映画『ケンとカズ』の概要:ケンとカズは自動車修理工場で働きながら、覚せい剤の売人の仕事も行っていた。ケンは恋人が妊娠したため、犯罪から足を洗うことを考えていた。しかし、カズはケンが抜けることを許さなかった。
映画『ケンとカズ』の作品情報
上映時間:96分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:小路紘史
キャスト:カトウシンスケ、毎熊克哉、飯島珠奈、藤原季節 etc
映画『ケンとカズ』の登場人物(キャスト)
- ケン(カトウシンスケ)
- 自動車修理工場で働いている。覚せい剤の売人として犯罪にも手を染めている。恋人の早紀と共に暮らしている。早紀は現在妊娠中で、犯罪から手を引こうと考えている。
- カズ(毎熊克哉)
- ケンの友人。ケンと同じ自動車修理工場で働き、覚せい剤の売人も行っている。喧嘩っ早い性格。乱暴者。幼い頃母親に虐待されていた。その母親が痴呆を患い、施設に入れなければいけなくなる。
- テル(藤原季節)
- 自動車修理工場で働いている。ケンとカズの後輩。ちょっとお馬鹿なところもある。素直な性格。
- 藤堂(高野春樹)
- ヤクザの組長。ケンとカズの学校の先輩だった。ケン達に覚せい剤の売人の仕事を任せている。普段はニコニコと優しい一面を見せているが、キレたら怖い。
映画『ケンとカズ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ケンとカズ』のあらすじ【起】
ケンとカズが働いている自動車修理工場は、裏で覚せい剤の売買も行っていた。ケン達は自分達の縄張りを荒らしている敵対グループの男達を見かけ、後輩のテルと共に懲らしめた。カズはテルに武器を持たせて、男(国広)を殴らせようとした。ケンはさすがにやり過ぎだと思い、カズを止めた。カズ達は国広達の免許証を見て、逃げられないよう居場所を確認した。
カズはケンよりも給料が安いことを知り、レンチを使って工場長の木下を殴ろうとした。テルはカズを止めようとして、レンチが顔に当たってしまう。それを見たカズは暴れるのを止めた。木下は工場に来ないから給料が低いのだとカズに説明した。カズが出て行った後、テルは歯が折れていることに気づく。
覚せい剤の売買の最中、カズが客と揉めてしまう。ケンやテルが止めるのも聞かず、カズは客の男をボコボコに殴った。ケンはそんなカズに不安を覚える。実は、恋人の早紀が妊娠しており、ケンは父親になろうとしていた。
カズは元締めの藤堂に内緒で、安い覚せい剤を販売しないかとケンに持ちかけた。それが危険なことだと分かっていたため、ケンは怒って止めた。すると、聞いてみただけだと言われる。しかし、カズが電話で誰かと揉めていたことをテルに教えられ、心配になる。ケンがカズの実家に行くと、死んだと聞かされていた母親が部屋の中にいた。カズに説明を求めるが、怒鳴られて家を追い出されてしまう。
映画『ケンとカズ』のあらすじ【承】
カズは幼い頃母親に虐待されていたことをケンに話した。現在は痴呆を患っており、施設に入れる必要があった。だが、カズにはそんなお金はなかった。カズは母親を殺して一緒に埋めようとケンに提案した。ケンは何も答えなかった。
ケンが何者かに襲われ、免許証を奪われてしまう。早紀には工場で怪我をしたと嘘を吐いた。ケンとカズは国広の仕業だと思い会いに行った。国広は自分の関与を否定し、ケン達を襲う計画を立てていた者達がいたことを話した。カズはナイフを取り出すと、リーダーの安倍に会わせるよう脅した。
カズ達は安倍に会いに行った。その時、カズが手を組むと言い出した。カズは最初から手を組むつもりで安倍に会いに行ったのだ。ケンは早紀とお腹の子のために犯罪から足を洗おうとしていたため、反対した。しかし、カズは自分の都合で抜けることを許さず、ケンも仲間に引き入れた。
ケンは不安を感じながらも、カズと敵対グループが扱う覚せい剤を売買することになった。自動車修理工場で働くことも覚せい剤を販売することも、ケンがカズを誘って始めたことだった。カズは職を与えてくれたケンに感謝した。ケンは喜ぶことはできず、複雑な思いを抱いた。
映画『ケンとカズ』のあらすじ【転】
