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映画『アルビノの木』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『アルビノの木』の概要:害獣駆除の仕事をしているユクは、母の手術費を稼ぐべく、秘密厳守の仕事を引き受けることにした。それはある町の風評被害を避けるためにアルビノ種の鹿を撃ち殺してほしいという仕事だった。

映画『アルビノの木』の作品情報

アルビノの木

製作年:2016年
上映時間:86分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:金子雅和
キャスト:松岡龍平、東加奈子、福地祐介、増田修一朗 etc

映画『アルビノの木』の登場人物(キャスト)

ユク(松浦龍平)
運送業の副業として害獣駆除の仕事をしている。母親の病気のために、アルビノ種を殺す仕事を引き受ける。銃の腕前は見事なもの。
ナギ(東加奈子)
古いしきたりの残る山村に住む女性。以前は町に住んでいた。シロシカ様という森の神様を崇拝する村の生活に閉塞感を感じており、都会の生活に戻りたいという思いが拭えない。
羊市(福地祐介)
山村に住む若者。森の木々を使って茶碗や器などを作っている。長年、受け継がれてきた村のしきたりを大切にしている。

映画『アルビノの木』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『アルビノの木』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『アルビノの木』のあらすじ【起】

運送業に勤務するユクは、社長の指示で同僚の今守と共に副業として害獣駆除の仕事をしていた。森林を荒らす野生の鹿や猪などを撃ち殺す仕事だったが、ユクの銃の腕前は見事なもので、この副業はいい稼ぎとなる商売だった。撃ち殺された獣たちの死体は回収されることもなく、森に放置されるのが当たり前となっていたが、ユクと今守はそのことになかなか慣れることができなかった。

害獣たちはすぐに繁殖し、ボコボコ生まれてくる。殺しすぎてしまうことはないと語る社長。そんな社長がある仕事の依頼を持ってくる。その仕事は秘密厳守を約束させる特殊なものだった。報酬は高かったが明らかに漂う怪しさから、ユクも今守もその仕事を受けることをためらっていた。

ユクの母親は大病を患っていた。姉から早急に手術をしなくてはならない状態だと説明される。だが、そのためには大金が必要だった。子供が生まれたばかりの姉では手術費を用立てることはできない。ユクは母を救うため、秘密厳守の害獣駆除を引き受けることにした。

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映画『アルビノの木』のあらすじ【承】

今守と二人、電車を乗り継いで緑豊かな片田舎までやってきたユク。役場に案内された二人は、今回の仕事について説明を求めたが、峠の山小屋にいる男に聞いてくれと言われてしまう。その夜は役場で働く女性・アヤの家に泊めてもらうことになった。

二人はアヤの祖母から、山に伝わる伝説“シロシカ様”の話を聞いた。祖母は山向こう山村の出身で、そこでは山の化身としてシロシカ様という獣が崇められているという。

翌朝、二人は山を登っていき、峠の山小屋に到着した。そこにいた火浦という男から、仕事の内容を聞かされたユクたち。この山には以前は鉱山があり、町はそれで栄えたのだが今では鉱山は閉鎖になっていた。鉱物が含まれる食べ物を食べた動物たちの中には、その影響で肌や毛が白いアルビノ種が生まれているのだという。今の町は農作物で潤っているのだが、アルビノ種のせいで鉱害を噂されては大変なことになる。そうなる前に噂の元となる獣を排除するというのが、今回の仕事の内容だった。

話を聞いた今守は、害獣ではなく、自然に生まれてきた動物を殺すことを嫌悪し、仕事を下りてしまった。だが、ユクには金が必要だ。彼は一人で仕事を受けることにした。火浦は罠の名人だったが、山村の人々によって、罠はすぐに外されてしまうという。村の人々が崇めるシロシカ様とは、アルビノ種のことだったのだ。ユクはそれを撃ち殺さなくてはならない。

映画『アルビノの木』のあらすじ【転】

ユクが一人で山を進んで行くと、動物用の罠に掛かっていたナギという女性に出くわした。彼女は山村の住人だった。ナギを罠から助けたユクは、写真家のふりをして山村へと一緒に向かった。ナギは以前、町に住んでいたが訳あって今は山村で暮らしていた。だが、できれば町へ戻りたいと思っているようだった。

