映画『ジュリエッタ』の概要:ジュリエッタは恋人のロレンソとポルトガルへ引っ越そうとしていた。そんなある日、娘の友人と街でばったり会う。そして、アンティアと会ったことを教えられる。ジュリエッタは街に留まることにした。実は、娘は12年前に消息不明になっていた。
映画『ジュリエッタ』の作品情報
上映時間:99分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ペドロ・アルモドバル
キャスト:エマ・スアレス、アドリアーナ・ウガルテ、ダニエル・グラオ、インマ・クエスタ etc
映画『ジュリエッタ』の登場人物(キャスト)
- ジュリエッタ(50代:エマ・スアレス / 若かりし頃:アドリアーナ・ウガルテ)
- 若い頃は古典の臨時教員として働いていた。夫が亡くなった後は鬱になった。その後、校正の仕事を家で行うようになる。
- ショアン(ダニエル・グラオ)
- ジュリエッタの夫。漁師。嵐の中漁に出て亡くなってしまう。家族のことを深く愛していた。結婚しているが、妻のアナはこん睡状態で5年間意識がない。
- アバ(インマ・クエスタ)
- ショアンの古い友人。陶芸や彫刻を制作している。
- ロレンソ(ダリオ・グランディネッティ)
- アバの友人。アバの葬儀でジュリエッタと出会い、交際に発展する。ジュリエッタの過去は知らない。
- アンティア(思春期:プリシラ・デルガド / 18歳:ブランカ・パレス)
- ジュリエッタとショアンの娘。父のことが大好きで、将来漁師になるのが夢。18歳のときに突然行方不明になる。
- マリアン(ロッシ・デ・パルマ)
- ショアンの元で働いている家政婦。アナとは知り合いのため、ジュリエッタのことをよく思っていない。
映画『ジュリエッタ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ジュリエッタ』のあらすじ【起】
マドリードに暮らしているジュリエッタは、恋人のロレンソと暮らすためにポルトガルへ引っ越そうとしていた。ある日、ジュリエッタは娘のアンティアの親友だったベアと街でばったり会う。その時、アンティアとコモ湖で会ったと教えられる。アンティアには息子が2人と娘が1人いた。彼女はその買い出しのために街に出てきたところだった。
ジュリエッタは引っ越しを取り止め、そのことをロレンソに伝えた。ロレンソは突然のことに困惑し理由を尋ねるが、ジュリエッタは話そうとはしなかった。その後、ジュリエッタは昔暮らしていたアパートを訪れ、部屋を借りた。そして、アンティアへ宛てた手紙を日記に書き綴った。
ジュリエッタは日記で、アンティアの父のショアンのことを書いた。25歳のとき、ジュリエッタは1人で列車に乗っていた。すると、男性客が入ってきて話し相手になって欲しいと頼まれる。ジュリエッタは拒み、席を移動した。そこで、ショアンと出会う。ショアンは既婚者で、妻のアナは5年間こん睡状態だった。ジュリエッタは古典の臨時教員として働き、ショアンは漁師として働いていることを話した。
列車が急停車し、ジュリエッタに話しかけてきた男性客がいなくなっていた。胸騒ぎを覚えたジュリエッタは男性客の鞄を開けた。すると、中に何も入っていなかった。ジュリエッタは外へ飛び出し、担架で遺体が運ばれているところを見てしまう。ジュリエッタは酷くショックを受けた。ショアンはジュリエッタの話を聞き慰めた。そして、2人は夜を共にした。
映画『ジュリエッタ』のあらすじ【承】
休んでいた先生が復帰することになったため、ジュリエッタは仕事を辞めることになった。その日、校長先生から手紙が届いていると教えられる。送り主はショアンだった。手紙にはジュリエッタへの思いとアナの容態が悪くなったことなどが書かれていた。
ジュリエッタはショアンの家を訪ねた。アナは昨日亡くなったところで、アナと仲が良かった家政婦のマリアンはジュリエッタに対して辛辣な態度を取った。ショアンは友人のアバと出かけていて不在だったため、ジュリエッタは家で待たせてもらうことにした。マリアンは夫の世話があったため、家へと帰っていった。
ジュリエッタはショアンの家で過ごすようになり、アバとも交流を持つようになった。実はショアンには隠していたことがあった。それは、ショアンの子を妊娠していることだった。家に来る前から分かっていたが、重荷になるのが嫌で言えなかったのだ。しかし、アバから言うことを勧められる。
出産後、ジュリエッタはショアンと共に両親の元を訪ねた。その2年後、ジュリエッタはアンティアを連れて再び実家に帰った。父のサムエルは教師の仕事をしていたが、早期退職して農家になっていた。さらに、母のサラの介護と農作業を手伝うため、サナアという名前の女性がいた。
実家に帰ると、サラの部屋には鍵がかけられていた。サラは記憶が曖昧で、体も思うように動かせない状態だった。一方で、サムエルはサナアと楽しくしゃべりながら農作業を行っていた。ジュリエッタは父の浮気を疑い、母を哀れに思った。きちんと介護できる人を雇うべきだと父に進言するが、受け入れられなかった。
