この記事では、映画『ザ・トライブ』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『ザ・トライブ』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『ザ・トライブ』の作品情報

上映時間:132分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ミロスラヴ・スラボシュピツキー
キャスト:ヤナ・ノヴィコヴァ、グリゴリー・フェセンコ etc
映画『ザ・トライブ』の登場人物(キャスト)
- セルゲイ(グレゴリー・フェセンコ)
- ろうあ者が在籍する寄宿学校に転校する男子。寄宿学校で出会った不良たちの影響を受け、彼らと一緒に売春業を行うが、商売道具としていたアナに対し次第に想いを寄せることとなる。
- アナ(ヤナ・ノヴィコァヴァ)
- セルゲイと同じ寄宿学校に在籍する女の子。不良グループの稼ぎ頭として自身の身体を売り物にしている。
映画『ザ・トライブ』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『ザ・トライブ』のあらすじ【起】
ろうあ者の寄宿学校に転入するセルゲイは学校へ向かう。途中学校までの道が分からなくなったためバス停にいた女性に場所を聞き、学校へ到着する。
教師に紹介されクラスに入ったセルゲイ。その後、昼食の時間。居場所がないセルゲイはクラスで虐められて孤立している男子の近くにいたが、そこへ別の男子に呼ばれる。
呼ばれた男子と共に荷物を取りに行ったセルゲイは、その後学校校舎裏で上半身裸にされる。
不審物を持っていないことを確認した男はセルゲイを寮の部屋へ案内する。だが、案内の道中男はわざとセルゲイを女性の部屋に入れ、セルゲイをからかう。女性たちから罵られ部屋を出るとようやく男はセルゲイを正しい部屋に入れる。
だが、そのあと部屋にやってきた不良グループの男子たちによって追い出されたセルゲイは仕方なく廊下に座り込む。そこへ1人の男子生徒が女生徒2人を連れ外に行く姿を目撃しセルゲイは後をつける。だが、外への扉は締め切られていた。
映画『ザ・トライブ』のあらすじ【承】
外へ出た3人。その内女子生徒2人は車中で着替えていた。着替え終わった2人は外に出るとトラックが多く停車しているところへ行く。
先ほど一緒にいた男子生徒がトラック運転手から金銭を受領すると、着替えた女子生徒はトラック運転手と一緒に車の中に入るのであった。
翌日、学校に通学するセルゲイであったが不良グループに呼び出される。路地裏に連れて行かれたセルゲイは、多くの素行の悪い生徒に囲まれ、不良生徒3人相手に喧嘩を強いられる。必死に抵抗し不良生徒一人に怪我を負わせたことで喧嘩は中断される。
その日の夜、不良グループに連れられたセルゲイ。不良グループたちは買い物帰りの男性を襲い、購入品を奪う。奪った飲み物を一緒に飲むセルゲイは不良グループの一員として仲間に招かれた。
その後セルゲイは学校内で不良グループたちと一緒に生徒へかつあげを補助する係として同行していく。
不良グループで売春役としての役割を担っているアナと会話をする内に彼女との距離を詰めていくが、彼女は不良グループのリーダー格と男女の仲であった。その現場を目撃したセルゲイはショックを受ける。
映画『ザ・トライブ』のあらすじ【転】
ある日、グループ内で売春の斡旋役を担っていた男子生徒が事故に遭い亡くなってしまう。そこで斡旋役としてセルゲイが任命される。
仕事の詳細を聞いたセルゲイは指示されたとおりに売春の手引きを行う。だが、その現場を目撃するにつれ、彼自身も性への関心を持っていくことになる。
セルゲイはアナと関係を持ちたいという気持ちが湧く。路地裏で着ていた服を下に敷き、アナに金銭を渡すことでセルゲイは彼女と肉体関係を結ぶことに成功する。
その後、いつも通りアナを売春させるためキャッチをするようセルゲイは頼まれる。だが、すでにアナへの情にかられたセルゲイは売春の案内を拒否するのであった。
リーダー格からは反逆したとみなされ追いやられたセルゲイは、虐められている生徒たちのところに合流する。
一方のアナは妊娠を疑い、検査薬を使用する。結果は陽性であり妊娠していた。仕方なくアナは医者のもとへ行く。浴室にて苦痛に耐えながらアナは子供をおろすのであった。
映画『ザ・トライブ』の結末・ラスト(ネタバレ)
一方セルゲイは工作の授業に参加していた。授業内で学んだことを活かしハンマーを作成する。
その日の夜、セルゲイは授業で作成したハンマーを手に持ち外へ外出する。そして自宅に帰る教師の背後からハンマーで頭部を殴打する。教師の自宅に侵入したセルゲイは彼の部屋から金銭を奪う。
その後、アナのもとへ行き、教師から奪ったお金で再度売春を持ちかける。拒否するアナに対しセルゲイは強引に彼女を犯してしまう。
パスポートを入手したアナに対し、自分のところから離れることに怒りパスポートを奪う。止めにかかる不良グループたちを他所にセルゲイはパスポートを破いてしまう。
