキャプチャーにも挑戦している。
映画『寄生獣』の作品情報
上映時間:109分
ジャンル:SF、アクション、ホラー
監督:山崎貴
キャスト:染谷将太、深津絵里、阿部サダヲ、橋本愛 etc
映画『寄生獣』の登場人物(キャスト)
- 泉新一(染谷将太)
- 母親と2人で暮らす平凡な男子高校生。ある日パラサイトに身体を乗っ取られそうになるが、すんでのところで助かる。右手に寄生したパラサイトにミギーと名付け、共に生活を送る。
- 田宮良子(深津絵里)
- 新一の高校に赴任してきた影のある女教師。実はパラサイトに寄生された人物の1人で、人間との共存を目指している。
- 村野里美(橋本愛)
- 新一の幼馴染。負けん気の強い性格。美術部に所属している。
- 島田秀雄(東出昌大)
- 常に笑顔を絶やさない男子高校生。実はパラサイトに寄生されており、ある日新一の高校に転入してくる。
- ミギー(阿部サダヲ)
- ある日新一の右腕に寄生する事となったパラサイト。自我を持ち、身体を変化させ新一の右腕を自由気ままに使っている。
映画『寄生獣』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『寄生獣』のあらすじ【起】
誰も気づかないその頃、密かに地球に危機が迫っていました。広い海のどこから現れたのか、”パラサイト”というイソギンチャクのようなミミズのような形をした寄生生物が次々と地上に上陸していたのです。パラサイトは名前の通り、耳から人間の脳へと入り込み人間を操り共食いを始めるという恐ろしい寄生生物です。
そして、パラサイトの魔の手は新一にも伸びていました。新一は早くに父を亡くし、現在母親と2人で暮らしている男子高校生です。しかし幸いというべきか、パラサイトが新一に寄生しようとした時新一がイヤホンで音楽を聴いていた為耳から侵入する事が出来なかったのです。パラサイトは仕方なく新一の右腕に寄生する事となりました。
翌日から新一の右腕は新一の意思とは関係なく好き勝手に動くようになりました。そして何と、腕が伸びるなどありえない現象も起こるようになったのです。家に帰った新一は、何と自分の右腕に目のようなものが出来ていることに気がつきます。そしてその右腕は片言の日本語を話し始めました。
映画『寄生獣』のあらすじ【承】
次第に目だけだったパラサイトは、生物のような形を型取り始めました。そしてパラサイトの吸収能力は凄まじく、新一のパソコンから知識を吸収し始めたパラサイトは一夜にして日本語をマスター、その他あらゆる情報を身につけたのでした。新一は会話ができるようになった自らの右腕のパラサイトを「ミギー」と命名します。
そして、同時期に地上に来たミギーの仲間たちの仕業と思われる連続カニバリズム事件が次々と発生します。その事件の担当となったのが平間刑事でした。一方で、新一の高校に新たな教師が赴任して来ました。仲間が接近すれば相手がパラサイトかどうか判断できるミギーは、その教師、田宮良子がパラサイトであることを指摘します。しかし田宮に寄生したパラサイトは人間と共存して生活していくことを考えており、そういった人物が自分の他にもいることをほのめかしました。田宮は新一に警察官に寄生したAというパラサイトと、男子高校生、島田秀雄に寄生したパラサイトを紹介します。
映画『寄生獣』のあらすじ【転】
しかし、協力的に見えた田宮とは反面、Aは非常に凶暴な性格をしていました。Aはパラサイトとしては特異なミギーと新一を狙い襲撃をかけますが、新一は何とかAを鉄パイプで返り討ちにします。寄生している身体が限界を迎えたAは、新たな寄生先となる人間を探していました。そして何と、たまたまそのAの側を新一の母親、信子が通りかかってしまったのです。
Aは信子を殺し、寄生して改めて新一を襲います。自分の母親が殺された事を受け入れられない新一は、そのままAに心臓を貫かれてしまいました。命を落とした新一でしたが、ミギーが自らの触手を伸ばし新一の心臓を修復しました。生き返った新一は、ミギーの細胞が組み込まれた事により超人的な身体能力を身につけていました。
そして新一は再びAと相対します。しかしやはり新一に信子を手にかけることはできません。葛藤する新一を前に、なんと信子が一瞬Aから肉体を取り戻します。そして信子の訴えもあり、新一はAに復讐を果たすのでした。信子を失いながらも平穏を取り戻したと思われた新一でしたが、今度は新一の通う高校に島田秀雄が転校してきたのです。
