映画『冒険者たち(1967)』の概要:「冒険者たち」(原題:Les Aventuriers)は、1967年のフランス映画。監督は「ふくろうの河」、「美しき人生」のロベール・アンリコ。主演は「太陽がいっぱい」、「地下室のメロディー」などのアラン・ドロン。「モンパルナスの灯」、「女王陛下のダイナマイト」などのリノ・ヴァンチュラ。「パリところどころ」などのジョアンナ・シムカス。
映画『冒険者たち』 作品情報
- 製作年:1967年
- 上映時間:110分
- ジャンル:ヒューマンドラマ、アクション、サスペンス
- 監督:ロベール・アンリコ
- キャスト:アラン・ドロン、リノ・ヴァンチュラ、ジョアンナ・シムカス、セルジュ・レジアニ etc
映画『冒険者たち』 評価
- 点数:90点/100点
- オススメ度:★★★★★
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★★★
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映画『冒険者たち』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『冒険者たち(1967)』のあらすじを紹介します。
パイロットのマヌー(アラン・ドロン)と、カーエンジニアのローラン(リノ・バンチュラ)は、性格は真逆ながら実の兄弟のように仲が良かった。マヌーはパリにある飛行クラブの教官であり、ハンサムな外見とは裏腹に、向こう見ずな命知らずだった。ローランはパリ郊外の廃車置場に奇妙な仕事場を構え、レーシングカーエンジンの開発に携わっていた。そしてローランの仕事場に、彫刻用の鉄くずを求めてやってきた駆け出しアーティストのレティシア(ジョアンナ・シムカス)の三人に奇妙な関係が始まった。ある日マヌーは飛行クラブの生徒から、とある映画プロデューサーが撮影のため凱旋門を飛行機でくぐり抜けた者に、2500万フランの賞金を出すという話を聞き挑戦する事になる。しかし当日は凱旋門の下でセレモニーが行われ、ゲートにフランス国旗が掲げられたおかげで、手前まで飛んで来たマヌーは飛行機を回避させるしか術がなかった。パリの市街地では航空機の低空飛行は禁止されており、無許可で突破しようとしたマヌーは飛行士の免許を剥奪されてしまい、更にその話が飛行クラブのメンバーにより仕組まれた悪戯であることが判明した。失業したマヌーは友人ローランと共に自分を罠にはめた連中の許へ仕返しに向かい、首謀者の一人であるヴェルタンを痛めつけているときに、コンゴの海に財宝が眠っているという話を聞く。最初は耳を貸さなかったマヌーだったが、ローランもレティシアも仕事で行き詰まり目標を失いかけていたところで、日を改めてヴェルタンのところへ出向き詳しい話を聞き出す。それはベルギーからの移住者が動乱から逃れる途中、海に墜落した飛行機に積んであった財宝が、コンゴの海底に眠っているという話である。調査の結果それは事実であると判明し、マヌーとローラン、レティシアの三人は船に乗りこんで宝探しを始めた。その途中に墜落して死んだと思われていたパイロットが船に侵入し、正確な宝の在処を案内する条件で分け前の交渉を突きつけてくる。そして彼らは財宝を発見し引き上げる事に成功する。しかしその財宝に目をつけていた強盗の一味が海上警察を装い船に襲撃を掛け、レティシアは流れ弾に当たって死んでしまい、パイロットはひとり船から降ろされた。二人はレティシアの亡骸に潜水服を着せて弔い海中深くへと送り出した。危機を脱出した二人は彼女の故郷である地中海のとある島を訪れた。そこには彼女の弟である少年が住んでおり、地元の小さな博物館で案内係をしていた。レティシアが生前に話していた、海岸線に浮かぶ旧ドイツ軍の要塞跡へ少年は二人を案内した。レティシアを愛していたローランは、その弟のため彼女に残された財産分与を管理する名目で島に残る。一度はパリに帰ったマヌーも再び島へ戻り、ローランはその要塞をホテルに改造して自分たちがオーナーになろうとマヌーに計画を持ちかける。その夢を描いていた時に、財宝目当てで船を襲った連中が再び戻ってくるが、旧ドイツ軍の残した手榴弾でローランに返り討ちにされる。しかし途中で運悪くマヌーは敵の銃弾に倒れ、ローランの腕の中で笑顔のまま静かに息を引き取った。
