映画『オーバードライヴ(2004)』の概要:2004年に製作された筒井武文監督、柏原収史主演の三味線をテーマにしたコメディ映画。クビを宣言されたギタリストが、青森の下北半島で三味線を習ううちに、音楽の奥深さに目覚めていく様子を描いた。
映画『オーバードライヴ』 作品情報
- 製作年:2004年
- 上映時間:127分
- ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ
- 監督:筒井武文
- キャスト:柏原収史、鈴木蘭々、杏さゆり、賀集利樹 etc
映画『オーバードライヴ』 評価
- 点数:60点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★☆☆☆
- 設定:★★★☆☆
映画『オーバードライヴ』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『オーバードライヴ(2004)』のあらすじを紹介します。
大人気バンド、ゼロデシベルのギタリスト弦はボーカルの美潮との恋愛関係をこじらせ、記者会見の場で「ギターは必要ない」と言われてしまう。
下北沢までタクシーで向かうはずが、気が付けば青森の下北半島、恐山の麓まで連れてこられてしまった。
30万円近いタクシー代と、一目惚れしてしまった五十嵐老人の孫の美少女あきらとの交際を条件に出された弦は、津軽三味線の修行を受け始める。
五十嵐老人に連れて行かれた”大和会”で雑用係りとしてこき使われるが、使えないために追い出されてしまう。
だが、三味線の大会での予選通過を条件にあきらとデートできると言われた弦は、より一層修行に精を出す。
大和会に一泡吹かせた弦だったが、五十嵐老人のかつての弟子の倉内が大和会に買収され、悪魔に魂を売った演奏でピンチに陥る。
五十嵐老人に救われた弦だったが、老人は寝込んでしまい、秘密兵器のギターと同じ6本弦の三味線とあきらの指導で上達していく。
そして大会が始まる。
会場にはゼロデシベルのジンと美潮も駆けつけていた。
2人は新曲に弦のギターを入れる事を検討していたのだった。
弦は決勝まで勝ち進み、悪魔に魂を売った倉内との対決が始まった。
しかし、弦に最大のピンチが訪れる。
そのピンチを救ったのは意外な人物だった。
映画『オーバードライヴ』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『オーバードライヴ(2004)』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
詰めが甘いストーリーと演出
主演の柏原収史自身がバンド活動も行っており、ギター演奏の部分はしっかり作られている。
だが、それに比べて三味線の演奏部分が雑にカットされているなど、三味線を大きなテーマにしている割には根本的な設定やストーリー展開に詰めの甘さがある。
天使と悪魔が出てきても同じことしか言わず、結局弦が突っ込むという発想は面白いが、途中で謎の女性のラップによる解説は必要ないだろう。
その部分が多く使われているために、作品自体が長くなっているし、メリハリが全く無い作品となっている。
作中の”優勝したらキス”が魚のキスを表しているという事や、下北沢を下北と略したことから青森県の下北半島まで連れてこられるなど、言葉遊びのギャグはよくできている。
大和会でこき使われる弦の様子を、無音の白黒映像と文字だけで表現している場面は、スッキリとした演出になっていて、映像の作りもその部分は見やすいものになっている。
三味線をテーマにした謎
ギターと三味線の違いは弦の本数が6本と3本という違いだけだと豪語するなど、柏原収史演じる弦の天狗な様子は見ていてツッコミ所が多い。
突然登場してくる謎の人物が多すぎて、収集が付かなくなっている場面もある。
特に五十嵐老人から三味線を譲る話をされて断る男性が、後に大会の審査委員として登場するつながりが全く描かれていない。
悪魔に魂を売った倉内を、五十嵐老人とあきらから渡された三味線で打ち負かす場面は大団円を思わせるが、その後のバンドのシーンで三味線を生かせていない様子は、三味線じゃなくても良かったのでは?と考えさせられる。
その倉内に関する話にもほとんど触れられていないので、うすぼんやりとした映画になってしまっている。
最近全く見ることの無くなった柏原収史。一時期はドラマにも数多く出演していたので少し残念に感じます。そんな彼がギタリストを演じた今作。実際に役者業の他にバンド活動も行っていたのでギターの演奏は自信があったのかもしれませんが、それだけではこの作品は全く成り立ちません。どちらかと言えば、この作品のメインは三味線です。その三味線の演奏や、三味線に対する向き合い方が中途半端で見る人によってはかなり不快に感じる人も多いでしょう。
あまり深く考えすぎずに見られる人にはおすすめです。(女性 30代)
映画『オーバードライヴ』 まとめ
主演の柏原収史が、役者と同時にバンド活動を行っていることから、ギター演奏部分はリアリティがあって演技ではなく自分で弾いているという感覚が残る作品です。
けれど、三味線のシーンのごまかし方が雑だったり、ストーリー展開に沢山の穴が見つかる映画でもあります。
使われているギャグやネタは面白いのですが、時間が長いわりに中身は薄いです。
三味線をテーマにした割には、その練習部分がほとんど描かれておらず、ごまかされた印象を受けます。
弦が下心で弟子入りして、妄想の世界に没頭するというシーンや、ジンとの話の通じない部分はとても面白いのですが、何か一味足りないと感じる映画です。
世界的な某有名ギタリストが三味線を習っていた、という設定や”大和会”を”犬和会”にするイタズラは、好きな人にとってはツボに入る笑いでしょう。
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