映画『寄生獣』の結末・ラスト(ネタバレ)
島田は部活動にも入り、他の高校生と混じりながら平穏な高校生活を送っていました。しかしある日、他の生徒が島田の抜けた髪の毛が動いている事に気がついてしまいます。そして島田が最近世間を震撼させているパラサイトとである事が露見してしまうのでした。
島田と同じく美術部に所属する新一の幼馴染の里美は、島田に油を溶かす溶剤を投げつけました。その溶剤は島田の顔面にあたり、島田は悶え苦しみながら怒りのままにその場にいた生徒を次々と殺していきます。騒ぎを聞きつけその場に駆け込んで来た新一は里美のピンチを間一髪で救います。新一は爆発物で島田を殺し、爆発に巻き込まれないよう3Fから飛び降りるのでした。
そして物語は後編へ向けて進み始めます。田宮は人間との間の子供を妊娠していました。また、政界進出を目論むパラサイト、広川は国を動かしパラサイトの住みやすい世界を作ろうとしていました。そしてパラサイト達が所属するアジトを作り、今後パラサイトがどのように身を振っていくか考えるのでした。一方新一は、自身の大切な人々を傷つけたパラサイトへの復讐を誓うのでした。
映画『寄生獣』の感想・評価・レビュー
漫画で、先に寄生獣を読んでいたので、映画化されたと聴き、楽しみで見ました。高い映像技術で、右手に寄生したミギーも本物の様に動いていて、感動しました。現代にも、寄生虫が存在し、虫や動物に寄生している事実を踏まえれば、近い未来寄生獣が現れて人間を・・・という事になってもおかしくはないな、と少しぞっとしながらも、主人公の新一を取り巻く環境がどんどん変化していったり、パラサイトの中にも人間との共存という平和的な手段を取ろうとするものが居たり、主人公の母親が亡くなってしまうという不幸な部分が見どころであり、ただのハッピーエンドで終わらせないなと、ワクワクしながら見せて頂きました。映画を見る人を”次はどんな展開が!?”と物語に引き込む話の流れがありました。パラサイトにも、平和的な種とそうでない種が居るように、人間の中にも平和的、非平和的な人種がいるなとも感じながら、楽しんで見ました。(女性 20代)
配役が全てピッタリはまっている印象で、かつミギーを含め、寄生生物達が良い意味でシュルシュル動くので、漫画独特の不気味さと殺伐さがしっかりと表現されている。GANZなどの宇宙生物が地球を侵略するという設定の漫画を映画化する場合は、いかに残虐的なシーンを動きで見せるかで見応えがまったく異なってくるが、そういう点での心配は早い段階で解消されたので良かった。ストーリーに入り込む為にも、完結編までまとめて見てしまうのがオススメ。(男性 30代)
オリンピックの開閉会式の演出メンバーでもある山崎貴監督がメガホンをとった、大人気マンガの実写化。
主人公の泉新一が謎の生命体・ミギーに寄生され、右腕が別の生き物となりつつも、ミギーと共存しながら、敵と戦うというストーリーだ。
注目は山崎作品の真骨頂であるCG。対戦シーンも滑らかな動きでドキドキしながら観られる。さらに、新一とミギーとの友情が芽生え、協力しながら戦う姿は、「異種の共存」という深いテーマを表現できている。(男性 40代)
自分は寄生獣が実写化されるのは不可能であると思い込んでいた。しかしこの映画は胸を張って実写化されたと言っていいと思う。とても高度に緻密に漫画の世界が再現されていた。
主人公を演じた染谷将太は適役だった。決してイケメン俳優ではないが確かな演技力と染谷本人の雰囲気が、主人公の新一に合っていた。
ミギーを演じた阿部サダヲも素晴らしかった。人間ではない役だったが、モーチョンキャプチャーによって違和感のない動きが作り出されていたし、阿部サダヲの声はミギーの風貌にとても合っていた。(男性 20代)
「パラサイト」と呼ばれる寄生獣の動きが滑らかで、正直に言うと気持ちが悪かった。逆に言うとそこまで丁寧に作り込まれているということなので、映画としての完成度は高いと思う。ミギーは阿部サダヲさんの声で良かったなと思った。明るい阿部さんの声があったから、どこか可愛らしく見えた。深津絵里さんの淡々とした演技が怖くて、さすがだなと思った。田宮良子の妊娠が発覚し、これから物語がどのように動き出すのか気になった。(女性 30代)