ユクは山村で山の木を使って茶碗などを作っている職人の羊市に出会う。村はほとんどが老人で若者は町へと出て行ってしまい、今は羊市とナギしかいなかった。羊市はとても心の優しい男で争いを好まなかったが、村に受け継がれる昔からのしきたりや伝承などを重んじていた。当然、シロシカ様のことも大切にしており、それを殺そうとする猟師のことを嫌悪していた。

羊市の家に泊まらせてもらったユクは、明け方頃にこっそりと外出し、シロシカ様を撃ちに出かけた。だが、ナギに発見されてしまう。ナギに真実を話したユク。町に行きたい気持ちと、村が大切にしてきたものの間で揺れ動いていたナギにユクは説明した。シロシカ様は突然変異で生まれたただの獣、いなくなれば村の人々も目が覚めるだろうと。

ナギはシロシカ様の居所に心当たりがあった。村の東側には決して飲んではいけない水が湧く沢があり、シロシカ様がいるとすればその場所に違いなかった。羊市は、そこへ毎朝、供え物をしに行くのだという。ナギは言った。あなたが撃つことができたら村を出る、失敗したらここに残る、と。それを聞いたユクは彼女を抱きしめると、全てが終わったら迎えに来るので、一緒にここを出ようと告げた。

映画『アルビノの木』の結末・ラスト(ネタバレ)

羊市の後をつけていったユクは、東側の沢へと辿り着いた。猟銃を手にしたユクの姿を見た羊市は驚き、殺すのを止めさせようと飛びかかった。だが、ユクは猟銃で羊市を殴って動けなくし、沢を登り、森の奥へと足を踏み入れていった。

その先で立派な角を持ったアルビノ種の鹿を発見したユク。それはシロシカ様に違いなかった。彼は猟銃を構えるとシロシカ様に向かって発砲し、仕留めることに成功する。

駆けつけた羊市はシロシカ様に駆け寄って泣いたが、そんな彼にユクは、ただの獣だ。これでもう古い生活をやめていいのだと語った。しかし、羊市は、そんな簡単に割り切れるものじゃないと叫んだ。全てを何かに委ねているあなたはずるいとユクに言われた羊市は、シロシカ様の角を切り取ると、ユクにそれを渡した。ユクはナギのことが心配だったが、その角を証拠の品として町へと持ち帰っていった。

ユクが大金を得たおかげで、母親の手術は成功した。長雨が上がる頃、ユクは山村にナギを迎えに行った。だが、そこで見たのはナギと羊市の結婚式の行列だった。呆然とするユクに気がついたナギは彼に向かって少し微笑んだが、行列は何事もなく静かにユクの前を通り過ぎていった。ただ立ち尽くすことしたできないユク。その後ろに広がる林の中には、新たなシロシカ様となるであろう、アルビノ種の小鹿が顔を覗かせていた。

映画『アルビノの木』の感想・評価・レビュー

ストーリーは淡々と進んで行くが、シンプルで深くメッセージ性の高い作品。ロケ地が素晴らしく、よくこんな場所を探してきたなと感心した。『もののけ姫』と共通するようなテーマも含まれているが、とても現代的な観点からも描かれている。ユクとナギの関係が駆け足になりすぎて説得力を欠いているが、その点も捉え方によってはラストに活きてくると思った。ユクが悪人でも善人でもないところがとても良く、自分たちと同じ目線で生きている人物なのだという共感を生んでいる。(MIHOシネマ編集部)


本作は、害獣駆除を副業とするユクが、母親の手術代の為にアルビノ種の鹿を駆除してほしいという依頼を引き受ける様子を描いたヒューマンドラマ作品。
山や森林の湿気、風土が感じられる美しい景観の圧倒的な映像美には、贅沢な気分を味わえた。
美しい自然と静寂の中の緊迫感といった不思議な世界観と無駄のないシンプルな内容、余韻の残る謎めいた終わり方もとても好みだった。
鹿というモチーフも、作品の世界観にしっくりくる。
人が自然とどう共存すべきか、そして一体どちらが害獣なのか考えさせられる作品。(女性 20代)


とにかく自然が素晴らしい作品です。海よりも川が好きな私は、この作品に出てくるような山から湧き出た水がだんだんと川になっていき、自然を広めていく様子が大好きです。ストーリーの設定もあり、雄大な自然の風景が作品全体にものすごく影響を与えてしました。
設定は良かったのですが、そこに恋愛模様が描かれてしまうことでなんだか安っぽい感じがして、自然が美しいこの作品の良さが半減してしまうように感じました。
雄大な自然に心が癒される作品です。(女性 30代)

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