不良グループに水責めに遭うセルゲイ。あまりの強引な暴力にアナも止めようとするが、不良グループのリーダーは近くにあった瓶でセルゲイの頭部を殴打したことでセルゲイは気絶してしまう。
目が覚めたセルゲイは、部屋で眠っている不良グループたちのところへ行く。そこで椅子を用いて彼らの頭部を殴りつける。怒りを発散させたセルゲイは、一人廊下を歩くのであった。
映画『ザ・トライブ』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
思春期を迎えたろうあ者の子供たちの暗い側面にフォーカスした本作。全編手話という斬新な映画描写であるがそれに引けを取らないリアルな物語。実話ではないものの、舞台となる学校で行われていることは実際問題ある。
映画では身体に障害を持った人物を題材とする場合、そのハンディキャップに負けない、明るい物語が作成される傾向がある。だが、本作は終始ハンディキャップを抱えた人達の暗い側面が描かれている。
底なし沼の如く、間違ったレールから外れられない心情や葛藤。正直鑑賞して気持ちが良いものではない。だが、人が環境に左右される生き物であること、そして特定の狭いコミュニティに置かれた人においてはそれが顕著に表れる。ハンディキャップを抱える人たちを主軸にすることでより一層その現実を重く伝えているのではないか。軽い気持ちでおすすめできるほど優しい映画ではないので、映画好きでエッジが効いた作品を鑑賞したいという人は鑑賞してみると良いかもしれない。(MIHOシネマ編集部)
全て手話で描かれている今作は、その描き方だけでなくストーリーもかなり斬新で衝撃的な内容でした。施設の中で日常的に行われている暴力や売春。その描写は色々な作品で見てきたはずなのに、それを手話で描くというだけでとても新鮮なものに感じられました。
交流する仲間によって人格が大きく変わってしまったセルゲイ。仲間を選べなかったのかな…とも思いましたが、この場所で生きていくにはそうするしか無かったのかもしれないと感じました。(女性 30代)
セリフや字幕が一切ないという異質な手法に最初は戸惑ったが、次第に登場人物の感情や関係性が身体の動きだけで理解できるようになり、強烈な没入感を味わった。主人公が犯罪に染まりながらも少女に惹かれていく流れは切なく、その後の中絶シーンはあまりに生々しい。ラストの復讐は救いではなく、むしろ虚しさを増幅させる結末だった。観る側の想像力を試す作品。(30代 男性)
音がほとんど排除された世界で進む物語は、観ている側の神経を研ぎ澄ませる。寮内の暴力や売春のシステムが淡々と描かれ、説明がない分だけ現実味が増していた。主人公が少女に対して見せる感情が唯一の救いに思えたが、その関係も無残に崩壊していく。最後の暴力的な決着は衝撃的で、人間の孤独と残酷さを強く感じさせる作品だった。(20代 女性)
全編手話のみという設定が単なる gimmick ではなく、物語の本質と深く結びついている点に驚かされた。言葉がないからこそ、暴力や欲望がダイレクトに伝わってくる。主人公が組織の一員として順応していく過程は冷酷で、恋愛によって一瞬見せる人間らしさが余計に際立つ。中絶と裏切りを経て、最後に爆発する怒りは理解できるが、救いのなさに圧倒された。(40代 男性)
説明が一切ないことで、観客は常に能動的に物語を読み取る必要がある。その分、寮の閉鎖的な空間や支配構造がよりリアルに感じられた。少女との関係が深まるにつれて希望が見えるが、それが完全に裏切られる展開が辛い。特に中絶後の冷淡な扱いと、その後の悲劇的な結末は心に重く残る。観るのに体力がいるが、忘れられない作品。(30代 女性)
この映画の最大の特徴は、観客に解釈を委ねる徹底した無言の演出だと思う。登場人物の感情や意図を自分で読み解く必要があり、それが独特の緊張感を生んでいる。主人公が恋に落ちることで見える弱さと、その後の絶望的な展開の対比が印象的だった。ラストの暴力は衝撃的だが、そこに至るまでの積み重ねがあるからこそ説得力がある。(50代 男性)
最初は理解が追いつかず戸惑ったが、次第にこの無言の世界に引き込まれていった。特に少女の置かれた状況があまりにも過酷で、観ていて胸が苦しくなる。主人公が彼女を守ろうとする姿勢が見えた矢先に訪れる中絶の展開は衝撃的だった。ラストの復讐劇は悲しみと怒りが入り混じり、後味の悪さと同時に強い印象を残す。(20代 女性)
この作品は観る側に非常に高い集中力を要求するが、その分得られる体験は唯一無二だ。寮の中の暴力的な秩序や、弱者が搾取される構造が言葉なしで伝わってくるのがすごい。主人公の感情の変化も微細な仕草で表現されており、特に恋愛の描写は切実だった。最終的な破滅的な結末は避けられないものだったように感じる。(40代 女性)
言葉がないことで、むしろ人間の本質がむき出しになる作品だと感じた。暴力、性、支配といったテーマが直接的に描かれ、観ていて非常に重い。主人公が少女に対して見せる優しさがわずかな救いだが、それすらも崩れていく展開が残酷だった。ラストの行動は衝動的でありながら必然にも思え、観終わった後に強い余韻が残った。(30代 男性)
映画『ザ・トライブ』を見た人におすすめの映画5選
サウルの息子
この映画を一言で表すと?
