映画『VIKING バイキング 誇り高き戦士たち』の概要:バイキングを率いる王の死後、3人の兄弟達は広大な土地を3分割にして統治していたが、兄弟間で争いが勃発。王と奴隷の間に産まれた三男の主人公は、期せずして大公の座を得る。その後、数々の戦を経て名声を上げるのであった。ロシアの聖公ウラジーミルの物語。
映画『VIKING バイキング 誇り高き戦士たち』の作品情報
上映時間:137分
ジャンル:アクション、ヒューマンドラマ、アドベンチャー
監督:アンドレイ・クラフチューク
キャスト:ダニーラ・コズロフスキー、スヴェトラーナ・コドチェンコワ、マクシム・スハーノフ、イゴール・ペトレンコ etc
映画『VIKING バイキング 誇り高き戦士たち』の登場人物(キャスト)
- ウラジーミル(ダニーラ・コズロフスキー)
- スヴェトスラフ公と奴隷使用人との間に産まれた王家の三男。父の死後、ノヴゴロドを治めていたが、オレーグに仕えていたスヴェネルドを受け入れる。戦を好まず、慈悲深い面がある。
- イリーナ(スヴェトラーナ・コドチェンコワ)
- ヤロポルクの妻で身籠っている。戦場から避難する際、ウラジーミルに保護される。物静かだが、芯の強い女性。洗礼名はアンナで神の寵愛という意味を持つ。
- スヴェネルド(マクシム・スハーノフ)
- オレーグに仕えていた戦士。王の時代より王家に仕えていたが、オレーグ死亡によりウラジーミルへ仕えることになる。
- ヴァリャシュコ(イゴール・ペトレンコ)
- 元はヤロポルクに仕えていた戦士。ウラジーミルを大公として認めず、反旗を翻す。ペチュネグ族を唆しウラジーミルに何度も戦を仕掛け、イリーナの引き渡しを要求する。
- フョードル(ヴラディミール・エピファンツェフ)
- ヤロポルクの元軍司令官。ペチェネグ族を誘き寄せる決死隊の指揮を任される。ウラジーミルと違う信念を持つが、勇猛なる本物の戦士。幼い息子をとても大切にしている。
- ヤロポルク(アレクサンドル・ウストュゴフ)
- スヴェトスラフ公の長男でキエフ公とも呼ばれている。冷酷無比で賢いが、妻と子に傾ける愛情は深い。
- オレーグ(キリル・プレトニョフ)
- スヴェトスラフ公の次男。勇猛ではあるが、短慮。ヤロポルクを妬み敵国ポロツクと手を組もうとするも、兄の追跡により死亡する。
映画『VIKING バイキング 誇り高き戦士たち』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『VIKING バイキング 誇り高き戦士たち』のあらすじ【起】
西暦800年代後半、リューリクー族がバイキングを率いてキエフを制圧。彼らは治める土地と自らをルーシと呼んだ。
約100年後の977年、異教時代。リューリクー朝は広大な土地を統治していたが、大公であるスヴァトスラフ公死後、領土は3人の息子達へ。キエフを長男のヤロポルク、オーヴルチを次男のオレーグ、ノヴゴロドを三男のウラジーミルがそれぞれに治めた。
だが、ヤロポルクを妬んでいたオレーグは、敵国ポロツクと手を結ぼうと画策。ポロツクへ向かっていたオレーグ一行は、背後にヤロポルクとその軍が迫っているのを知り、王の元へと急いだ。しかし、ポロツクでは敵国が攻めて来たと警戒し、城の門を固く閉ざしてしまう。騒然とする中、兄の追跡に焦ったオレーグは、馬の操作を誤り転落にて死亡してしまうのである。遅れて到着したヤロポルクは、弟の死の責任を彼の腹心であったスヴェネルドに取らせようとしたが、処刑は失敗。ポロツク王の言い添えもあり、スヴェネルドはその場から解放されることになるのだった。