映画『ジュリエッタ』のあらすじ【転】
アンティアは9歳でショアンと漁に出かけた。将来の夢は漁師で、夏休みの間毎日海に出たいと言うほど父親と漁に出ることが好きだった。夏休み、ジュリエッタは嫌がるアンティアを宥め、キャンプに行かせた。出発する前、マリアンは辞めることをアンティアに伝えた。マリアンのことが大好きなアンティアはショックを受け、母親が辞めさせたのではないかという疑いを持つ。ジュリエッタはそれを否定し、夫が病気になったので看病をするためだと教えた。
ジュリエッタは教職の仕事に戻ろうとしていたが、マリアンからショアンの浮気を仄めかすような警告を受ける。ジュリエッタはショアンに確認してみた。すると、アバと体の関係があったことを打ち明けられる。ショックを受けたジュリエッタは、話し合いの途中で散歩に出かけた。
ジュリエッタが家に帰ったとき、外は酷い雨が降っていた。いくら待ってもショアンが帰って来ないので、アバの元にいないか確認した。しかし、アバの元にショアンはいなかった。その後、漁に出ていたショアンの遺体が発見された。
アンティアはキャンプで知り合ったベアと一緒にマドリードへ行くことにした。ベアの母親のクラウディアはジュリエッタに連絡を入れた。ジュリエッタはクラウディアの元にいるアンティアを訪ね、ショアンが亡くなったことを伝えた。話を聞いたベアはアンティアを抱き締めて慰めた。
映画『ジュリエッタ』の結末・ラスト(ネタバレ)
ジュリエッタ達はベアの家の近くに部屋を借りて暮らすようになった。それはアンティアとベアが決めたことだった。アンティアが前向きに生きようとしているのに対して、ジュリエッタは悲しみから抜け出すことができず、アンティアとベアが傍にいてくれたお蔭で何とか生きている状態だった。
鬱を克服したジュリエッタは、家で校正の仕事を始めた。4年後、ベアはアメリカへと旅立っていった。アンティアは瞑想をしにピレネーへ出かけた。期間は3ヶ月ほどで、戻ったら大学へ進学する予定だった。
3か月後、ジュリエッタはアンティアを迎えに行った。しかし、アンティアはいないと言われる。責任者は、アンティアが家を出ることを望んでいたこと、母親と離れて幸せに暮らしていることを伝えた。ジュリエッタは警察に通報し私立探偵も雇ったが、アンティアを見つけることはできなかった。
ジュリエッタは1人アンティアの帰りを待った。母は亡くなり、父とサナアの間には子供が誕生していた。その後、ジュリエッタは家を出て、アンティアが行かないマドリードの地区に部屋を借りた。アンティアを忘れるためだった。
アバは左半身が麻痺し、病院に入院していた。ジュリエッタはアバを見舞いに行き、アンティアのある情報を教えてもらう。それは、ショアンがジュリエッタと喧嘩し、荒れた海に漁に出かけたことをアンティアが知っていることだった。アンティアにそのことを教えたのは、マリアンだった。アンティアは母とアバのせいで父が海に行ったとアバには激しい怒りを見せていたが、母に対しては何も言わなかった。
ジュリエッタはアバの葬儀でロレンソと出会い、新たな人生を歩むことになった。その後、ジュリエッタは街でベアと再会した。その時、12年間アンティアの行方が分からないことを打ち明けた。ベアはアンティアの様子がおかしかったことをジュリエッタに教えた。
ジュリエッタは車に撥ねられてしまう。彼女の家に行こうとしたロレンソは事故を目撃し、病院に付き添った。ロレンソは荷物を取りに行くためにジュリエッタの家を訪れ、母娘(ジュリエッタとアンティア)の写真と日記を目撃する。
ジュリエッタはアンティアからの手紙を受け取り、ロレンソと共に家を訪ねることにした。手紙には9歳の我が子が川で溺れて亡くなったこと、自分が姿を消した後の母の気持ちが理解できたことが書かれていた。
映画『ジュリエッタ』の感想・評価・レビュー
1人の女性の波乱万丈な生涯が描かれている。日記に書きながら少しずつ過去を振り返っているように作られているため、物語が理解しやすかった。誰が悪いとかではなく、ほんの少しのすれ違いで破綻してしまった家族が描かれていると思った。そのため、どの登場人物に対しても感情移入がしやすく、『ジュリエッタ』という物語をしっかり楽しむことができた。ジュリエッタの若かりし頃を演じているアドリアーナ・ウガルテがとってもキュートで可愛かった。(MIHOシネマ編集部)
アンティアはどこにいるのか、なぜ居なくなってしまったのかドキドキしながら見ていましたが、肝心のラストが何とも呆気なくて少しガッカリしてしまいました。
ジュリエッタの壮絶な人生は人に裏切られ、また人に支えられ、家族や友人に影響されながら生きていたことが分かります。アンティアのことを忘れるのが正しいとは言いませんが、親子でも全く別の場所で、一切関係を持たずに生きていくという選択肢もあるのだと感じました。(女性 30代)
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