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映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』の概要:高校生になった大島志乃には吃音の症状があった。そのせいで周りとうまくコミュニケーションが取れなかったが同級生の岡崎加代と知り合い、バンドを組むことになる。彼女は普段はどもる癖があったが、歌はとても上手だったのだ。

映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』の作品情報

志乃ちゃんは自分の名前が言えない

製作年:2017年
上映時間:110分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:湯浅弘章
キャスト:南沙良、蒔田彩珠、萩原利久、小柳まいか etc

映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』の登場人物(キャスト)

大島志乃(南沙良)
吃音が出てしまう女子高生。緊張すればするほど症状がひどくなる。母音から始まる発音は特にダメ。だが、歌はつっかえずに歌うことができ、音程も外さない。普通の女子高生として、普通に会話がしたいと思っている。
岡崎加代(蒔田彩珠)
ミュージシャンを目指す女子高生。ギターを練習し、作詞もしている。歌うことも好きだが音痴。志乃と出会ったことで“しのかよ”を結成し、学園祭でのライブに出場しようと考える。
菊池強(萩原利久)
騒がしく目立ちたがり屋の高校生。中学時代にイジメられている。空気を読むのが下手で、そのせいでますます周りを白けさせる行動を取ってしまうことも多い。

映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』のあらすじ【起】

大島志乃はいつの頃からか吃音が出るようになっていた。ひとりの時や家族とは普通に会話できたが、人前に出るとついどもってしまう。母音が頭にくる言葉は、特に上手く言えなかった。高校入学後の自己紹介を失敗しないように志乃は何回も練習を繰り返したが、本番ではうまく喋れることができず皆から笑われて恥ずかしい思いをしてしまう。

友達もできずにいた志乃は、お弁当もひとりで食べていた。友達同士で仲良く食事をする姿にいたたまれなくなった志乃は、校舎裏で独りぼっちの食事をした。楽しそうに会話する女生徒の真似をしたが、ひとりならば吃音が出ることはない。

担任の小川先生からは、もっと皆と打ち解けたら普通に話せるのではないかと言われ、頑張るように言われる。だが、クラスのお調子者の菊池強にからかわれ、志乃はますますコミュニケーションを取りづらくなっていく。

ある日、いつものようにひとりでお弁当を食べていると、クラスメイトの岡崎加代が通りかかった。彼女は音楽を聴きながら歌っていたが、その音程は狂いまくっていた。志乃は思い切って加代に声を掛ける。以前、自転車をぶつけたことを謝りたかったのだが、吃音のせいで上手く話せない。加代は、喋れないなら書けばいいとメモとペンを渡したが、面白いことを書いてくれたらあげると言った。考えた志乃は“おちんちん”と書いて加代を笑わせた。

放課後、志乃は加代に一緒に帰ろうと筆談する。二人は黙って歩いただけだったが志乃は嬉しかった。二人の家は逆方向だった。残念そうにする志乃を見かねた加代は、家に遊びに来るかと志乃を誘った。

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映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』のあらすじ【承】

加代の家に遊びに来た志乃はたくさんのCDに圧倒されるが、その中に置いてあったアコースティックギターに目を奪われた。加代がギターを弾けると知った志乃は、聞いてみたいとお願いする。絶対に笑わないと約束したうえで加代はギターを弾いてくれた。だが、次第に加代は歌いだし、その音痴ぶりに志乃は思わず吹き出してしまう。それを見た加代は怒り、帰れと叫んだ。せっかくできた友達を傷つけてしまった志乃は、帰り道で泣きじゃくった。

すっかり以前のような疎遠な関係になってしまった二人。放課後、加代を見かけた志乃は思わず後をつけてしまう。辿り着いた先はカラオケボックスだったが、そこから調度、加代の中学時代の同級生たちが出てきた。その子たちは加代の音痴をバカにし始めた。その光景に我慢できなくなった志乃は思わず飛び出していく。志乃は加代に笑ってしまったことを謝罪した。そんな志乃に、歌はつっかえずに歌えるのかと加代は言い、二人はカラオケボックスに入っていった。

強引にマイクを握らされ、歌わされた志乃。だが、その歌声は見事なものだった。つっかえもせず音程も外さない。志乃の歌を聞いた加代は、自分と組まないかと誘いをかける。志乃は戸惑ったが、一緒だったらできるかもしれないという言葉に嬉しくなり頷いた。加代はミュージシャンになりたいという夢があった。何かないのかと問われた志乃は、普通の高校生になりたいと答えた。

その日から二人は一緒に過ごすようになり、毎日のようにセッションを繰り返した。志乃の吃音は少しずつだったが治まりだしていた。そんな時、加代が秋の文化祭に“しのかよ”というバンド名で出場しようと言いだす。そのためには特訓が必要だと考えた二人は、バスで誰も知らない場所に行き、路上ライブで自信をつけることにした。

最初こそ恐怖と緊張で上手く演奏できなかったり、歌えなかったりした二人だったが、次第に恐怖心は無くなっていき、回を重ねるごとに人前で歌うことに抵抗を感じなくなっていった。二人はギターの腕も、歌の上手さもどんどん上達していった。

映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』のあらすじ【転】

夏休みも終わりに近づいた。加代の提案で少し人が多いところで路上ライブをすることにした二人。だが、そこに菊池が偶然通りかかってしまう。菊池に見られたことで緊張した志乃は、思わずその場から逃げ出してしまう。