スヴェネルドはその後、三男ウラジーミルの元へ向かい、ポロツク王と協定を結ぶべく、ウラジーミルと王女の婚姻を申し出る。ポロツク王は渋々、それを了承するが、当の王女は気位が高くプロポーズを断ってしまう。なぜなら、ウラジーミルが王と奴隷との間にできた私生児だったからである。尊厳を傷つけられ黙って去る男はバイキングではない。交渉は決裂しポロツクは戦場と化した。王と王妃は殺害され、残された王女は幼い弟を守るべく、やむなく屈するのであった。
ルーシでは王の血を引く私生児であっても王族に名を連ねられるが、腹違いの兄弟と対決し、勝利しなければ認められないという掟があった。オレーグ亡き今、残された兄弟は兄ヤロポルクのみ。だが、兄の存在は国の中でも大きく戦力もウラジーミルより勝っていた。弟は兄と戦わずに和解しようと考え、王女と彼女の幼い弟を国へ連れ帰ることにするのだった。
映画『VIKING バイキング 誇り高き戦士たち』のあらすじ【承】
ポロツクから大河を船で渡り兄と和解するため、キエフへ向かったウラジーミル。だが、ヤロポルクには和解するつもりなどなく、飽くまでも末弟と戦うつもりらしい。
キエフから1日の距離に野営したヤロポルクは、ウラジーミル軍を一撃で潰せるだけの戦力を集めていた。ウラジーミルは会談の申し込みをしたが、兄は混血である末弟の指図は受けないと拒否。
そんなある日、ウラジーミルの元へヤロポルクの妻イリーナと神父が連れられて来る。どうやら彼女らは戦場から避難しようとしていたらしい。ウラジーミルは兄の子を身籠っているイリーナを人質に、和平交渉を行うことにした。
さすがのヤロポルクもこれには応じるしかなく、交渉の場へ姿を現す。兄弟は穏やかな様子で相対し、和平に向けて話し合いが進もうとしていた。しかし、ヤロポルクは物陰に隠れていた配下によって暗殺されてしまうのである。ウラジーミルは愕然とし、望まぬ結果に憂いを抱きつつ大公の座へと就いたのだった。
しかし、民はウラジーミルを新たな主君として迎え入れてはくれず、ウラジーミルは父のように偉大な功績を成さなければならなかった。
そんな折、ウラジーミルを大公として認めないヴァリャシュコが、戦闘に長けている上に強欲なペチェネグ族を唆してキエフへ襲来。奴らは混血のウラジーミルを廃し、純潔のイリーナを大公の座に就けようと考えており、しきりに彼女を渡せと要求してくる。スヴェネルドはイリーナを人質にしようとしたが、ウラジーミルはそれを制し敵の要求を拒否した。
映画『VIKING バイキング 誇り高き戦士たち』のあらすじ【転】
兄の配下であったヴァリャシュコは、ペチェネグ族と草原に留まり続けている。敵は大多数に上っており、町を守るには難しいように思われた。そこで、ウラジーミルはイリーナの要望を受け入れ、彼女をヴァリャシュコへ引き渡すことにする。しかし、イリーナを引き渡した途端、奴は一転して襲い掛かって来るのだった。
川へ逃れたウラジーミルとスヴェネルドをしつこく探し回るヴァリャシュコだったが、そこへローマ帝国の軍艦が現れたため、ペチェネグ族が撤退。彼らはローマと争わないという協定を結んでいたため、戦うことを恐れたのである。
ローマ帝国は新たに大公となったウラジーミルへ祝いの品を届けに来たようだ。残忍で狡猾なローマには、決して心を許してはならない。スヴェネルドはそうウラジーミルに忠告するが、彼はローマの威光を得て攻撃に転じる機会がやってきたのだと確信するのだった。