原作を知らなかったので、人間にパラサイトが「寄生」すると言うストーリーはなんとも気持ち悪いイメージでしたが、想像以上にミギーが可愛くて思わず応援してしまいました。
こういった作品のキーポイントは現実にはありえない設定をどう描くかだと思います。今作はVFXを使用し、かなり大掛かりな撮影方法をとっているそうですが、それが大正解だったのではないでしょうか。リアルでは無いけど違和感は感じない絶妙なバランスでした。
個人的には東出昌大が演じる秀雄の役どころがとても好きでした。「サイコパス」な演技が本当に上手いなと感じます。(女性 30代)
ヒトに寄生するパラサイトが右腕に住み着いてしまった主人公が、パラサイトたちと闘うストーリー。
阿部サダヲさん演じるパラサイトのミギーが、人間じゃないのにとてもハマっていて、かわいさもあり不気味さもあるという役柄を上手く表現していました。
ストーリーもおもしろく、キャストは全員ハマり役だと感じましたが、特に東出昌大さんが、今まで観た中で一番本人の雰囲気や個性が活かされているように思いました。見た目は爽やかで良い人なのに、何を考えているのか分からないような、優しい人にも冷たい人にも見えるような魅力がよく出ていました。
後編も楽しみになる作品でした。(女性 20代)
序盤からかなりグロテスクでしたが、ミギーのキャラクターに惹かれて最後まで楽しめました。阿部サダヲの軽快な声が『寄生獣』を観やすくしてくれています。新一とミギーが共生している様子が興味深く、殊に二人の会話を聞くのが楽しかったです。人間は生き物を殺して食べ、自然破壊をしてきました。これは、単に人間が寄生され騒ぐだけの物語ではありません。哲学的な意味合いを多分に含む、深い物語です。深津絵里や東出昌大の、人間らしからぬ冷徹な表情が見事で何度も背筋が凍りました。(女性 30代)
関連作品
次作 寄生獣 完結編
みんなの感想・レビュー
VFXと呼ばれる特殊映像効果は映画に欠かせない存在となりつつある。ハリウッドの超ビッグバジェット作品ではもちろんのこと、低予算で作られた邦画でもVFXは効果的に使われることが多くなっている。
VFXの使われ方は主に2通りに大別される。ひとつは劇中の世界を構築するためのツールとして、もうひとつは実写映像をより監督の意向に沿わせるようにするための補助的役割である。前者は言わずもがな、非常に高度な技術が要求される。残念ながら、日本映画のVFX技術はこの水準には達していない。もちろん、山崎貴監督であろうとも。
本作では比較的、補助的な役割としてVFXが利用されているため、これまでの山崎作品よりもずっと違和感のないものに仕上がっている。
山崎作品は常に興行収入を第一に考えているということで有名である。こういってしまえば、商業主義が鼻についてしまうかもしれないが、興行的な成功無くしてはVFXを用いたスケール感のある日本映画というジャンルは成立し得ないのも事実である。そのため、幅広い観客に見てもらうためにR指定は避けなければならないと監督は考えているようである。しかし、PG-12制限の中ではかなり強烈なゴア描写に挑戦しているのは評価すべきポイントである。胴体切断、いわゆる切り株描写が存在していることからも製作陣のやる気が伺える。
本作では寄生生物に侵された青年を東出昌大が演じている。モデル出身の役者ということもあり、お世辞にも彼は演技派ではない。しかし、「桐島、部活やめるってよ」では、それを逆手にとって寄る辺ない雰囲気を構築させることに成功していた。本作でも同様に、寄生されたことによって浮世離れした存在としての青年を演出することに成功している。
VFXを活用した映像表現という意味では日本映画ではパイオニアといえる山崎監督であるが、時としてVFXが手段でなく目的化することがある監督でもある。偉大な先駆者として歴史に名を残すのか、トホホ映画監督の代名詞となってしまうのか。
しかしながら、常にある一定の話題性を持った映画を制作し、ある程度の興行収入を挙げるという意味では、重宝されるのもよくわかる。しかしながら、何でもセリフで説明してしまう脚本構成、引きの画でカットを割らずにだらだら見せるアクション演出などという点で、お世辞にも上手いタイプの監督と言えないという評価もある。監督、脚本を他の人物に任せ、VFXに専念することが山崎監督にとっても、日本映画の未来にとっても最良の選択であるように思ってしまう。