新学期が始まり、早々に菊池が二人の前でふざけ始めた。俯く志乃を見た加代は菊池を平手で殴り飛ばす。放課後、自分の行動を謝罪した菊池は、自分もバンドの仲間に入れてくれないかとお願いしてきた。志乃と加代はもちろん断った。

菊池は中学時代にイジメられており、今のクラスでも騒がしいキャラのせいもあって誰からも相手にされなくなっていた。少し可哀そうになった加代は、見学という形で菊池をバンドに参加させる。だが、そのせいで志乃は消極的になり、歯医者だと言って練習をさぼった。

ある日、加代は志乃に詞を書いてくれないかと頼む。志乃は戸惑うが、そこに菊池がやってきた。すでに詞の話を知っていた菊池にショックを受けた志乃は、思わずその場から走り去ってしまう。後を追いかけてきた加代に“しのかよ”をやめると筆談した志乃は、そのまま何日も学校を休み続けた。

さすがの菊池も凹み、自分のせいなのではないかと落ち込みだす。少し外出した際、菊池に遭遇した志乃は彼に引き留められ話をすることになった。今まで独りぼっちだった菊池は、やっと見つけた居場所なので一緒にバンドをしたいと言ったが、志乃は苦しくなって走り去ってしまった。

心配した加代は志乃の家を訪ねた。また二人でやろう、言ってくれないと何を考えているのか分からないと、ドア越しに話しかけた加代。部屋から出てきた志乃は夜の町をひたすら歩き続け、加代はその後を黙ってついて行った。海のバス停に辿り着いた二人。志乃はどもりながら、こんなに辛いなら一人のままでいいと加代に告げ、それを聞いた加代は分かったと頷いた。夜明け頃、加代は志乃にバイバイと別れを告げると静かに去って行った。

映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』の結末・ラスト(ネタバレ)

ひとりになってからも加代は文化祭への出場を諦めず、作詞を続けていた。志乃は登校してきたが、加代や菊池と話すことはなかった。

帰り際、菊池は志乃に話しかけ、自分がバンドをクビになったことを告げる。加代にひとりで文化祭に参加したいと言われたのだそうだ。いつまでも暗くうじうじする志乃に対し菊池は、今のお前はすごくダサいと言い放った。

文化祭当日、志乃はいつもの場所でうずくまっていた。バンドコンテストに一人で参加した加代は、自作の曲を披露する。“魔法”と題されたその曲は、志乃や加代の今までのことを歌にしたものだった。魔法をください、みんなと同じに喋れるように、歌えるように、という歌詞を加代は音程を外しながらも懸命に歌った。

曲が終わった頃、体育館に志乃がやってきた。彼女は、私は自分の名前が言えないと叫ぶと、つっかえながら大きな声で叫び続けた。今まで口にしていなかった思いを、認めたくなかった思いを。私のことを一番バカにし、恥ずかしいと思っているのは私自身だと語ると、最後にこう叫んだ。私は大島志乃だ、と。

菊池は相変わらずひとりで食事をしていた。加代はひとり屋上でギターの練習をする。志乃はクラスメイトたちが仲良く食事をする教室で、ひとりでお弁当を食べた。だが、以前とは確実に違っていた。志乃にジュースをくれる女生徒が現れたのだ。志乃は彼女に、どもりながらも優しくありがとうと言った。

映画『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』の感想・評価・レビュー

志乃役の南沙良の吃音演技がとても上手く、突き刺さってくる。蒔田彩珠のクールさや萩原利久のウザさもすごく良かった。青春時代を過ごした誰もが理解できる空気感の演出は見事で、沼津でのロケーションがそれをより一層良いものにしている。ストレートにメッセージをぶつけてくるところは若さを感じさせ、それが輝いて苦しくてとても愛おしい。コンプレックスを感じていない人なんてこの世にいない。そういった意味でなくても全ての人たちにおすすめしたい作品。(MIHOシネマ編集部)


現在学生の人達だけでなく、大人にも突き刺さるストーリーだと思う。人から貶されるのが嫌で目立たないように行動したり、好きなものが好きと言えなかったり、誰もが経験しているようなことが描かれていて共感しやすい作品だった。必死に悩みもがきながら毎日を過ごす主人公達の姿は、エネルギーに溢れていた。青春映画として、心に残る作品。
吃音症であることの苦しみや葛藤がダイレクトに伝わってきて、南沙良さんの演技が凄く良かった。(女性 30代)


誰にでも1つはあるであろうコンプレックスを仲間に出会い、支え合いながら克服する青春ストーリー。学生時代って些細なことがいじめのキッカケになったり、仲間はずれの原因になったりしますよね。治したくても治せない、自分でもコンプレックスだと感じていることを周囲に否定されてしまうと生きていくことさえ嫌になってしまう経験、あるのでは無いでしょうか。
今作の登場人物にも吃音や音痴、空気が読めないなど欠点に感じてしまうことがありましたが、彼らはそれを受け入れ、個性と捉えて克服していました。初々しくて若さを感じるストーリーです。(女性 30代)

みんなの感想・レビュー

  1. のり より:

    青春って良いです。
    良い俳優のいい演技が青春を思い出せ嬉しかった。何度も見れる映画でした。