ローマ帝国から多くの財宝を送られたウラジーミルだったが、皇帝から高額の報酬でケルソン攻略をして欲しいと要請される。大公は報酬よりも皇帝の妹であるアンナを妻に迎えたいと進言。その話を盗み聞きしていたポロツク王女は、夫ウラジーミルを暗殺しようとしたが、計画は失敗に終わる。大公は命を無為に踏みにじる彼女に失望し、王女をポロツクへ帰してしまう。
一方、ウラジーミルの要望をローマ皇帝が容認。大公らがケルソン攻略を成し得るはずがないと考えた上での返答だった。
その日の朝、草原は静寂に包まれていた。深い霧が下りた草原から、ローマを恐れたペチュネグ族が完全に撤退したからである。そして、ポロツクへ向かっていたイリーナは、ヴァリャシュコと共にケルソンへ送られたと言う。
軍を引き連れケルソンへやって来たウラジーミル。イリーナが通訳として彼の言葉を伝えた。ケルソンにはローマ皇帝に抵抗する勢力がいたが、ウラジーミルは戦うことを避け占領に時間をかける。しかし、そのせいで傭兵が次々と軍を去り、戦力は落ちる一方。イリーナから送られた地図によると、町には水道管が引かれている。それを止めれば水が供給されず、陥落は容易にできる。それだけが唯一の希望だった。
映画『VIKING バイキング 誇り高き戦士たち』の結末・ラスト(ネタバレ)
だが、そこへペチュネグ族を引き連れたヴァリャシュコが姿を現す。その時、またも暗雲が立ち込め土砂降りの雨が降る。これにより、大公には天が味方についていると兵達は士気を高め、激しい戦闘が開始。
ヴァリャシュコとの対決に勝利したウラジーミルは、イリーナの所在を奴から聞き出そうとする。だが、ヴァリャシュコは毒を吐き続けウラジーミルを責めるばかり。大公は彼を殺さず、捨て置くことにした。
穴を掘り町に通じる水道管を発見。これにより、皇帝との約束通りケルソン攻略を成功させる。大公軍には多額の報奨金が与えられた。
ケルソンの教会へ向かったウラジーミルは、神父にイリーナの所在を聞いたが、彼女は2日前に赤子と去ったと言う。
そこで、神父から彼女を追ってどうすると聞かれ、言葉に詰まる。ウラジーミルは神の寵愛が欲しかった。故に、洗礼名に神の寵愛という意味を持つアンナを欲したのだ。イリーナの洗礼名はアンナ、皇帝の妹もアンナという名前だった。
神父はウラジーミルにこれまでの罪を全て告白しろと言う。ウラジーミルは戸惑いながら、幼い頃からの罪を泣きながら告白し、教会を去ろうとした。しかし、神父は彼を引き止め洗礼を施すことによって、彼に新たな人生を与えるのである。
海岸沿いにて、ローマ皇帝の乗る船が見える。スヴェネルドと会話したウラジーミルは、彼が皇帝の命を狙っていることを知り、もう人は殺さないと拒否。すると、配下は怒りを顕わにし、主君に襲いかかって来る。ウラジーミルは殺される覚悟をしたが、老いた配下は彼に失望し去って行くのであった。
浜辺に1人残されたウラジーミルは、戦の無い平和な国を想像し今後の方針として決意するのだった。
映画『VIKING バイキング 誇り高き戦士たち』の感想・評価・レビュー
西ヨーロッパ諸国を恐れさせたバイキングを率いて、戦いに身を投じ大公としての地位を確立していくという歴史アクション映画。主人公は前大公と奴隷との間に産まれた三男ウラジーミル。彼は後の世で聖公と呼ばれるようになるが、それまでは混血と呼ばれ蔑まれていた。ただ、大公の血を引いているため、第三王子としての地位は確約されている。
とにかく、効果音が素晴らしい。当時は長髪に髭を蓄えるのが、立派な男だと言われていたため、出演者は誰もが髭を生やしているが、そうなると役者の見分けが難しく混乱する場面もある。(MIHOシネマ編集部)
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