極限の地獄を“体験”させる、圧倒的没入型ホロコースト映画。
どんな話?
ナチスの強制収容所で働かされるユダヤ人サウルが、ある少年の遺体を自分の息子だと信じ、埋葬するために奔走する物語。収容所の中での過酷な現実や、倫理が崩壊した環境の中で、人間としての尊厳を守ろうとする姿が描かれる。
ここがおすすめ!
主人公の背後に密着するカメラワークが特徴で、観客はまるでその場にいるかのような緊張感を味わえる。説明を省いた演出と圧倒的な臨場感はザ・トライブと共通し、言葉では表現しきれない恐怖と人間性を突きつける。重厚で忘れがたい一本。
エレファント
この映画を一言で表すと?
静けさの中に潜む暴力の予兆を描いた衝撃作。
どんな話?
アメリカの高校を舞台に、生徒たちの日常を淡々と追いながら、やがて訪れる銃乱射事件へと物語が収束していく。複数の視点から同じ時間を描くことで、何気ない日常の中に潜む不穏さが徐々に浮かび上がる構成になっている。
ここがおすすめ!
長回しや静かな映像が特徴で、観る側に強い緊張感を与える。説明を排した演出によって、出来事の背景を観客に委ねる点がザ・トライブと共通している。何気ない日常が崩壊する瞬間の恐怖と虚無感をリアルに体感できる作品。
ロゼッタ
この映画を一言で表すと?
生きるためにすべてを賭ける少女のリアルな闘い。
どんな話?
貧困の中で生きる少女ロゼッタが、安定した仕事を求めて必死にあがく姿を描く。周囲との関係や倫理を犠牲にしながらも、生きるために選択を重ねていく彼女の姿が、淡々としたタッチで映し出される。
ここがおすすめ!
手持ちカメラによるリアルな映像と、主人公の息遣いまで伝わる臨場感が魅力。社会の底辺で生きる人間の必死さや孤独が強烈に伝わってくる。ザ・トライブと同様に、説明を削ぎ落とした演出で観る者に強い印象を残す作品。
ドッグトゥース
この映画を一言で表すと?
歪んだ支配と洗脳が生む異常な家族の物語。
どんな話?
外界と隔絶された家庭で育てられた子どもたちが、父親の歪んだ教育によって異常な価値観を植え付けられていく様子を描く。外の世界を知らない彼らが、徐々に現実とのズレに直面していく。
ここがおすすめ!
閉鎖された空間での支配構造や異様な日常が、不気味なリアリティで描かれる。言葉や常識が歪められることで、人間の本質が浮き彫りになる点が印象的。ザ・トライブ同様、観る者に強烈な違和感と考察を促す作品。
ファニーゲーム
この映画を一言で表すと?
観る者の倫理観を揺さぶる、残酷な心理的暴力劇。
どんな話?
バカンスで訪れた一家が、突然現れた二人の青年に理不尽な暴力を受ける物語。理由なき加害と、それに翻弄される家族の姿を通して、暴力の本質が描かれる。
ここがおすすめ!
観客の予想や期待を裏切る構成と、直接的な暴力以上に精神的な恐怖を与える演出が特徴。観る側の立場を揺さぶる仕掛けもあり、単なるスリラーにとどまらない深さがある。ザ・トライブと同じく、強烈な不快感と考察を残す作品。



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