ケン達は藤堂から呼び出しを受ける。裏切ったのがバレたのかとドキドキしていると、ケンが襲撃された件の話になった。藤堂はケン達を連れて、犯人を捜すことにした。藤堂は国広が関与していると思い、皆で車に乗って見張りに行った。カズは携帯でこっそり国広に危機を知らせた。国広が車を見た後逃げたため、東堂の部下の田上はカズが裏切っているのではないかと怪しんだ。
カズはテルに田上を見張らせた。もし、裏切っているのがバレているのなら殺すつもりだった。ケンはそのことを知り、愕然とした。テルにカズの命令を聞かないよう忠告した。一方、早紀は大金が入った預金通帳を見つけてしまう。ケンが悪事から足を洗っていないことを知り、ショックを受ける。家に帰ったケンは、早紀に責められ思わず頬を叩いてしまう。
ケンは早紀からの留守番電話のメッセージを再生した。早紀は泣きながらケンに謝り、別れを伝えた。ケンが悪い人間ではないと知っていたが、子供の父親が犯罪者なのはどうしても耐えられなかったのだ。ケンの脳裏には、早紀と赤ちゃんの姿があった。
映画『ケンとカズ』の結末・ラスト(ネタバレ)
ケンは覚せい剤の売買から手を引く覚悟を決め、カズに伝えた。カズは受け入れられず、辞めるのなら早紀と共に殺すと脅した。ケンは殺すと言うだけで母親も殺せていないと反論した。カズはケンを殴り飛ばした。ケンは父親になれるわけがないと言われて激高し、カズを殴り倒した。ケンはカズに背を向け、その場を立ち去った。
カズは母親の首を絞めるが、殺すことはできなかった。一方、ケンは早紀に電話をかけ、一緒に町を出ようと伝えた。その後、カズは国広に会い、手を組むのは止めると伝えた。だが、そんなに簡単な話ではなかった。カズはテルと共に何者かに捕まってしまう。
藤堂に裏切っていることがバレていた。ケンは藤堂に、カズとテルが捕まっている場所まで連れて行かれる。藤堂はカズを殺すよう迫るが、ケンにはできなかった。すると、今度はテルにカズを殺すよう迫った。テルはカズをナイフで刺すが、殺すまで刺すことはできなかった。藤堂はテルを刺殺した。
藤堂はケンにカズを殺すよう迫った。その時、カズの携帯の電話が鳴った。電話の相手は母親だった。カズは虐待をしていたことを責めた。藤堂はいつまでも動かないケンに焦れて、無理矢理やらせようとした。ケンは抵抗し、東堂の首を切ってしまう。ケンは田上も刺してカズと逃げた。しかし、途中で倒れてしまう。ケンは刺されており、そのまま息を引き取った。ケンの脳裏には早紀と赤ちゃんの姿があった。
カズは早紀に会って謝罪した。早紀はカズを叩き、涙を流した。カズが車に乗り込むと、いつものように助手席にケンがいるような気がした。だが、いないことを実感し、カズは顔を歪ませて悲しんだ。
映画『ケンとカズ』の感想・評価・レビュー
物語の最初ではカズがどうしようもない乱暴者のダメ男で、ケンが一緒にいる意味が理解できなかった。だが物語の最後で、ケンを失ったことを悲しむカズを見て、確かに友情はあったのだと感じられた。ケンとカズは犯罪に手を染め、最低な世界で生きている。しかも、自分を虐待していた母親を施設に入れなければならなかったり、子供のためにお金を稼がなくてはいけなかったりと、生活に余裕はない。どこにでもいそうな青年達が主人公のため、人生の悲惨さがより悲しく感じられた。(MIHOシネマ編集部)
ケンとカズが自分のためだけに生きられたら、どんなに自由でどんなに楽だっただろうと考えてしまいました。子供の頃に虐待されていた母親を施設に入れるため、妻と子供のためなどお金を稼がなければいけない理由、誰かのために生きなければいけない理由が物凄くリアルでした。
その理由のために自分の生き方を変えようとするケンとそれを望まないカズ、いつも一緒にいるからこそ離れられなかった2人の結末が本当に悲しかったです。(女性 30代)
邦画だからこその良さに溢れる一本。そこにある人間関係自体は、異国を舞台にしても成立するかもしれない。しかし日本で映画を観る者として、舞台が日本のどこにでもある郊外の街であることの意味は大きい。自分自身が登場人物達のような暴力の世界との縁がなくても、この映画の登場人物達の強烈な生身の感触はリアルに伝わる。荒削りだが、その感情むき出しの登場人物達に心がヒリヒリする。暇つぶしに流し観するタイプの映画ではない。生身の感情を受け止める覚悟を持って観たい一本。(男性 40代)
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