映画『冒険者たち』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『冒険者たち(1967)』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
夢のような現実のような、フランス映画に燦然と輝くアドベンチャー・ロマン
おとぎ話やSFのような非現実的なストーリーではなく、リアルなアドベンチャーにラブストーリーを絡めた胸躍る映画である。頑なに自分の夢を追い続けながら、夢の一歩手前で挫折を経験し、その夢を忘れられない青年たちに降って湧いたようなラッキーが訪れるご都合主義的な展開も憎い演出である。ストーリーが少々ドタバタ気味であるがそのドタバタ感が小気味良く、シークエンスの繋ぎもスムースで静と動が上手く絡んだ演出が冴えている。主役のアラン・ドロンはインチキ臭い役どころながら目一杯クールであり、リノ・バンチュラは職人気質の渋さが光り、ジョアンナ・シムカスはパリジャンらしさを見事に演じている。そして劇中に流れる印象的な口笛とピアノの旋律が、いかにもフランス映画らしいクールな効果をもたらし、作品の素晴らしいスパイスとなっている部分も見逃せない。パリや地中海の風景に加え、何気なく停まっている車の姿ひとつひとつが憎らしいほどにフランス映画である。クライマックスも良く練られた演出であり、ハードボイルドな展開と涙を誘う男二人の友情がクサいほどドラマチックでカッコいい。地中海に浮かぶ要塞の風景で幕を引くエンディングも秀逸である。
壮大なロマンを真実として追いかけられた時代背景が見える
本作の主人公はパイロットにエンジニアにアーティストという、今の時代に言葉だけでイメージすると鼻持ちならない職業に就いている青年ばかりだが、それぞれが皆はみ出し者ばかりのアウトロー的存在というのが魅力である。悪く言えば山師の集団みたいなところで生きる青年たちが、成り上がってやろうと夢を見ながら成功を手にして行く物語であり、そうは簡単にハッピーエンドへ辿り着かないという切ないロードムービー的なストーリーでもある。しかしこの誰もが夢見ながらなかなか現実として実現できないような話を、いけしゃあしゃあとリアルに展開されて行く物語が面白くない訳がないのである。夢と現実の間を描いたようなストーリーゆえにリアリティがないと言えばそれまでだが、時代性を考えればこのような山師は実際に多く存在していたところもあり、海底に墜落した飛行機から財宝を引き上げるというような夢の話も、リアルな神秘性を帯びながら残っていたのだろう。
映画『冒険者たち』 まとめ
本作は中学生の頃にテレビで初めて観て非常に感銘を受け、個人的にリピート率が最も高いフランス映画である。漫画やアニメの子供じみた冒険話にそろそろ飽きてきた頃であり、アラン・ドロン人気は既に世界的なものとなっていたので知ってはいたが、リノ・ヴァンチュラという役者を知ったのは本作が初めてであった。ヒロインのレティシアが男前のマヌーではなく、何故おっさん臭いローランを選んだのかが理解出来なかったが、大人になってようやくそのニュアンスが理解出来るようになったものである。しかしながら、子供心には大人の恋愛の成り行きなどどうでも良く、海底に眠る宝を探り当てて一夜にして大金を手にした件や、海上の要塞跡に隠されていた旧ドイツ軍の武器や、そこをホテルにすると言うローランが語る夢のような話に興奮し憧れたものである。鉄くずでアートを作り、飛行機で凱旋門をくぐり、自分の開発したレーシングカーで記録を打ち立てるというような話が、夢のようでもありながら現実味を帯びたストーリーとして少年の妄想を膨らませる冒険譚は、作られてから50年過ぎた今でもキラキラと輝き続けているのだ。
みんなの感想・レビュー
新しい大統領も年の差カップルだし、
フランスは特に年齢差を気にしないんでしょうね。それでもアランドロンを選ばないのは腑に落ちませんが。