映画『夜の浜辺でひとり』の概要:映画監督との不倫スキャンダルにて挫折したヒロインが、ドイツのハンブルクを経て母国へ帰国。待っても来ない恋人の存在や人生の岐路に立ち、迷いながらも人生の本質を見出そうと足掻く。そんな女性の姿を淡々としたドキュメンタリータッチで如実に描いている。
映画『夜の浜辺でひとり』の作品情報
上映時間:101分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ホン・サンス
キャスト:キム・ミニ、ソ・ヨンファ、クォン・ヘヒョ、チョン・ジェヨン etc
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映画『夜の浜辺でひとり』の登場人物(キャスト)
- ヨンヒ(キム・ミニ)
- 不倫スキャンダルにて全てのキャリアを捨て、ドイツのハンブルクへやって来る。控え目でありながら、時に激情し強気に言い返すことがある。
- ジヨン(ソ・ヨンファ)
- ヨンヒの友人。ドイツのハンブルクに在住。頼って来たヨンヒを快く受け入れてくれる。既婚者であったが、現在は独身。今後もずっと一人でいいと断言している。
- チャンウ(クォン・ヘヒョ)
- かつてのヨンヒの先輩で旧友。映画館にて番組構成の仕事をしている。傷心のヨンヒを友人達と共に温かく迎え入れ、見守っている。
- ミョンス(チョン・ジェヨン)
- チャンウの親友でヨンヒとも昔馴染み。カフェを経営しており、そこで働く女性と付き合っている。ストレスを感じると偏頭痛になる。気弱な面があり優しい。
- ジュニ(ソン・ソンミ)
- ヨンヒの友人。傷心のヨンヒを心から労り、勇気づけて傍にいてくれる。ヨンヒとは相性が良く、愛情深く見守りマネージャーになって女優復帰の手助けをしようと考えている。
映画『夜の浜辺でひとり』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『夜の浜辺でひとり』のあらすじ【起】
映画監督との不倫スキャンダルにて、全てのキャリアを捨てドイツのハンブルクへやって来た女優のヨンヒ。同国に暮らす友人ジヨンは彼女を快く受け入れしばらくの間、共に過ごすことになった。
恋人の映画監督は彼女がハンブルクに向かったことを知っており、会いに向かうとメールをくれたが、ヨンヒ自身は彼が来ることを期待していない。
ジヨンもかつては既婚者であったが、今は独身となり一人暮らしが性に合っていると言う。
2人の女性は互いに過去のことや現在のこと、これからのことを語り合いながら美しい街を散策。心を洗われたヨンヒだったが、恋人は来るとメールをくれたっきり結局、会いに来てはくれないのだった。
映画『夜の浜辺でひとり』のあらすじ【承】
しばらく後、韓国へ帰国したヨンヒ。旧友のジュニと会うことになり、約束の時間まで映画を観て過ごすことにした。
映画が終わったため、客席から出たヨンヒはそこでかつての友人チャンウに声をかけられる。彼はどうやらこの映画館で働いており、ヨンヒのことを見ていたらしい。
その場で近況報告をしたものの、ヨンヒはまだこの先どうするかを明確に決めていないようだ。今回はジュニと会うために来ただけだと言う。チャンウはもう1人の友人ミョンスにも会わせると言い、行きつけのカフェへ彼女を連れて行く。
だが、ミョンスの到着が遅れチャンウは一旦、仕事へ戻る。1時間後、ようやくミョンスが到着。チャンウ同様、彼もまたヨンヒのことを心配していたようで、元気だったかと声をかける。少しの間、会話をしたが、ミョンスがカフェの仕事をすることになったので、仕事が終わるまで席を外すヨンヒ。その後、チャンウも合流しジュニも呼んで夕食を共にすることに。
映画『夜の浜辺でひとり』のあらすじ【転】
友人達に乞われハンブルクでの生活を語ったヨンヒは、愛が見えたら探しようもあるけれど見つけられない。綺麗に死にたいと言う。そうして、酔った勢いで次第にヒートアップ。ここにいる全員には愛される資格がないと怒鳴る。偽物で満足して生きているだけなのだと。一気に妙な雰囲気となってしまったが、ジュニの機転により雰囲気は回復。
ジュニと共に一服するため、外へ出たヨンヒ。かつてジュニもソウルで仕事をしていたが、挫折して江陵(カンヌン)に来たらしい。そして、自分達のことを失敗作だと言う。ソウルで成功した者も挫折した者も、ヨンヒが言うように偽物で満足している。故に失敗作なのだと。ヨンヒは自分のことを理解してくれるジュニが側にいてくれたら、とても嬉しいと語るのだった。
翌日はヨンヒが滞在するためのホテルへ。ジュニとチャンウが付き添ってくれたが、海が眺められる広くて静かな部屋だった。
前夜でも酒盛りをしたが、チャンウはまた飲もうと言う。ジュニはヨンヒのマネージャーとなり、女優復帰の手助けをしたいとチャンウに語るのだった。
映画『夜の浜辺でひとり』の結末・ラスト(ネタバレ)
友人達に囲まれ温かく迎え入れられたヨンヒ。次第に女優復帰を考え始める。彼女の恋人だった映画監督はスキャンダル発覚後、抜け殻のようになってしまったと専らの噂らしいが、最早ヨンヒとは関係のないことだ。
帰路に就くチャンウとジュニを見送った後、ホテルの前にある浜辺へ向かったヨンヒ。彼女は浜辺に横たわり一休みしていたが、ある人物から声をかけられる。彼は助監督らしく前日から映画の撮影で訪れていると言う。ヨンヒのことも見知っていたため、映画スタッフと共に焚火へ当たることにした。
映画の監督はかつてヨンヒが付き合っていた人だった。その日の夜、スタッフを交え彼と対峙したヨンヒは、自分との関係に後悔しているかと詰め寄る。すると彼は毎日、後悔して辛い思いをしていると涙。それでも、ここから抜け出さなければならないと映画撮影に臨んだと言う。不倫スキャンダルの元となった監督と女優のやりとりに、スタッフはたじたじ。監督は自らの告白本を持ち出し、一文章をヨンヒへと朗読したが、彼女は一服してくると告げ、その場を辞するのであった。
浜辺に横たわっていたヨンヒは、通りがかりの男性に声をかけられ、ようやく起き上がる。どうやら今までのことは夢だったらしい。彼女は起こしてくれた男性へ丁重に礼を言って一人、浜辺から去って行くのだった。
映画『夜の浜辺でひとり』の感想・評価・レビュー
非常に淡々とストーリーが流れる。ドキュメンタリータッチの元、不倫スキャンダルで傷心の女優を映し出している。ハンブルクの美しい風景と共に、独身となった友人と語り合うシーンでは単身、外国で過ごす自由さや孤独を吐露。
その後は韓国のカンヌンへ場所を移し結局、会いに来ない恋人への諦めと友人達の温かい励ましや心配する心と触れ合い、ヒロインの表情が明るくなる。作中ではこれと言った明確な表現はないものの、端々の会話から老いや人生の本質、この先の不安などを如実に現している。第67回ベルリン映画祭で絶賛されるのも頷ける、奥が深く素晴らしい作品。(MIHOシネマ編集部)
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